「【”愛のことづてってムッチャ皮肉が効いてるなあ!”今作は第二次世界大戦終了直後の女性の人権ほぼ無きイタリアを舞台にした、前半苛苛、最後半スカッと爽快なる女性の権利とは何かを描いた映画である。】」ドマーニ! 愛のことづて NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”愛のことづてってムッチャ皮肉が効いてるなあ!”今作は第二次世界大戦終了直後の女性の人権ほぼ無きイタリアを舞台にした、前半苛苛、最後半スカッと爽快なる女性の権利とは何かを描いた映画である。】
■第二次世界大戦終了直後のイタリア。デリア(パオラ・マッコーリ)はDV夫イヴァーノ(で、本人チョッとしか自覚無し。当たり前と思っているナス野郎。)と似たモノ親子のセクハラ義父の看病をしながら、朝から晩まで掛け持ちで仕事をしながら、稼いでいる。
そんな時、娘のマルチェッラが、ナチスへの密告で一財産作った成り上がり一家の息子と恋仲になる。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・前半は、DV夫イヴァーノのデリアに対するDVに苛苛しながら、観賞。朝、”おはよう”と言った彼女にイキナリ、平手打ちだもんな。腹立つわ!
・けれども、デリアはそれに対抗せずに、只管働くのである。当時のイタリアは、女性の人権が軽んじられているシーンが描かれる。新米の傘職人の青年の方がデリアより給料が良いってどういうこと?
・そんな母の姿を見ている娘のマルチェッラは、”お母さんみたいな、人生は送らない!”と言って成り上がり一家の息子との恋愛を育むのだが、彼女が婚約を了承したあとの息子の態度急変を母は見逃さなかったのである。
そして、知り合いになった進駐軍の黒人兵の助けを借りて成り上がり一家が営むトラットリアを、ナントTNT爆弾で爆破するのである。イタリア女性を怒らせると怖いのである。爽快だったけどね!
・そして、デリアは少ない稼ぎの中からコツコツと、娘のウエディングドレスのために貯めていたのだが、成り上がり一家の息子の本性を見抜き、嫌味な一家そのものを追いやった後に、そのお金をどう使ったかが、チョイ沁みるのだなあ。あれは、自分みたいに学が無い女性では戦後は生きていけないという母の、親心だよね。高校に行かせない父親とは、大違いである。
<そして、デリアに届いた”ことづて”は、てっきりお互いに小さい頃から思い合っていたニーノからの駆け落ちの誘いだと思っていたら、女性の参政権を決める選挙の投票用紙だったというオチは、実にシニカルであるが、事実なんだから仕方がない。
そんな、母の姿を見た娘のマルチェッラが、母を見上げる眼からは、嬉し涙が流れているんだよねえ。
今作は第二次世界大戦終了直後の女性の人権ほぼ無きイタリアを舞台にした、前半苛苛、最後半スカッと爽快なる女性の権利とは何かを描いた映画なのである。
<2025年6月1日 刈谷日劇にて観賞>