アプレンティス ドナルド・トランプの創り方のレビュー・感想・評価
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続編求ム!
映画で言われる3つのルールよりも、ドナルド・トランプのいう成功の秘訣「好きなことをやれ。決して諦めるな。勢い(momentum)を保ち続けるんだ」は普遍的なものだが、彼が言うととても響く。
大統領としての彼の政治的立場や発言にはここでは全く触れるつもりはない。前述の秘訣を押さえておくと、とても素晴らしい娯楽作品だった。
「アプレンティス ドナルド・トランプの創り方」
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The Apprentice とは「師弟」「見習い」といった意味を持つが、自身がホストで参加した、参加者に様々な課題を課し、個人やグループ単位で課題に取り組むTV番組のタイトルであり、本作の主軸となる悪名高き弁護士ロイ・コーンとの関係を示した2つの意味を持つ。
副題の「創り方」がマイケル・ムーアの作品や「マネーショート 華麗なる大逆転」などの観る側に勝手に観方を操作しており、これにはがっかりだが、そこにとらわれなければ、普通に成り上がりものとして、ピカレスクものと呼んだりするのは、観る側の受け取り方で、「サクセスストーリー」とみてもよい。
70年代から80年代後半へ渡る映像と音楽にすごいこだわりがあり、ちゃんとタイムスリップさせてくれる。オレはそうした映像と全編にわたるディスコミュージックと、シンセの不穏な劇伴、「f**k」が飛び交うセリフ、「ゴージャス」な豪邸と、「スカーフェイス」(’83)を思い出した。そういえばアル・パチーノはHBOのミニシリーズ「エンジェルス・イン・アメリカ」でロイ・コーンを演じていたな。
アニキからの子供へのプレゼントを受け取るや放り投げたり、そのあと奥さんがスルーしたり、笑いも随所にあって楽しいし、物語の後半のハゲと出っ腹の脂肪除去手術のシーンは、アリ・アッバシ監督が言うようにフランケンシュタインのモンスターの誕生がイメージされる。オレはそのあとのカットの、天井に映った彼の頭頂部のほうが気にはなったが。
そしてやはりアメリカの政治史やビジネス界で重要となるコーンとトランプの関係の物語がとても興味深い。
コーンの攻撃的な法律戦術や、勝つためにはどんな手段も辞さない姿勢は、若きトランプを見事に変えた。そして物語の後半、コーンがエイズを発症し、1986年に死ぬに至るまで、彼の健康状態が悪化してトランプは彼との関係が逆転する。
トランプがコーンの教えを守り「強さや成功」に固執し、「弱さや失敗」を嫌う教えを忠実に学んだ結果に至るまでの、セバスチャン・スタン、ジェレミー・ストロングの両者の変貌ぶりがスゴイ!(特にストロングの、冷たくも強い目力、つやっつやな肢体からのエイズに侵されてからのギャップの激しさ!)
トランプどうのこうの、副題で客寄せの効果はあるが、それを差っ引いて、もともと映画的に強いキャラクターな主人公とその師の壮絶な生きざまを「娯楽」としてみるのが一番いい。
そして観る側もThe Apprenticeのごとく「学ぶ」ことも多い。
追記
現在に沿って、どんどん続編をつくってほしいと切に願う。
トニー・モンタナのような最期となるか、それとも。
追記2
オープニングのニクソン元大統領の声明の引用がちょっと誘導的だったのが残念。
闇から這い出てきたアッバシ的な怪人たち
まるでアリ・アッバシ監督はヒーローの全く登場しない怪人映画の語り手のようだ。世間的にはトランプの秘話映画として注目を浴びるだろうが、私としては、アッバシが描くキャラ列伝に現役大統領が顔を並べることになった事実に沸々とした高揚と震撼を覚える。それも今作は最も社会の明るみに立ち、邪悪で、不遜で、巨大で、危険。本作で明かされるルール3ヶ条に基けば実際のトランプは映画の内容を「でっち上げだ」と完全否定し続けるだろうから、そこも含めて現実と地続きのストーリーとして楽しめる。とはいえ、驚異的な俳優二人が織りなす本作が伝統的な「メフィストとの取引契約」として描かれるのが面白いところ。ファウストは最後に魂を奪われるべきだが、その既定路線に陥らないところがトランプらしさであり、実は彼こそがメフィストだったとも言える。ならば彼と契約を交わした米国は、いやこの世界は一体どうなっていくのか。それこそが最大の謎だ。
トランプについてというより、ロイ・コーンについての映画
トランプが大統領に返り咲いたことで、俄然注目を浴びている本作だが、これはトランプについての映画というより、ロイ・コーンについての映画と思った方がいい。ちなみにタイトルの「アプレンティス」は、英語で「見習い」みたいな意味で、この映画の中のトランプがまさにコーンの見習い的ポジションの人物として描かれる。後年、トランプを有名にした同名のリアリティショーの話ではない。
トランプが駆け出しのころに、彼をビジネスの成功に導くメンターのような役割を果たしたロイ・コーンの教えが今日のトランプの行動原理となっていると本作は解釈している。これは劇映画なので、作り手の解釈によって提示されている物語なので、これを見てトランプの全てをわかった気になるのは危険だが、コーンの教えが彼の行動に影響を与えたのは確か。マイノリティとして成りあがるための戦略が、ある種の帝王学となり、それがトランプへと受け継がれてゆくという筋書きは興味深くはある。
観ていて楽しいレアネタ満載の人物伝
ドナルド・トランプが2期目のアメリカ大統領に就任する直前(日本では)、彼の知られざる成功物語の裏側を描いた映画が公開された。不動産王として名を馳せた父親の陰にまだ隠れていた若きトランプが、ニューヨークの高級レストランで何かと黒い噂が絶えない弁護士のロイ・コーンと出会い、コーンに言われるがまま、常に攻撃し、非を認めず、勝利を主張せよ、という、今に繋がる3原則を守って不動産業界で一気にのし上がっていく。
成功者にはいつもアドバイザーがいるというのはよく聞く話だ。しかし、この映画が面白いのは、日本やアラブマネーにニューヨークが買い占められようとしていた1980年代、当時のアメリカ大統領、ドナルド・レーガンがぶち上げた"アメリカをもう一度偉大に"というキャッチフレーズを借用したトランプが、時代のうねりに乗って成功への階段を上り詰めていくところ。ドナルド・トランプとはアメリカ的民主主義と資本主義が生み出した怪物なのだと、改めて確信した。
詳細は控えるがトランプのプライバシーに関するあれこれも随所に散りばめて、すべてを鵜呑みにするのは危険だが、観ていて楽しいレアネタ満載の実録物語。トランプ自身は映画の内容に抗議しているらしいが、決してネガティブキャンペーンにはなっていないと思う。
“怪物”を生み出す米政財界の構造的欠陥を示唆する点で、チェイニーを扱った「バイス」に通じる
メンターとしてドナルド・トランプを成功に導いた弁護士ロイ・コーンの存在は不勉強で知らなかったが、演じたジェレミー・ストロングの冷徹な眼力と抑制された凄味が身震いするほど素晴らしい。ロイの指導がトランプの人格形成に影響し、彼が実業(と後の政治)の世界でkiller=勝者になるのを後押ししたことは本作でわかりやすく語られている。
とはいえ、ロイの個人的な資質がトランプを創ったという単純な話ではない。米国の財界と政界で一部の役職やリーダー的存在に強大な権力が集中し、そうした強すぎる権力の行使が正義や道義や公平さを損ねても抑えたり罰したりすることが困難であるという構造的な脆弱さと欠陥が、ロイ・コーンやトランプのような“怪物”が生まれる背景にあることも、本作は丁寧に描いている。
アダム・マッケイ監督作「バイス」でも、クリスチャン・ベール演じるディック・チェイニーが酒癖の悪いただの若者から、大物政治家ラムズフェルドのもとで権謀術数を学び副大統領まで成り上がる過程が描かれた。勝者がどこまでも強大になることがアメリカ的な民主主義と資本主義の強みであると同時に、脆弱さでもあることを両作品が示唆している。
An Unpack of the Guy Everybody is Tired Of
Released just before the election, Apprentice is a savvy-eyed look at the young president-to-be. Sebastian Stan's performance of Trump is by far the best of the myriad of impersonations over the years. One would think the man himself could appreciate it. Demoralizing events onscreen will make even detractors wish the film really is a so-called "hatchet job." Roy Cohn's AIDS story was news to me.
映画としての魅力はあった
人の魅力って何で構成されるのだろう。何でその人の周りに人が集まるのか。コミュニケーション能力、未来へのビジョン、プレゼン能力、思いやり、そして金と権力…。人に聞けばその人ごとに違った答えが返ってくるはずだ。ドナルド・トランプという人間にどんな魅力があるのか。直接話したことはないし、彼のことを大して知らないのにこんなことを言う資格はないと思うが、金と権力以外に思いつかない。なのにまたもやアメリカ大統領になってしまった。多くのアメリカ人には魅力的な人物に見えるのかもしれない。信じられない。
そんな中、この映画だ。どんな立場でトランプという人物を描くのだろうと興味が湧いて劇場に足を運んだ。でも本編が始まってすぐに監督の立場が明らかにされる。なるほど、そういう立場ねと。あまりにもあからさまだったけど。
1970年代から始まる本作。ロイ・コーンという弁護士と出会い、勝つためには手段を選ばない処世術を学んでいくという話。普通にトランプがトランプ・タワーを建てて成功していく話なんだけど、いわゆるサクセスストーリーにはとどまらない魅力があった。なんだこれ。孫正義のように一から築き上げたものではなく、ある程度父親の基盤があっての話だけど、そこはあまり気にならない。若き日のトランプと同じようにアメリカの金持ちの奔放な暮らしぶりにただ圧倒されてしまった。
父親との関係性や、周りの妨害といったあたりで、ほんの少しだけドナルドに感情移入したり魅力を感じさせる流れに思えたが、結局そうはならない。いろんなことがあってつらかったかもしれないけど、つまるところドナルドが嫌なやつなんだもの。あんなやつに人はついてこないだろと思う作りだった(そう感じたのも元々トランプを好きになれながらかもしれないけど)。
大統領になってからの彼のことを示唆するようなシーンもあって笑える。そして何よりの驚きが、ドナルド・トランプを演じたのが、アベンジャーズでバッキーを演じたセバスチャン・スタンだったってこと(終わった後に気づいた)。バッキーと同一人物とは思えなかったよ。すげー演じ分けだな。
アメリカ大統領としてのトランプを批判することが目的なのかもしれないが、そんなことを抜きにしても映画として面白かった。でも、ドナルド・トランプが嫌なやつだということは再確認できた。それでいい。自分の考えとそんなにズレていなくてちょっと安心する。
The Apprentice...
ロイ・コーンの演技がすごい!
周りで観た人は口を揃えて『まぁ、1回観てみるといいよ』と。
観る前から『たぶん観ても観る前と大して感想は変わらないんだろうなー』と。
実際そうだった。でも観てよかった。
かな〜り歪な帝王学ではあるものの、ロイ・コーンは友達として自分の全てを注ぎ込みドナルド・トランプをapprenticeとして育てたけど、皮肉にもその後継者育成の精神は引き継がれず、トランプ自身はかの有名なTV Showアプレンティスでも自分の凄さのShow offに終始してたと記憶してる。(ま、それでも“You're fired.”が面白くて一時期ハマって観てはいたけど😅)
それにしても誰かを演じる人がだんだんとその人にしか見えなくなってくのって本当に不思議。
(余談)
頭のハゲを切って縫い合わせるってホント!?
栄枯盛衰物語
ドナルド・トランプの上昇、ロイ・コーンの下降する人生を描いた映画だと感じました。
まさにトランプとロイの栄枯盛衰物語だと。
トランプを演じたセバスチャン・スタンは、ウィンター・ソルジャーの演技とは大違い。
髪型をめっちゃ気にする仕草や顔など、寄せ方がすごい。すごすぎる。
すごく下品で小者感が出ていて素晴らしい演技だと思いました。
ロイ・コーンを演じたジェレミー・ストロングはもっとすごい。
最初のキレッキレの演技から、病気になってからの弱々しい演技まで
その振り幅は見事でしたね。
これがトランプだ!との刷り込みは観客へ入りそうです。
人間的にはどうなんでしょうね?
この映画だけでは判断できないですが、イメージはついちゃいますよね〜。
攻撃攻撃攻撃
自分が正義
否定する
これは今でもトランプの信条あるいはハッタリの元なんでしょうね。
この作品を観て、アメリカ大統領のトランプに注目するのも面白そうです。
映画としては実に面白く仕上がっていました。
上述したふたりの俳優の演技を観るだけでも価値がある作品です。
アリ・アッバシ監督、すごいです。今後も追いかけたい監督です。
そこまで描くか、若き日のトランプを
どのようにしてあの一方的な強さが作られていったのかを感じることが出来る作品
知られたくない怪物の自伝か?
今が旬の映画
ついこの間、日米首脳会談があったばかり。トランプは、「ありがたいこと」に日本に無理難題を突き付けてこなかった。
その彼の若き日の姿を再現しているのだが、のし上がるまでに彼もそれなりに泥水をすする生活をしていたのがわかって面白かった。
邦題サブタイトルに、「創り方」とあるとおり、彼がどうやって人格形成されていったのか、その一端もわかるだろう。
日本はアメリカに大敗しながら、戦後はかなり接近、一瞬でも経済的にその上に立つこともあった、と思う。
しかし、今も今後もそんなことはあり得ないだろう。
ますます、米国の属国化する。
その意味では、少なくとも今後4年近くは彼が生きている限り、付き合わねばならない。ドナルド・トランプの精神性を知るためにも、見ておいて損はない映画だ。
ただ、純粋に映画として評価するなら★2つの駄作に近いと思う。
主演の俳優は適役でよいが、妻役の女優はゴージャス感が薄く、セクシーさにも欠けて不適だったと思う。
表題に書いた通り、「旬」であることから★2つ分おまけしておく。
封切りから3週間以上たっているが、上映回数、館数が少ないこともあってか東京都心のシネコンはそこそこ7割近い入りであった。
肯定的な人も、否定的な人も、どうでもいい人も、鑑賞すれば納得してしまう映画
この映画は、トランプ大統領が過去に彼のメインフィールドである、不動産業界でどのように頭角を表してきたのか、のしあがってきたのかを描いている。
この「のしあがる」という表現をした時点で、すでにそこには、力強い「リーダーシップ」や「意志の強さ」を包摂していると同時に、どこかダーティでマネーパワーを使って他人を蹴落とし、我が道を突き進んでいく、危険な「毒」をも含んでいる。
トランプ大統領に対する是非が分かれる分岐点は、多くの場合このような理由からではないだろうか。この映画は、その「分岐点」をうまく表現している。つまり、否定派の人(実際に鑑賞するかは別として)やどうでもいい人は「あー、やっぱり、こうゆう人なんだ。」となるであろうし、肯定派の人は「聖人君子じゃあるまいし、綺麗ごとだけでは済まないのが資本主義だ。」と思うだろう。
2度目の大統領となった彼は大きな変革を行うとしている。
「CIA」や「FBI」、「FRB」、「USAID」の改革・解体、「不法移民の強制送還」、「連邦所得税の廃止」などなど・・・。
おおよそ、今の日本では到底考えられない、羨ましい程の規模であり、スピード感である。
長期に渡って社会に根差したシステムを根底から変えるには、まず最初に破壊しなければならないが、それには、「薬」は役に立たず、「毒を以て毒を制す」、「毒で解毒する」という荒療治する方法しかないのかもしれない。
そして、トランプ2.0が終わる頃、この映画を見た人たちが、「毒」はやっぱり「毒」だったと思うのか、「毒」は「薬」にもなる、と思うのか・・・・・。
アプレンティス ドナルド.トランプの作り方
フィクションとノンフィクションの狭間
ただのトランプに対するネガティブキャンペーンになっていないのが映画としての凄味がある。スピルバーグが完全に反トランプへのカウンターとしてペンタゴンペーパーズを制作。あれで一度は追い落とす一助になったかも知れないが、2025年あの時とアメリカは、そして世界は変わったのだ。再び返り咲いたのだ。
アメリカの政治機構が生み出す強者がどんな歪んだカタチ、キャピタリズムの権化かつキリスト教福音派を兼ね備えたモノが世界に君臨することができる。
その病理を映画的に抽出できたのは、故国イランの実情を問い、結果国を追われ、アメリカでフォーリナーとして俯瞰できる監督アリ・アッバシの手腕に脱帽。80年代数々の政治的な案件を含め、世の中を変えてきた弁護士ロイコーン。その中で見出し、その弟子apprenticeとして、大成させ、後に切り捨てられる、現大統領トランプの孤独の悲哀をフィクションとしては感じられるが、現実の世界はトランプが王になることによって、make America great again 名のもとに世界は混沌に導かれていくことはノンフィクションなのだ。
北米では大統領選前、日本では大統領選後なので観る時系によって評価が大きく変わるのはなかなかない楽しみ方なのでぜひ。
あ、セバスチャンスタンとジェレミーストロングは最高の演技でした
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