アプレンティス ドナルド・トランプの創り方のレビュー・感想・評価
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フィクションであってほしい・・。
ロイ役、トランプ役の演技には、凄味がある。
後者は本人でないか?と錯覚するぐらい、彼になっている。
過激な表現、分かりにくいところも多々あるが、
良識ある青年が、勝利にとり憑かれ、
巨大なモンスターになる過程をうまく表現している。
とても、怖い映画。
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わたしは常々、思う。
勝つため、全力で人を陥れたり、利用する人間を避けたいと。
作品で描かれている全盛期のロイ、勝利に固執したトランプ、
どちらも、関わりたくない、巻き込まれたくないタイプの生き物だと思った。
どれぐらい、実話を含んでいるのか、アメリカに疎い、私は判断できないが、
仮に 7、8 割が本当だとするならば・・
”アメリカ” と ”民主主義の自由” を掲げ、自分の快楽のまま、取引を楽しみ、
決して負けを認めず、引かず、媚びず、顧みず、
勝つまで攻撃し続けるモンスターが、この世に存在することを認めざるを得ない。
この話、9 割以上がフィクションであることを心より願う。
誰がトランプに頭を切るハゲ治療をしろと言った?それは私の友達と高須院長がいった。
どことなく、あの傲慢な実物をテレビなどで見てしまっているからか、どうしても序盤のなよなよとした姿が信じられなかった。
また、盛り下がったシーンの後に変に大きく音楽を流して次のシーンに切り替えるやり方をやられても気持ちがそこまで追いつけず、どことなく物語に入り込めなかった。
余談だが、トランプの美容整形に関して調べたら、あれは高須クリニックの院長の友達が執刀したとのことでタイトルに入れ込んでみましたが、特に意味はありません。
人間臭くて憎めない
個人的にはトランプ大統領を支持してますので、雑で乱暴でケチだとしても、あの位でないと国は動かないから「頑張れトランプ!」。しかし、キッタナイ方法で成り上がれるアメリカは嫌い、けどこんな映画を放映できる自由度はアメリカの好きな部分でもある。負けを認めない、勝ち続けろ、ルール的なもの…自分に響いてしまった…「絶対に否を認めない」ビジネスには少なくとも必要かもと思った。もっとトランプさんを調べてみたくなった。
ロイ・コーンからトランプへ 悪魔の遺伝子を受け継いだ男
ロイ・コーンをよく知る人物は言う、彼のような人間はいつの時代にも存在すると。
赤狩りの嵐が吹き荒れた50年代のアメリカ。マッカーシズムの下、実質そこで主導的役割を果たし、多くの人間の人生を狂わせたのが当時若き日のロイ・コーンだった。
彼は劇中でも語られたローゼンバーグ事件で注目されたことからFBIのフーバーの推薦によりマッカーシー上院議員の主任顧問となる。
マッカーシズムとはその名の通り国務省に共産主義者のスパイが大勢潜んでいるというまさにマッカーシーのデマ発言から巻き起こった反共ヒステリーである。
当時の朝鮮戦争勃発、ソ連による原爆開発で共産主義に対する脅威が大きくなり始めたころに国民の不安の炎に見事に油を注いだのだ。
このマッカーシー発言の元となった情報自体、今では当時フーバーが彼を反共活動に利用しようとしたがためにリークしたフェイク情報であったともいわれている。実際その情報には何の根拠もなかった。しかしそれでも当時の反共活動を煽り立てるには十分すぎるほど大きく役立った。多くの人間が不当な疑いを根拠に公職から追放され、また特にハリウッドが標的にもされ、チャップリンもアメリカから追放された。
ロイ・コーンが頭角を現すきっかけとなったのが当時原爆開発に携わった義弟からユダヤ人電気技術者ジュリアス・ローゼンバーグが原爆の機密情報をソ連側に売り渡したとして妻のエセルと共にその容疑をかけられ処刑された事件である。当時は冤罪だとして世論を二分したがのちに公開されたヴェノナ文書で彼らがソ連のスパイだったことが明らかになる。しかしジュリアスが渡していたのは原爆開発に関する重要な情報ではなく、また妻のエセルの関与があったことも疑わしいものだった。
当時の裁判においてはエセルの弟の証言だけで有罪判決が下り、二人は処刑されてしまう。のちにこの証言はロイ・コーンにより仕組まれた偽証であったことが明らかになっている。
少なくとも当時ロイ・コーンがいなければ幼い子供たちが両親と永遠の別れを告げられることはなかったのである。
当時二十代の駆け出しの検事であったロイ・コーンがなぜそうまでして夫妻に罪を擦り付け糾弾したのか。彼の野心に加えて一説には同じユダヤ人である彼が夫妻を糾弾することでユダヤ人への偏見を払拭したかったのではないかとも言われている。だとすればのちにゲイである彼が同じくゲイたちを糾弾したことともつじつまが合う。
どちらにせよ合法違法を厭わない手段を選ばぬ彼の法廷戦術はこの時から培われたものであり、その様はまさに悪魔に魂を売った人間という称号にふさわしいものだった。
マッカーシズムはロイ・コーンが恋人の徴兵逃れのために行った工作やマッカーシーが赤狩り追及を陸軍にまで及ぼそうとしたためにアイゼンハワーの怒りを買い、彼らへの非難が噴出し彼らが失脚したことから沈静化していった。
扇動政治家マッカーシーは酒におぼれ49歳の若さで亡くなるが、検事をやめたコーンは元判事の父のつてを頼りにニューヨークでやりての弁護士としてリベンジを果たす。ここでも手段を選ばぬ方法で依頼人である実業家やマフィアに貢献し彼はフィクサーとしてのしあがっていく。そして彼の依頼人の中に若き日のトランプがいた。
劇中でトランプが組織的に行っていたトランプビレッジへの入居差別の裁判で判事の弱みを握り訴訟を和解に持ち込むシーンが描かれている。私は法には興味がない、興味があるのは裁判の判事が誰かということだけだというコーンの言葉が残されている。法の遵守などお構いなし、相手の弱みを手に入れそれを自分が有利になるよう利用する。ローゼンバーグ事件で彼が取った手法だ。
さすがにあまりに手段を選ばないコーンのそのやり方に若き日のトランプも嫌悪感を抱かずにはおれずその戦い方を見習いながらもコーンとは一定の距離を保ち続けた。だがコーンはトランプの才能をいち早く見抜き彼に自身の教えを伝授する。
彼らはお互いに利用し合う関係だったと言える。しかしさすがのロイ・コーンもエイズに感染して年貢の納め時となる。悪名をはせてきた彼の晩年はみじめなものだった。それでもトランプだけが無一文になった彼を最後まで面倒を見た。しかし最後の最後にはトランプに失望してロイ・コーンは息を引き取る。
悪魔に魂を売り渡したロイ・コーンはこの世を去るがその後継者であるトランプはついにアメリカ大統領にまで上り詰める。世界一の軍事大国であり、経済大国のトップに悪魔の遺伝子を受け継いだ男がその座に就いたのだ。
今のトランプを作り上げたのは間違いなく父のフレッド、そしてロイ・コーンであった。トランプの考えは父の教えに基づき人生には勝者か敗者しかいない。二つに一つであり自分は常に勝者であるということ。そしてロイ・コーンのたとえ敗北してもそれを認めず、勝者であると言い続けろという教えが加わり今のトランプが完成する。
トランプはコーンから伝授された教えを今も忠実に実践する。けして負けを認めず勝利を主張し続けろ。彼が再選を阻まれた選挙は不正であり盗まれたと言い続け、それを信じた支持者たちを扇動し議会襲撃事件を引き起こした。
ひたすら攻撃。就任後の飽和攻撃ともいえる史上類を見ない大統領令の連発でマスコミや議会は対応できないほどであり、そのまま既成事実化を狙おうとする。選挙戦の対抗馬には容赦ない攻撃を繰り返した。政敵であるバイデンのウクライナでの不正の捜査を支援と引き換えにゼレンスキーに依頼。
けして非を認めるな。そのウクライナ支援を餌にした捜査依頼や、選挙中の不倫口止め料支払いなどの不正に対する疑惑をでたらめだと言い続けた。
これら三つの教えが彼を億万長者の地位に押し上げそして今の大統領の地位にまで押し上げた。今の現時点で彼は勝者なのかもしれない。だがロイ・コーンのようにいつか負けを認める日が来るかもしれない。その時彼は潔くそれを認めるのだろうか。
彼がただの実業家であったならば今のままでもいいのかもしれないが、いまや世界に影響を及ぼしうる強大な権力を握る米大統領である。彼の采配一つで人々の人生を大きく狂わす。マッカーシズム下のロイ・コーンが行った比ではない。
けして自分の非を認めず、むしろ自分を批判する人間たちを罵倒し続けるその姿は果たして民主大国の大統領にふさわしいと言えるだろうか。これではロシア、中国、北朝鮮の指導者となんら変わらないのではないだろうか。
ロイ・コーンの親族が言った、彼のような人間はいつの時代にも存在すると。1930年代のドイツ、50年代のアメリカ、そして現在のアメリカだ。
ヒトラーはヴェルサイユ体制の下で不満を募らせた民衆の心をつかみユダヤ人を仮想的とすることで独裁政権を築き上げた。マッカーシズムは国民の共産主義への不安を煽り思想信条の自由を蹂躙し多くの人の人生を奪った。トランプはエリート層から追いやられた周縁の人々の不満を掬い取り移民や有色人種、性的マイノリティの排斥を訴えて支持を得た。
人々の抱える不安や不満に目ざとく目をつけてそれを自身の支持につなげて権威主義に走るポピュリズムは民主主義の宿命ともいえる。彼らポピュリストは虎視眈々と人々の中に蠢く不満のエネルギーが噴出する機会を伺っているのだ。
トランプのような人間はこれからも出てくるだろう。民主主義社会において既成政治が多くの人々の受け皿となれないのなら、それは民主主義を駆逐するポピュリズムの台頭を許すことになる。
悪魔は常に人の心の弱みに付け込みその心を乗っ取ろうと機会を伺っているのだ。民主政が機能不全を起こして民衆の期待に応えられなくなり、人々が独裁でもいいと望むようになればそれこそ悪魔の思う壺となる。
映画はロイ・コーンのドキュメンタリーで見た映像がそのまま再現されたようなシーンなどが多くあり、ほぼ事実に則って描かれていると思う。例えば自宅兼事務所ビル内の自室で裸での腹筋運動、会議での様子。乱交パーティーシーンなどは実際彼はゲイたちのたまり場の店などに入り浸っていたことからも察しが付く。
この作品を2015年のトランプの大統領選初出馬を表明する以前に鑑賞したなら興味深い有名実業家の物語として楽しく見れただろうが、いまや大統領再選を果たした人物が本作の主役である。あの悪夢がまさか再来すると誰が予想しただろうか。劇場を出る私の足取りは重かった。
是非とも本作にはアカデミー賞作品賞、主演男優賞を取って貰いたい。スタローンが悪魔に魂を売り渡した今、かつて赤狩りにさらされたハリウッドにはぜひともトランプと闘ってもらいたい。
痛快という人もいるかもしれませんが
この作品は、現アメリカ大統領のドナルドトランプ氏が、ロイコーンという(悪辣な)弁護士と出会い、彼を師と仰ぐことで、ついには彼をも凌ぐモンスターになってゆく過程を描いています。
他の方も言っているように、この作品で描かれたロイコーン、ドナルドトランプが、実際の人物にどれだけ忠実かはあまり考えずに観た方が良いと思います(もし80%忠実だとしたら、、それはなかなか空恐ろしい気も、、、)
文春オンラインが役作り等について、ロイコーン役を演じたジェレミー・ストロングさんへのインタビュー記事を載せていて興味深く感じたので、観に行ってきました(ちなみに、ストロングさんの役作りの仕方は、何か建物を建てるかのような面白い捉え方でした)。
小さい映画館がほぼ満席でしたが、テーマがテーマなので、観客は年配の男性が多かったです。
作品中のロイコーン弁護士も、トランプ氏も、自分が勝利するためには汚い違法行為をも辞さずに勝ちにいく人物として描かれています。
ストーリーの序盤は、トランプ一家が、経営する不動産へ黒人の入居を拒んだという理由で政府から不当?に訴えられたところを、ロイコーン弁護士が、政治家のセックススキャンダルを使ってゆさぶりを掛け、封じ込める話が描かれます。不当な裁判をひっくり返し、それをきっかけに不動産王への道を爆進する、ということで、ある種の痛快さを感じる人もいるかな、とは思いましたが、、、やはり汚い手を使ってでも勝ちに行くという、後ろ暗い生き方のグロテスクさは、作品全体を通して表現されていたように思いました。
う〜ん、こういう生き方は自分はしたくないなあ、、の一言につきます笑
自分が置かれた環境によって、そういう生き方をしないで済むのならば、それに感謝しないとね、、。
今の時代、人は何歳まで生きるのか分かりませんが、仮に自分が人生の前半、ロイコーンのような激しい人から足を払われたり、利用されたり、理不尽な目に会ってばかりいたとしても、人生の後半、そういうことと無縁で(やられず、やらず)生きられるなら、人生万々歳かな、と思いました(ああいう世界に一生生きるとか、ムリ!笑)
この世で大事を成す人は、本当に全てこのように清濁併せ呑む人ばかりなのでしょうか。
役作りのインタビューに興味を持って観に行きましたが、自分には毒気が強すぎた感じです(身体にこたえたのか、今日になって熱が38.5℃でて、未だ下がらず、、、シンドイ、、)
俳優さん達は名演技だと思いましたが、
作品が描いているものがしんどかったので(どこかに救いがあったら良かったけど、無かった) 評価は3点にさせて頂きました。
ただ、救いといえば、、、作中でトランプがAIDSを患うロイコーンを別荘に招いてもてなすシーンがありましたが、そこが唯一救いといえば救いだったかな、、(ただし作中では、トランプがロイコーンにカフリンクをプレゼントし、ロイはそれをとても喜ぶのですが、トランプの妻がロイに向かって、それは金メッキにジルコンの安物だと言って彼の気持ちを奈落の底に突き落としますが、、)
追記: レビューを書いていた時、高熱が出ていたもので、平熱に戻ってから「何か変なこと書いてなかったよね、、、」とつらつら考えていましたら。
この映画では、トランプとロイコーンのみっともないところ、なりふり構わず、いかなる手を使ってものし上がろうとするところなど、人間の持つ悪の面だけに90%以上フォーカスしていることに今更ながら気づきました(気づくの遅っ! 笑)。 人間は100%の天使でもなければ100%の悪魔でも無い訳で、人物像を立体的に描こうとするなら、善の部分も描いてよいはずなのかなと思いますが、そこの描写が極端に薄い作品だと思いました。他のレビュアーさん方も本作品は、反トランプのネガティヴキャンペーン的作品、とおっしゃっているのは、そういう理由だと思います。制作者に 「誇張抜きでこの醜悪さが2人の実像だと思うから、この作品でフォーカスして描きたかった」と言われてしまったらそれまでですが、私自身は、だから「この作品には救いの部分が無い、、」と感じたのかな、と思います(世も末な感じしか残らない泣) 。
テーマがぼやけてる、ような。
少し描写が足りないように感じる部分があり、結果としてメインテーマがぼやけているように思えました。
まず最序盤、ロイ・コーンの仕事ぶりについて。いつも裁判所などでは暴言を吐くばかりで最終的には脅迫で全部片を付けるというワンパターンなやり方でした。もちろん、ロイが悪辣な弁護士であることはこの物語の重要なピースではあるのですが、もう少しどうにかならなかったのかなあ、ロイの有能さの描かれ方が少し足りないのでは?と感じます。他には、ロイがなぜここまでトランプに目をかけたかという理由も欲しかったです。
中盤では、トランプが市長とケンカをして以降、しばらくロイが出てこなくなってしまったように覚えています。トランプがロイ・コーンから離れていくところをもう少し描いてもよかったのかなぁと思いました。これはトランプとトランプの兄とのシーンも同様で、なぜ兄が堕ちていったのかとか、そもそもの兄とトランプの関係性とかも、もう少し描写が欲しかったです。
独善的になっていくトランプも、内心の葛藤のような描写があまりなく、なんか変わっていったね、という域を出ないかなと思いました。例えば、経営面での行き詰まりや、家族との関係から、「強いトランプ」像を作り出さざるを得なかった、とかそういう描き方もできたのではないでしょうか。今のままだとただ傲慢な人格が勝手にできたように見えて、再終盤でのロイとの和解(?)などにどうつなげればいいのか少し難しいなと思います。
終盤に向けてロイ・コーンが再登場しますが、彼がなぜ落ちぶれていったか、という描写も物足りないかなと思いました。再登場したと思ったら病気なのか資金繰りなのかよれよれになっていて、もう少し説明が欲しかったです。ロイはトランプの他にもたくさん顧客はいたでしょうから、なんでああなったかはもう少し描写があってもいいと思います。もちろん訴訟がどうとか言っていましたけど。
最後のロイ・コーンとの死別のシーンはよかったかと思います。いろいろな受け取り方はあるかと思いますが、トランプはロイのアプレンティス(弟子)であり、ロイを切り捨てることは結局できなかった、ロイがAIDSだとわかって後に席を消毒するほどでも、一緒に食事をとろうとするほど彼のことを気にかけていたのではないか、と私は思いました。当時はHIVへの差別も今とは比べ物にならないほどすさまじかったでしょうしね。
ただ、カフスボタンがダイヤモンドかジルコニアかというのは、解釈に困っています。別荘に招待したり、そもそもカフスボタンを作ったりなど、トランプはこの時点で十分お金をかけていますし、トランプが吝嗇だったという描写もない。妻がロイへの復讐でそういったという解釈も可能でしょうが、トランプはロイにここまでお金も時間も使っているわけですから、そんなことを言われたってロイも一笑に付せそうなものです。大体ダイヤモンドより実業家が丸一日付き合ってくれるという時間のほうがよっぽど貴重なわけで、仮にジルコニアだとしてもショックを受けるほどかな?と思いました。
総じて、トランプのキャラクターやその「成り立ち」を表面的に描いた作品としてはそれなりに楽しめました。ただ、トランプ周りの人間関係を全部盛り込もうとしすぎたあまり不完全燃焼になっている部分があるようにも思えます。「アプレンティス」という題なのですから、ロイ・コーンとドナルド・トランプの二人の関係に焦点を当てたつくりにしてもよかったのではないか、と思いました。
トランプの裏表
ストーリーは、盛っている部分もかなりあるかと思うが、実話ベースの話しもあるにも拘わらず、米国でこういう作品が制作されて上映されるということに驚きを感じた。しかも下ネタも有りだから更にビックリ😱☀。日本だったら、首相をテーマにしたこのような映画は、忖度されて上映されないだろうね。(森繁久彌主演の小説吉田学校は、見応え有り)トランプ大統領の考え方は、弁護士ロイ・コーンの思想にかなり影響を受けたのではないかしら?
資本主義が生んだ虚像
アプレンティス
自分の想像よりも、思いのほか早い段階でトランプの人生の表舞台から消えるロイ・コーン。
トランプが彼の傀儡のような存在になり下がるのかと思いきや、そうではなく、飼い犬に手を噛まれた形となった。
イラン人アリ・アッバシの視線はあくまで客観的。
随所に「トランプらしい」描写があり、うまい。
口説き途中で氷に滑って転んだり、ださい髪型を必死に直す姿など、かっこつけたいのにどこかかっこ悪くて、小物感が漂う。キッシンジャーなど政界のフィクサーのような凄みも感じず、大言壮語で金にものをいわす。要するに世間知らずの根っからのボンボンなんだな、と。
ロイ・コーンはなぜ彼に目をかけたのか。たまたまルックスがタイプだったのか、道化にするなら面白い素材だと思ったのか。
他人の言葉やアイデアや、価値観を自分に取り込み、自分の考えのように語るトランプ。
そんな彼が抜きんでた存在になれた理由は、結局のところ、これだという決定打はない。
若さと傲慢さと思い上がりに、親からの金と運…。そしてアメリカの資本主義というシステム。
シンプルな理想を語るがゆえに、そこが魅力ととらえる人もいるのかもしれない。
キャッチコピーの化け物という形容は仰々しくてあまり相応しくない。
高圧的な父親の教えを受け継ぎ、克己心はなく理念も信念もなく、虚像に虚飾を重ねて肥大化した人物。
ロイ・コーンの涙は、こんな薄っぺらな人間に目をかけた自分への哀れみ、自責の念からだろう。
ただ、本当にそれだけなのだろうか。本当のところ、彼のポピュリストでスマートでチャーミングな側面が、大統領に押し上げたのではないだろうか?という疑問が首をもたげる。
つかみかけたところで霧散するトランプ像。
結局、目を離せない存在なのは確かだ。
見習いトランプの成長物語
映画の原題『THE APPRENTICE』は見習い、初心者という意味で、映画は若き日のドナルド・トランプがロイ・コーンの指導を仰ぎ、その哲学を学びながら大富豪にのし上がっていく軌跡を描いています。
脚本は元雑誌記者で過去にトランプへの取材経験もあるジャーナリストのガブリエル・シャーマン。彼は『ほとんどが事実に基づいて描いたものであり、なぜトランプがあのような人物になったのかを描きたかった』と語っています。
一方、トランプはSNSでこの映画について『嘘っぱちで品のない映画。安っぽくて攻撃的で反吐が出るほど悪意ある中傷だ。おそらく失敗するだろう』と批判しています。
どちらの主張が正しく、どこまでが事実で、どこまでが脚色なのかは分かりません。ですので、この映画はあくまで現実のトランプとは切り離して見るのがいいのかなと思います。
若き日のトランプは常識も恥じらいもあり、どこか頼りなげで繊細な一面もあり、厳しすぎる父親に遠慮しつつも、手柄を立て認められたいと願う純朴な青年として描かれています。一方で、この世界には勝者と敗者しかおらず、自分は絶対に成功して勝者になるのだ、という強い野心も抱いています。
しかし、成功を望むにも、父の経営する不動産業は経営難で財政は火の車。さらに多くの訴訟も抱えるなど課題が山積していました。
そこでトランプが頼ったのがロイ・コーンで、政財界の実力者が集まる高級クラブでコーンと出会ったトランプは、トイレまで付きまとうなどして執拗に自身の顧問弁護士となるよう懇願します。その情熱を見込んだのか、はたまたタイプだったのか、コーンは顧問弁護士を引き受けます。
コーンは大統領の非公式顧問を務めたり、世界に名だたる大富豪を顧客に持つなど、確かな手腕の持ち主ではあるのですが、一方で多くの顧客や企業から偽証や証人脅迫、証人買収、横領などで訴えられており、勝つためなら非合法含めどんな汚い手段も厭わない悪徳弁護士でもありました。
コーンはまずトランプに3つのルールを授けます。それは『攻撃、攻撃、攻撃』『絶対に非を認めるな。全否定しろ』『どれだけ劣勢でも勝利を主張し続けろ』という非常にシンプルなものです。さらに偽証や証人脅迫、証人買収といった非合法な手法についても、現場にトランプを引き連れ、目の前で手本を見せながら惜しみなく伝授していきます。
良くも悪くも素直なトランプは忠実にこれを実行し、ノウハウを自分のなかに取り込んでいきます。コーンとの出会いを通じ、トランプはまさに我々がいま見ている怪物へと変貌していくわけですが、とはいえ、真っ当な人間ならば、教えられたところでその手法を取り入れようとは思いませんし、その意味でトランプは元々こういう種類の人間だったのかもしれません。
コーンの教えを受けたトランプは一切の非を認めず、どんな不利な裁判もひっくり返し、自分の思い描いたゴールに向かい、力業で強引に事業を推し進めていくようになります。
たとえばニューヨークのビル建設に際しては、債権者への返済を拒んで借金を踏み倒し、労働者への報酬未払いも常態化し、さらには議員を脅迫して税金免除を勝ち取るなど、もはややりたい放題。コンプラ的には真っ黒なわけです。
一方でトランプは犯罪が横行する荒廃したニューヨークを活気ある街へと蘇らせると豪語し、ホテルの買収や改築など大事業を次々に成功させニューヨークを蘇らせることに成功します。そして、人々はそんなトランプを熱狂的に支持する。
過程に問題があろうが、中身が真っ黒だろうが、体裁さえ整えれば誰もその中身など気にしせず、人々は成功者として崇め称えてくれる。このスキームを確立したトランプは勢いに乗り、次々と事業を拡大していきます。
こうしてかつて見習いだった男は、金や名声と引き換えに一切の羞恥心や道徳心を失い、不動産王の地位を確立すると、師であるコーンとも決別して我が道を行く怪物へと変貌します。
日本のような漂白社会では真っ先に消されるでしょうが、80年代の米国は良くも悪くも(倫理的に問題があろうが)成功者にはルーズなので、トランプのやり方が問題視されることもなかったのでしょう。
それにしてもやり方はどうであれ、これだけの財を築き、大統領にまで昇り詰めたのですから、世の中なにが正解か分からないものです。
一度決めたゴールに対する異常な執着心、なにがあっても一切ブレない信念、並外れた行動力。目指す方向が正しければ、その過程がどれだけ真っ黒でも、問題山積でも、批判されてもまるで気にしない。こんな常人離れした割り切りと振り切った性格こそがトランプの強みなのだろうなと映画を見て感じました。
個人的に、ほら吹きで単細胞のトランプがなぜ大統領にまでなれたのか、なぜあのような怪物に仕上がったのか、興味があって映画を見ていたのですが、事実かどうかは別としてなんだかいろいろ腑に落ちることも多くて楽しめました。
また、トランプは性的多様性を認めない立場ですが、それはコーンが同性愛者でエイズで亡くなったこととも関係があるのかなと思ったり、映画はそんな彼の政策に繋がるような逸話がいくつも出てきて興味深かったです。
誰も幸せじゃないのに進み続ける未来
アプレンティスとは、弟子とか師弟とか見習いとかって意味らしい。
若いドナルド・トランプは成功を夢見つつ、良心があって受身な青年として描かれていた。
そんなドナルド・トランプを、ロイ・コーンが育てるが、やがてドナルドはロイが予想もしなかった怪物になるという話。
ドナルド・トランプとは、アメリカの超富裕層の傀儡であるって描き方なのかなーって思ってたけど、そうではなかった。そういう面もあるだろうけど、そこが主ではなく読めた。
ロイの勝利の三原則?(攻撃攻撃攻撃・非は認めない・勝利を主張し続ける)を実践し続けることによって、その成功体験から降りられなくなった。
でも悲しみも喜びもあまり感じていない様子で、ドナルドは全然幸せそうじゃない。
だけどそれを辞めない。
何とかの一つ覚え的に、自らハマった地獄の沼の中で、溺れていることに必死で気付かないふりをして、未来に進む。その未来が全然キラキラしてないのに。
ラスト付近で、ドナルドの自伝を書くために雇われたライターが、めちゃくちゃあきれてた感じのシーンがすごく面白く、恐ろしかった。
コーンは自分が作り出した怪物に、冷たく袖にされて世を去る。
彼も、同性愛者でありながら、ホモフォビアを隠さず「アメリカの男」という虚構を演じて、犯罪も犯しながら弁護士をやってきたけど、あのおとなしい青年がよもやここまで化けるとは思ってなかったのだろう。
最初っから、コーンが標榜する世界は民主主義ではないと思うけど、あれを民主主義と本気で思ってたのかなって思う。
ドナルド・トランプ役の人、後年になればなるほどすっごく似ててよかった。
2025年2月。ドナルド・トランプが2期目のアメリカ大統領に就任して十日余り経過した。
彼は正気を疑うような大統領令を出しまくってて、流れてくるニュースに気が滅入る。
情報が溢れすぎている時代、日々に生活に追われていたら、表面的で簡潔なメッセージしか頭が受け付けなくて、ドナルド・トランプの言うようなことがインプットされちゃうのもわからなくはない。敵を仕立てて、やり玉に挙げ攻撃することで、晴れる気分があるのもわかる。
程度に差はあれ、日本でも同じようなことが起きているから。
そこに良心の付け入る隙なんてあるんかい?もうやる気が起きねーよと、厭世的になっちゃうのが、相手の思うつぼなんだろうけど、やる気が起きねーよ。
なんなんこの世界、どこへ向かうんだろかね。
まず創作作品として見るべき(事実も含むだろうぐらいに)後半ネタバレ
今作は史実に基づいた伝記ドラマではない。 勿論、ある程度は事実を参考にはしているだろうが、特に後半は脚色・創作がかなり含まれていると感じる。
レビュー前に、これを読んで頂いた方に提案♪
政治に関する全て(書物・映画・ニュース・SNS・情報・コメント等)に触れる時は、その発信者が左派・右派にどちらに属しているかをチェックすべし♪ なにかを批判・逆に賞賛している場合は特に。 (もちろん中道的でどちらにも属さない場合も多々ある)
予告でトランプさんを「怪物」と呼んでいる事から、どうせ左派(反トランプ)のプロパガンダ作品だろうと、視聴前に監督をチェックした。
が、アッバシ監督は自身で映画コムに語っている様に、特に政治的思考はないようだ・・。
が、脚本家をチェックすると・・やっぱりだった!
このガブリエル・シャーマンという脚本家は、、NBCニュース(左派メディア)の寄稿者で、彼の奥さんはもっと左のニューヨーカー誌のファクトチェッカーをしていたらしい。
そんな左寄り作家がトランプさん(保守・右派)を賞賛する様な作品を書く訳がない・・。
欧米メディアが左派・右派どちらに属するかは、メディア・バイアス・チャートを見れば分かる♪(media-bias-chart で検索すると出ます)
(日本メディアは載ってないが、「産経新聞」以外は、TVも新聞もほとんど左)
トランプファンの私はどれどれ、どれ程トランプさんを批判した作品になっているか確かめてやろう・・的に鑑賞♪
ようやく作品内容^^;
えっ、意外と序盤から面白いじゃないか!
家賃を集金するシーンに、えっこんな下積みの様な事もしていたんだ♪
最年少で一流ラウンジクラブの会員になった時、古参メンバーに呼ばれ、おぼっちゃん扱いさる微笑ましいシーンに、笑いも出る.
その中心メンバーが、ロイ・コーンなる、辣腕弁護士だった。
その後、窮地に陥ったトランプが、そのクラブにいるコーンに助けも求めるのに、トイレまでくっついて行くシーンに感心した。
「本当にあなが必要なんです!」的に訴えるトランプは豪胆だが、実直で、その姿にマナーにうるさいコーンでさえ、耳を貸してしまう。
根回しする日本流ではなく、当たって砕けろのアメリカを感じた♪
そんな見入るシーも度々あり、特に負けそうになった裁判を一発でひっくり返す"裏技"をコーンから伝授されるシーンは、「ほ~~!」と声が出そうになったほど♪ まあこれがフィクションか事実かは判断出来ないが、脚本的には最高に巧い展開。
ビジネスに勝つ3箇条なども教わり、トランプはドンドン成長し、トランプタワーを無事完成させてからは、成功列伝となり、
前半1時間位は、没入出来て、あっとういう間♪
なんだ、良作じゃないか! その時点では★3.9~4.0でもいい位♪
自分の青い部分を描かれたから、トランプさんは上映を拒んだのか・・
ぐらいに甘い考えが浮かぶ・・
が、後半。 師であったコーンとは、対等以上の関係になり、徐々に態度も不遜に・・・
きたきた、やはりマイナスイメージの拡散が!
後半はまるでトランプさんが豹変したかのように、卑しい人物に描かれている。
そう、この作品は米では大事な大統領選の前に公開されている事にも、
その意味がある!
↓ ネタバレ
病いを押して僅かな事を頼みに来たコーンを、罵り、文字通り、恩を仇で返す。
落ちぶれた兄に僅かな金を与え、追い返す・・。
醜くなった容姿は金で補う・・。
親をも騙そうと・・
傲慢・厚顔・金欲・欺瞞・搾取 とあらゆる角度から、
トランプさんを悪しき者としての描写が続く。
この辺から、徐々にフィクションを感じて、当然見ていて面白くもない。
特にコーンへプレゼントしたダイヤに妻が、
「これは本物じゃないわ! ジルコニアよ」という台詞。
実は私は、宝石類も扱った事があり、ダイヤをぱっと見て、
本物か人工石か素人が判断出来ない事を知っている。
あのシーンは、すぐに創作だと認識し一気に冷めた・・。
(妻が嘘をついたのか、当初より知っていたのかは不明だが・)
と、まあ悪印象を引ききずってのエンディングは、
当然トランプさんにプラスにならない。
が、トランプさんは、ほぼ圧勝に近い形で勝利した。
敵の民主党が勝利した州は、投票に身分証を必要としない、
州のみだった。(これが意味するのは・・)
尚、この監督のインタビューで、「彼には数多くの重罪や不正行為、告発や問題がありました」と語っているが、この監督こそが、左派の脚本家らに、うまく言いくるめられてるのでは、と感じる・・。
youtube等で、良識ある日米の政治通の意見を知れば、皆、あの訴訟や裁判は、とにかくトランプさんを選挙戦に出させない為の、無理筋工作で、良識ある判事なら、却下して当然の事例ばかりだと・・・。
怪物の創り方
トランプが大統領に返り咲いた(恐ろしい)
このタイミングで観る意味。
とはいえ、ドナルド・トランプの物語と言うよりは
ロイ・コーンと言う怪物製造機についての
映画のように感じました。
ロイ役のジェレミー・ストロングの怪演は
見どころ満載じゃないでしょうか。
不気味でずる賢くて気味が悪い(褒めてます)
またそんな彼をまるで師と仰ぐ?若きドナルドが
徐々に師を越える化け物、怪物に変貌していく様を
見ていると吐き気がしそうなほど嫌いでした(笑)
これも作品としては褒めていますw
それにしても若かりし頃のドナルドさん
容姿をめちゃくちゃ気にしてたのね。
脂肪吸引も頭皮の手術も結果的には効果なかったねw
若き日のトランプを描いた作品ですが……
大統領であるドナルド・トランプの若き日を描いた作品……なのですが、トランプ自身というよりは彼に絶大な影響を与えたロイ・コーンの評伝になっていますね。
ロイ・コーン自身の強烈な考え方や行動様式を身に着けたトランプが財力を蓄え力をつけていくとともに、老いと病で影響力を失っていくロイ・コーンの対比は素晴らしかったです。
ある種のピカレスクコメディとしても楽しめる映画になってはいるものの、本作がコメディたりえないのは、そのエンディング後が実社会と地続きで、笑えない結果をもたらしているからでしょう。
けっこうよかった
トランプがぺーぺーだったころから大物になり上がるまでを描く。先輩の弁護士が全部仕込んで抜かれていくのが悲しい。お兄ちゃんがかわいそう。奥さんもかわいそうだった。我欲しかないゲス野郎で、近づいちゃいけない人物だ。そんな感じを容赦なく描いていて素晴らしい。
全てはアメリカの為に 〜 3つのルール
70年代のニューヨーク、青年ドナルド•トランプ( セバスチャン•スタン )は、マンハッタンの会員制高級クラブで弁護士ロイ•コーン( ジェレミー•ストロング )と知り合いになり、圧倒的勝者となる為の3つのルールを叩き込まれる。
未だ何者でもない青年ドナルド•トランプが、弁護士ロイ•コーンとの関わりの中で、日々何を思い、より高みを目指し時代の寵児となっていったのか。
ドナルド•トランプを演じたセバスチャン•スタン。まるで若きドナルド•トランプの私生活を覗き見しているかのようでした。
また、ロイ•コーンを演じたジェレミー•ストロングの冷徹な眼差しや言動は、ロイ•コーンという人物が持っていたのであろうカリスマ性を十分に感じさせる名演でした。
セバスチャン•スタン、アカデミー賞主演男優賞受賞🏆、ジェレミー•ストロング、アカデミー賞助演男優賞受賞🏆でしょうか。
想定以上に赤裸々な内容でしたが、演技は勿論の事、作品としても見応えがありました。
ドナルド•トランプが目指すアメリカの未来像とは 🇺🇸
-感覚が鈍るのは嫌いだ
映画館での鑑賞
大統領トランプ Episode0
まず、この映画を製作し、公開できた自由の国である、偉大なアメリカに敬意を表したいと思います。
素直に、彼我の差を感じてしまいました。
また、大統領選挙の時には日本公開が難しかったのでしょうが、
トランプの当選の方に賭けた日本の配給社に、感謝を示すために映画館で観ました。
ただし、最前列で見たのですが、残念ながら音響があまり良くなかったと感じながら観ました。
どこまで真実なのかはともかくとして、
ラスト前のコーンの葬式と、トランプの美容手術のカットバック、および、
ラストのライターに、「勝つための3つのルール」を自説として披露するのには、物語としてしびれました。
でも、トランプが妻と不仲になる過程は、唐突に感じました。
(「市民ケーン」の不仲になる描き方は納得できました。)
また、コーンに送ったカフスボタンが安物だとわかるのは、コーンはそれを知らず、映画鑑賞者のみに安物であることを知らしめる方が私の好みでした。
最後に、さすがに作品賞にはノミネートされなかったものの、
主演のセバスチャン・スタンと助演のジェレミー・ストロングがアカデミー賞で各々の最優秀賞に当選しますように。
第47代アメリカ合衆国大統領ドナルド・トランプは悪魔か天使か“人間”か?
脚本家のガブリエル・シャーマン曰く、
「ドナルド・トランプとロイ・コーンが密室で交わした会話は私が創作したもの。しかし、この映画はドキュメンタリーではありませんが、本人を知る方々にはリアリティを感じてもらいたかった。」
と語る様に、非常にリアリティを感じられる脚本に仕上がっている。
セバスチャン・スタン演じるトランプは非常にリアルだ、そして“人間”トランプが作り上げられていく姿を見事に演じている。途中からは本当に若き頃のトランプはこんな“人間”だったのではないかと思えてしまうほど。日本人が報道で接し見聞きしているトランプそのものに見える。
そして、そんな“人間”トランプにも若造だった頃があり、今のトランプが出来上がった全てが語られている・・・様に感じてしまう。
しかし、この作品を見たからと言って、決して「トランプの事がわかった」などと思ってはいけない。
大統領選挙に勝利はしたかもしれないが、トランプが思っているほど世の中が思い通りになろうはずは無い、もし思い通りになるなら一次政権の時にもっとマシな政策が実行できたはずだ。
ドナルド・トランプが悪魔か天使かそれとも人間か、これからその本性が現れる事になるが、一つだけ言えることがある。それは、第二次大戦後アメリカを中心として長い年月をかけて築かれてきた民主主義の良識が崩壊させられたという事だ。中国やロシアに多大な関税や制裁が課されたとしても先制主義国家の独裁者達にとって、これほど喜ばしい事は無い。
そして、あまりにも罪深い男・・・。
ヤフーの「みんなの意見」現在7万人余りが投票しているが、40%近くの人がどちらかというと期待しているという意見に正直驚きを感じている。
あれだけ、トランプ政権を望ましく無いと報道していた日本でも、こんなにも多くの人達が少なからずの期待をもっていたという事実。日本が分断されない事だけは祈りたい。
そして、トランプ強権政権に尻尾をふりふりしている、企業や政治家達の4年後は注視したい。少なくとも4年後にはトランプ政権は終わる。
その時に総括する為にも、この作品を視聴する事をすすめる。
前作 ボーダー 2つの世界 大嫌いな映画だった。
俺は、ボーダー2つの世界の主人公の女性と違って服を脱がないと分からない身体の障害を持っている。
この障害のせいで筆舌に尽くし難い目にあい、医者、教師、同級生、新興宗教の勧誘員、インチキ占い師、総じてニンゲンは身内以外は信用する事は絶対にできない。
ボーダー2つの世界は、超感覚を持つ健常者の主人公で良かった筈なのに、話しを面白くする為だけに、特殊メイクで変な顔にして、
やっぱ、障害者って、気持ち悪い...。
と、思わせてしまうのは、人としてどうかと思う。そんな露悪的な監督が制作した本作は、
汚れた魂を持つ健常者( ハゲでデブだが) のトランプが、ありとあらゆる汚い手を使ってのし上がっていく物語になった。
映画館は、客が少ない事で有名なkino cinema( おい!) のに、大入り満員でトランプはファンにも、アンチにも人気がある事は明白である。
悪口や暴言ばかりで、ラッパーになったら、エミネムを越えるくらいのトークスキルで、商売も上手い。これは、皆んな、興味あるでしょー?
今のトランプを作ったのは、黒人の弁護士で、トランプの悪知恵の才能を見込んで、何度も何度もピアノレッスン。
それに応えて、トランプは己れの悪の才能を開花させ、進撃しまくるのだ。
己れのコンプレックスを解消する為に、弁護士は筋トレに励み、一方トランプは、ハゲてる頭部を外科手術で治し、脂肪吸引をする。何でも金で解決するトランプの生き方が分かるシーンだ。
好きになった女には、百万本のバラを贈り、旅行先まで出向いて結婚するが、それを弁護士に嗜められる。
お前は自分の財産を半分取られてもいいのか?
と、トランプは素直に弁護士の言う事を聞いて、財産を取られない誓約書を結婚前に書かせ、
結婚前にプレゼントしたモノは全て返せ!
とも、誓約書を書かせる。この時、嫁はドン引きする。当たり前体操だ。
まぁ、でも功なり名遂げる経営者って、どっか、人間として欠落している所があるもので、
その発言、人としてどうよ?
っと、思ってしまう経営者と関わっていた事があったけど、口にするのもおぞましい考えを持っているものです。
いや、俺、結構、ぶっちゃけるけど、アレは絶対に言えない。墓場まで持っていく。言えないのらー!
で、トランプの野望は留まる事を知らないので、
功成り名遂げて身退くは天の道なり
とは、ならず、大統領にまで登り詰めるのだが、この映画では大統領にまでなった経緯は見ざる、言わざる、語らず、バザールでござーる。
ボーダー2つの世界で、
この監督、微妙じゃねぇ?
と、思った。そこのアナタ!
世界仰天ニュースの不幸話しが何よりの好物のアナタ!
人の不幸が大好きさ な、氷室京介ファンのアナタにお勧めの映画です!
いや、これはお世辞抜きで面白い映画です!見て、損はしないと思うぞェ。負けないだぞェ。
奴を救ってやれ
こないだ鑑賞してきました🎬
トランプの伝記映画ということで、どんなものかと思いましたが…なかなか良かったです😀
トランプを演じたセバスチャン・スタンは、髪型から雰囲気まで忠実な再現度😳
最初は苦境に立たされた青年だったはずが、やがて大物実業家に変貌。
ナイーブさはどこへやら、後半は横柄な感じになりつつ、実績も重ねた男を巧みに表現🤔
悪名高いロイ・コーンを演じるのは、ジェレミー・ストロング🙂
まだ青年だったトランプに目をつけ、3つのルールを伝授。
彼の相談役として、行動を共にしますが…段々と手に負えなくなります。
更に新たな問題も浮上し、ロイ自身も追い詰められ…。
前半と後半の演じ分けは見事でした😀
イヴァナ・トランプを演じるのはマリア・バカローヴァ🙂
彼女は特別美人ではありませんが、なぜか惹かれる魅力がありますね😀
トランプの猛アタックに根負けした彼女ですが、時とともに距離が開いていきもどかしさを抱える羽目に。
こういう状況ではありがちなのでしょうか🤔
知っての通りトランプは大統領に返り咲いたわけですが、彼の存命中にこの映画を公開できたのは興味深いですね😀
実際に襲撃されたりしてる彼ですが、直後のパフォーマンスを見るにタフなのでしょう。
プロモーションが大変だったという話がありますが、公開禁止にならなくて良かったです🎬
セバスチャンのなりきり具合だけでも、見る価値はありますよ👍
意外や意外、おもしろかった。ぜひお勧め
トランプが米国内での公開差し止めを求めたいわくつきの作品。
オリジナル脚本は、ニューヨーク・オブザーバー紙で不動産担当の駆け出し記者だった頃からトランプを取材してきた、脚本家で作家のガブリエル・シャーマン。
監督は、事前に知らなかったがあの怪作『ボーダー 二つの世界』を撮ったイラン出身のアリ・アッバシだった!
こちらは製作の意向だろうか、米国政治とは関係のない人物をと幼少期をイランで過ごしヨーロッパに移住したイラン系デンマーク人のアッバシに白羽の矢が立ったようだ(以上、脚本と監督の項はjiji.comの豊田百合枝氏の記事より構成)。
アプレンティスとは、見習い、実習生のこと。
小生は観たことはないが、トランプが「お前はクビだ!」と叫ぶのが人気を博したリアリティ・ショー番組のタイトルが『アプレンティス』だったらしい。
つまりは、若き日のトランプ"実習生"を「ああいう悪党」に創り上げた先輩悪党との半生、という物語だ。登場人物のほとんどと、公知のエピソードは実在であり事実であります。
先輩悪党とは、悪辣な手口で裁判を闘う弁護士、ロイ・コーン。トランプの後ろ盾、あるいは「教師」として彼をレッスンしていくが、最期は不法行為で弁護士資格を剥奪され、その直後にエイズを原因とした複合疾患で命を落とす。
公式サイトのインタビュー映像でロイ・コーン役のジェレミー・ストロングが語ったことがこの作品の本質を見事に言い当てている。
「モンスター(コーン)が別のモンスター(トランプ)を生み出した、フランケンシュタインの物語なのだ」
そう、フランケンシュタインとは怪物のほうじゃなくて、それを生み出した博士のほうだ。そして自分が生み出したモンスターを制御できなくなって復讐されてしまうんだっけ。
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さて、選挙戦の結果でただでさえ胸糞悪い小生としては、He'll make America stupid again.などと呪詛を吐いているのに、何をわざわざ映画館に足を運んで最悪な気分になろうとするのだ、と思いつつ、なぜかチケットを取ってしまった。
うーむ 意外や意外、かなりおもしろかったw
まずトランプ役のセバスチャン・スタンが見事である。
これは特殊メイクではない。そもそも横顔が似すぎていることもあるけれど、外見だけの話ではなく、あの喋り方や間の取り方まで徹底的に研究して演じている。
後半になって肥満し、顔も丸くなっていくのも、役者として体重を増やしたとのこと。
ただ、このやり方はトム・ハンクスも鈴木亮平もいろいろな役者がやっているけれど、後年に糖尿病発症のリスクが非常に高くなるらしいので、特殊メイクでもいいよ、もう、と言いたくなる。
また、ロイ・コーン役のジェレミー・ストロング。
すでに何年も前に故人となったこのロイ・コーンという人物の振る舞いを映画が公開されたこの2025年時点で実際に見たことのある人はほとんど居ないだろうが、これまたジェレミー・ストロングの鬼気迫るクールな演技には脱帽である。
妻イヴァンカ役のマリア・バカローヴァも併せ、この3人の存在感はこの作品を「政治&セレブ・ゴシップ作品」に堕すことなく、かつ、すでに周知のネタバレエピソードをなぞるだけにもせず、見事なドラマに仕立て上げている。
役者、脚本、監督。三拍子揃えて最高のモノを引き出した製作。
もう一回、観に行こうかな。
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トランプはなぜ公開されたくなかったのか?
そりゃあ彼をのし上がらせた悪徳弁護士ロイ・コーンとの関係や、夫人との不仲説や、父親との確執や、兄を見放した件など、いろいろ白日のもとに曝されたくはないだろう。
よくよく考えてみりゃ、誰だって家族の恥部は曝されたくない。ダーティな野郎だというイメージを拡散されたくない。
でも、小生にとって非常に印象的なシーンはそこではない。
まず、駆け出しヒヨッコのドナルドは、最初は自信なさげで、父フレッド(こちら悪徳不動産業者)の会社で生活困窮者から家賃を取り立てる汚れ仕事に辟易し、法廷闘争で綱渡りになると狼狽しながらコーンの助けを懇願する。それも一度ならず二度三度と。
そして行政であろと司法であろうと相手の弱みを握った脅迫を奥の手として使うコーンに「これは違法だろう。こんなことをしていいのか?」と心配そうに言う。
そう。あいつも良心があったのだ、かつて。
もう一つ。
旅客機パイロットになったことで父とともにトランプが侮蔑し、避けていた兄のフレッド・ジュニアがアルコール依存症の影響で急死したあと、豪華な自宅のベッドで妻イヴァンカと並んでぼんやりとテレビを見ているシーン。
隣で慰めようとするイヴァンカを
「俺を見るな。俺に触るな」
と嗚咽しながら拒否する。
これはどちらも、これまでの人生でずっと「天性の勝負勘がある」「頭が良い」「何事にも動じない最強のマッチョマン」を自認してきたドナルド・トランプにとっては「弱々しいドナルド・J・トランプ」であり、受け容れ難いシーンだろう。
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そして小生がもっとも衝撃を受け、かつ、答が出せないシーンは次の2つだ。
最初は、死期が近づくコーンのために一度は決別したトランプがコーンの誕生会のディナーを催す。トランプからコーンに贈られたダイヤを散りばめたカフスボタン(しかしそこに「Trump」と彫刻が入っているのが笑えた)。
孤独感と死の恐怖で弱っていたコーンが感極まったようにそれを眺めていると、隣席のイヴァンカが周囲に聴かれないように
「偽物よ。ダイヤじゃなくてジルコニア。ドナルドはそういう恥知らずなの」
と残酷にも囁く。ショックを受けるコーン。
まず、それは本当なのか?
小生には、かつてトランプと結婚する直前にエグい「結婚契約書」を持ってトランプとの席に同行してきたコーンに対する意趣返しとして(しかも何十年も前からの執念として。おおこわ)、そして夫を自分と同じモンスターに育て上げたかつてのモンスターである彼を、肉体的な死の淵からさらに精神的な死の淵の絶望に叩き落とすためのウソであって、実は本物のダイヤだったのではないか。
あるいは、全く逆に、つまりまさに偽物である可能性もある。
トランプが自分でそういうプレゼントを手配するわけはなく、恐らくイヴァンカに丸投げしていたと思えるが、イヴァンカが手配するなら、どうせトランプなんかには見抜けまい、と、そういう手の込んだ偽物を発注して、コーンにだけ囁いて辱めることに陶酔したのではないか。
このシーンはトランプ本人ではなく実際のイヴァンカ本人から訴えられそうなくらい問題のシーンだと思う。
そして2つ目のシーンは、そんなショックを受けたあとにコーンのもとに色付きのクリームで星条旗がデザインされたバースデイケーキが運ばれてきて、ケーキを見下ろしながらあの悪党、モンスターが嗚咽する場面だ。
彼はなぜ泣いたのか。
自分が育てたトランプとその妻が、ここまで自分を辱めるのか、という屈辱に泣いたのか。
あるいは、ケーキに描かれた星条旗に「アメリカのため」と言いながら生きてきた自分の半生を重ねて、死を前にした無常観に泣いたのか。
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よく出来た映画というのは、すっきりとしたカタルシスだけでは成り立たない。
こうした「答の出ない問い」、それも本質的な問いが放り込まれていて、観た者に「むぅ」と考えさせるから良い映画なのだ。
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余談だが、トランプ家の長男として期待されながら別の道を選んだため、父フレッド・シニアとドナルドから辱められ続けた末に亡くなったフレッド・ジュニアの娘、メアリーは、長じて臨床心理学者となり『世界で最も危険な男 「トランプ家の暗部」を姪が告発』という暴露本を書いた。2020年に日米で発売され、日本では小学館が刊行した。
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