ゴミ屑と花のレビュー・感想・評価
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過酷な仕事
訳あって自衛隊のパイロットを辞めゴミ収集の仕事に就いた尾崎と指導員の橋本花が深夜ゴミ収集車で横浜の町を回る様子とそこで起きたコロナ禍のエピソードなどを描いた社会派ドラマ。
大黒友也初監督作品で社会性のあるドラマを作ろうとゴミ収集員に着目、実際に横浜の事業系ごみの回収・運搬を担う武松商事の取材協力を得て制作に着手したそうだからドキュメンタリーの様なリアルさがありましたね。トイレ清掃員の日常を描いた役所広司さんの「PERFECT DAYS」にも通じるシチュエーションですが、こちらは短編なので人物描写は浅めでした。
家庭ごみではなく事業系のごみなので認定業者が深夜に200件もの回収、過酷な仕事でした。職業に貴賎なし、ゴミはルールを守って出しましょうね、と言うことでした・・。
洗練さ
わかるようでわからないような作品
解説にあったように「誰にも称賛されない影の功労者」
2024年でこの思考は少々オブジェクションが残った。
酔っ払いにゴミ屋と呼ばれ、後ろから蹴られる始末。
臭いの残った収集場所に水を流す気の遣い方
シュレッダーの紙が舞い上がったのを花吹雪に見立てたのだろうか?
誰もやりたがらない仕事であるのは間違いないだろう。
そこに登場人物二人の背景を付けている。
転身
栄光からの挫折
それをゴミ屋として表現しているのだろうか。
最上階から最下位の急降下
転落した人生
彼の恐怖とトラウマ
家族のため
さて、
この作品はわかるようでわからない。
職業の優劣については、すでに他の作品等々で語られてしまっている。
現在の日本で、清掃員に対する見下した考えを持っているのはごく少数だろう。
しかし、清掃員自身が自分たちをどのように考えているのか?
そこには、どんな業種でも何らかの認識があるように思う。
その認識こそ、自分たちが何者かを決めている指針だろう。
あの二人はやむを得ずこの仕事を始めた。
たまたま採用されたともいえる。
そして彼らは真摯に仕事に向かっていた。
他人の認識や目
それらがどうしても交錯することで起きる葛藤のようなもの。
また、
このタイトル
暗に示している「誰にも称賛されない影の功労者」
「ゴミは人の心を映し出す鏡のようなもの」
ゴミを出す人そのものが形を変えたもの
そこに感じる不要感と汚物感と「心遣い」
自殺を図った店主は、自分と妻を例えたマスコットを「ゴミ」にした。
自分と妻をゴミにした。
人の心が「ゴミ」になること。
観る人によって多少角度が変わり、多少の多義性を持たせている。
ただ、そこに「核心」のブレが残ってしまったように感じた。
決して悪くはないものの、貫かれているとは言えない気がした。
小粒な良品
深夜の連ドラとかで良いんじゃない
良い題材だと思ったのだけれど。
私事ですが夜間帯のゴミ収集に関わりのある仕事を生業としていて、ゴミ収集がどのような勤務体制でどのような具体的な作業で行われているのか多少の知見があります。(だからこそ素直に鑑賞出来なかったとも思いますが。)
人々の生活を直接的に支える仕事なのに顧みられる事のあまり無い、ゴミ収集等の労働を通して人間を描こうとした真面目で優しい作品なのかなとも思いますが。
酔っぱらいのサラリーマンに酷い言葉や暴力(あれ刑事事件ですから!)、運転マナーの悪い運転者から暴言を浴びせられたり、優しく無口な店員から労いの飲み物をもらったり…まああるかもしれないけど単純過ぎません?
汚いし、臭いし、結構危険だし(発火する物や注射針やガラスやらが普通のゴミに混じっていたり等々)、暑いし寒いし、雨に降られるしでシビアな仕事ですが、システマティックで無駄の無い動きで沢山の収集件数を時間内でこなした上で気付きと細やかな気づかいで街の衛生を担保してくれているこの仕事の尊さは描写されず伝わらなかったな。
ゴミの出しかたが変化して結果自殺を防ぐって!しかも夜中に店に怒鳴り込んでって無いわ!アイディア思いついて不自然だけど無理やりお話しにしたようでガッカリ。確かにゴミの出し方でその人の性格や想像力の有無等々がはっきりと解りますが(個人でも法人でも)。
シュレッダーのゴミが収集現場に舞い散らかって、花びら舞うみたいに乙に見物って…無いよ!時間内にどれだけ件数こなすんだよ?あれ完全に掃除するのにどれだけ時間がかかるんだよ!
誠実で優しい監督さんみたいですが、仕事舐めんなと私としては思ってしまいました。ごめんなさい。
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