「元気ハツラツ〜」サユリ jinminさんの映画レビュー(感想・評価)
元気ハツラツ〜
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「死」に濃く彩られた呪われた家ホラーの前半から、「生」を濃くする師弟リベンジカンフーな二幕の後半を経て、サユリの凄惨な過去が明かされ、お馴染みの触手対決となる第三幕と、思いもよらぬ展開が楽しい快作。
「化け物よりもおぞましいのは権力勾配を利用して理不尽に欲望を果たす人間」「家父長制や男権社会に抗うために化け物にならざるを得なかった女性」という近年の白石作品に通底するテーマが、エンタテインメントに昇華されて表現されていた。
「幸せな家族」を取り繕うために実父によるサユリへのレイプを見なかった事にし、悲劇を招いた九条家の母と、「幸せだった家族」や父の思いに執着して逃げ出す事ができず、破滅に至った神木家の母という対比も良かった。
大人のくせに実父からの性暴力を見て見ぬふりをしてた母の罪は子供だった妹より全然重いのではとか、性暴力被害者であるサユリにあのキーワードは、知らぬこととは言えどうなのかとか、いろいろもやるところはあり。
軽快な特訓描写や、自分も含めニコニコ楽しそうに帰る観客たちからは2022年の『ブラックフォン』も連想。
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