「タイトルなし(ネタバレ)」愛はステロイド りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
1989年、米国南西部ニューメキシコの田舎町。
20代の女性ルー(クリステン・ステュワート)は、父親(エド・ハリス)が経営するトレーニングジムで働いている。
ある日、女性ボディビルダーのジャッキー(ケイティ・オブライエン)と出会う。
ジャッキーは、ボディビル大会へ出場する途中、この町に立ち寄ったのだ。
無銭のジャッキーは、ルーの父親が経営する実弾を使った射撃場のウエイトレスとして働くことになった。
経緯は、ルーの姉婿の口利き。
ルーの兄とは、この町に流れ着いた夜に関係を持ったのだ。
ルーはジャッキーに、「父も姉婿もクズだから、早くウエイトレスをやめろ」と忠告する。
実際、父は町を陰で牛耳る悪党、姉婿もDVで姉に重傷を負わせてしまう・・・
といったところからはじまる物語。
あらすじだけ書き出せば、田舎町に流れ者がやって来、悪党どもを成敗し、可憐な娘を救い出す・・・お馴染みの物語だ。
が、観終わってすぐの感想は「ケッタイな映画やなぁ」に尽きる。
デヴィッド・リンチ監督『ワイルド・アット・ハート』『ブルーベルベット』をはじめて観た時と同じような感じ。
それ以上は、ちょっと言葉にするのが難しかった。
疾走感とか躍動感とか、そういうものとは懸け離れているし、共感とか切なさからも遠い。
おもしろいわけでもないが、つまらないわけでもない。
そんな感じ。
ベルリンの壁が壊される時代を背景に、壊すことのできない「見えない壁」がそこいらへん一帯にあるなかでの物語だからか。
現在では「見えない壁」のいくつは壊されているし、現在の視点でみてはいけないのか・・・
と、つらつら考えて思い至ったのは、
女性同士なのに、いざこざの解決は、男勝りの肉体と暴力、それに銃・・・というのが受け付けなかったからか。
特に、怒りに任せて暴力でカタを付けるの図に辟易したのだろう。
観るまでは『テルマ&ルイーズ』かしらん、と思ったが、しばらくして、どことなく雰囲気が似ていると思った映画は『バッドランズ/地獄の逃避行』。
『バッドランズ』における「わたしを何処かへ連れてって」感。
同作では、惚れた男のクズぶりに若い娘が途中で気づいて愛想をつかすあたりが面白かったが、本作ではルーはジャッキーのダメっぷり(ステロイド中毒になって、ルーを一旦は放り出す)に気づきながらも、助け出してくれることで、ジャッキーについていってしまう。
なんだかなぁ、としか思えない。
ある種、マチズモの肯定。
女性が憧れるマッチョ。
まぁ、見た目はおもしろいから、「おもしろいわけでもないが、つまらないわけでもない」と思ったのだろうなぁ。
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