「こんなの反則だよ(とてもいい意味で)」愛はステロイド kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
こんなの反則だよ(とてもいい意味で)
ジムで働くルーと、ボディビルの大会に出場するため転々としているジャッキーが出会い、2人の愛の営みを描く序盤。ルーの父親や姉夫婦が絡んでからは徐々におかしな方向に転がっていく。
クライムサスペンス的な話としてなかなか面白くなってきたなと思っていたら、どんどんイカれた展開に。ちょいちょい出てくるいくつかのグロいシーンは突然すぎてちょっと笑ってしまった。女性の監督が撮ってるのにこんなにグロくするんだ!と少し戸惑うくらい。さらに最後のジャッキーの姿に驚いた。なんだこれ!?と。こんなの反則だよ(とてもいい意味で)。「愛はステロイド」なんて邦題は最悪だなと思っていたが、あのシーンを観ると、この邦題にした理由がほんの少し理解できる。
クリステン・スチュワートの魅力がつまっていたことも印象的だ。とても美しくて、それでいて凛とした佇まいがカッコいい。主演2人をキャスティングした段階で成功していたんじゃないか。
クィアの恋愛感情、ルーの姉のDV被害、周りの男たちの視線や嘲笑、所々で女性の生きづらさが描かれるあたりは監督が女性だよなと納得できる作り。その生きづらさがから逃れようとする流れを観て、テイストが全く違う映画だが「テルマ&ルイーズ」を思い出していた。あれに比べると、より闘う姿勢が強くなり、しなやかになっている印象。時代が変わっているなと実感する。なかなかめちゃくちゃだし、グロかったりもするが、でも観終わった後は少し爽快だったりする。とても妙な映画だった。
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