「恐怖の短髪」対外秘 kneewarさんの映画レビュー(感想・評価)
恐怖の短髪
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鑑賞したのは奇しくも、前知事のパワハラが報じられた某県の県知事選当日(タイムリー)。現実はエンターテインメント要素はないが、映画は不正選挙、政治と反社の癒着、報道をめぐる駆け引きなどをじつに巧みに(わかりやすく)まとめていて息つかせぬ面白さだ。
オープニングこそコメディタッチだが、主人公が選挙の暗部にはまるにつれ急速にそこから離れ、スコセッシ映画みたいに。チョ・ジヌンの善い人顔のおかげで、観客も悪の沼にはまりこんでいく怖さを味わえる。
腹に一物ある人物をやらせたら右に出る者のないイ・ソンミンが怖い(足を引き摺らせるのはちょっとやりすぎと感じたが…『マルサの女』の山崎努じゃないんだから)。気がつきましたか? この映画は「髪の短さ」と「悪さ」が比例している。五分刈りのイ・ソンミンがいちばん悪く、その次にヤバいのがスポーツ刈りのキム・ムヨル(←めちゃくちゃ良い)。チャン社長、メガネのオタクっぽい男など長髪は悲惨な終わりを迎える。もちろん女性記者も。普通の長さのチョ・ジヌンは善悪の真ん中で引き裂かれる役。
汚職や政治の裏側の権謀術数を娯楽作にしてしまう、韓国映画の底力を感じる。
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