愛はステロイドのレビュー・感想・評価
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いいですねぇ、燃えますねぇ、「テルマ&ルイーズ」の再来のよう
ハチャメチャ豪快ですが、こんな無軌道な快作もホント久方ぶりで、燃えますよ。冒頭から夜空の星の輝きがやたら美しく描かれ、ファンタジーがお好きな監督とお見受けしたら、まんまと後半はファンタジーどころか夢か妄想かを大量にぶっ込んでくる。拍手喝采ですよ。
看板スターはクリステン・スチュワートで、私のお気に入り女優ですよ。ガラス細工のような華奢な見た目とは裏腹にド根性の持ち主なんです。その彼女が自らの性向に真っ正直に取り組んだのが本作でしょう。そこへ、流れ者のボディビルダーのマッチョ女が登場し、一目で恋に落ちる。その前段でジム通いの男どもから「どレズ」のセリフがあるからこそ、落ちる瞬間も見て取れる。このラブロマンスによりトンデモナイ事態に発展するのが映画の醍醐味でしょうね。
対する元ボディビル選手役のケイティ・オブライアンご自身の性向は知りませんが、タフな役であちこちに出てらっしゃる役者さんでした。この二人の関係性を瞬時に見破るのがエド・ハリス扮するルーの父親役であり、ジャッキーの雇い主。ですが禿げた頭の左右のみ異様に長く伸ばした風貌から、これは一筋縄ではいかない事を暗示させる。そして発端となる馬鹿男にデイブ・フランコ(ジェームズの実の弟、フランコはホントにクソ野郎がお似合い)が扮していれば、布陣は揃った。
こうしてレズビアンがキーとなるものの、男女も男男も関係なく、「愛すれば一途」に突き進むのが本作のポイント。どうにも止まらない暴走で事態は悪化の一途、その過程で本年のデミ・ムーアの快作「サブスタンス」よろしくバリバリと音を立てて筋肉が増殖するなんて、突然の吐き気によりみるみる口から異物が吐き出されそれがルーとなるなんて、あちらもこちらも女性監督ってのが偶然とは思えない。時代がそうさせているとしか思えません。さらにジャッキーは体が巨大化と言うかガリバー状態にまで視覚のインパクトが留まるところをしらない。
そもそも原題「Love Lies Bleeding」に対し邦題が下らないと思ってましたが、実に納得のステロイドでした。地球の裂け目のようなところで、死体を隠すあたりは否が応でも「テルマ&ルイーズ」1991年 を思い出させる。クリスティン扮するルイーズは スーザン・サランドンの役名と同じでもあるので。この辺りで描かれる時代が1989年と示され、ちょっと驚き。二人の別行動に連絡方法があったらこんな悲劇も抑えられたかも、でケータイのない時代としたのか。そしてタバコです、洋画も邦画も20世紀の設定ですとやたらタバコが登場します。実際そうゆう時代でしたが、本作ではよりによってタバコの害を訴える音声が頻繁に被ります。それでもルーは殆どチェーンスモーカー、ここにステロイドが社会に入り込む時代の境目を示したかったのかも。
結構三つ巴の混戦で話が次々展開する疾走感と言うかドタバタの最中に、二人の愛の成就を見届けたい気持ちが湧いてくる。どう足掻いたって助かりようのない二人、「テルマ&ルイーズ」よろしく逝ってくれと願うのみ。エンドタイトルではシルエットとなって二人が仲睦まじく踊っている。切ないねえ。
中毒、封印した記憶、巨悪、そして限界突破・リミッター解除……愛は血を流して(=自分を痛めつけて)こそ証明できる究極の献身
『テルマ&ルイーズ』というより、(エド・ハリスだし)『ヒストリー・オブ・バイオレンス』担当イケメンすぎるクリステン・スチュワート ✕『サブスタンス』ボディホラー担当ケイティ・オブライアン最強タッグだった!!
『セイント・モード/狂信』ローズ・グラス脚本監督 ✕ A24製作だけあって魅惑的な雰囲気ありありの中、危険分子の早々の退場など、予期せぬストーリー"ライン"(=筋肉線)展開で魅せる。コーエン兄弟もまっしぐらの殺人雪だるまで、殺人カップルの逃避行と思ったら、田舎のヤバい家族モノだった!そして、最後にはリスキーな選択を取ることで観客に驚きと「え、どういうこと?あれなんだったの?!!」という考えさせる余韻を残す。それに続くインパクト大の印象的なカットが素敵だった。時は、ベルリンの壁が崩壊した1989年。筋肉と対を成すように、男根社会に屈する拳銃、そして髪の長い男。
欲望と暴力渦巻く世界で、愛と変革は血を流して(=自分を傷つけて)こそ?ニコチンとステロイド、中毒になると不安や孤独に押しつぶされそうにもなるけど、やめる・断つという「ハナからそれできたら誰も苦労しないわ!!」というわかりきった選択ではなく、むしろ愛する人がいるからこそ、自分をボロボロにして無理を強いるような愚かな行為も肯定できるのだろうか?ルールーが己のトレーニングのみで勝負したいジャッキーにステロイドを勧めるのと、危険分子が禁煙中のルールーにタバコをプレゼントすることが、同じ図式になっている。
『サブスタンス』と共振する痛快豪快な恋愛スリラーで、女性監督がジャンル映画でここまでブチかましてくれるその意味を考えたくなる劇薬!!
P.S.『イントゥ・ザ・ワイルド』を観たときにどことなく似ているなと思ったジェナ・マローンとクリステン・スチュワートが姉妹役で共演は、時を超えて「ほれ、見てみぃ!!」とドヤりたい。
女性同士の物語にする必要性はあったのだろうか?
制御不能な事態に陥った登場人物達が、さらに面倒な事態を引き起こしていく様子は面白いし、どこに転がっていくか分からない予測不能な展開には引き込まれる。
特に、必死になって助けようとしている恋人から銃を向けられて、「何で?!」と驚くクリンテン・スチュワートの表情には笑ってしまった。
その一方で、「男性に虐げられた女性が反撃に出る」といったジェンダーを意識したような作りにはなっていないし、ボディビルダーの恋人やストーカーまがいの目撃者を、そっくり「男性」に置き換えても物語が成立するので、一体何のために女性同士の愛の物語にしたのかがよく分からなかった。
考えてみれば、恋人が、わざわざDV男を殺さなくても、主人公の父親が、娘に暴力を振るった上に密告者でもある彼を、うまく「処分」してくれたはずだし、そうであれば、恋人は、何のトラブルもなくボディビルの大会に出場できたに違いない。
元を正せば、恋人が、ついカッとなってDV男を殺してしまったのも、あるいは、ボディビルの大会で錯乱状態になって留置場に送られてしまったのも、ステロイドの過剰摂取による副作用のせいだろう。
確かに、ラストで、恋人が巨体化できたのはステロイドのおかげだし、それが、観た者の度肝を抜くような見せ場にもなっているのだが、それでも、この映画にメッセージがあるとすれば、「薬物の乱用は身を滅ぼす」ということだと思われるのである。
ところで、そのラストで、父親が、どうしてさっさと恋人を殺してしまわなかったのかが不思議だし、仮に、主人公をおびき出すために生かしておいたのだとしても、テニスコートで彼女達がよりを戻す時間をわざと与えていたとしか考えられず、「エド・ハリスは、やはり、娘想いの善い人だったんだなぁ」と思ってしまった。
それから、殺人に手を染めるという点において、主人公も、恋人と同等の立場にしたかったのかもしれないが、目撃者が息を吹き返した上でそれを始末するというエンディングは、必要なかったのではないかと思えてならない。
ゴア描写満載のヒデェ映画なのに、終映後の客席からは、妙齢の御婦人方からの笑い声が溢れた!
バカ映画とスリラーの間で
怪作・怪演
ノーチェックの作品でしたが奇妙なタイトルとレビューの評価の高さにつられて鑑賞。
80年代を舞台にしたレズビアン2人の破天荒なクライム・ラブストーリー。
ジムを経営する訳ありイケメンレズビアンが主人公で、彼女のもとにこちらもいわくありげな女ボディビルダーが流れ着くという…出だしからしてビジュアルの引きが強く、一気に前のめりになってしまいました。
クズ男たちへの復讐でビアンカップルが共犯関係に陥るくだりは「テルマ・アンド・ルイーズ」を彷彿。
ただし薬物(ステロイド)によるトランスフォームが悲劇の引き金を引く展開は裏サブスタンスという趣で新しい。
(血飛沫、グロシーンもまあまああるので要注意)
結局、男たちへの復讐は成就したのかもしれませんが、女の情念は扱いが大変そうと思わされてしまいました…
今作の魅力は何と言っても俳優陣。
主役から脇役まで全員がクセ強すぎ、一瞬たりともスクリーンから目が離せず。
エド・ハリスの醒めた目つきが大好きなんですが、今回は見慣れたハ○にプラスロン毛という悪趣味な見た目も相まって史上最高の怪演。
そしてクリスティン・スチュアートのアンドロジナス的な魅力よ。
実生活ではゲイ(バイセクシャル?)を公言していますがこんな色男なんですね。
モテモテの巻き込まれ型ヒーローが似合いすぎでした。
女性ボディビルダーを大スクリーンで観る機会も珍しく、なかなかの怪作ですね。
観てよかったです。
コレでイイのか?
最初から最後まで相当イッちゃった内容でした。「え・えぇぇぇ~⁉」って感じ。
それなのに、シーンごと(sex、筋肉の【バキバキっ音】や巨大化、出産(?))にはどこか既視感ありで新鮮味はそれほどなく。
でも、有り得ない展開で「いやちょっと、そりゃないだろ!」がずぅっと続くから、そこは印象的でした。
そしてファッション、80年代後半って、確かにあんな感じ、ピッタピタの短パンに白の2本千ソックス(ファミマみたいな奴)、ヨレっとしたジャンパー、ロッキー初期の頃やフラッシュダンスが蘇ってきて、そっちの方がストーリーよりも嬉しかったりして。
役者さんでは、クリステン・スチュアート。この方はワタシの中では「エージェント・ウルトラ」のお姉ちゃん役のイメージだったので、随分と大人になって(でも顔には青タンこさえたり鼻血だしたり)、身体も相方のジャッキーほどではないけれど腹筋の仕上がり具合なども見事で、体当たりの演技が見事でした!
というわけで、演者さんたちのぶちかましに土俵際まで一気に持って行かれ、うっちゃりかなわず寄り倒されて勝負あり!な作品でした。
デ、デケェ!!
映画の中にはある1シーンだけが妙に観客の心に残り、何年経ってもそこだけが語られるものがある。
「クライングゲーム」の【びろーん】とか「レザボアドッグズ」の【耳】とか「スターリングラード」の【ケツ】とかだ。
それがこの映画の場合は【デ、デケェ!!】だ。いやあ、よかったねあれは。最高だ。
とにかくいろいろあってもあの場面で笑わせたらこの映画は勝ちだ。
あえて言うとすればあのシーン以外はロジックも含めてキッチリ作って欲しかった。
例えば証人の女を消すくだり。なんでエド・ハリスはあの女のことを知ってるんだ? いくらなんでも勘が良すぎるとかね。
ただまあ、こういうのも野暮な気もしてきた。何年かたって「昔、こういう映画があってさ、いや中身は置いといてもあれは凄かった。え、見てないの?」と友人相手に話してるだろう。
追 さすがに邦題は酷いか。かと言って原題もピンとこない。単純に「ステロイド」でよかったんじやないかな。
惜しい作品
この映画自体がドーピングでボロボロ
クリステン・スチュワート、ケイティ・オブライアン、主演2人は素晴らしい。
しかし、ストーリーは陳腐で演出はインパクトだけが勝負。要するに典型的なダメA24映画。
超人ハルクみたいに筋肉がムキムキになるCGの演出が死ぬほど何回も繰り返されるので、本当にウンザリする。挙げ句の果てには「しつこく繰り返したのは、こんなビックリをやるためでーす」とオチがつくのだが、これがまた本当に下らない。
せっかくのエド・ハリスもほとんど出落ちの髪型勝負。カブトムシを食べさせても何のインパクトもない。
クィアとかシスターフッドとかほとんど関係なく、ジャッキーは単なる脳筋で、ルーはその後片付けに追われるばかりにしか見えない。それ以外はひたすらセックス。この映画自体がドーピングでボロボロになっているように見える。「テルマ&ルイーズ」と比べられたりしているが、リドリー・スコットに失礼すぎる。
あと、「サブスタンス」と似てるとかいう人も多いが、この作品はボディホラーやルッキズム要素は1mmもない。まったく似てないです。女性監督が女性を撮っただけで、似てるとか言うのは女性をなめくさってるだけなのでは。
エロ、グロ、ゲロ、ハルク!
「ボディビルダー好き」
確かにタイトル通りのインパクト
意外にタイトルのピッタリな映画だった。A24か。そして80年代の話なんだね。やっぱりこのテーマは近年まったく常識が変わっているのでこの時代でないと効かない。『テルマ&ルイーズ』というよりウォシャウスキーの『バウンド』とデビッドリンチとコーエン兄弟の初期作品を思い出した。主役のふたりもいいが、なんと言ってもエド・ハリスの髪型とファッションと職業(射撃訓練所)が素晴らしい。肉体テーマではサブスタンス
で、やっぱり田舎の犯罪映画は面白い。もうこのサイズのノワールは配信ドラマかアートでしか見れない。けれど闇に浮かぶハイウェイの道、狂った親子、恋、の背景がレズビアンと80年代マッスルカルチャーというオシャレさ。そして昨日見た『8番出口』にないものがだいたいある。それはパラノイアを演出する際のディテールの豊かさ。人の殺し方、死に方、襲い方、死体の描写、死体の処理の仕方。
意外と普通でまんまだなと思ったら─ちょっとだけ笑
主演のクリスティン・スチュワートが・・・スクリーンで見るたびに異質?病んでる?先進的・・・と思っちゃうのですけど、この作品でもなかなかぶっ飛んだ役でした。女優の私生活なんて知る由もないのですけど、異質な役が意外とそのまんまという感じで、なんだか素の彼女を見ているような感覚で観賞していたような・・・だから、ぶっちゃけ内容はそんな面白くないと感じつつも、作品自体は結構楽しむことができた気がします。試しにウィキとかで確認してみると、多少納得感が得られて趣味悪くニンマリしちゃいましたが、同時になかなか凄いアーティストだと認識できました。
さて作品の内容についてですが、人間関係は特殊な設定に思えましたが、出来事や展開などはありがちなクライムな感じで、意外と普通だなぁと思ってしまったのですが、良くも悪くもちゃんと予想を上回る事柄なんかもしっかりあったので、ちゃんと楽しめる作品だと思いました。なんか古くさい気がしたんですけど、それもまた作品のしっかりとしたコンセプトなんだと理解するとまた味わい深いのかもしれません。古!と思いきや斬新?だったりしてそれもまた楽しいかと─。とはいえ、何度も見たいものでもないのですが・・・
映画は最後まで観るもの・・・を再確認
いやー、途中まで嫌~な気分で観てたんですよ。
これ、配信とかだったら「やりきれない気分」で途中で観るの止めてたと思います。
しかし、最後の最後に僕にとって理想的な結末が訪れました!
「最後まで頑張って良かった!!」
もう、僕が切った身銭はこのシーンの為だったのでしょう。
という事で、私の「映画は劇場で」はまた延長です。
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