はらむひとびとのレビュー・感想・評価
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決して他人事ではない。
2025.8.24
シアターセブンにて中嶋駿介監督作品『はらむひとびと』を鑑賞。
予告編を事前に観ていて、重いテーマであることは想像していたが、更に上をいくものだった。
夫婦間のいざこざや子育ての苦悩などややオーバーに描いているようにも思えるが、決して他人事ではなくて子育て経験がある人なら誰もが大なり小なり経験しているものだと思う。
事実自分も、一緒に観た嫁さんから「自分も昔、あんなんやったな。」と言われぐうの音も出なかった。(今は改心しているつもり。)
ネタバレになるから詳細は伏せるけど、物語の後半に大きな事件が起きる。両親の乱心を見事にリアルに描いていた。決して大袈裟ではない。同じような境遇に陥ったらと想像するとスクリーンを直視できずに目を背けてしまった。
どのキャラクターも個性的でお芝居も胸を打つものがあったけど、自分的には一番、義母役の磯西真喜さんに魅了された。たぶん物語の前半で子どもを預かると言ったところで先の展開を彼女は少し予想してたんだろうな思った。事件は起きてしまったけど、結果的に大きな救いへ導いたのも彼女だった。ひとつひとつの立ち居振る舞いがとても素晴らしかった。
映像的にはドキュメンタリーぽくいい意味で生々しくてよかった。野菜を切る音、ガラスを殴る音も。
上映後の舞台挨拶も色々と撮影の裏話や、主演である相馬有紀実さんの作品への意気込みなども聞けてよかった。
作品とは対照的に中嶋監督はチャーミングだったし、それを引き出した我らがアニキ(年下だけどもね)保坂直希氏のMCっぷりも最高だった。
はらんでいるわけではないと思う
ほぼ全員が非常識な人たち。はらむということがテーマにしたかったのだろうが、ストーリーに当てはめた無理矢理な人間たちにしか見えないかった。
装置装着からの救助のシーンだけが浮いている。脚本を2人で書いているようだが、どちらのアイデアなのだろうか。そこだけ評価したい。
『III度』が孕むもの
アバンから苦しい映画でした。
亜湖の育児へのストレスは、子役の演技が上手いぶんこちらにまで直に伝わってくる。
旦那の雅人は空気が読めない上に能天気な楽観主義で、神経を逆撫でしてばかり。
郁美の方は懐妊中ではあるが、夫どころか職場にすら打ち明けられていない。
口では「私も子供嫌いだし」と言うものの、産む気がゼロならそもそも悩む必要すらないハズで…
タイプは違うがどちらの旦那も相手のことを見ておらず、悪気がなさそうなところがまたタチが悪い。
(俊介の方は妊娠に気付く程度には見ていたが)
また、店員への態度や郁美への八つ当たりなど亜湖の方も大概だったりする。
基本的にはかなりリアルでずっとイライラした。
ただポテチの食べ方と、グチャグチャの食卓を前にしての雅人の無反応(どころか2人目の話)は過剰。
郁美の逃避の仕方もちょっと飛び過ぎかな。
あそこまで真に迫った描写ができるなら、もっと地に足をつけたままでよかった気がします。
置き去り現場に俊介が来る程度のご都合主義は構わない。
だがあの状況で郁美に電話しない点や救出方法、あれで本当に割れるのかというのは引っ掛かった。
亜湖の飛び降り未遂の描写も、現実なら窓が閉まってるなどの状況が、妄想なら義母の台詞が不自然になるだけ。
事件をきっかけに諸々丸く収まった様子だが、特に郁美と俊介の夫婦関係には直接関係ないよね。
終演後に監督と少しお話をさせていただいたが、III度の熱中症では後遺症が残る可能性があるらしい。
医者がそれに言及する台詞などは主演•プロデュースの有馬さんの希望で避けられたとのこと。
個人的にはもう少し苦味が強くてもよかったが、育児中の身(郁美の子は有馬さんの実娘)ではそうもなるか。
手を取り合う社会
夏の幼児車内置き去り事件をもとに描かれた2人の女性とその家族のお話。育児ノイローゼの亜湖と望まぬ妊娠をした郁美はもともと友人関係で久しぶりに再会したことからストーリーは始まっていきます。
女性のキャリアや義母との関係、そして夫婦の関係など多岐に渡って描かれています。
置き去りの理由で「忘れる」というのが一番悲しく感じます。ニュースを目にすると腹立たしいを通り越して悲しいしかありません。本作では希望が見える展開で本当に良かったけど、こんなことが起きないで欲しいと願うばかりです。
そして主題歌であるクソクムズさんの「hand」が映画の予告編で聴いた時に良い曲だなと思ったのが鑑賞したきっかけでもあります。寄り添ってくれるようなとても優しい曲です。映画にとても合っていました。
作品以前に・・・
すごく不快な作品でした。言いたいことは理解できますが、この作品で描かれてる家庭よりもっと酷い家庭はあるし、シングルマザーでも仕事と家事、子育てを両立している家庭はたくさんあります。結局甘えでしかない描写が多かったです。シネマスコーレの舞台挨拶付きで鑑賞。シネマスコーレの受付前で堂々と煙草を吸い、窓口へ来た人の邪魔をする。その吸い殻を受付付近に捨てる。という映画館への冒涜をする観客がいました。後日この作品の関係者がその問題行動をしていた人物と記念撮影をしてSNSにUPしている。映画関係者ってどうしてこういう感覚なのかな?
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