「キリスト教的ポリコレ世界を知るには良い標本」教皇選挙 クロイワツクツクさんの映画レビュー(感想・評価)
キリスト教的ポリコレ世界を知るには良い標本
今年に入ってアニメ映画しか見てないなと思って重厚な人間ドラマを見てみようかと予備知識無しで見た。
アカデミー賞ということで平日だったが人が多かった。老若男女大勢いてほぼ満席だったのでは。
役者の演技は良かったし、あまり見ることも無いローマ法王の選挙コンクラーベを映像で描いて見せているし、で、映像資料的な価値はあったように思う。
まあ、逆に言うと、それくらいしかなかったともいえるが。ストーリー展開が殆ど予想通りに進んでいって、なんの感動もなかったが、唯一驚いたのが最後の投票まえの爆発。まさか、武装したテロリストが乗り込んでくるようなバイオレンス映画だったのか? と思ったがそんなことは無かった。
教皇の有力者としてあげられる人物が、ポリコレ的順位付けになっているようだ、というと言い過ぎだろうか。
最後も別に驚きもしなかった。そうきましたか、という感じ。今現在のアカデミー賞でどんな作品だと評価されるのかが良く分かる映画だった。
それにしても、聖書に黄色人種の東洋人など登場しないから、欧米では黄色人種は差別以前に存在しない扱いという言い方をするものを見たりしたこともあるが、この映画はまさにそうだった。東洋人の枢機卿って存在しないのか、とネットで検索してしまった。そんなことはないようだが、この映画でそれらしい人が映ったのはほんの数秒じゃないだろうか。
もしかすると、本音を先に言ってしまえば、後に出してきたものが本音扱いになって逆に隠せるなんてことを考えて作られているのかもしれない、という、うがった見方もしたみたくなったが、それだとしても物語としては面白くは無かった。
ここ何回か見た映画で何度も言っているが、映像と雰囲気は良かった。それだけでも見て損はしなかったと思いたい。