動物界のレビュー・感想・評価
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ストーリーが面白い!
ホラーとは呼べないホラー
一つ間違うと”ゲテモノ”になりそうなテーマと内容だが、むしろ、質の高い近未来ものの映画になっているのではないか。近未来物の佳作というところでは、内容は全く異なるが、ソイレントグリーンを思い出してしまった。それは兎も角、二時間以上のやや長めの映画を、グロテスクな内容と表現にもかかわらず、なぜに飽きさせず見られたのか。一つは、人が動物(映画では、”新生物”と呼ばれているが)になる病気のメカニズムの説明は一切なく、それが、ややもするとこの手の映画が、信じがたい事象を観客に信じこませ様とするあまりに、こじつけの理屈で”臭いもの”になるところを、逆に回避していること。一つは、新生物を、単純に人間の敵と位置付けず、さりとて、同情すべき弱者とも、ヒーローとも描かず、運命として受け入れる存在として描くことで、Real感を出していること、そのほかの要素もあるが、決定的なのは、主演の二人(ロマン・デュラスとポール・キレシュ)の演じる親子が、まさしく名演であること。
説明には、ホラー映画とあるが、決して、ホラーではない。SFもしくはヒューマン映画と呼んで差し支えあるまい。
パパのママを愛する姿勢にキュン
自分の居場所
「ぼくのお日さま」「ロボット・ドリームズ」と言ったように、2024年下半期はミニシアター系の映画が度々話題になるから映画好きとしてはすごく嬉しい。本作も全国上映館20館足らずにも関わらず、話題沸騰で絶賛の嵐。フランスでスマッシュヒットしたらしく、完全にノーマークだったけどこれは行かなければと、慌てて鑑賞。
タイトル、概要を読んだ限り、ゾンビ映画のようなモンスターパニック映画かと思っていたけど、正反対と言えるほど印象が違った。とても他人事には感じられない、リアリティ溢れる恐ろしく苦しい人間ドラマ。これはすごい。不覚にもめちゃくちゃ食らってしまった...。
言わば"見える化"した感染症が猛威を振るってる世界の話であるため、つい最近まで我々の日常を奪ったCOVIT-19のことを想像せざるを得ない。パンデミックが齎す世の中の変化。いまとなっては馬鹿らしい話だけど、あの当時は感染者を人間としてではなく、まるでケダモノかのように社会から遠ざけ隔離し、本作の動物変異の奇病に侵された人々と同等の扱いを行っていた。
だから本作は何もただの創作物では無く、人間の心理描写を動物という形で具現化したノンフィクションスリラーと言える。見た目がキモイ。我々人間様と同じ世界に住んでいい生き物では無い。そんな理由で現実世界との遮断を図る。だが、ここで終わらないのがこの映画の魅力。
一度悪い印象を与えてしまうと、名誉を挽回するのは難しい。人間は未知なるものに対する警戒心が一際強く、たとえ小さなミスだとしても危害を加えてしまったり、悪影響を与えてしまったのなら、そのもの全てが悪いものだというレッテルを貼る。そして、獲物を見つけたかのように過度に攻撃を始める。
「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」ではそのような人間の自己中心的な考えと傲慢で悪どい所業が醜く描かれており、あそこまではないものの、本作もかなり被る部分がある。また、「もののけ姫」の〈自然界と人間界の共存〉というメッセージもまたこの映画の根幹にあり、狙いを定めた標的は絶対に逃がさないという、人間の恐ろしさがストーリーに込められていた。
このように、幾度となく描かれてきた普遍的なテーマをベースに置きながら、世界中の様々な映画を通して辿り着いたと思われる、この映画ならではの独創的な物語が全編繰り広げられており、その先に監督が込めた怒りとも捉えられる強いメッセージが、もうズタズタになるほど心に響いてしまった。
人間が動物に進化してしまうSFクリーチャーものとしての面白さももちろんあって、「エイリアン ロムルス」に次ぐ造形美に惚れ込んでしまった。というか、全身の体毛が濃くなったり、乳歯がポロポロと取れたり、爪が鋭くなったりと、進化過程があまりにリアルで震えたよね....。いつ起きてもおかしくない。そんな説得力があった。
面白いとか感動するとか、そんなことすら言いたくない。ダラダラと書いてしまったけど、少しでも興味を持った人は是非とも鑑賞して頂きたい。いまの世界の状況と相まって、色んな感想が湧き上がってくるし、自身の感じたことを話したくなるに違いない。
人間から動物に進化してしまう病が流行っている遠くない未来。人間と"動物人"は果たして共存することが出来るのか。そして、病は終着を迎えるのか。2024年ベストはもう変動することがないと思っていたが、ここに来て衝撃作を目の当たりにしてしまった。。。
どうぶつの森
エモーショナル
隔離と侵攻の現代に希望を描いた近未来SFパンデミック
過去のSFパンデミックでは
主にディストピアを描いてきたが
本作では近未来のフランスが舞台だ。
夜よりも日中のシーンが多く
暗闇でテーマを曖昧にせず
観客に明確なメッセージを伝えよう
という覚悟を感じさせる。
異質な存在に対して隔離と攻撃の選択肢しか
持ち合わせていない作中の街の人々は
パレスチナ侵攻や数々の虐殺が同時に進行する
現代に生きる我々、虐げられていない者であり、
虐げられる存在にとっての希望は何かを問いかける。
虐げられる存在とそうでない存在。
作中では親子の絆そして青い恋だけが
その隔たりを超える。
変貌する肉体は成長のメタファーとしても扱われ
子が親の元から巣立つという成長物語の側面も
併せ持つ多重構造となっている。
斬新な世界観のエンタメ作品でありながら
痛烈なメッセージを突き刺す名作。
せつなくて泣けた
今年一番泣いた家族ドラマ
困難の中で生きる人たちを描く始めたフランス映画の一作
ハリウッド映画のようなわかりやすい三幕構成ではなく、描きたい主題を突き詰めて映像化した一作。
「ACIDE」や「またヴィンセントは襲われる」と似た質感で、起こっている問題の機序は説明せず、全体的な解決作を描くこともなく、主人公たちが巻き込まれた災難の中でいかに生きるかを描き切っています。
本作においては、多様化する社会とそこで起きる差別の問題に気候変動問題を絡めて動物化する奇病に振り回される人々や社会を描いています。
ハッキリとした答えが出せない問題が増えているからこそ、このような作品を作り続けているフランス映画界に注目しています。
24-130
考えさせられる映画 A movie that inspires deep thought
おそらく、
実世界のメタファー(比喩)なんだろうけど
観る人によってそれが何なのかは
微妙に変わるかもしれない。
およそ100年ぶりに(スペイン風邪以来)
人類はパンデミックを体験したことと
この作品は無関係とは思えない。
感染症に対する比喩なのかもしれないし
あるいは性的マイノリティに対する
比喩なのかもしれない。
実際、第二次大戦ごろ
ゲイは治療対象として
外科手術が行われたという歴史があるし
ドイツのエニグマを解読した
アラン・チューリングに対し
当時、同性愛は罪とされ
逮捕、治療されたことは事実だ。
そういったことに対して、
どのような態度を取るのか
取れば良いのか、
観る側は突きつけられてしまうように思った。
実際、観終わってから
頭の一部がこの映画に支配されている。
未来を感じる終わり方が
個人的には救いになった。
It’s probably a metaphor for the real world, but what exactly it represents may subtly vary depending on the viewer.
Given that humanity has experienced a pandemic for the first time in about 100 years (since the Spanish flu), it seems impossible to think this work is unrelated to that event.
It might be a metaphor for infectious diseases, or perhaps a metaphor for sexual minorities.
In fact, during World War II, gay individuals were subjected to surgical “treatment” as if they were patients, and history tells us that Alan Turing, who cracked Germany’s Enigma code, was arrested and forced into treatment because homosexuality was considered a crime at the time.
The film seems to confront the viewer with questions about what kind of stance to take or what stance is appropriate toward such issues.
Even after watching it, I felt as though part of my mind remained captivated by this movie.
For me, the ending, which hinted at a sense of the future, offered a sense of salvation.
とんでもない設定を、真面目にストレートに
物足りない
仏製アニマライズスリラー
人間がさまざまな動物に変異する謎の奇病が蔓延した近未来を舞台に動物に変異したまま姿を消した妻を捜す男とその息子の姿を描きだす。仏製アニマライズ詩情スリラー放出。ケモノに変わりゆく世界で人間たちは何を思う。人間と動物のハイブリッドという設定自体の新機軸や解釈、メタファーなど多様に描こうとする題材が開かれている。それぞれが動物化するおぞましさがある一方で、動物化することで自己採掘や生き方の問いの是非を導きだすような風刺的側面もある。新生物のビジュアルや造形もアニマトロニクスやデジタル効果などで表現したみたいでリアリズムが良く出来てる。強制隔離された世界で現実世界との対比や人間自体の脆弱ぶりを思い起こさせる思慮深い作品へ昇華される。
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