愛はステロイドのレビュー・感想・評価
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A24の好きな田舎町陰謀もの。不思議の国のアリス風の味付けあり。
ややコメディ寄りのクィア・ロマンスかと思っていたら意外にも「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」ばりの田舎町陰謀サスペンス仕立てだった。エド・ハリスがとてもとても気持ち悪い悪役=町の大立者を演じていて説得力はバッチリ。
A24は公開間近のアリ・アスター監督の「エディントン」もそうだけどこんな感じの閉塞的な場所での行き場のない衝突みたいな話が好きだよね。煮詰まってくる感じ。「ファースト・カウ」や「ザ・ホエール」なんかもそうだった。
ところでこの映画の主役というか視点者は、皆、ルーであると考えるのだろうけど、ジャッキーの立場、視点で作品を観てみると面白いかも。ジャッキーは「不思議の国のアリス」なんですね。よそからやってきて、ジムやら射撃場やら暴力的で男臭い世界(女性からみたら不条理世界)に投げ込まれるヒロイン。アリスは身を守るためにキノコだったかケーキだったかを齧って大きくなるのだけど、ジャッキーにとってのそれはステロイドだという理屈。
ほら、ジャッキーのジム用ショートパンツだけどオレンジ色のストライプです。あれってアリスのエプロンドレスを意識しているんじゃないかな。で、最後は巨大化して悪の女王をやっつけましたとさ。あんな結論付けはA24以外はやらないよね。「怪獣ヤロウ!」にも少し似ている。向こうは知らないだろうけど。
散らかす女と片付ける女のサスペンススリラー
8ヶ月目にして今年観た中で一番変な映画が登場した。
「サブスタンス」や「メガロポリス」ももちろん変なのだが、一貫して変なのでそう驚きはしない。
ところがこの映画は予想を裏切って変なことになるので驚く。そしてこの映画は変な映画としてお墨付きをいただいている。変な映画のレジェンド、ジョン・ウォーターズ監督が2024年度の最高の映画と評価したのだ。
出だしはレズビアン同士のラブロマンスと思いきや、悪党の父親やDVの義兄の登場に巻き込まれるバイオレンス、サスペンス、スリラーと縦横無尽にジャンルを横断。ところがストーリーは破綻しておらず筋が通っている。
射撃場やジムの経営をしつつ凶悪な裏稼業を営む父親(エド・ハリス)の経営するボディービルジムで働くルー(クリスティン・スチュワート)は父を嫌悪しながらもその庇護のもと、日々を過ごしている。そこにラスベガスのボディビル大会出場を目指す風来坊のジャッキー(ケイティ・オブライアン)がジムに現れ恋に落ちる。彼女の気を引くためにジムの売り物のステロイドを自由に使っていいという。
ストーリーの柱になるのはこの二人の女性のクィアラブストーリーだ。ところがステロイドを使ううちに体に変化が現れ、ジャックは大暴走を始めてしまう。凶悪な父親も巻き込みルーはその後始末に翻弄される。
奔放でどんどん行動に移し散らかしまくるジャッキーに内向的で鬱屈し、散らかした後始末に追われるルーというカップル2人の対比がわかりやすく魅力的だ。
凶悪な父親やDV夫と暮らす姉などのかなりおかしい家族の描き方はデヴィッド・リンチ的でステロイドで肉体が変貌していくところはボディホラー的でデヴィッド・クローネンバーグの要素が感じられる。
ボディホラー的要素はラストにかけて驚きの展開をする。この辺りが最も変なのだが、変なままで終わらずに後始末に終始するルーがそうでない一面を見せるラストが素晴らしく、変だけではないローズ・ダラス監督の今後にも期待。
ジョン・ウォーターズがお墨付きを与えるのも納得の作品だ。
ステロイド・DV・同性愛…
男が見る愛はステロイド
こんな事を書くと時代遅れと言われるのかもしれないが、男の自分には理解出来ない部分も多々あった。
だからなんだってんだ!!
見る度に予想を覆してくるA24の映画最高!
上映館数が少ないからか、最近の洋画にしては珍しく客入りが良く、やっぱりフェミニズムを描いた映画って一定の需要があると思う。
なんかネットだと反フェミニズムの声が大きすぎて、結局フェミニズムを唱える事に躊躇しがちな雰囲気になっているけど、水面下ではちゃんと人気があるんだから、これからも臆せずこういう作品がじゃんじゃん出てくることを望みます。
だって創作って自分が知らなかったり理解出来ない世界を知るきっかけになるものでしょ。
マッチョな体育会系の世界って妙に女々しく感じたりします。感情的だし、仲間、家族、繋がりを異様なまでに大切にする。体育会系の人たちって誕生日を大事にしたりしません?男同士でプレゼント送りあったりして。僕の見てきた体育会系が変なだけ?
逆に外見はナヨっとした文化系が割とサバサバしてたりして、冷めたところがある。
この作品が面白いのは女性視点でマッチョな女性の世界を描いているところなのかな。
マッチョな女性の主人公たちがマッチョなのに女々しいところを見せたりして...もう何がなんだかわからなくなってきた。
個人的には、ラストシーンであれ?◯しちゃうの!?ってなった、ここまで来たらみんなで仲良く暮らすのもありじゃない??
なにはともあれ、エドハリスが超絶キモいことは確かです。
まさに「愛はステロイド」!
最初邦題見た時、「またトンチキな邦題付けて…」と思ったけど、観てみたらほんとに愛はステロイドだった(原題も好きですよ)。
そして登場人物みんな問題ある笑
A24の作品は裏切らないですね!
クセが強すぎる。
クリステンはこういう'70sがすごく似合うなーと。
ジャッキー役の女優さんの役作りが凄すぎて心配になりました…。
あと、やっぱり、ステロイド怖い。
テルマ&ルイーズ + サブスタンス ÷ 3
なんだこれは笑ぐちゃぐちゃ。
禍々しさ全開の愛、ゆえにファンタジーは要らない
まともな人間が出てこないぶっ壊れたテルマ&ルイーズ
純愛は脆くて危険
1989年のベルリンの壁崩壊当時のアメリカを舞台に、毒親、DV、ドラッグ、殺人、武器密輸などなど、ブラックな世界の中でもがく同性愛女性のお話でした。題材からして胸焼けするほど劇薬満載の作品でしたが、題名にもある通りテーマは”愛”というのが面白い所で、そうしたドロドロした中で2人の女性がどんな心境でどう行動するのかに注目して観ました。
お話の展開は激烈かつスリリングで、これでもかとネガティブな方向に進んで行きました。登場人物もろくでもない感じの連中がてんこ盛り。特に主人公ルー(クリステン・スチュワート)の父親であるルー・シニア(エド・ハリス)は風貌から悪行まで強烈でした。
で、メインテーマの”愛”ですが、純愛は純粋だからこそ不純物を嫌うという印象。でも世の中は不純物ばかりなので、純愛が汚されそうになるとそれを守るために手段は選ばないという展開でした。実際ルーと家なしでボディビルの大会出場を目指すジャッキー(ケイティ・オブライアン)の関係は極めて純粋。ただこの純愛を守るために殺人をするジャッキーの行動はかなり衝撃でした。
最初ルーに勧められた”ステロイド”を使うことで、大会に向けてパンプアップしていくジャッキーでしたが、その副作用で筋肉ばかりか精神まで高揚する不安定ぶり。結果邪魔者を殺してしまうとは!
実際ネットで調べてみると、ステロイドにはうつや不眠の副作用だけでなく、高揚感が出る副作用もあるようで、怖い薬であることは間違いない模様でした。ただあそこまでの行動にはなかなか至らないでしょうが。
いずれにしてもストーリーに関しては、かなり衝撃的であまり好みのタイプではありませんでしたが、役者の演技はいずれも抜群。主演のクリステン・スチュワートは、「スペンサー ダイアナの決意」のダイアナ妃以来でしたが、その時と同様の熱演でした。相方役のケイティ・オブライアンも、マッチョな肉体美とアクション、そして高揚感から殺人に至る精神状態の表現も素晴らしかったです。
そんな訳で、本作の評価は★3.6とします。
無理を通せば道理が引っ込む系剛腕ムービー
邦題の時点で、「何コレ?」という感じなのですが、いい意味で予想を斜め上に裏切っていく小気味のいい展開の連続。
テンションがちょっとでも違えば「製作陣は何を考えてこんな作品を……」と頭に浮かびそうなところですが、剛腕な展開と変な笑いの連続で最後まで押し切られ……そうなところで……これはもう劇場で見てくださいwwww
不思議な魅力に溢れた愛すべき作品です。
いろいろとやり過ぎ
A24独特の世界観に
クイア・ラブストーリー・犯罪・ミステリー・復讐劇&怪獣映画
僕はこの映画大好き。
アメリカの地方都市。ジムで働く女性と、ボディビルディングの大会での優勝を目指す女性の同性愛ラブストーリーと言う形を取っているのですが、とてもそんな枠は収まりません。
愛し合う二人のクイア物語とは言えず、犯罪映画の様であり、ミステリーの様であり、復讐劇の様であり、ホラーの様であり、或いは怪獣映画とすら言えるのです。少しずつ謎を見せながら、テンポよくそれを回収して行きます。
そもそも彼女らも褒められた人間ではありませんが、それでもよりクズな男どもに怒りを爆発させる、その瞬間の筋肉の漲りに客席から「うぉ~」と拳を振り上げたくなりました。肉を引きちぎった様なヌラヌラした肌触りに痺れました。
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