劇場公開日 2024年11月8日

「細部がいいのでなんかもったいない」ルート29 ONIさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0細部がいいのでなんかもったいない

2024年11月17日
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鑑賞方法:映画館

こういうのをムズいと言うのかもしれない。星をつけると4か2(で、凡庸さのかけらもないけど、3)。かなりビシバシ細部は決まってる。スクリーンサイズはヨーロピアンビスタがバッチリだった。飯岡幸子の切り取る絵の寄りの正面の切り返し、ルートを縦に横(移動)に、作りもののような本物のような夏が素晴らしい。森井監督の前作同様の子供たちの群れ、川っぺり横移動も健在。音楽も凄まじくいい。もう細部だけ見ていくとかなりのグレードなのだけど、全体的には眠くなるという。。

まったく知らないけどこれは原作があるのね。モチーフなのかもしれないけど、母のもとに連れてきてと頼まれた子どもを連れていく、その国道を突っ切っていくファンタジー。もう風の又三郎みたいな文字通りのファンタジーで、発端と着地にそんなにエモーションはない。その世界観を維持するために、登場する人物は死んだような眠ったようなモノローグを定型に重ねていくのが眠くなるのか。全体的に魅力的なロケーションを独自のスタイルでハメようとするのが窮屈になってる気がする。タルコフスキーアプローチとウェスアンダーソン風味の仕掛けの労力は買うが、連なっていかない。そしてもっとも大事なメインふたりの魅力に繋がっていかない。これが珍しい。単独のカットの魅力はあるものの、横移動する絵に力はあるもののエモーションは発生せず、カタルシスもない。
まあ死んだような世界といえばその通りなのだけど、なんかもったいない。奇しくも相米慎二の子ども映画(児童文学的)の傑作2本がリバイバルされるので久々に観てみたくなった。

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ONI