劇場公開日 2026年2月27日

「やがて嘘が本当になる、人と人のつながり」レンタル・ファミリー とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 やがて嘘が本当になる、人と人のつながり

2025年11月3日
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人は一人では生きていけない生き物だ。海外から見てもわかりやすくステキなザ・"いい話"で、心温まるドラメディ。物語の展開や語り口はリスクを取るようなものではなく、あくまで既視感と親しみを覚えるような安心して見ていられる部類に属すが、その安定感(オーソドックスさ)はこの慣れ親しんだ題材に時折新しい光と新鮮な風を吹き込んでいる。それは、今日を生きる私たちにとって(良くも悪くも)"わかるわかる"(バラエティ番組の再現VTRまで)と言いたくなるものだ。現代人の孤独であったり、狡さや愚かさ。
クマさんみたいなブレンダン・フレイザーのチャーミングさ・人懐っこさと人柄の良さが存分・前面に出たキャラクターで、彼は『ザ・ホエール』とは違った魅力を遺憾無く発揮している。つまり、観客は例外なく彼のことを好きになってしまうだろう。歳を重ねてもなお彼が優れたコメディアンであり、そこに成熟味も足されたことで、益々味わい深く奥行きを感じさせる存在感を、実に肩の力の抜けた出で立ちでスクリーンに見せてくれていて嬉しい。
日本ではどこにでも神がいて、自分自身の中にもいる八百万の神。主人公は日本歴が長い設定のキャラクターであるため、所謂"異文化もの"コメディのような日本イジりで、余計な時間を割いたりはしない。喜久雄役の柄本明さんが安定にノリノリで魅力的!平岳大ってこんなに日本語あれだったっけ?音楽は、まさかのヨンシーで、彼らしい空気感が作品と調和していた。社長のオチは、どっかで見たような話だなと思った(この仕事でなんであんなにいい家に住めんだろうな?)。

「日本では自動販売機より神様のほうが多い」

P.S. まさか柄本明さんの喜寿を祝えるとは。長生きしてください。あと、舞台挨拶に関しては、HIKARI監督が、キャストがそれぞれ話すときに、話している人の方をちゃんと見ては満面の笑みで見守っているのが印象に残った。

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とぽとぽ