「空色の水しぶき」がんばっていきまっしょい ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
空色の水しぶき
原作と実写映画の方は触れずにアニメ版の今作が初めまして状態で鑑賞。
特典はイラストカードでした。
どストレートな青春ものでキラキラときどきドロドロな感じな作りで、高校生の時に部活にのめり込めなかった自分からするとこうやって真っ直ぐに一つの目標に進んでいく姿っていいな〜ってなりました。
過去の経験から諦め癖がついてしまったダウナー女子な悦ネエ、そんな悦ネエに寄り添ってるヒメ、転校してから勢いそのままボート部に入部&勧誘をこなすリー、犬猿の仲のダッコとイモッチと個性豊かな面々がボート部に集結して県大会出場に向かって練習していくという王道ストーリーです。
唯一の男子部員である二宮も出てくるんですが基本的にはアドバイザー的ポジションに収められているので大学ではたくさんボート漕ぐんだぞ!ってなりました。
ボートについての描写は難しすぎず、でも簡略しすぎないちょうどいいバランスで展開されるので、公式サイトにあった説明文をあらかじめ読んでいたのもあってかボートの調整の仕方だったり、それぞれの練習が持つ意味だったりがしっかりと理解できたので、ボート入門的な意味でも良い教材になるなと素人ながら思いました。
会話のテンポが凄まじく良くてまるでコントや漫才を見てるんじゃないかってくらいボケとツッコミがはっきりしていて笑えるシーンが多かったのも特徴的です。
二宮が登場するシーンの多くは二宮イジリが発生するんですが、イジリに対しての二宮の反応速度が関西人のなんでやねんの勢いそのままやってくれるので見応え抜群でした。
今作の欠点は恋愛要素をぶち込んだところかなと思いました。ここを最小限にとどめて、ボートを通しての成長を軸に描けば原作と相違あれどナイスなスポ根ものに仕上がっていただろうなと思うと唇噛み締めてしまうところです。
もちろん二宮が支えてくれるからこそ悦ネエが奮起しましたし、惚れる理由も分かるんですけどそれが原因でボート部の活動が止まってしまうというのはちょっとなぁってなってしまいました。
その恋心に気づいたヒメが何か特別な感情を抱いているとかではなく、ただ動揺した表情や仕草を観客側にだけ向けているというのも違和感が拭えず、ヒメは結局そんな感情無かった様子でしたし、なんであんなにアワアワしてたんだろうとどうにも引っかかりっぱなしでした。
リーと二宮が打ち解けただけで嫉妬心爆発させたのは年頃だよなぁでギリギリリカバリーできますがそこから寝込みまくりサボりまくりは現代のダウナー女子の項目にいくらなんでも当てはめすぎではと首を傾げてしまいました。
アニメーションはCGがちょいちょい気になるところはありましたが水面のシーンなんかはとても綺麗でしたし、ボートを動かしているときの躍動感なんかは良かったと思います。
例年ならこの感じでも良いかなと思えるんですが、今年は「ガールズバンドクライ」というCGのお化けみたいな作品が出てきてしまったのでついつい比較してしまうんですよねぇ。
同じ映画という枠組みでも「数分間のエールを」が違和感なくそして独特な色を発揮していたのでそちらとも比較してしまうと一枚落ちるかなとは思います。
吹っ切れてボートに再び挑むボート部の結果は負けは負けでも県大会の権利を得て再びリベンジという感じは今作のアレンジだったみたいでそこは良かったと思いますし、新入生も入ってきてボート部存続!で幕を引くのは1本の映画として綺麗にまとまっていたのはポイント高かったです。
声優陣は皆々様最前線を走ってる方々なのでもう最高です。
ダウナーな天さん、純粋キュートな伊藤さん、快活元気盛り盛りなりえりー、ギャルギャルしい鬼頭さん、お嬢様風味な育美さんとこの5人の駆け引きを見るだけでも鑑賞代の元は余裕で取れちゃいます。
脇を固めてくれる方々も本当に豪華で、本職で揃えきってくれたところには感謝が尽きません。
主題歌は…これは好みかもしれませんが歌い出しからなーんか引っかかる歌い方がどうにも気になり、サビで全員集合してちゃんと歌になってたのは良かったんですが、これなら主役の5人に任せた方が映画としての色も際立ったのになとは思ってしまいました。
1クールかけてじっくり見たかったなぁと思うくらいギュッと詰め込まれていましたがボートを通じての汗水流したひとときの青春を味わうには抜群の1本だと思います。
鑑賞日 10/25
鑑賞時間 16:50〜18:35
座席 H-13