劇場公開日 2024年11月8日

「続いてきて続いていく世界」ルート29 まーるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5続いてきて続いていく世界

2024年12月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

「こちらあみ子」で衝撃を与えた森井勇佑監督、等身大のあみ子を演じた大沢一菜のコンビに「綾瀬はるか」という大メジャー女優のキャスティングでどういった化学反応が起こるのかと大いに期待の一作。

映画の内容はのり子、ハルともに「あみ子」のその後を引き継いだかのような生きづらさを抱えたキャラクター。さながら「こちらあみ子2」のような映画だなと思いました。

のり子とハルが姫路から鳥取への国道29号を辿る旅で不思議な人たちに出会うのだけど、生命力に溢れながらも禍々しくもある日本の山野の自然が印象的で生と死の境界が曖昧な寓話的な物語に見入ってしまう。

自動車事故で出会った老人(じいじ)が湖のカヌーでじいじの走馬灯のような人々に出会ってそちら(あの世)にいくのを見た時はちょっとした胸に迫る感覚を覚えました。

のり子の姉の独白は濱口竜介映画に急に出てくる物事をわかった人の様だったけど、そこに濱口映画にも出演してる河井青葉をキャスティングしてて本当の濱口映画の様でしたね。「人間の義務を果たしてない人は地獄へいく」って台詞もかなり刺さりましたね…

その後の鳥取の街の赤い月やハルの母の「わたしはもう死んでいる」発言など監督のいうところの「死との親和性が映画」というまさにそういう映画でしたね。
ただ森井監督の作風、発言等を鑑みないと解釈が難しい部分があるのはそうかと思います。

さほど希望があるとも思えない世界ですが、のり子とハルが出会って多少なりとも火を灯せる。

そんな映画だったかと思います。

コメントする
まーる