「CGなどや撮影技術の映像のカタログのような映画」八犬伝 mac-inさんの映画レビュー(感想・評価)
CGなどや撮影技術の映像のカタログのような映画
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監督の曽利文彦は、映像センスのある映画のツボを知っている優れた職人監督だと思う。
「ピンポン」は傑作だし、「あしたのジョー」もよく出来ていた。
今回の映画も、とてもツボを心得ている画作りで楽しい。
ただ、話がうまく転がらない。面白くない。
滝沢馬琴と北斎の交流を縦軸に、創作している「八犬伝」の映像がところどころに挿入される。
その八犬伝のCGがらみの映像が素晴らしい。だけど、話は表面的、平面的。八犬伝をよく知っていないと楽しめないかも。私は、昔のNHKの人形劇を見ていたので何となくわかったけど。ただ挿絵のように映像としては凄かったけど、感動や感情移入はしない。
本筋の馬琴と北斎の方をもっと緻密に話を作ったなら、それなりの感動はあったと思う。ただ、こちらもダイジェスト版的な作り。
役所広司や内野聖陽、寺島しのぶ、黒木華の名演が勿体無い。渡辺崋山役の大貫勇輔という役者の佇まいが良かった。この役者誰?と思い後で調べるほど。
唯一面白いシーンは、鶴屋南北と馬琴が戯作と「虚構の世界」と「実の世界」との解釈論をするところが面白い。鶴屋南北を立川談春が演じている。これが上手いし、このシーンの演出は見事だったと思う。
こんな感じで話が進むなら、傑作になり得たと思う。
でも結局、CGなどや撮影技術の映像のカタログのような映画になってしまった。
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