「文芸ラノベ映画」美しい夏 yudutarouさんの映画レビュー(感想・評価)
文芸ラノベ映画
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田舎から出てきた女の子が都会での未知の世界を体験し、再び元の世界へと戻ってくるオーソドックスな青春映画のプロットだけど、美しくもどこか冷たいトリノの歴史的建造物の街並みの中で憧憬と愛が判然としないまま未知の世界を巡っていく描写が丁寧でイタリアの伝統的な文芸映画みたいな空気があったし、メインの百合的関係性に加えて妹ジャンルまでフューチャーしたラノベ要素(どちらの要素も原作では大きく扱われてはいないらしい)もあって、楽しめた。百合ジャンル的には主人公のイーレ・ヴィアネッロと、主人公が憧れるディーヴァ・カッセルは、配役が逆の方が良かったんじゃないかとも思ったけど。それとラストがけっこう唐突で、これは最初、夢オチ的なシークエンスで蛇足かなと思ったけど、ファシズムの影やジェンダーの縛りに耐え続けるだけで終わらせない、負けっぱなしじゃねえぞという作り手のメッセージとして受け取った方がしっくりくるし、今の時代にこの作品をやる意味があると思えてきたので、やっぱりあって良かった。そう考えると映画もより魅力的に感じた。
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