「純愛は脆くて危険」愛はステロイド 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)
純愛は脆くて危険
1989年のベルリンの壁崩壊当時のアメリカを舞台に、毒親、DV、ドラッグ、殺人、武器密輸などなど、ブラックな世界の中でもがく同性愛女性のお話でした。題材からして胸焼けするほど劇薬満載の作品でしたが、題名にもある通りテーマは”愛”というのが面白い所で、そうしたドロドロした中で2人の女性がどんな心境でどう行動するのかに注目して観ました。
お話の展開は激烈かつスリリングで、これでもかとネガティブな方向に進んで行きました。登場人物もろくでもない感じの連中がてんこ盛り。特に主人公ルー(クリステン・スチュワート)の父親であるルー・シニア(エド・ハリス)は風貌から悪行まで強烈でした。
で、メインテーマの”愛”ですが、純愛は純粋だからこそ不純物を嫌うという印象。でも世の中は不純物ばかりなので、純愛が汚されそうになるとそれを守るために手段は選ばないという展開でした。実際ルーと家なしでボディビルの大会出場を目指すジャッキー(ケイティ・オブライアン)の関係は極めて純粋。ただこの純愛を守るために殺人をするジャッキーの行動はかなり衝撃でした。
最初ルーに勧められた”ステロイド”を使うことで、大会に向けてパンプアップしていくジャッキーでしたが、その副作用で筋肉ばかりか精神まで高揚する不安定ぶり。結果邪魔者を殺してしまうとは!
実際ネットで調べてみると、ステロイドにはうつや不眠の副作用だけでなく、高揚感が出る副作用もあるようで、怖い薬であることは間違いない模様でした。ただあそこまでの行動にはなかなか至らないでしょうが。
いずれにしてもストーリーに関しては、かなり衝撃的であまり好みのタイプではありませんでしたが、役者の演技はいずれも抜群。主演のクリステン・スチュワートは、「スペンサー ダイアナの決意」のダイアナ妃以来でしたが、その時と同様の熱演でした。相方役のケイティ・オブライアンも、マッチョな肉体美とアクション、そして高揚感から殺人に至る精神状態の表現も素晴らしかったです。
そんな訳で、本作の評価は★3.6とします。
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