「「NO」を叩きつける作品」ドマーニ! 愛のことづて コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
「NO」を叩きつける作品
イタリアにおいて現代にまで続く、女性に対する差別と暴力に、毅然と「NO」を叩きつけた映画でした。
今現在もイタリアは、元夫婦・元恋人の「男性側による女性の殺人事件」が非常に多く、女性蔑視が根強い国ってイメージ。
第二次世界大戦直後、敗戦とイタリア男たちがバカなせいで貧民にあふれ、ファシスト政権の名残が色濃く、女性に結婚や離婚の権利などの人権も認められず、女性は「存在しない」レベルに虐げられ、男尊女卑が「当たり前」だった時代を描くことで、いかに男性が根拠なく愚かに暴力を振るってきたかを浮き彫りにする。
「ダメなイタリア人男性とその社会」のカリカチュア(誇張)。
コメディタッチだから残虐なシーンには仕上がっていないが、想像力で補えば、どれだけひどい状況かがわかる。
女性監督だから撮れた作品だったと思います。
ただ、今の投票率が非常に低く、参政権や男女平等がどれだけ価値があるかを理解していなさそうな日本(および日本人)では、主人公の行動に関し、観客をミスリードさせるラストの意味・価値は理解しがたいように思えました。
ナチュラルにセクハラ・パワハラしちゃう人たちも当然、この作品に物足りなさと嫌悪感を抱きそうな気がします。
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