「企画的に失敗だったか」八犬伝 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)
企画的に失敗だったか
邦画界随一の名優役所広司の作品なのでそれだけで観賞は決まりなのだが、役所以外にも内野聖陽他、名だたる名優のキャスティングを見て楽しみにしていた。
【物語】
時代は約200年前、江戸時代後期。 滝沢馬琴(役所広司)は自宅で親しい友人の浮世絵師・葛飾北斎(内野聖陽)に構想中の物語の冒頭を語り始める。たちまち魅了された北斎は、馬琴に頼まれ話を聞いて思い浮かんだ場面をその場で絵にする。馬琴はその絵でさらに構想を搔き立てられる。
北斎は物語の続きを聴くために足しげく馬琴のもとへ通い、一方馬琴も北斎がイメージしたシーンをその場で描くのを見ることが大きな楽しみになっていた。
悪が横行する世で勧善懲悪を貫く八犬伝は、出版されると世間で大人気作品となる。長大な物語は20年を超す歳月書き続けられるが、終盤に差し掛かる頃には年老いた馬琴は視力を失い、ライフワークとして書き続けて来た物語を完結することが危うくなる。
八犬伝は、安房里見家当主義実が不用意な発言から敵方の嫁玉梓(栗山千明)に大きな恨みを買い、玉梓が里見家にかけた犬に纏わる呪いを解くため、運命に引き寄せられた8人の剣士たちの戦いを描く物語。 馬琴の執筆生活描写の間に八犬伝のダイジェスト的シーンが挿入される。
【感想】
ちょっと期待ハズレだったかも。
不覚にも前半ウトウトしてしまったせいもあるかも知れないが、そもそも最初から引き込まれればウトウトしない。と言うと「他人の性にするな」と言われてしまうか(笑)
本作で良かった点を言うと、役所広司、内野聖陽という二人が演じる馬琴と北斎の対話シーン。その部分は、期待通りでとても良かった。だから思うのは、この2人の絡みのシーンをもっともっと観たかった。
八犬伝のエッセンスを、単なるあらすじ説明にはせず、あたかもこれだけで1本の「南総里見八犬伝」実写化作品が制作できるキャスティングと撮影を行い、挿入シーンとした贅沢な構成。八犬伝をまともに読んでない俺には八犬伝がどんな話か分かって有難いことではあった。が、しかし、やはり半端だ。 前述のとおり、役所・内野の演技をもっと観たかったという満たされない欲求が残るし、八犬伝実写化作品として観たら、満足できるものではない。 そりゃあ、そうだろう、馬琴が28年掛けて執念で書き上げた八犬伝が作品の1時間ちょっとで描き切ることはできまい。
俺としては、八犬伝のあらすじはアニメか何かでサラサラと説明してもらって、馬琴の執筆生活、北斎初め周りの人間との関係、さらには息子、嫁、母親との関係をより深く、時間を掛けて描いて欲しかった。寺島しのぶ演じる妻生百なんか、あの描写だけだと悪妻にしか見えない。 馬琴の墓参シーンを観れば、お百が馬琴を支えたことは想像できるが、描き切れていないと思う。
ひと言で言えば、役所と内野がもったいなかった。
馬琴本人は2、3年でやろうとしてたのですが、人気沸騰で終われなくなったそうです。
原作後半ちょっとだらけるのも引き延ばし工作ですね。
ドラゴンボールやコナンみたいだ(笑)