「期待度○鑑賞後の満足度◎ 驚くべき結末!「神が全てを創造したのであれば、この世にある全てのものはあるがままの姿が神の御心に適っている」正に其の通り。それを変に解釈して歪めているのは人間。」教皇選挙 もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
期待度○鑑賞後の満足度◎ 驚くべき結末!「神が全てを創造したのであれば、この世にある全てのものはあるがままの姿が神の御心に適っている」正に其の通り。それを変に解釈して歪めているのは人間。
①因みに私はキリスト教徒ではありません。
②「確信」と「盲信」と「狂信」と…これらの境って確かにグレーだわ。
③こういう緊張感のある演出は心地好い。演技的にも出演者はみんな演技巧者なので安心感と安定感はたっぷり。
特に、教皇選挙のしきり役を任され(しきり役って我々庶民の仕事や活動でも大変な役回りなんですよね)、公平・公正な立場に立とうと思いながらも、革新派と反動派の板挟みになり、自分もパワーバランスの戦いに巻き込まれそうになりながら、やがて前教皇が何故自分を辞めさせなかったのかを理解するようになり、最後前教皇の(おそらく)希望通りの結果に辿り着くまでの上席枢機卿の苦悩を演じきったレイフ・ファインズがやはり見事。
④泉水のある広場を白い傘を指した赤い衣装の枢機卿たち(レイフ・ファインズだけ傘を指していない)が通っていくシーン。
昔の(特にヨーロッパ)映画には必ずこういうシーンが挿入されていたように思う。最近の映画ではあまりお目にかからない。
こういうシーンが映されると“ああ、映画を観せてもらっているなぁ”という気になりますね。
⑤中盤までの緊迫感が凄かっただけに、法王有力候補の二人が脱落する原因が世俗的過ぎて(まあ、普通こんなもんなのでしょうが)、こんな感じで最後まで行くのかな?、っとちょっと緊張感が緩んでしまったが、終盤にかけての捻りで盛り返しました、って感じかな。
⑥若い頃あんなにキレイだったイザベラ・ロッセリーニが初老の修道女役で助演している姿が、若い頃は神々しいほど美しかったのが晩年『オリエント急行殺人事件』(1974年版)で冴えない中年女を演じた(でも、この演技で3回目のアカデミー賞獲りましたけど)お母さんのイングリッド・バーグマンの姿とダブって感慨深いものが有りましたねぇ。
⑦自分が死んだあとに教皇の座を巡って醜い争いが起こることを予想しつつも極秘に秘密兵器を仕込んでおいた前教皇はタイトルに書いたような考えを持つオープンな心の人だったようだが、自分が死んだあとに親族内で血で血で争う事件の発端になる遺言書を残した『犬神家の一族』の犬神佐兵衛翁みたいだな、とちょっと思った。
本作では血で血を争う様なことは起こらないけれども、或る意味それより醜いことを炙り出すことになる。
⑧原題の“Conlave”ってそのまま片仮名読みすると「コンクラベ」⇒「根比べ」ですね。