「陳腐で悪趣味な映画」サユリ ミントさんの映画レビュー(感想・評価)
陳腐で悪趣味な映画
事前情報無しで、ふらっと立ち寄った映画館で観てきました。
まず、邦画はつまらないことが多いので、あまり期待せずに見ましたが、その低いハードルを大きく下回る特級クソ映画です。
細かいシーンでクスっと笑える箇所は多少ありましたが、
基本的には呆れ笑いの連続、中盤から後半は呆れを通り越して不快でした。
鑑賞後、あまりにも酷かったので、原作も読みました。
結果、原作にない子供に対する加虐要素が不快なシーンや展開につながっていることが分かりました。
何故こんなことをしたのか理解に苦しみます。
大きく分けて前半パートは呪怨、後半はベスト・キッドです。
呪怨パートではよくある急に大きな音で驚かせる陳腐な演出の連続、
家族が高い所から落ちたり、ケガをしているのにすぐ救急車を呼ばない、
邦画でありがちな絶叫で誤魔化すシーン等、
挙げたらキリがないほどの幼稚なシーンの連続です。
後半ベスト・キッドパートでは、理由もなく何故か痴呆のBBAが正気に戻り、太極拳の達人として主人公の孫を鍛えますが、鍛えている約一か月間、何故か怨霊は待ってくれています。
そして、鍛え終わっても見た目に何の変化もないガリガリ高校生の主人公。
「祓って済ませるつもりはねぇ、地獄送りにしてやるんじゃ」と、
大見得を切っていたBBAも結局最後には日和ってしまいます。
途中でBBAがさゆり家族を拉致してきた時には、これでBBAがさゆり家族を皆殺しにして、さゆりもろとも地獄へ道連れエンドなら、まぁ多少は納得出来るかとも思っていたのですが、まさかのさゆり母(加害者)の「ゴメンネ、アイシテル」で成仏してしまうさゆり。
自分の夫が、小学生くらいの娘をレイプしているのを黙認していた上に、家族で協力して殺害した娘に対して、何を今更、どの口が言ってんだと思いました。
これは決して謝って済む問題ではないと思います。
あそこはBBAが「謝って済むかぁ~!」と叫びながらさゆり母を撲殺し、さゆりと共に地獄へ落ちるべきシーンだと思いました。
最低でも、さゆりに殺させて恨みを晴らした上で成仏という流れにしなければ理屈が合いません。
原作では性的虐待要素自体が無いため、生前のさゆりの問題行動へのさゆり家族の対応にある一定程度の理解は可能ですが、映画バージョンでは100%さゆりが被害者という立場上、さゆり家族に対して全く同情の余地がありません。
特に、レイプされたくないから自分で髪を切り、引きこもり、お菓子を大量に食べ太るという選択をしたサユリに対し、「お願い、もとの家族にもどろう」などと見当違いのとち狂ったことを言う母親は殺されなければ理屈に合わないと感じました。
さらに、さゆりが狂った経緯を知ったからか、家族五人を殺されているBBA&主人公の孫もトーンダウンしてしまい、どっちらけの空気でエンディングということになります。
映画オリジナル要素の、子ども(弟)の顔面を柱に打ち付けたり、階段から突き落としたり、三階から落として殺すシーンは見ていてとても不快でした。
原作では無かった、子供時代のさゆりへの性的虐待シーンも不必要に長く、作中一番不快な部分です。
とても趣味の悪い、反吐が出るような映画でした。