「引き算不足」わんだふるぷりきゅあ!ざ・むーびー! ドキドキ・ゲームの世界で大冒険! プルコギさんの映画レビュー(感想・評価)
引き算不足
歴代でも指折りの出来の悪さだと感じました。
根本的にバーチャル世界の設定が物語の作りにマッチしておらず、その設定によって終盤のシーンに水を差しているようにまで感じました。バーチャル世界の設定を使う利点としては「ここにいれば別れが訪れないずっと一緒だ」というロジックが使えることですが、それを使いたいのであれば、アクションミニゲームの世界に入れるのではなく、スローライフ系の世界に巻き込んだほうが、構成的にも全体のカタルシスが強まったと思います。
たぬき軍団の不快感が作品全体を破壊しているといっても過言でもありません。メインの2匹を始め、モブたぬき達が全員かわいい、不気味、という感情よりも不快感、苛立ちを感じさせる言動を繰り返すため、没入感を大きく削ぐ働きをしています。
歴代プリキュアの扱いも、特にひろプリに関しては登場する意味を感じることが出来ませんでした。人数が多いだけにその活躍、バンクに割く尺を物語全体の整合性を出すことに使ったほうがよかったと思います。まほプリに関しては、物語を進める上で非常に使い勝手のよい作品ですので、こちらに関しては物語に説得力をもたせるような立ち回りをもっとさせてもらいたかったと感じました。(個人的にさとるくんと大福の変化に関してまほプリの影響によるものとして欲しかったくらいです。)
話が重複しますが、ゲストキャラとたぬきのエピソードをバーチャル世界に落とす必要が無いものかと感じます。化け狸という話があるほど歳月に関して都合をつけやすい動物をメインに据えているわけなのでゲームデザイナーと、いうなればバグの話にする必要が完全にありません。
全体として入れたい要素を足し続けた結果、説明不足で粗が非常に目立つ作品になっている印象です。
歴代でも多少強引に話を繋いだ作品はありましたが、回収しきれず半ば投げた作りをみたのは私の記憶の限りこの映画が初めてでしたので、若干の失望という個人的感情も乗せて☆2とさせていただきます。