アプレンティス ドナルド・トランプの創り方のレビュー・感想・評価
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ヤなやつ
さすがにロッキーとミッキー、ダニエルさんとミスターミヤギ、酔拳のジャッキーと赤鼻の蘇みたいな関係にはいかないよな。
お互いの私欲で出来上がってしまった師弟関係?が大変面白かったです。
ロイが弁護料を受け取らず人間関係の構築に比重を置く所など、マフィアみたいで思わずうなってしまう白眉な場面でした。
詳しくはないまでも、報道で大よそ主人公の完成形がどんなか分かってるだけに、
最後は期待通りしっかりやーな奴になってて、つくりものとして興味ぶかい作品でした。
トランプが成り上がってからの、諸々の裏切りなんか ・・でしょうねと、いちいち納得して見てました。
オーラスの頭皮移植と脂肪吸引オペは醜悪でありながらも、まるでアナキンがベイダー卿なっていくような変な清々しさを感じました。
本当の意図は分かりませんが、アナログTV画像風な画面演出も当時の80年代の雰囲気を醸し出してて興味深いところでした。
コレを制作できるアメリカの土壌って改めて凄い。
楽しめたので及第点。
トランプの人柄を再確認。
上昇志向の強い若者が悪徳弁護士と出会って変化していく話。
会社の副社長として雑用までこなしていたトランプが、弁護士のロイと出会い①攻撃しろ②全て否定しろ③勝利を主張し続けろという3つのルールを学び成り上がっていく。
当初は気弱なところもあったトランプが、成功し自信をつけ、そして周りを見下していく様子はしっかり描かれていた。
そして一目惚れした相手に熱烈にプロポーズしながら飽きればゴミ扱いしたり、恩人であるロイを一度は遠ざけておきながら誕生日パーティーをするなど、トランプの感情的で気まぐれな一面も興味深く描かれていた。
そして今一度この男が米国大統領にふさわしいか考えると、敵を作り攻撃し欲しいものをぶんどったり、ギャンブル的な投資で会社を潰しかけるビジネススタイルは世界帝国のふさわしくないと改めて思った。
これから4年はしんどい時代になるんじゃないかなと思った。
Worst Lieutenant
これらのエピソードのどこまでが事実に基づくか疑心あれど、これをトランプ2.0前に公開できる辺りはアメリカならでは 訴訟沙汰になるだろうか?
ゲスの極みトランプがいかにしてモンスターに変身し得たのかを25%くらい推測できただろうか
AIDS罹患した恩人ロイの最後の誕生祝いにネーム入りのインチキプレゼントを施し+宴席の消毒にも余念がない
この時点までにはモンスターに入れ替わっていたようだ
道徳とか矜持とか真心とか憐憫の情も霧散し、レーガンやニクソンをなぞった愛国を特殊に昇華?させ、これだけは自信がある駆け引きを駆使してその実現に邁進するらしい
溜め息混じりに映画を観終わって帰宅、ニュースでは実トランプが就任礼拝時にマイノリティや移民への哀れみを諭す主教への反発をあからさまにしていたり、
ロイの教え通り“負けを認めず”自ら煽った連邦議会襲撃(死者も出した)暴徒に恩赦を与えていたり
支持者•同調者を露骨に優遇するBad Lieutenantに対し
本意を隠し左手で鼻をつまみながら右手で握手を求めざるを得ないザッカーバーグやTクックたちも哀れ
間違ってもノーベル平和賞など授与されませんように🙏
資本主義の最高段階におけるトランプイズム
正義の味方に憧れていた、幼い私がいます。
・正義のために攻撃を続ける
・正義の味方に非はない
・負けを認めない、屈服を受入れない
この3つのルールさえあれば、私も今頃、大統領に…
最大多数の最大幸福と云う言葉があります。みんなが少し我慢すると、みんながもっと幸福になれるという考え方です。
利潤の極大化を至上命題とする資本主義とは、相容れないのかも知れませんが、損得勘定だけが、行動原理の世界を生き抜いた結果が、あの生き様だとしたら…。
ここまで御見物を、楽しませようとしない、共感させようとしないストロングスタイルに、逆に感動しそうです。関係者が公開阻止しようとしたらしいのも、道理ですね。
そもそも私はこの映画に、どんな期待をしていたのだろう。この映画観たら、ポピュリズムの巨魁に近付けるとでも思ったのかしら。
SF好きの私がいます。
・ターミネーターを開発する。
・ドナルド青年に出会う前の、ロイ・コーンを捜す
・T-800を、送り着け……
人として、それはダメ?。
このような趣旨の映画をこの時期に見られること自体に意義があるところ
今年24本目(合計1,566本目/今月(2025年1月度)24本目)。
内容が特殊な映画で、まさに実際の(2度目の)就任式と重複していたところではありますが、それでも(どのような事情があろうとも)このような趣旨の映画が「大人の事情で」回避されることなく観ることができること、それ自体に思想良心の自由や表現の自由ほかがあらわれているのかな…といったところです。
やや人権から見て欠く配慮があったのがどうかな…といったところです。ただ、実質的にはある程度フィクションにしていても実史に基づくものであるはずだし、時代背景から見て無理に現在の人権感覚に合わせようとすると逆にヘンテコな状況になるので、そこはもう仕方がないのでは…と思います。
採点に関しては以下まで考慮しています。
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(減点0.2/反訴の持つ意味を理解するのが難しい)
一つの民事裁判の進行中に相手を訴え返すことをいいますが(民訴法146条以下)、日本では「著しく裁判を遅延させることがないこと」という要件があるほか、二重起訴の禁止の趣旨ほかから抑制されているので、実際に見聞きすることは多いですが、それほど登場する語ではありません(かつ、人事訴訟や手形訴訟のように明確に反訴を禁止するものもあるので、日本ではそれほど見ない)。
ただ、アメリカのように別訴で訴えることを禁止し、反訴できる場合は反訴を強制する法体系もあり(反訴強制主義)、ここは日本とアメリカとでは微妙に解釈が違います。このあたりを理解していないと一部のシーンは詰むのかな、といったところです。
(減点0.2/現在の人権感覚に対し配慮がやや足りない)
特に免疫障害やミゼットプロレスに関するところで、その当時はそれでよかったのでしょうが(実際に免疫障害については日本でも解明されるのが遅れ、当事者が名乗り出て、また実際に国会議員になってそうした福祉面の法律が整備されるなどしたのは周知の事実。最近だといわゆる強制不妊手術の最高裁判例等、現在の人権感覚に追いつこうというのは日本ではまだまだ現在進行形)、ちょっとこのあたり、もう少し配慮が欲しかったところです(免疫障害についてあらぬ誤解を生むことになる。映画内で登場するビル建設工事のデモのシーンにも登場するが、ビル建設(換言すれば、体力仕事等)等で感染するものではない)。
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マスターは誰なのか
すごく気になって観てました〜、ロイコーンの。
以前TVでドキュメンタリーを観たの思い出しても、
その辺の記憶が曖昧で。
ロイの映画もあったら鑑賞したくなる映画でした♪
スターウォーズ風に云うとドナルドさんはパダワンですよね。
思いっきりマスター=師匠をコケにして、闇落ちしてました。
ビデオっぽかったり、フィルムぽかったり、映像効果の色褪せやノイズ、
昔むかしのポップの楽曲も相俟って、ドキュメンタリーに寄せてますが
だまされそうなくらいです。
セバスチャン・スタンさんは名演技です!
2月までバッキーが待てなくて、ノーマークだった本作みちゃいましたが
逆に見逃さなくてよかった、よかった
現在のドナルド・トランプの政策や考え方、取引好きが若き日のロイとの出会いから始まったって信じちゃう作品
アプレンティス ドナルド・トランプの創り方(映画の記憶2025/1/21)
とうとう就任されたので、取り上げられた本人がゴミと言った問題作品観てきました。
もともと長年取材してた方の脚本で作ったそうなので、内容的には仕上がってます。当然、映画なんで多少誇張して事実と異なる部分もあるでしょうが、違和感ないと自分は思いましたよ。
自分が思い描くトランプ像となんら遜色ない。たぶん、世界中の人も同じように思ってる。
トランプ相場で儲けようとしてる投資家くらいしかウェルカム要素ないと思うし。
ちなみにスカッとする映画ではなく、内容的には胸糞は悪くなる映画です。ただ、アメリカの方でもトランプ像はこうだよと思ってることを知れるという点で観れる方は観た方が良い。
役者さんも本人に似せるように演技頑張ってる感あったんで演技に違和感無し。ロイ・コーン役の人は色んな点でキレッキレだったな。
現在アメリカでは過半数の方がトランプを支持されてるらしいので、本当にこの人物にアメリカを任せて良いのか?我々全員、歴史の立会人として、今後の政策などで見ていきましょう。2回目だからヘマしないように色々画策するとは思いますが、映画通りなら数年後、支持者は過半数割れになってると思いますよw
(個人的評価7点/10点中)
ヘドが出るほど、嫌な奴
これが公開できるってトランプさんは懐ろが深いな。
ドキュメンタリーかなんかかと思っていた。
実際に大統領だった人、そして再び大統領になろうとしている人(なりました)のこんな映画を作って公開できるってアメリカという国、そしてこれを公開させているトランプさんはなんて懐ろが深いんだろう。
ほかの国では考えられないな、、、。怖。
バブルの頃、訪れたNY五番街。トランプタワーは一際美しく輝き聳え立っていた。トランプさんはまさに時代の寵児だった。
バック・トゥ・ザ・フューチャーみたいにあの頃に戻って、未来ではドナルド・トランプがアメリカの大統領だと言っても誰も信じないだろうな。
(レーガン大統領誰も信じてくれなかったもんね)
今から30年後にはテイラー・スイフトや大谷翔平が大統領になってるかも。
今観ておくべき俳優
昨年の5月にカンヌ国際映画祭でプレミア上映され、また大統領選挙前にはトランプ氏が米国での上映阻止に動くなど、話題に事欠かなかった本作品。先日20日の第47代アメリカ大統領就任を機に、日本でも彼の言動が連日トップニュースとして報じられていて正にタイムリーな上映タイミングです。
と言うこで、サービスデイのTOHOシネマズ日比谷は平日11時からの回にしてはかなりの客入り。実際、上映が始まってからも入場者が数名いたり、本編が終りエンドクレジットが始まって早々に退場される方もかなりいましたが、おそらくは「普段から映画を観ている」と言うより「トランプの映画がどんなものか」という興味で観に来た方が多かったのではないかと推測します。ですが私としては、主演のセバスチャン・スタンが本作で第97回アカデミー賞主演男優賞候補にノミネートされる可能性があるため、「外せない一本」として期待の鑑賞です。
で観終わっての感想は、映画として十分に楽しめる仕上がりになっていると思います。勿論、暴露映画というわけでなくあくまで「彼が怪物になっていく過程」にのみフォーカスされた内容のため、正直なところ若干の物足りなさは否めません。とは言うものの、やはりトランプは映画の主役として折り紙付きのキャラクター性。そのため、なんだかんだと夢中になれて123分はあっという間に感じました。
それというのも、本作一番の見所といって過言ではない「セバスチャン・スタンの演技力」。彼のアプローチは有りがちな形態模写とは違い、もっと微細でごくごく自然な目つきや口元などの「表情の作り方」が似て見えて、観続けるうちにどんどんとトランプとして違和感がなくなっていきます。スタンは別の映画(『A Different Man(原題)』)でも主演男優賞ノミネートが予想されており「今観ておくべき俳優」の一人。是非、3月の受賞式で彼を見られることを楽しみにしています。
そして本作の監督を務め、また製作にも名を連ねるアリ・アッバシ。こういう映画も撮るのかと意外な気もしましたが、彼自身の出自や過去作を思い起こせば、トランプの移民政策やレイシズムに対し当然一家言お持ちかと思います。或いは、もっと言いたいこともあったかもしれませんが、充分に伝わってきました。次回作も期待しております。
役作りは凄いけど
怪物になるまで、そして怪物はこの後?
ドナルド・トランプについて、たいして予備知識なく見ましたが、シンプルな筋立てのわかりやすい映画で大変面白かったです。
親の不動産業を継ぎ、夢だけは一人前の次男坊(長男ですらなかったのが意外)が、やり手弁護士ロイ・コーンに野心と才能を見込まれて、怪物へと成り上がるまでを見せています。
VHSのようなザラっとした古めかしい画質で、ドキュメンタリーを見ているかのような臨場感。
ひとつひとつのシーンを見るたびに、脳内で今現在のトランプの行動と照らし合わせてつい答え合わせをしてしまう。
(コーンに伝授された'勝つための三か条'が、前回の大統領選でやったことに全て重なったのには笑いました)
そして、トランプの隠された人間性についての考察。
ロイ・コーンは○○で、トランプはそれを徹底的に嫌悪するのですが、最後に慈悲を見せるあたり本心がわからない。過度な○○フォビックは実は裏返し、ってこともありますし…ねぇ?
アルコール依存性の兄への嫌悪も同じで、自身の弱さに自覚があるからこそ、アルコールや薬物から徹底的に距離をおくのでしょう。
トランプの見かけほど単純ではなさそうな人物像が映画に深みを与えていました。
トランプを演じたセバスチャン・スタンの役作りがとにかく素晴らしく、歩き方、ジェスチャー、目つき(物語が進むにつれ、リアルトランプの険のある感じに近づいていくのが圧巻)もそうなんですが、笑い方(唇の左端がちょっとあがる)まで、本人の生き写しのようでした。
特殊メイクと増量でなりきったらしいですが、素顔は全く似ていないので演技力の賜物でもありますね。
青年時代のキラキラした曇りのない純粋な瞳がリアルトランプの息子、バロン・トランプに似てるなあと思ったり。
バロン君のナイーヴな雰囲気は父親に似ても似つかないと思っていましたが、実はお父様譲りだったのね、と変なところでの答え合わせも楽しめました。
大統領就任演説の直後というタイムリーな時節柄か、平日の午前中だというのに6割ほどの席の埋まりにビックリしつつ鑑賞。
トランプに対する関心の高さの現れですね。
さて、トランプ大統領はこれからアメリカを再び偉大にできるのか?
現実世界での答え合わせも楽しみです。
「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のような、成り上がり作品だったが、、、
期待度○鑑賞後の満足度○ 本作を観る限りではトランプって巷間云われているような『怪物』ではなく、偶々不動産王一家の御曹司に生まれた、如何にもUSAの白人らしい愛国者で右翼なだけの普通の青年だわ。
トランプ大統領
1970〜90年代のアメリカを知らないと意味不明だと思うので、事前に予習はしておいた方が良いと思います
2025.1.22 字幕 TOHOくずはモール
2024年のアメリカ映画(123分、R15+)
実在の人物ドナルド・トランプの若き実業家時代を描いた伝記映画
監督はアリ・アッバシ
脚本はガブリエル・シャーマン
原題の『The Apprentice』は「見習い」という意味
物語の舞台は、1973年のアメリカ・ニューヨーク
父フレッド(マーティン・ドノヴァン)の会社「トランプ・オーガニゼーション」の副社長を務めているドナルド(セバスチャン・スタン)は、ニューヨークの再開発に興味を持っていたが、父と意見が対立していて思うように動けなかった
彼は、父が作ったトランプ・ビレッジの管理を任されていて、家賃の回収に向かうものの、住人からは冷たい目で見られていた
トランプ・ビレッジは貧困層にも貸し出していたが、人種差別を行っているとして、公民権局から訴訟を起こされていた
理不尽な訴訟だと反論するものの、世間体は厳しく、勝ち目のない裁判となっていた
ある日のこと、会員制クラブを訪れたドナルドは、そこでラッセル(ベン・サリヴァン)という若い男から声をかけられた
彼は「友人が話したいと言っている」と言い、ロイ・コーン(ジェレミー・ストロング)のいるテーブルへと案内した
そこには、マフィアのトニー・サレルノ(Joe Pingue)、実業家のスタインブレナー(ジェイソン・ブリッカー)などもいて、ドナルドは彼らと一緒に飲むことになった
ロイはフレッドが訴訟を抱えていることを知っていて、ドナルドは「いじめだ」と訴える
ロイの友人たちは「彼に頼めば良い」とふざけるものの、ドナルドは本気で彼を頼ろうと考えていた
父はロイのことを快く思っていなかったが、家族会議の末にロイの話を聞くことになり、彼はトランプ家の代理人として、公民権局と戦うことになった
映画は、この出来事をきっかけに、ドナルドとロイがクライアント以上の関係になっていく様子が描かれていく
ロイは「勝つための3つのルール」というものを持っていて、それをドナルドに教え込んでいく
「攻撃、攻撃、攻撃(Attack, Attack, Attack)」
「何一つ認めず、全否定せよ(Admit nothing, Deny everything)」
「勝利を宣言し、負けを認めるな(Claim victory and never admit defeat)」
ドナルドはその教えを忠実に守り、やがてはロイの制御が届かないところまで上り詰めていくことになったのである
物語は、ロイの他にのちに妻となるチェコ人モデルのイヴァナ(マリア・バカローバ)との出会いも描かれていく
会員制クラブに入れなかったイヴァナを助けたことがきっかけで、この恋愛にもルールを押し通していく
だが、結婚制度に異議を持つロイは自殺好意だと激怒する
やむを得ずに「婚前契約書」を交わすハメになるのだが、そんな結婚がうまくいくはずもなかった
やがて、ドナルドの成功とともに表舞台に出ざるを得なくなるイヴァナは派手に着飾ったり、夫の意見を取り入れて豊胸手術をしたりしていく
だが、夫婦の倦怠期はあっさりと訪れ、「もう魅力を感じない」とまで断言されてしまった
ロイとの関係は、仕事というよりもロイの健康面のが原因で、それが全米を襲ったエイズの流行だった
ドナルドはロイとラッセルがそのような関係であることを知っていて、ラッセルの病気がエイズであることに気づいていた
当初、ドナルドはハイアットホテルにラッセルを泊めていたが、偏見はやがて衝突を生み、彼をホテルから出さざるを得なくなった
この行為によってロイとの間に亀裂が生じ、さらにロイ自身もエイズに感染してしまう
ドナルドは距離を置かざるを得なくなり、美容外科医ホフリン(マット・バラム)にも、それとなくエイズのことを聞いていた
やがて、ロイは車椅子生活を余儀なくされ、ドナルドの知らないところでラッセルは亡くなってしまう
ロイは新しい恋人ピーター(Aidan Gouveia)の介助を受けるものの、ドナルドに抱いていた想いも捨てきれずにいた
ある日のこと、ピーターとともに避暑地に出向いたロイは、そこで盛大な誕生日会を催してもらう
ドナルドから高価なカフスボタンをプレゼントしてもらうのだが、イヴァナはそれを「安物だ」とバラしてしまう
ロイは落胆するものの、アメリカの国旗を施したバースデーケーキを前にして、最後の意地を通して、ドナルドと切れることを決意するのである
一般的にカフスボタンは女性が気になる男性に贈るもので、「私を抱きしめてほしい」という意味合いが込められていると言う
受け取ったロイとすれば、ドナルドの計らいに感動するものの、イヴァナの言葉でその意味が逆転してしまう
また、国旗を施したケーキを見て、ロイは「ドナルドの決意」と言うものを感じ取る
それは、これまでにロイが掲げてきたアメリカ・ファーストの考え方を、今度はドナルドが受け継ぐと言う意味合いになっている
それゆえに、ロイは私情を挟むことなく、ドナルドの前から姿を消すことを厭わなかったのではないだろうか
いずれにせよ、実在の人物が大統領選に出ると言う段階で制作されているので、ある種のネガキャンの一歩手前のような映画になっていた
公開差し止め請求が来るのも当然で、かなりプライベートな部分を掘り下げすぎているように思える
ドナルド自身が良くても、故人の名誉を蔑ろにしたり、さらに家族に与える影響というものも大きいだろう
ただし、思ったよりもネガキャン要素は感じられず、ドナルドの人間的な部分と彼の政策に関する思想を尊重しているので、その点は悪くないのかなと思った
この映画はドナルドの伝記であると同時に、これから変わっていくアメリカの方向性というものを表している
なので、賛同者は「USA!」な政策に鼓舞し、その思想にそぐわないと感じるものは反発をするのだろう
ある種の分断が起こっているのだが、民主主義は分断を起こすことが前提になっているイデオロギーでもあるので、今後はマイノリティには住みづらい世の中になっていくのかなと思った
25-010
トランプはじめて物語
本日1/21(火)はドナルド・トランプ氏のアメリカ大統領就任日。朝からニュースはこの話題で持ちきりで、さっそく大量の大統領令に署名し、就任初日からアクセル全開です。ということで、いま世界で最も注目される男ドナルド・トランプを知るために、この日を選んで本作を鑑賞してきました。
ストーリーは、不動産業を営む父の会社が政府に訴えられて窮地に立たされる中、気弱な跡取り息子である若きドナルド・トランプは、政財界の大物が集う高級クラブで悪名高き弁護士ロイ・コーンと出会い、彼に気に入られ、世の中で勝つための手ほどきを受け、それを忠実に守りながらロイを超える怪物へと変貌していくというもの。
予告からわかっていたことではありますが、トランプにここまで絶大な影響を与えた人物がいたとは知りませんでした。このロイ・コーンが伝授する「勝つための3つのルール」は、見事に今のトランプの言動に重なるものがあり、彼がロイの教えを忠実に守っきたことが伝わってきます。
そしてこの「3つのルール」以上に強く受け継いだものこそ、強烈なアメリカ至上主義だったのではないでしょうか。さらにいえば、トランプは、ロイ以上にそれを強く抱き、なんなら最強アメリカを作り上げた”自分”こそが真の最強であると言わんとしているようにも感じます。アメリカ至上主義どころか自分至上主義です。作中、ロイのおかげで力をつけたトランプが、所有するビルから贈り物のカフスボタンまでいたるところに自身の名を刻む姿からも、彼の強大な自己顕示欲を感じます。
もちろん描かれていることが彼の全てではないし、脚色もされているとは思いますが、このように描かれる元ネタとなる事実はあったのでしょう。少なくとも、ロイと兄と妻に対する仕打ちだけは、人として許せません。彼にとって、自分以外はきっと無価値なのでしょう。
とはいえ、アメリカの政治にも経済にも疎くて、トランプの掲げる主義・主張にも詳しくはないですが、彼がアメリカだけが好きで、自分だけが好きなのは、本作から本当によく伝わってきます。彼のことはもともと好きではないですが、ここまで自分に正直だといっそ清々しいです。彼が自国のリーダーなら、確かに期待したくもなります。
さて、トランプ政権のもと、アメリカはどうなっていくのでしょう。きっとトランプは、この先アメリカが発展すれば自身の手柄と誇示し、凋落すれば自身の非を1ミリも認めないのでしょうね。いやはや、ロイはとんでもない怪物を生み出してしまったものです。それにしても不思議だったのは、ロイがなぜ彼に目をつけ、守り育て上げたのかということです。まさか容姿が好みだったなんてことはないですよね。まさかね?
主演はセバスチャン・スタンで、もはやトランプと見紛うばかりの好演です。脇を固めるのは、ジェレミー・ストロング、マリア・バカローバ、マーティン・ドノバンら。中でも、ロイの圧倒的な存在感と晩年の変貌の振り幅で魅せる、ジェレミー・ストロングの演技が秀逸です。
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