「女性の逞しさをスクリーンから感じるカッコよさ!!」ドマーニ! 愛のことづて ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)
女性の逞しさをスクリーンから感じるカッコよさ!!
監督・主演のパオラ・コルテッレージの才能及び魅力をふんだんに感じる作品である。
冒頭、いきなり起き抜けに夫からビンタを張られる妻デリア。
なんじゃこのDV夫!と誰もが思うこと間違いない。
1946年のイタリアはこういう男尊女卑甚だしい社会であり時代だったのだろう。
いろんな映画を観ているとLGBTQに対する差別も酷かったので、さもありなんとは思うが
それにしても酷すぎる夫。
そんな夫がいて、かわいい娘には良い相手との結婚をさせたい、二人の息子は夫の影響を受けており
実に口がきたない。
そんな家庭環境だが、アメリカ軍の軍人との出会いがあったり、昔好きだった男からアプローチされたり、
その男から駆け落ちに誘われたりと、デリア自身はとても魅力的。
そこにデリアあての手紙が届くのだが、当時は女性に手紙が届くのは珍しかったのだろう。
てっきり男から誘いの手紙だと思ったが、実は女性の参政権を得るための選挙の投票用紙だったことが
ラストでわかる。
このあたりのミスリードが実にうまい。
死んだ義父をさておいても選挙にいきたかったデリア(その後の展開が結構笑える)。
投票用紙を家に落として、それを見た夫が「クズ女」と吐き捨てるように言い、追いかける。
その用紙を拾い、母のもとに届ける娘。
そして一暼くれてやる的な目で夫を見るデリア。
そしてそして、笑顔で涙を流しつつ誇らしげに母を見る娘。
娘に歌うように笑顔を届ける母デリア。
めちゃめちゃうまい。素晴らしいつくりあがりだ。
ミュージカルっぽい演出も入れていて、それが実にシニカルだったりする。
それであるがゆえ、DVシーンもミュージカル仕立てにして、皮肉を効かせながら見せる
この手腕はとても初メガホン作品とは思えない。
久しぶりに良いイタリア映画を観た気がする。
パオラ・コルテッレージ監督の次回作も観てみたい!
ぜひ、多くの女性に観てもらい、勇気をもらってほしいと思う。
共感ありがとうございます。
まあ、あのDV夫が当時特に珍しいものでは無かったのは何となく解りましたが・・暴力もさりながら稼ぎを奪う、髪を撫で付けさせる、ちょっと埒外でした。