「STARGAZE」愛はステロイド ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
STARGAZE
今年公開のA24作品とは中々相性が悪く、今作もどうなるかなーと期待半分不安半分で観ましたが、想像以上のぶっ飛びっぷり、それでいて破綻していないストーリーになっており、ここ最近のA24作品の中では1番好きな作品でした。
序盤はガールミーツガールで進んでいくのかなーと思ったら、早めにステロイドで筋肉バッキバキになっていきますし、街の中で様々な事件が起きていき、2人の愛も一筋縄ではいかない展開になっていくので飽きることなくノンストップで楽しめます。
ジャンルがドッタンバッタン変化していき、ラブコメかと思いきやノワールになって、かと思いきや体の変形が一気に出てくるボディホラーになって、最終的にはそれらをごちゃ混ぜにして独自の要素を醸し出すとかいうイカれた作りになっているので、ジャンル映画好きとしてはこの上ないくらいテンションが上がっちゃいましたね。
筋肉はなんでも解決するし、引き金にもなるという、ステロイドを用いる前と後でも物語のキーになってのも印象的でした。
やっぱ筋肉羨ましいです。
終盤にかけた勢いは凄まじく、ルーとジャッキーが少し離れていく中で、ボディビル大会でブチギレて相手選手をボコボコにしてしまって収監されたジャッキーがルーのパパさんに保釈金を払ってもらい、その代償として人殺しの依頼が発生し、ルーはルーでめんどくせぇ女に絡まれていて、このめんどくせぇの酷い目にあったら面白いのになーと思ったらジャッキーが弾丸ぶっ放してくれたので、ルーにとっては衝撃的なシーンだと思いますが、いち観客としてはスッキリしました笑
パパさんがブチ切れてから部屋のものを壊したり、カブトムシの入ってるショーケースを割ったりするまではうんうんと思いながら観ていましたが、なぜかカブトムシをムシャムシャ食ったのが意味不明すぎてめっちゃ笑いました。
ピンチの時現れる大切な人が大きく見えるっていう比喩表現は聞いたことがありますが、まさか本当に大きくしてしまうとは思わずでめっちゃ面白かったです。
まるでハルクのように巨大化し、パパさんをとっちめてからの口の中に銃を突っ込んで警察に突き出すという社会的抹殺かつトラウマを植え付けるというエッジの効いた決着は最高にクールでした。
そこからの2人の逃避行は序盤のガールミーツガールのようで美しかったんですが、ある意味邪魔者なメンヘラ女がなぜか生きていたので絞め殺してからの捨ててからのタバコを一服というラストもめちゃめちゃカッコいいですね。
非喫煙者ですがこういうカッコいい喫煙シーンを観るとココアシガレットを咥えたくなります。抹茶味が好きです。
主演2人含め役者陣の体当たりな演技が素晴らしく、主演2人は可憐さとカッコよさを同時に解き放つビジュアルや体格、アクションがあって惚れ惚れしました。
素晴らしいパターンの邦題だったのも良きポイントで、原題のままだとテーマや内容と少しズレがあったんですが、邦題だと愛のパワーで障害を乗り越えまくれる、そしてステロイドという中毒性のあるものも同時に表現しているというナイスな邦題でした。
ジャンルフルミックスで色んな映画を楽しめるという点でも面白かったですし、好みは分かれると思いますがもう一回見たいくらいにはとち狂ってて良かったです。
A24作品、このくらいの塩梅でずっと狂ってて♡
鑑賞日 9/2
鑑賞時間 18:25〜20:10
