「【警察組織改革の約束を守れなかった男、室井の温かき芯ある人間性が上手く描かれた前編。今作で、仕掛けられた数々の伏線を、君塚良一&本広克行コンビが後編でどのように回収するのか、楽しみな作品です。】」室井慎次 敗れざる者 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【警察組織改革の約束を守れなかった男、室井の温かき芯ある人間性が上手く描かれた前編。今作で、仕掛けられた数々の伏線を、君塚良一&本広克行コンビが後編でどのように回収するのか、楽しみな作品です。】
ー 久方ぶりの邦画、前後編作である。いつ以来だろう・・。感無量である。-
■室井は青島との”警察組織を改革の約束”を守れなかったために、定年前に警察を辞め、秋田の田舎で農作業をしながら過ごしていた。
ある日、室井の家の近くの池の近くで異臭がし、掘り起こすと男の死体が”腐った洋梨”と共に発見される。それは、日向真奈美に洗脳され詐欺をしていた集団の男だった。
◆感想
・前編なので、多少はアクセルを抑え気味に進むのかと思ったら、大違いであった。室井は犯罪の被害者、加害者の高校生タカと小学生の男の子リクを里子に迎え暮らしており、更にそこに日向真奈美(小泉今日子)が、獄中出産した杏(福本莉子)まで登場する。
・更に、地元民の男達(小沢仁志&木場勝己)や、懐かしの新城(筧利夫)まで登場する。
そして、夫々の人物達と室井との関係性がキチンと描かれていて、流石、君塚良一&本広克行コンビだな、と思う。
(などと、エラソーに書いているが、このシリーズの映画を観終わったのは最近である。観ておいて良かったなあ。)
・特に杏の出現はミステリアスであるが、室井は彼女を躊躇なく同居させるのである。器が大きいな。
・シングルマザーの母(佐々木希:代表的な秋田美人ですね。)を殺されたタカと殺人犯の女弁護士との遣り取りを見ていた室井が、その新米弁護士に言った言葉が印象的である。
”まず、タカの母の遺影に手を合わせるべきだったな。”
室井の人間性が垣間見える言葉である。
そして、タカが母を殺した犯人と面会した時に最後に犯人に言った言葉。
”アンタみたいな、大人にはならない!”
タカは、室井と共に暮らす中で、彼からキチンとした大人の姿を見て学んだのだろう。
このシーンは、沁みたなあ。
<前編は、室井の器の広さと相変わらずの渋面ながらも、心優しき一面が全面的に描かれていた。とても良かったです。
そして、室井に纏わる登場人物多数で後編の展開が、更に気になる作品でもありました。君塚良一&本広克行コンビ、この広げた風呂敷を後編でどのように収束させるのかな。
大変に楽しみである。>