国宝のレビュー・感想・評価
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最高でした!
知人に勧められて、原作を読んでから映画館へ。演目の予備知識あり、ストーリーを知った上で鑑賞しました。
原作の方は、とにかく文章が読みやすい!朝ドラのナレーション聞いてるみたい。歌舞伎というとちょっと敷居が高い感じがするのですが、非常にとっつきやすかったです。ただ、活字で舞台がいかに素晴らしいかを説明する感じになるので、野暮と言えば野暮。小説も良いのですが、視覚に訴える映画ならではの楽しさがありました。
上手く言えないのですが、映画の終盤では、歌舞伎の作品と、こちら側の私たちの世界の区別がなくなるような感覚に近づいたので、それは予想しておらず自分でもビックリしました。
そして、吉沢亮の上手いこと!
いや〜〜〜驚いちゃったよね…
ほんとに良かった、お見事でした。
他の皆さんも素晴らしかった。渡辺謙、田中泯はさっすがよ…涙 見れて幸せです。田中泯こそ国宝級。三浦貴大も良かった〜〜横浜流星好き〜〜寺島しのぶが居てくれて引き締まる〜
実際に歌舞伎を見に行きたくなりました。
道成寺も大好きなのですが、今回は曽根崎心中に興味津々に。
曽根崎心中とロミジュリ、似ているようで全然違うのね…(曽根崎心中は実際にあった事件を元にしています)心中って、現代ではなかなか死ぬとこまでは行かないんだろうけど、「まぁね、そういう事もあるだろうね」って妙に納得してしまうし、悲しくも美しいと感じてしまうのは、日本人のDNAのせいなんでしょうか。
そう感じる一方で、歌舞伎の演目に限らず、昔の話って女性があまりにも不憫過ぎる。
女性誌ELLEに、曽根崎心中について書かれている記事を偶然見つけたのですが、それが「お初が徳兵衛と結婚して、醤油会社の女社長として大成功する未来」の話。遊女だったお初ですが、現代に生きていたらそんなことになっていたかもしれません。本当に惚れた男と添い遂げて、バリバリ仕事しながら幸せに暮らすという世界線は、それはそれで涙が滲んで来ます。生きて幸せでいて欲しかった。
よし、ひとまず歌舞伎「曽根崎心中」を見よう!と思い立ちましたが、現在公演は無さそう。歌舞伎オンデマンドで探したら、海外向けで英語解説付き。字幕ではなく音声なのでガッカリ…せっかく歌舞伎に興味を持っても、きっかけになる番組が圧倒的に少ないのが悲しい。シネマ歌舞伎もありますが、期間も短く上映される映画館も少なめ。文楽も探したけど無し。
散々迷った挙げ句、まず手始めに現代語訳版と、原文の文庫を思わずポチりました。
雑誌ananで「国宝」に関する8ページに渡るインタビューが載っているそうなので、そちらも要チェックです!
もう一つ、監督は在日朝鮮人3世なんですね。大学時代にVシネマのアルバイトをされたのがきっかけのようですね。フラガールは見たことあるな。いや〜〜てっきり日本人の監督さんだと思ってました。こんな面白い映画撮ってくださって、感謝。
追記:曽根崎心中を読みましたが、薄っ!短くて驚きました。え、こんなページ数なの??と戸惑うくらい。恋愛が成就しないからではなく、やっぱり「身の潔白を証明するために」心中する感じで、腹切りに近い。夜中、皆んな寝静まっているところから2人で抜け出し、有名なあだしが原への道中の場面は、ただ歩いているだけとは思えない濃さでした。あのラップ調の醍醐味は原文で読んでこそ。高校生の文学史の授業では全くピンと来ずでしたが、今頃になってようやく手に取ることができ、読んで良かったです。現在は縁結びの地として観光名所になっているのですね、訪れてみたいです。
原作大ファンとしては
原作ファンあるあるで申し訳ないが、
国宝は吉田修一の最高傑作だと思っているので、その分期待し過ぎてしまった
期待のため初日に2回連続で見ました
不満な点は3つ
歌舞伎界に復帰してからの喜久雄の孤独と絶望が圧倒的に描き足りない
不幸を喰うと敬遠され周りを寄せ付けずひとり芸にのめり込んで孤高を極めていく姿がなかった
綾乃からのとどめの一言もあんな風に変えられてしまって、
映画だけ観た人には何が伝わったのかな
簡単に人間国宝になったみたいに感じられたのでは
原作で嗚咽するくらい泣いたラストシーンもどう描かれるか期待したが、まあ、そりゃ、解釈の違いでしょうけど、え?って
これで終わりなんだ…
春江のキャラも謎だった
高畑さんて大河でもそうだったけど若い頃演じる時に声高くするのやめた方が良いと常々思っているのだが、そのせいもあって春江の強さや決意が全く伝わらなかった
余談だが藤駒の若い頃の舞妓姿が似合わなすぎてびっくりした
田中泯さんが本当に凄かったのに、へんな演出(エフェクト)加えたのも冷めた
悪人の時と同様、「賞とる映画」って感じで、
3時間あっという間で流石っていう感想です
竹野役の三浦さんもすごく良かったです
三時間
たしかに
見ごたえのあるシーンもあったけれど
やっぱ三時間は長い…
正直尿意との戦いになってくる
(実際途中で抜ける人もそれなりいて、終わった後トイレが長蛇の列だったし)
中盤の吉沢亮の覚醒演技は
見ごたえはあったけど、
三時間の割には、
それを超えるものが
後半になかったかなぁ…とも
これならもう少し短くしてもよかった気もしないでもないけど、
雰囲気的には必要な長さなのかな?
ただ『歌舞伎』という普通じゃない世界が
普通に違和感なく見れてるのは
かなり苦労や工夫があるのは間違いないとは思う
そして全員演技が上手い
素人感はない(と素人の自分が思ったり)
自分にとっては映画は「面白いかどうか」「退屈しないかどうか」が
まず一番だからチョット評価低めだけど(アクションシーンが多ければ面白いとか単純なものではなく)
テキトーに歌舞伎やってみました作品ではないのは確かと思う
高評価の中、、、
大変期待していたが、もっと芸を極める者の業の深さや天才の孤独など、ましてや「国宝」なんだから究極に描ききっていただきたかった....。描いていたけれど、究極感を期待してしまっていた。そしてなんだかメッセージとして入ってこない。血筋の呪いは役者というより人間として(=遺伝の病気として)描かれ、切ない皮肉でした。
(国宝も普通の人だよ、という話では無いはず??)
青年漫画やBL漫画などの作品では上記のような怖さや系統のストーリーを突き詰めて描いているイメージがある、こんなに時間軸盛らずに。
序盤は面白い予感がプンプン漂っていた。
そして「怪物」の黒川さん魅力的すぎ。
全体的に役者の皆さんと歌舞伎自体には魅了された(歌舞伎は二度観た経験のみ)。
これを1000〜2000円で観られるのは贅沢とも思う。
カメラを持ち父に対峙する瀧内公美さん(由宇子の天秤?)や、ちょい役で辻凪子さんなどが入っていたりも面白かった。
しかし、、、役者さんの見せ方は、、やはり気になる…..。
田中泯さんの舞いにエフェクトみたいなのつけてた時点で冷めた。
私の感覚とは合わない、と!
(たとえご本人が納得されていたとしても)
泯さんの所作丁寧に追えば凄みは伝わるでしょう!
映画臭い、ということかな。
その才能が、血筋を凌駕する
予告からして凄まじい作品である事はすぐ
分かりましたよね。
期待値の高さを伺える。
初日初回は大きな箱、大入りでした!
⚫︎ はい、お亮さん。
以前「国宝級イケメンランキング」とやらで
1位になっておりました。
まぁ〜美しいお顔立ちです。
その端正なルックスに注目されがちですが、お芝居もとっても巧い役者さんですよね。
本作では任侠の一門の生まれだが、歌舞伎の世界に飛び込んだ主人公喜久雄(東一郎)を、迫真の演技で魅せてくれました。
実際の歌舞伎役者同様「役」に魂を吹き込む!
恐ろしいほど生々しくて痛々しくて、そして圧倒的に美しい!!
鬼気迫るものがありました。
彼の人生から目が離せなくなりました。
⚫︎ 我らが流星君!
はい素敵。
現在放送中の「べらぼう」では重三郎というコミカルな面を持つ主人公を演じ、新たな魅力を振りまいておりますね。
はきゅん。
はい素敵。
こちらは歌舞伎の名門一家に生まれた御曹司俊介(半弥)という人物を熱演!
難しい役どころを見事に演じきっておりました。
流星君は本当に何でも出来る子だね〜♪
⚫︎ 喜久雄の少年時代を演じたのは「怪物」で
記憶に残る芝居を見せてくれた黒川想矢君。
まだ少年。
愛らし笑顔に不釣り合いな、背中の立派な彫り物が彼の人生を支える。
そのアンバランスさも美しく見える不思議。
歌舞伎に魅せられていく喜久雄を熱演!
⚫︎ 俊介の少年時代は「ぼくのお日さま」で難しい芝居を求められていましたが、見事に演じきった!
静かな作品でしたが大きな感動をくれた越山敬達君。
歌舞伎の名門の御曹司として生まれ育ち、
その険し過ぎる人生を理解する前に「役者」として生きる事が「普通」になっている少年時代の俊介の心境を見事に表現していました。
半二郎と舞う「連獅子」は迫力がありましたね。
⚫︎ 当代一の女形、小野川万菊を演じた田中泯さん。
「鷺娘」を舞う万菊さんの圧倒的な存在感は恐ろしい程でした。
芸を突き詰めた役者だけがたどり着く境地。
悟りの域。
もはや人間では無いモノになっていたかの様でした。
素晴らしい役者さん達が作品に重みと深みを与えていました。
皆さん達者!
歌舞伎は詳しくないけれど、私レベルでも知っている「藤娘」や「曽根崎心中」の演目も披露される。
特に「曽根崎心中」は物語の核となる演目で
2回演じられる。
1回目は、半二郎の代役として喜久雄が1人、初めての大舞台に立つ。
実の息子である俊介が務めるのが筋だと反対もあったが、半二郎は譲らなかった。
芸を極めている者だから見えてしまう
"上手い下手"
半二郎は誠実に"芸"だけを見て、自分の代役を喜久雄に託したんだと思った。
プレッシャーに押しつぶされて震えが止まらない喜久雄を励ます俊介の姿、2人のやり取りには泣いたわ。
本当よね。
血筋なんて変えられない泣
結果的に、俊介のおかげで無事大役を務めあげた喜久雄。
しかし、
舞台で舞う東一郎(喜久雄)の圧倒的な姿を見せつけられて、自分の負けを認めざるを得なかった俊介は姿を消してしまう事になる皮肉よ。。泣
2回目は片足を失った俊介の願いを聞く形で、東一郎・半弥、2人で舞台に立つ。
この2人が演じるからこそ、より魂までも震える「曽根崎心中」になったのだと思う。
俊介の残った足先も壊死しかけているのを見た喜久雄の涙が忘れられない。
その後何度も転び、汗と涙で崩れた化粧も構わずに、最後まで演じきると覚悟を決めた2人。
これが最後だと分かっていたと思いました。
少年時代から毎日苦しい稽古に汗を流し、
切磋琢磨しながら高みを目指した喜久雄と俊介。
葛藤や絶望、プライド。
もがき苦しみながらも2人が培ってきた友情が支えるその舞いは、正に全身全霊。
歌舞伎に人生を捧げた彼らの姿そのものでした。
それは幸か不幸か。
私にはわからない。
「歌舞伎」に取り憑かれてしまった2人の運命はある意味では残酷でした。
血筋とは。
才能とは。
今更ながら「サンクチュアリ」を一気見したばかりだったので、伝統と格式を重んじるお相撲の世界に身を置く各界のプリンス"龍貴"が抱える苦悩と2人の姿が重なった。
女将さんでもある母から
「この家に産んでごめんなさい」と言われる
シーンを思い出した。
家柄とか、血筋とか、伝統とか継承とか。。
人ごとでよかった。
私ならどの立場でもプレッシャーに押しつぶされて痩せてまう。。
又、2人共驚くほど白塗り姿が美しかったから、レスリーチャンの「さらば、わが愛 覇王別姫」とも重なった。
↑↑凄まじい作品です。
オススメ!!
本作も、後々まで語られる作品になると思うし、お亮さん、流星君の代表作になったのでは??
こんなに大変な役どころを見事に演じきったお亮さんと流星君の姿を見せられたら、少々の事は気にならない。
星は5つ以外、私には付けられません。
美雨ちゃんx理の主題歌もサイコー!
あ。
でもよ。。
春江(充希ちゃん)ちゃっかりしてるなおもちゃった。
あの身の引き方、切なくて泣きそうだったのに。
一緒に姿くらますんかいっ!!
あ。
ま〜ちんの奥さんだからいぢわる言ってるんじゃありませんけどー(棒)
そして、偉そうであまり好きではなかった
🦐🦣さんを見る目が少し優しくなれそうデス。
魂が込められた作品
まずは、吉沢亮にやっと自身の代表作として
相応しい作品が出来たのではないでしょうか。
それほど素晴らしかったです。
3時間をもってしても、上下巻に及ぶ原作を
再現しきれませんが、脚本がとてもいいのだと思います。
原作ファンですが満足です。
横浜流星に持っていかれるんじゃないかと
心配してましたが、何が何が女形になったら
吉沢亮の方が美しさ際立って見えました。
梨園の醜聞、病いとの戦い、再起と再発
もっと俊ぼん(横浜流星)の葛藤も見たかったなぁ。
血筋と才能、挫折と再起、友情と嫉妬の物語
「世襲か?実力か?」というテーマには、特に目新しさを感じないが、「芸」と「血」によって、それぞれに挫折を味わう2人の男の物語が丹念に描かれていて、見応えがある。
度々挿入される歌舞伎のシーンも圧巻で、吉沢亮と横浜流星の歌舞伎役者ぶりには目を奪われるし、特に、女形としての発声や台詞回しは見事だと思えてならない。
当初は、極道のせがれを演じる吉沢亮と、当主の跡取り息子を演じる横浜流星とでは、配役が逆の方が良かったのではないかと感じたが、悪魔と契約し、芸者との間に隠し子を設け、役を得るために実力者の娘をたぶらかし、挙げ句の果てに歌舞伎界から追放される主人公は、吉沢亮が醸し出すダークなイメージに合っていると思えるようになった。
ただし、共感を覚えるのは横浜流星か演じる御曹司の方で、父の代役に指名された兄弟弟子を妬むどころか、開演前に緊張する彼を励まし、自分の才能のなさを自覚して歌舞伎の世界から逃げ出すものの、地方のドサ回りで地道に芸を磨き続けた生き様を見ると、思わず応援したくなってしまった。
さらに、彼が、糖尿病で片足を失っても、執念で「曽根崎心中」の舞台に立つシーンは、2人の男の因縁と友情が帰結するクライマックスになっており、確かに、吉沢亮の主役としての存在感は素晴らしいものの、美味しいところを持っていったのは、横浜流星の方だと思えてならない。
吉沢亮が演じる喜久雄が、「国宝」となって美しい「景色」を見るラストは感動的ではあるのだが、もし、横浜流星演じる俊介が早逝しなかったら、喜久雄は「国宝」になれたのだろうかという疑問が残るし、喜久雄が見ることができた「景色」を、俊介にも見てもらいたかったと思ってしまうのである。
その点、喜久雄が「国宝」になれたのは、血筋がないことによって挫折を味わったり、親友の俊介を失ったりといった人生経験が、芸の肥やしとなったからに違いないのだが、そこのところは、もう少し分かりやすく描いてもらいたかったとも思う。
さらに言えば、森七菜が演じる喜久雄の恋人が、喜久雄の歌舞伎界への復帰と共に姿を消してしまったことには違和感を感じるし、高畑充希が演じる春江を巡る喜久雄と俊介の三角関係が、まったくと言っていいほど描かれなかったことにも、物足りなさを感じざるを得ない。
ただし、長尺の割には、ほとんど無駄に感じられる描写が無かっただけに、そうした場面を追加したら、上映時間が優に4時間を超えてしまうのだろうが・・・
おったまげ!
上映時間が長いので途中で退屈しないか心配だったのですが、あっという間でした。旅芸人に転落して、再び大舞台に復帰するところが少し端折りすぎて戸惑ってしまいましたが笑。吉沢亮さんの美しさに見惚れまくって思わず『きれい😍』と心の声が漏れてしまいました💦あと、永瀬正敏さんがこんなに演技がお上手だとは知らずビックリしました。森七菜さんが少し幼すぎたかなぁと個人的に思ってしまいました。ごめんなさい🙏🏻
圧巻
今年一番期待していた邦画。素晴らしかった。。
3時間終わっても、まだまだ見ていられると思った。
最後、涙が出たのは半二郎の生き様になのか、ここまで成し遂げた吉沢亮になのか。
歌舞伎に詳しくはない。だから最後の演技が人間国宝に見えるのかは正直わからない。鷺娘見たことないし。
でも、二人道成寺、曽根崎心中、襲名、半半コンビ、とどんどん芸を磨いていく様子は見事だったし、顔立ちに加え所作の美しさには鳥肌たった。
曽根崎心中の死ぬ前の演技、東一郎が稽古で成長していく様もすごかったし、後年本当の死を目前にした半弥、横浜流星の真に迫った演技もさらに素晴らしかった。二人とも、後半成熟度を見せる必要があるのに前半手を抜いているようには見えない、のがすごい。
正体、を見てその凄さを認識した流星くん、の感情演技もとても自然だったし、その対比で平坦な物言いをする吉沢亮くんのボソッとした一言、がさらにナチュラルでいちいち突き刺さる。歌舞伎という超難関に一体どれだけの時間と覚悟と血の滲む努力で挑んでここまで持ってきたのだろう、と思うとそれだけで胸が熱くなる。
吉沢くんは類稀なる美しさを持ちながら、見た目以上に演技、役柄にいつも強い印象を残す役者だなと思う。そして最後のシーンでも感じたが役者というのは狂気と紙一重の世界で闘っていると実感する。そう思うと飲んだくれてしまうのも庇いたくすらなってしまうが、ぜひ失敗談はその辺に留めておいてまたいい作品作ってほしい。
子役はひょっとして本業の子を使ってるのかなと思ったら怪物で見覚えのある黒川想矢くんの名前が。天才子役の役なんてまたハードルが高いのに、すごいわ。。
芸に魅せられ、芸を極め、芸に飲みこまれる
息を飲んだ。気がついたら息をしていない場面が何度か。
原作小説は、抑揚を抑えた講談調の語り口で、歌舞伎に魅せられた男を描く一代記。まさに波瀾万丈の物語だったが、文字で表現される場面場面が、頭の中で映像となって次々と展開していく感覚があり、一気に読んだ。ただ、歌舞伎に疎い私は、舞台の情景が脳内でうまく像を結べなかった。
その作品が映像化された。
うまく像を結べなかった世界が、スクリーン上で鮮やかな映像となって展開していく。
喜久雄が、俊介が、舞台の上で踊り、舞う。
3時間近いその時間を全く感じさせない、最初から最後までテンポ良く、キリッと締まった展開。どこにも無駄がない。極限まで磨きに磨き、削りに削ったような鋭敏さを感じた。
役者の動きにピタリと寄り添い、寸分の隙を見せることも許さないような緊張感のあるカメラワークと、それに応える俳優たちの演技が光っていた。
主演の吉沢亮は、素の喜久雄の演技と歌舞伎役者としての演技どちらも素晴らしいのだが、歌舞伎役者としての演技に凄味を感じた。
「二人道成寺」は、横浜流星との息の合った軽やかな演技が華やか。
「曽根崎心中」は、二代目代役として出たお初、盟友俊介の最後の舞台での徳兵衛のどちらも、役柄と喜久雄本人の想いが滲み出す。
圧巻は、最後の「鷺娘」。本当の舞台を通しで観てみたいと思う演技。歌舞伎の世界に入り込み、美の世界に迷い込んで忘我の境地に達する。
喜久雄は、芸の極みに達して常人が見えないものを見ている。その瞬間、彼は芸を自分のものとし、自己と一体化したのではなく、むしろ逆に歌舞伎という芸に飲まれているようにしか思えなかった。
原作のラストシーンをどのように描くのかが一番気になっていたのだが、原作とは違う味わいがあった。
脇を固める俳優の演技も良かった。横浜流星、渡辺謙らの演技は、「熱演」という熱量を感じるものだったが、目を引いたのは希代の女形、万菊を演じた田中泯。この存在感は何だろう。身体表現を追求するダンサーなのに、大きな動きがなくとも、その佇まいに人を惹きつける力がある。「メゾン・ド・ヒミコ」で演じたゲイの老人役に強烈な印象が残っているが、今回の女形役も異様な存在感を放っていた。
喜久雄という男は寡黙な男だ。彼が話さない代わりに、彼の心情を表現するような言葉を師匠たちが発していたように思う。
「ほんまもんの芸は刀や鉄砲よりも強い」という二代目半二郎。
「歌舞伎が憎くても私たち役者はやるの」という万菊。
この2人の台詞が強く印象に残った。
吉田修一の執念の賜物と言えるような原作は勿論のこと、映画の脚本も、映像も、音響も、美術も、俳優陣の演技も、そしてそれをまとめ上げた監督の手腕も素晴らしい。色々な要素が、それぞれ非常に高いレベルで結晶して生まれた映画のように思った。間違いなく、後世に残る傑作。
美しい舞が、残像のように脳裏に残る。
<追記>(2025年6月14日)
公開当日のレイトショーで観て直ぐに上のレビューを書いた。それから1週間、このサイトのレビューやWEBニュースで流れてくる評判の高さに驚きつつ、時の経過とともに冷静になって考えると、5.0という自分が付けた評価が気になり始めた。
過去に5.0の評価をした作品は、何かしら「心を大きく動かされる」「また観たい、また観るだろう」と思える作品だった。しかし、本作はそれに当てはまらないことに気づいた。
結局私は、この映画のスケール感と、原作で埋められなかった脳内映像を補完できたことには満足したが、感動とか、そういう感情は沸かなかったことに気づいた。
上のレビューでは触れていないが、多くの方が指摘されているように、女性の描き方が非常に薄くて雑だった。原作も薄めだったが映画は原作より相当薄い。それは喜久雄と俊介に焦点を当てて他を削らなければ、800ページにわたる大作を映画化することなど到底不可能だったからやむを得ない選択だったと思いたいが、一方で何故、女性陣の中で幸子(寺島しのぶ)だけクローズアップしたのか疑問が残った(原作では他の女性と比べて幸子の扱いが突出している訳ではない)。
それから、鑑賞後に知ったが、原作者が「100年に一本の壮大な芸道映画」と絶賛しているという。これには少しガッカリした。自分が心血注いだ作品が映画化された喜びの表れだろうが、それはメディアの入らないところで制作陣たちにかけてあげればよかった言葉ではないだろうか。
近年稀にみる邦画の大作であり、圧倒される傑作であることは間違いないと思いますが、上記のようなことを考えた結果、点数は4.5に変えさせて頂きます。
歌舞伎好きにも感動を与える作品
映画【国宝】すばらしい。
原作を2回読みました。
なので、小説と脚本の違いがよくわかります。
設定を変えた場面も多くありますが、なるほどと納得するばかりです。
冒頭、この作品の大序というべき「ヤクザの殴りこみ」の場は、小説の美しさとリアル感そのままで、緊張して呼吸を忘れるほどです。
もし、人生を動かしている歯車というものがあるのならば、喜久雄という男の歯車がガタガタと大きく向きを変えてあらぬ方へと動き出す瞬間です。
そんな歯車の軋みが何度も何度もやってくる。
周りの人を巻き込んで。
また、周りの人に巻き込まれて。
どうしてこうなる。
どうしてそうする。
と、いろんな場面で言いたくなるんですけど、
「どうしてもこうしてもあるかいな!」というあがきのような叫びが聞こえてくるようです。
主演のお二人は、女形の所作が驚くほどきれいです。どんなにお稽古なさったのか想像できますが、でもきっと私たちの想像をはるかに超える鍛錬をなさったに違いない。俳優さんて、すごい。
歌舞伎の楽屋裏の様子や普段の生活を細かく指導したのは鴈治郎さん。リアリティがグッと感じられます。(ご本人にもっとたくさんスクリーンに出てほしかったわ♡舞台の鴈治郎さんはほんとに素敵です)
以上、6/6の初日を観ての感想でした。
以下、2回目の鑑賞を終えての追記です。
2回目となると、原作本との違いにとらわれずに没頭できました。2回見てよかったです。
「七つの時が六つ鳴りて 残る一つが今生の 鐘の響きの聞きおさめ」
「聞きおさめ」の部分にたっぷりと情緒をまとって、
余韻を引く吉沢亮のセリフ回しに泣けてくるのに、
師匠の半二郎(渡辺謙)は怒り心頭。
目の前の箸や茶碗をなぎ払って怒鳴る。
「あんた、死ぬんやで。あと鐘ひとつなったら死ぬんやで。死ぬ恐怖と、好きな男と死ねる喜びが"ないまぜ"なんやで!」
あちこちにある"ないまぜ"。
代役に抜擢されて、ひとり鏡台に向かって顔をする(化粧をする)喜久雄(吉沢亮)は、緊張のあまり震えが止まらず目尻に赤が入れられない。
お前の血をがぶがぶ飲みたいわ。守ってくれる血が俺にはないねん…と震える声で俊介(横浜流星)に訴える。
その手から筆を取って、黙って紅を引いてやる俊介は、逆に俺はお前の才能がほしい、父親に認めてもらえる才能がほしいと心の中で叫んでいる。
一つの場面ごとに、重なる意味、重なる思いがあって胸が熱く、痛くなります。
田中泯の第一声「あら」がまた良かった。
女ではなく女形の声、まさにこれだなと思う。
怪演って言葉が頭に浮かびます。
喜久雄と俊介がもしこのまま歌舞伎界を担う二人であり続けたら、と映画の中のこととはいえ想像してしまいます。
「三津五郎と勘三郎」であろうか、近年の「幸四郎と猿之助」であろうか、あるいは遡って、見たことはないが「七代目榮三郎と五代目福助」であろうかと、現実の歌舞伎役者とオーバーラップせずにはいられないほど、吉沢亮と横浜流星が本物の歌舞伎役者になっています。
喜久雄と俊介が舞台から客席のはるか上を見つめて「誰かが見ている」というのは、実際に何人もの役者さんが対談などで口にする言葉です。
見ているんですね、きっと。
見守られているんです、きっと。
厳しくも優しい目で。
さてこの映画を見て、初めて歌舞伎を見てみようかなと思った方には、七月歌舞伎座の夜の部がお勧めです。
染五郎と團子の舞踊「蝶の道行」。
染五郎は幸四郎の息子で高麗屋の御曹司。
團子は市川中車(香川照之)の息子です。
年はひとつ違いの20歳と21歳。
喜久雄と俊介にイメージが重なります。
鬼気迫る演技
久しぶりにCM以上の迫力ある作品。
華やかな歌舞伎の世界の舞台裏。2人の女形は本当に美しい!
世襲制度や
あらゆる仕事の裏の世界、
歌舞伎の世界だけでなく
人の営みの縮図のようだった。
と思ったら原作は以前も面白いと思った吉田修一さん。
血の繋がりがないのは‥田中泯の台詞が頭から離れない。
吉沢亮、個人的に顔が綺麗なだけの役者さんというイメージだった。ごめんなさい。まるでイメージが変わってしまった。
鬼気迫った演技が素晴らしかった。
女性以上に気高く美しい。踊りにどんどん引き込まれる。神のような領域。
周りのとりまき女性達が残念なのだが、それもまたこういう世界にリアリティがあるのかもしれない。
【”積恋雪関扉、二人道成寺。そして曽根崎心中、鷺娘。”任侠一家に生まれながら歌舞伎に魅了された男と名門の家に生まれた男の歌舞伎と心中した如き人生を描いた作品。吉沢亮さんの女形の舞は壮絶な美しさです。】
■任侠一家に生まれた喜久雄(長じてからは、吉沢亮)は組長の父(永瀬正敏)を、正月の宴で自分が”関の扉(積恋雪扉)”を舞った後に、討ち入りで射殺される。
その後、上方歌舞伎の名門の当主、花井半二郎(渡辺謙)の部屋弟子になり、歌舞伎役者の道を歩み出す。半二郎の鬼の様な指導の元、喜久雄と半二郎の息子、俊介(長じてからは、横浜流星)と芸を磨く日々。
喜久雄は東一郎を襲名し、俊介は半弥を襲名し、女形コンビで”二人道成寺”で人気を博す。だが、半二郎は糖尿病の悪化で襲名披露の際に吐血し、入院。半二郎が代役に息子半弥ではなく、東一郎を指名した事から、半二郎の妻(寺島しのぶ)の怒りは炸裂し、喜久雄と俊介の関係もこじれて行く。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作は、2時間55分のマアマア長尺な作品だが、二人の男と複数の女達の30年の関係性を描いているために、脳内フル回転で観たためか、体感2時間であったし、結構疲れた。
疲れた理由は、喜久雄と俊介に絡む女性が複数居て、描き方が少し粗い気がしたからである。
■だが、俊介を演じた横浜流星と、特に喜久雄を演じた吉沢亮の白粉を首筋から上に刷毛で塗した女形の所作と舞は見応え充分であり、且つ二人の毀誉褒貶の人生の描き方が凄く、魅入られたのである。
更に言えば、二人の毀誉褒貶の人生の節目節目に、”積恋雪関扉”、”二人道成寺”、”曽根崎心中”、”鷺娘”といった歌舞伎の有名な演目が、彼らの人生を表したかの如く嵌められている、作品構成の秀逸さも、凄いのである。
俊介は名門の跡継ぎながら喜久雄の芸には劣るが故に(と言っても、今作でも頻繁に舞台になる京都の南座で数度歌舞伎を見ただけの素人には、違い分からず・・。)喜久雄の晴れ姿を観た俊介は長きに亘り姿を消し、喜久雄も又、舞妓(三上愛)との関係や、他の一門の統領の娘(森七菜)と良い仲になった事と、背中に彫った刺青が暴露されたスキャンダルにより、歌舞伎の表舞台から姿を消し、ドサ回りの日々を送るのである。
■花井半二郎の死により歌舞伎界に戻った俊介は、再び花形になり、喜久雄はヒラの役者として、歌舞伎界に戻るのである。
俊介は父と同じく、糖尿病のために片足を失い、残った一本の足と義足で”曽根崎心中”で再び共演するシーンは凄い。俊介の残った片足の足先も壊疽しつつある中、”お初”を演じる、その足先を全身で支える喜久雄の姿・・。
・劇中、二度出演する人間国宝の女形を演じた田中泯さんの演技は凄かった。一度目は人間国宝として堂々たる女形の声音と所作が、二度目は零落れてボロイアパートで煎餅布団に横たわりながらも”ここは、綺麗なモノが無いでしょう。だから、ホッとするのよ・・。”と呟く姿は、今作の陰のMVPだと思ったな。人間国宝の称号の光と影を表した人物だと思ったな。
・そして、喜久雄と俊介が出会って30年が経ち、俊介はもういない。
喜久雄は人間国宝に史上最短で成り、その記念の舞を披露をする前に彼の写真を撮る女性カメラマン(瀧内公美)。彼女は、喜久雄が若い頃に慕って来た舞妓の娘であり”貴方は、悪魔だわ。周囲の数々の人達を足場にしてのし上がって・・。けれども、貴方の舞には引き込まれるのよ・・。”と呟き、涙を流すのである。
<人間国宝になった喜久雄こと、東一郎は再び舞台下の”奈落”から華やかな舞台にせりあがり、紙吹雪の舞う中、一人”鷺娘”を舞い、亡き父と同じように雪の中で静に横になり、息絶えるのである。
今作は、任侠一家に生まれながら歌舞伎に魅了された男と名門の家に生まれた息子の、歌舞伎と心中した如き人生を描いた作品なのである。>
■付記
多くの作品で、歌舞伎をテーマにした秀でた耽美的世界を描き、私に届けてくれた故赤江獏さんに感謝いたします。
■付記<2025年7月6日 追記>
今作鑑賞後、複数の映画を鑑賞して矢張り作品のレベルが、突出しているなと思ったので、得点を4.0から4.5に修正させて頂きます。悪しからず。
あなうつくしや、あなおそろしや
吉田修一原作、李相日監督とくればそれだけで「観たい!」と思えるというのに、主演は吉沢亮。これで期待するなと言う方が無理だ。
期待しすぎるとむしろ物足りなく思えてしまうことも多いのだが、「国宝」は期待を超えて余りある最高の映画だった。
まず、歌舞伎のシーン全てが良い。
「国宝」を成立させるために、絶対に歌舞伎のシーンは外せないのだが、その全てで想像を超える演技を見せてもらった。
まだ役者になる前である喜久雄の「関の扉」。
歌舞伎役者の家に生まれた運命を内包する「連獅子」。
喜久雄と俊介が二人切磋琢磨して踊る「二人藤娘」「二人道成寺」。
芸の道に生きる覚悟と重なる「曽根崎心中」。
ともに人間国宝である万菊と喜久雄の「鷺娘」。
特に序盤、万菊の「鷺娘」で圧倒的存在感に打ちのめされた。楽屋のシーンが万菊の初登場シーンなのだが、後々まで田中泯だと気づかなかったくらい、所作からして徹底的に「小野川万菊」という稀代の女形として存在しているのである。
手まねき一つで「女」を感じさせる柔らかさ。作中で三浦貴大演じる竹本のセリフに「あの婆さん、いや爺さんか」というのがあるが、本当に性別を超越して存在しているように思われた。
次に、映画の圧が凄い。
李相日監督の映画は、人物にどんどん寄っていってその人生に深く切り込んでいく。それがカメラワークにも出ていて、今回アップのショットがとても多かった。
化粧や衣装の下に隠された「役者」を撮る、という強烈な意志がショットに表れていたのだと思う。
目の潤み、息遣い、唇の震え。そういうものに、喜久雄や俊介の生き様を感じさせる。
それもまた演技のはずなのに、ギリギリを攻めて剥ぎ取り過ぎない絶妙な塩梅で表現されている。
約3時間、長丁場の映画であるのに、全く長さを感じさせず、むしろ矢継ぎ早に展開していって喜久雄の人生が芸事に圧縮され、何もかもを犠牲に昇り詰めた先に、誰も見たことのないものを求める美しさと恐ろしさ、恍惚と孤独に胸を打たれた。
とにかく、演技陣の力がこの作品を名作足らしめていたと思う。
主演の吉沢亮は言うに及ばず、俊介を演じた横浜流星は血の残酷さを様々な面で見せてくれた。俊介のお初が、俊介自身と重なる。歌舞伎と、役者と添い遂げるには「死ぬしかない」と。言わば俊介の心中相手は歌舞伎だったのかもしれない、と思わせるに充分だったと思う。
歌舞伎監修としても参加されている中村鴈治郎さんのインタビューで、「歌舞伎に興味を持って頂けたら」というのがあったが、観終わって一番最初に思ったのが「歌舞伎観に行きて〜!」であったことを考えると、鴈治郎さんの思いは確実に届いている。
少なくとも私には。
役者魂を間近で感じられる大画面で堪能したい、美しくも物悲しい最高の一本だ。
…血筋
…再鑑賞して感じたこと
歌舞伎の世界で
芸の魅力に取りつかれた喜久雄
芸を磨いて役者としてテッペンを目指し
テッペンから見た
風景はどんなものなのか
彼が沢山なもの犠牲にして
上りつめた先に見える光景が…
彼の芸を極めた向上心が
魅力ある踊りに観客が魅了され
そして私たちもその重厚さに魅入った
上映されてから5ヶ月経った現在も
小スクリーンになったものの
観客は三分の二は入っていました
その時の感動そのままです
すごい事です
[2025.11.8]
…女形歌舞伎
喜久雄(吉沢亮)は
花井半次郎(渡辺謙)の息子
俊介(横浜流星)の血を飲みたいと
言っていたほど憧れる血筋
世襲として受け継がれる世界である
喜久雄は役者として踊りは一級品
半二郎に見出だされ三代目に
襲名もできたが…
吉沢亮の端麗な顔だちが女形が似合う
襲名されても血筋が一番の歌舞伎の世界で
生きていくのは並み大抵なことではなく
何をもってここで踊り続けるのか
"国宝"となってからもわからない
静まった
舞台の上から"まばゆい"光を浴びながら
光の奥を見つめる半二郎
舞台に立って"極"めようとする
人だけが見ることができる"光"
人生をかけて芸に生きた証し
三時間近い作品にも関わらず
吉沢亮、横浜流星のそれぞれの苦悩
と女形の見事な演技
他、渡辺謙さん
俳優さんたちの見応えある
重厚な時間でした
早着替えはテンションが上がります
吉沢亮の顔の表情と踊りに…感服です
よくやった!
映画で使う部分だけとは言え、歌舞伎役者に見えるレベルまで習得したのは、感服しました。東宝の作品ですが、歌舞伎の世界の話で舞台裏の話がいろいろあるから、松竹制作では却ってやり辛いのかも知れません。舞台のシーンで大向こうがあればもっと実際の歌舞伎に近づけたと思います。
ひとつ気になったのは、ガタイが良く立ち役専門に見える二代目がお初をやる予定だったことですね。
追記
舞台での演目については、どこが使われるか分からないので、部分的ではなく一段通しで踊れるように稽古したそう。ここまでしたことは、この映画だけでなく、彼らの今後の演技ためにも大きく役立つでしょう。
吉沢亮・・・天性の歌舞伎の女形
藤娘の扮装をした吉沢亮のあまりの美しさと日本舞踊の上手さ。
16歳時には仮面ライダーだったのに、その変身(ヘンシーン)が、
歌舞伎の役者で、しかも大成功の変身でした。
吉沢亮の、
女形の声音の美しさ、張りは10年鍛錬した本物の歌舞伎の女形を
軽々と超えて見えます。
(恥ずかしながら、銀座の歌舞伎座にはたつたの一回行きました。
(滞在は6時間ですから、全くの素人ですが、
(たまにテレビの中継を見るる程度です)
でもですが、吉沢亮さんの、なりきり振り、その上手さは素人目に
完璧に見えます。
3時間の上映時間もまったく緩みがなくて、あれよあれよの瞬く間。
喜久雄(15歳は黒川想矢)が、藤娘を新年会の余興で踊るのを
見ていたのが、歌舞伎の大御所・花井半二郎(渡辺謙)。
半二郎は一目で喜久雄の日舞に圧倒されるのですが、
ヤクザが押し入ってきて、父親(任侠の親分=永瀬正敏)は、
その場で殺されてしまうのです。
そして一年後。
半二郎に引き取られて実子の御曹司の俊介(横浜流星)と、相弟子のように
半二郎の厳しい稽古を受ける事に。
めきめき力をつける喜久雄。
運悪く半二郎が交通事故で大怪我をします。
その代役に半二郎が指名したのは、なんと喜久雄だったのです。
そして30歳の時、3代目花井半二郎の襲名をしたのは、
実子の俊介ではなくて、喜久雄だったのです。
(ここに因縁の喜久雄と俊介の確執が生まれるのです)
★★一説には喜久雄のモデルは坂東玉三郎、ではないか?
とも言われていますが、もちろんフィクションで、原作者の
吉田修一さんが、
「歌舞伎役者で人間国宝」に上り詰める
血筋のない人物・・・というコンセプトのもとに
描かれた小説と推測します。
近年、片岡愛之助さんは実家が工場だと聞きますし、香川照之も
離婚して女優の母に育てられ40歳過ぎから実の父親の
超有名歌舞伎役者に弟子入り歌舞伎界に入られています。
中村獅童なども実の父親が歌舞伎役者を嫌い廃業したので、
正統的な世襲とは言えないかもしれません。
歌舞伎役者が、ミュージカルに出る、
アニメの声優をする、映画では異彩を放ち、
演劇(芝居)に出る・・・などなどクロスオーバーの活躍が目立ちます。
音羽屋(尾上菊五郎など)の娘である寺島しのぶは、
渡辺謙の女房役を演じていますが、
近年、女性ですが、歌舞伎座に出演しています。
新しい波は確実に押し寄せていますね。
父親・半二郎の代役を立派に務め上げる喜久雄の凄さに、
ショックを受けた俊介は、そのまま舞台の座席から去り、
姿を隠してしまいます。後を追う喜久雄の恋人の春江の姿が。
しかし父・半二郎の死後、俊介も歌舞伎の世界に戻ってくるのです。
横浜流星も良いです。
ちょっと驚くようなショッキングな見せ場があり、歌舞伎役者に
適正の薄いようでやる気のない俊介も、晩年で
凄い執着心を見せてくれます。
横浜流星もさすがの花形役者!!
「曽根崎心中」のお初は鬼気迫る圧巻の演技でした。
ファンを楽しませてくれます。
芸を極める、
(私生活を犠牲にしても、
(悪魔に魂を売っても、
などの台詞が出てきますが、
凡人には見ることのできない景色を見る喜久雄は
人間国宝という頂きに上り詰めた
稀有の天才、
努力の人でした。
一芸を極めた人は、やはり感動的で
ラストは込み上げるものがありました。
雪吹雪のなか「鷺娘」を舞う喜久雄の姿は
芸に生きる喜びとつよさに溢れていました。
圧倒的な表現力に心が動く
原作は未読です。
上映時間が3時間近くあるので、どうなるかと思いましたが、長さを全然感じさせないほど、素晴らしい映画でした✨
ボキャブラリーが乏しい私なので、どう表現していいのかわからないけれど、心をギュッと鷲掴みされてしまうほど、出演者の表現力に圧倒されてしまいました。
特に、喜久雄役の吉沢亮と、俊介役の横浜流星がそれぞれ演じた「曽根崎心中」のお初は、瞬きや息をするのを忘れてしまうほど凄かったです。
舞台の中に引きずり込まれる感覚でした。
文字では伝えてられないです。
ぜひぜひ映画を観て欲しいです😊
歌舞伎役者の血を継ぎ、将来を約束された俊介と、孤独で芸事を極めることでしか、上を目指せない喜久雄。
ふたりの違った苦しみと絶望感、また演じる充実感や幸福感を見事に表現しています。
本当に「手招きして、見たことのない世界へ連れて行ってくれる」そんな感覚でした。
この2人はこんなに凄い演技をする人だったの?
って失礼ながら思ってしまいました。
任侠一家の息子が、歌舞伎の世界の頂点に立つという設定は、無理があるとは思いますが、そこは小説なので(笑)
私は歌舞伎は一度も観たことがないので、演目については良くわかりませんが、「曽根崎心中」の他にも色々な演目が出てくるので、歌舞伎を知ってる方は、より楽しめるのではないでしょうか。
演目どれも素晴らしいので、俳優さんの努力が感じられます。稽古に1年半かけたそうです。
やはり俳優さんは凄いですね。
真似できないです。
映画の中で命を削ってまで、歌舞伎に人生を捧げる人たち、映画にかける俳優さんと重なって見えました。
半二郎や俊介、そして喜久雄、ここまで自分の全てをひとつのモノにかける生き方は、私には到底できないです。
女優さんたちも、皆さん素敵でした。
寺島しのぶは、さすが梨園で育った方ですね。
観て良かったと思える映画でした。
壮絶な人生を乗り越えて、頂点に立った時、
喜久雄はどんな景色を見たのでしょう。
自分の位置からは見えぬ景色を目指した壮大なドラマ
原作は未読ですが、昨年から吉田修一の最高傑作が映画化されると聞いていて、かなり注目していた映画です。原作は全く知らないので、あやふやな個人的な感想です。
全編にわたって、歌舞伎の場面がかなり入っているので、けっこう長いなあという印象でした。
極道の子として生まれた喜久雄が、歌舞伎の名門の花井家に引き取られるが、歌舞伎の跡取りとして間違いないと思われていた俊介を差し置いて、歌舞伎を継ぐことになるとは、ゆめゆめ思っていない景色だったと思います。時折、差し込まれる紙ふぶきの風景が効果的でした。
日本の世の中は、政治家等もほぼ世襲制ですが、本当に実力のある人が跡を継ぐのが望ましいと思います。
俊介もこの跡継ぎを恨むのではなく、俊介なりに
歌舞伎を努力していく姿はとても好感が持て、良き友であり、良きライバルだなと感心しました。途中で私は、俊介が喜久雄に報復するのではないかと思っていましたが、見事にはずれました。
『国宝』級映画
【あらすじ】
幼い時任侠の世界で育った喜久雄は、父の死をきっかけに歌舞伎の世界へと足を踏み入れる。そこで出会ったのは花井家の御曹司・俊介。歌舞伎界の伝統─血筋─を覆すべく、孤軍奮闘する喜久雄であったが、任侠の出ということもあり...
3時間もある映画であるが、無駄なシーン、削ぎ落とせるシーンが見当たらないほどに完成されていた。最近公開され、同じく3時間弱あったミッションインポッシブルは終始アクションのための映画という印象であったが、本作は完成されたストーリーの上に歌舞伎の美しさがあり、双方が互いを生かしあっているような映画であった
まず、登場人物の心情が事細かに描かれている。歌舞伎界に生きる人々の"人間らしさ"、そしてそれに巻き込まれていくスポンサーや舞妓の人たちまで、全員の感情が入り乱れている様が生々しくも感じられた
また、キャストの人たちの圧巻の演技。
渡辺謙や吉沢亮、横浜流星らは言わずもがなであるが、特に黒川想矢の演技には目を見張るものがあった。是枝監督の『怪物』の時から、その表情や眼力には光っているものがあったが、それが今作でも存分に発揮されていた。
そして、歌舞伎のシーン。
吉沢亮ら演じる女形の美しさには、ついうっとりしてしまった。演目も無造作に選ばれているのではなく、きちんとストーリーと関連しており、歌舞伎初心者の私でも注目すべきポイントなどが分かりやすい作りになっていた
残念だった点は2つ。
1つ目は、最初俊介が喜久雄をライバル視していた後に急に仲良く練習していた点。普段の稽古を経て仲良くなったのだろうと想像することは簡単だが、せっかくだからそこも描いて欲しかった
2つ目は、女性キャラクターが多い点である。舞妓の見上愛、スナックで働く高畑充希、そしてご令嬢の森七菜という所謂"ヒロイン(この映画においては、そのような扱いではないが)"にあたるキャラが少し多かったように感じる。そのせいで、似たストーリーを繰り返してる様な印象に若干なっていた部分があった
だが総じて、演技力、ストーリー、歌舞伎の美しさなどが絡み合った『国宝』級映画だったとは間違いなく言えるだろう
全567件中、541~560件目を表示
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