「まず渋さと画面の鮮やかな赤のコントラストでやられる映画。」教皇選挙 外村さんの映画レビュー(感想・評価)
まず渋さと画面の鮮やかな赤のコントラストでやられる映画。
イメージは本格ミステリー会話劇、
かと言って音楽の盛り上がりや各シーンのアングルが美しいやら格好いいやらでニヤニヤしてました。
会話シーンが面白いと、時間を忘れて楽しめる、ストーリーと美術が両方素晴らしいのは貴重。
主役のローレンスの管理者として立ち回るも、その裏の人間的な葛藤、感情や一箇所出てしまった野心の部分もひっくるめて魅力的。最終的には管理者として葛藤する中、比較的一番安寧な立ち位置でした。それも彼の定められた道であった気がしますね。その他役者陣のお芝居も魅力的。キャラクター造形もテンポいい会話劇から魅力、憎らしさ含めわかるようになっており秀逸でした。
この作品は『政治闘争をかきたかった』と監督がおっしゃっていたように、今の日本、世界の政治など当てはまる部分は多いと思います。
かと言って決して分かりにくい難しい映画ではないです。この映画を見てファンダメンタルや政治、お金の流れなど、混乱に流されずある種自身が管理者のように周囲にアンテナをはることが、自分の人生を豊かにするのだと感じます。
主役のローレンスはある意味私達自身で、
この先、誰が統治する座につき、どのような社会的混乱が起ころうとも、ある種いつもの日常がこれからも続くのだと。あのラストで思い知らされました。ある意味深掘りすると怖い映画ですね。
この会話劇が素晴らしいし、やりとりの裏側を想像するのが面白味です。
ド派手などんでん返しだけが面白さじゃありませんよ。この渋さや裏にある残酷な現実を想像させる秀逸な脚本が良いのです。たまらないのです。
昨今『衝撃』ばかり求めてしまうと頭が思考停止してしまうのでこういう映画が薬になります。