「前・後編セットでどうぞ!」室井慎次 敗れざる者 K2さんの映画レビュー(感想・評価)
前・後編セットでどうぞ!
前編(敗れざる者)と後編(生き続ける者)を連続で観ました。
ストーリーはそれぞれでは完結しないので、続けて観ることをお勧めします。
いわゆる踊る大捜査線の世代ですが、TVドラマも映画もほとんど観たことがないので、思い入れなしで素直に鑑賞。主な登場人物の俳優と関係性は一応知っている、くらいの予備知識で。(レインボーブリッジは封鎖できなかったことも一応、承知。当時、CMで繰り返し言っていたので)
ただ、過去のドラマや映画の内容を知っている必要は殆どないと思います。過去の出来事を語るセリフや回想シーンはふんだんに盛り込まれていて、説明不足ということはないし、知名度の高いシリーズ作品でありがちな「ここは知ってるでしょ」的な驕りみたいなものは感じられない丁寧な作りです。だからこその贅沢2本立て造りですかね。
ただ、話が長いから2本に分けました、という海外のSF大作などにありがちな監督の力不足パターンではなくて、美しい自然や風景をじっくり見せるとか、心に傷を負った子ども達が成長する過程や、それを見守る大人の振る舞いを丁寧に描いた結果として、そういう間が必要だったというように感じられました。なので、合わせて4時間ほど観ていても、長いな、とか、あとどれくらい?と時計に目をやりたくなるようなタイミングは全くありませんでした。それだけでも、本作が見応えのある映画だったことの証と言えるかもしれません。
これは、「踊る大捜査線」シリーズのスピンオフ作品かもしれませんが、「踊る大捜査線」の続編ではありません。シリーズのファンでなくても十二分に愉しめる映画です。これは親子のあるべき姿の一つを描いたストーリーであり、子育てをどうしたらいいか、について本気で悩んでいる大人を描いたストーリーです。(この辺は、例の「〇〇デカ」作品とはおそらく異なることでしょうね。)
観終わったあと、とてもすっきりした気持ちになれる良作だと思いました。ストーリー全体に関しては"出来過ぎ"の感が無きにしも非ずで、テレビドラマシリーズのスピンオフという性格上当然とも言えますが、その要素がなかったとしても、この映画に関してはきっとこれが正解なんだとお思います。
(いや〜、映画って、本当に良いもんですね~)