愛はステロイドのレビュー・感想・評価
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怪作・怪演
ノーチェックの作品でしたが奇妙なタイトルとレビューの評価の高さにつられて鑑賞。
80年代を舞台にしたレズビアン2人の破天荒なクライム・ラブストーリー。
ジムを経営する訳ありイケメンレズビアンが主人公で、彼女のもとにこちらもいわくありげな女ボディビルダーが流れ着くという…出だしからしてビジュアルの引きが強く、一気に前のめりになってしまいました。
クズ男たちへの復讐でビアンカップルが共犯関係に陥るくだりは「テルマ・アンド・ルイーズ」を彷彿。
ただし薬物(ステロイド)によるトランスフォームが悲劇の引き金を引く展開は裏サブスタンスという趣で新しい。
(血飛沫、グロシーンもまあまああるので要注意)
結局、男たちへの復讐は成就したのかもしれませんが、女の情念は扱いが大変そうと思わされてしまいました…
今作の魅力は何と言っても俳優陣。
主役から脇役まで全員がクセ強すぎ、一瞬たりともスクリーンから目が離せず。
エド・ハリスの醒めた目つきが大好きなんですが、今回は見慣れたハ○にプラスロン毛という悪趣味な見た目も相まって史上最高の怪演。
そしてクリスティン・スチュアートのアンドロジナス的な魅力よ。
実生活ではゲイ(バイセクシャル?)を公言していますがこんな色男なんですね。
モテモテの巻き込まれ型ヒーローが似合いすぎでした。
女性ボディビルダーを大スクリーンで観る機会も珍しく、なかなかの怪作ですね。
観てよかったです。
コレでイイのか?
最初から最後まで相当イッちゃった内容でした。「え・えぇぇぇ~⁉」って感じ。
それなのに、シーンごと(sex、筋肉の【バキバキっ音】や巨大化、出産(?))にはどこか既視感ありで新鮮味はそれほどなく。
でも、有り得ない展開で「いやちょっと、そりゃないだろ!」がずぅっと続くから、そこは印象的でした。
そしてファッション、80年代後半って、確かにあんな感じ、ピッタピタの短パンに白の2本千ソックス(ファミマみたいな奴)、ヨレっとしたジャンパー、ロッキー初期の頃やフラッシュダンスが蘇ってきて、そっちの方がストーリーよりも嬉しかったりして。
役者さんでは、クリステン・スチュアート。この方はワタシの中では「エージェント・ウルトラ」のお姉ちゃん役のイメージだったので、随分と大人になって(でも顔には青タンこさえたり鼻血だしたり)、身体も相方のジャッキーほどではないけれど腹筋の仕上がり具合なども見事で、体当たりの演技が見事でした!
というわけで、演者さんたちのぶちかましに土俵際まで一気に持って行かれ、うっちゃりかなわず寄り倒されて勝負あり!な作品でした。
デ、デケェ!!
映画の中にはある1シーンだけが妙に観客の心に残り、何年経ってもそこだけが語られるものがある。
「クライングゲーム」の【びろーん】とか「レザボアドッグズ」の【耳】とか「スターリングラード」の【ケツ】とかだ。
それがこの映画の場合は【デ、デケェ!!】だ。いやあ、よかったねあれは。最高だ。
とにかくいろいろあってもあの場面で笑わせたらこの映画は勝ちだ。
あえて言うとすればあのシーン以外はロジックも含めてキッチリ作って欲しかった。
例えば証人の女を消すくだり。なんでエド・ハリスはあの女のことを知ってるんだ? いくらなんでも勘が良すぎるとかね。
ただまあ、こういうのも野暮な気もしてきた。何年かたって「昔、こういう映画があってさ、いや中身は置いといてもあれは凄かった。え、見てないの?」と友人相手に話してるだろう。
追 さすがに邦題は酷いか。かと言って原題もピンとこない。単純に「ステロイド」でよかったんじやないかな。
惜しい作品
この映画自体がドーピングでボロボロ
クリステン・スチュワート、ケイティ・オブライアン、主演2人は素晴らしい。
しかし、ストーリーは陳腐で演出はインパクトだけが勝負。要するに典型的なダメA24映画。
超人ハルクみたいに筋肉がムキムキになるCGの演出が死ぬほど何回も繰り返されるので、本当にウンザリする。挙げ句の果てには「しつこく繰り返したのは、こんなビックリをやるためでーす」とオチがつくのだが、これがまた本当に下らない。
せっかくのエド・ハリスもほとんど出落ちの髪型勝負。カブトムシを食べさせても何のインパクトもない。
クィアとかシスターフッドとかほとんど関係なく、ジャッキーは単なる脳筋で、ルーはその後片付けに追われるばかりにしか見えない。それ以外はひたすらセックス。この映画自体がドーピングでボロボロになっているように見える。「テルマ&ルイーズ」と比べられたりしているが、リドリー・スコットに失礼すぎる。
あと、「サブスタンス」と似てるとかいう人も多いが、この作品はボディホラーやルッキズム要素は1mmもない。まったく似てないです。女性監督が女性を撮っただけで、似てるとか言うのは女性をなめくさってるだけなのでは。
エロ、グロ、ゲロ、ハルク!
「ボディビルダー好き」
確かにタイトル通りのインパクト
意外にタイトルのピッタリな映画だった。A24か。そして80年代の話なんだね。やっぱりこのテーマは近年まったく常識が変わっているのでこの時代でないと効かない。『テルマ&ルイーズ』というよりウォシャウスキーの『バウンド』とデビッドリンチとコーエン兄弟の初期作品を思い出した。主役のふたりもいいが、なんと言ってもエド・ハリスの髪型とファッションと職業(射撃訓練所)が素晴らしい。肉体テーマではサブスタンス
で、やっぱり田舎の犯罪映画は面白い。もうこのサイズのノワールは配信ドラマかアートでしか見れない。けれど闇に浮かぶハイウェイの道、狂った親子、恋、の背景がレズビアンと80年代マッスルカルチャーというオシャレさ。そして昨日見た『8番出口』にないものがだいたいある。それはパラノイアを演出する際のディテールの豊かさ。人の殺し方、死に方、襲い方、死体の描写、死体の処理の仕方。
意外と普通でまんまだなと思ったら─ちょっとだけ笑
主演のクリスティン・スチュワートが・・・スクリーンで見るたびに異質?病んでる?先進的・・・と思っちゃうのですけど、この作品でもなかなかぶっ飛んだ役でした。女優の私生活なんて知る由もないのですけど、異質な役が意外とそのまんまという感じで、なんだか素の彼女を見ているような感覚で観賞していたような・・・だから、ぶっちゃけ内容はそんな面白くないと感じつつも、作品自体は結構楽しむことができた気がします。試しにウィキとかで確認してみると、多少納得感が得られて趣味悪くニンマリしちゃいましたが、同時になかなか凄いアーティストだと認識できました。
さて作品の内容についてですが、人間関係は特殊な設定に思えましたが、出来事や展開などはありがちなクライムな感じで、意外と普通だなぁと思ってしまったのですが、良くも悪くもちゃんと予想を上回る事柄なんかもしっかりあったので、ちゃんと楽しめる作品だと思いました。なんか古くさい気がしたんですけど、それもまた作品のしっかりとしたコンセプトなんだと理解するとまた味わい深いのかもしれません。古!と思いきや斬新?だったりしてそれもまた楽しいかと─。とはいえ、何度も見たいものでもないのですが・・・
女性の気持ちは難しい
クソのような人生の出口
最高でした。
暴力と家父長制の解体というテーマをこの角度から描くか!という発想の面白さの前に、ストーリー上の多少の難点はもうどうでもよくなります。
クールなクリステン・スチュワートと、
なんともかっこいいケイティ・オブライアン。
本当にボディビルをやっていただけあって、ポーズの取り方も堂に入っていて、大きな大会のわりにしょぼいステージ(今は盛んなボディビルも、1989年当時はあんなものだったのでしょうか?)でも、輝いていました。
まあ、ステージの途中でとある展開になりますが……
最後にジャッキーが……するシーンは思わず感動してしまいました。
日本にも「我が友、スミス」という女性ボディビルダーを描いた小説があるのですが、日本で映画化は無理か……
歪んだ愛のショーケース
リバウンド?!
予想通り、ジュリア・デュクリュノーの『TITANE』、コラリー・ファルジャの『サブスタンス』なんかと同系列の作品だった。単なるレズビアン&フェミニズム映画では目新しくも何ともなくなった昨今、ステロイド中毒に陥った女性ボディビルダーとジム従業員の性と愛をマッスルに描いてみせたA24特製スリラーである。
1990年生まれのミレニアル世代監督ローズ・グラスの長篇デビュー作『セイント・モード/狂信』も拝見させていただいたのだが、ミス・リードがなかなか効いてる力作スリラーであった。今作に関しては、中毒、幻覚、ゲロ、流血といった流行りの演出に固執しているせいか、スケールが逆に“小さく”なってしまった気がする。
エド・ハリス演じる毒父が体現する女性蔑視のマチズモにメラメラと敵がい心を燃やすフェミニストといった、A24ど定番のジャンル映画。筋肉もりもりのマッチョたち相手に、主人公のルーを演じる華奢な身体のクリステン・スチュワート一人ではあまりにも荷が重すぎる。そこで用意されたのが“女ハルク”ジャッキー(ケイティ・M・オブライエン)だったのだろう。
のっけから💩がつまったジムのトイレにクリステンの手を突っ込ませるグロいシーン。その後、血飛沫あり、ゲロあり、SEXありのサービス精神てんこ盛りなのだが何かが物足りない。ギリシャ神話に目配せした『TITANE』や、スタンリー・キューブリックに捧げたオマージュがなかなか面白い『サブスタンス』に見られる、“エログロだけじゃないのよ”的な+α演出(テルマ&ルイーズというよりもリンチのワイルド・アット・ハート寄せか?)が弱すぎるのだ。
“肝っ玉が小さい癖に大きいふりをする”マチズモを蔑んだ“大蔵大臣?”というよりは、ステロイドの打ち過ぎで自分が“ハルク”に変身する幻覚をみた中毒症女のお伽噺に終わってしまっている。ステロイドにしてもニコチンにしても恋愛にしても、一旦中毒に陥ったら死ぬまでやめられない人間特に女性の危うさ。食事制限と日々のトレーニングが物を言う厳格なボディビルダーの世界だけに、多分そのリバウンド(天に届くほどに)も相当激しいのだろう(推測だけどね)。
愛と狂気と肉欲の果て
■ 作品情報
監督 ローズ・グラス。脚本 ローズ・グラス、ヴェロニカ・トフィウスカ。主要キャスト クリステン・スチュワート、ケイティ・オブライアン、ジェナ・マローン、デイヴ・フランコ、エド・ハリス。製作国 イギリス、アメリカ。
■ ストーリー
1989年のアメリカの田舎町のトレーニングジムで働くルーは、ラスベガスでの成功を夢見る野心家のボディビルダー、ジャッキーと出会い、瞬く間に恋に落ちる。官能的なまでに惹かれ合う二人の関係は急速に深まるが、ルーの父親は町を牛耳る凶悪な犯罪者であり、姉は夫からのDVに苦しんでいた。やがて、ジャッキーがルーの家族の抱える闇に巻き込まれていくことで、二人の愛は予期せぬ暴力と犯罪へと引きずり込まれる。甘美な恋物語は一転、先の読めないスリラーへと変貌していく。
■ 感想
序盤はルーとジャッキー、二人の女性の間に芽生える官能的な愛の物語に目を奪われます。お互いを激しく求め合う姿は、なかなか刺激的です。このまま情熱的なラブストーリーが展開されるのかと思いきや、物語は予想だにしない方向へと舵を切っていきます。
ジャッキーの暴走をきっかけに、一気にスリラー展開へと加速します。そのテンポのよさに目が離せなくなります。杜撰で行き当たりばったりにも映る二人の行動は、まるで激流に飲み込まれるかのようで、次々と巻き起こる出来事に翻弄されるばかりです。
そして終盤にかけての怒涛の展開は圧巻です。ルーの複雑な家族関係や過去の出来事、タバコへの依存、かつての恋人デイジーの存在といった、序盤から丁寧に張り巡らされた伏線が見事に回収されていく様はなかなか小気味よいです。もはや平穏な結末など存在せず、愛を貫くために全てを投げ捨て、逃避行へと身を投じるルーとジャッキーの姿に、なんとなく心を揺さぶられます。彼女たちの未来に明るい光が差し込む保証はどこにもありませんが、それでもこの二人の時間が少しでも長く続いてほしいと、願わずにはいられません。
はっきり言ってルーとジャッキーの行動にはちょっと共感しかねたり、物語の展開にちょっと引っかかったりする部分はあります。しかし、主演のクリステン・スチュワートとケイティ・オブライアンの熱量が、そのすべてを薙ぎ払って物語を力強く牽引していきます。まさに愛はステロイド!
全93件中、61~80件目を表示
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