国宝のレビュー・感想・評価
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想像したよりクリーンな世界だった
田舎の平日午前の映画館。
いつもはほぼ貸切なのに、本日は券売機に長蛇の列(平日にこんなの初めて!)。しかも、どうも不慣れな高齢のお客さんが多いようで、なかなかスムーズに流れない。
上映10分前に到着しちゃったので(これ、ヤバいかも!)と思ったけど、まあまあの席も取れ、なんとか本編の上映開始には間に合い鑑賞。
一番大きなスクリーンで、6割くらいは埋まってる(平日にこんなの初めて!)。
平均年齢は高い。劇場鑑賞に慣れていない層が多いのか、上映中にカバンの中をゴゾゴゾゴゾゴゾしてカサカサ包装のお煎餅を何度も何度も音を立てて開けては食べたり、携帯の着信音を何度も何度も鳴らしたり、ツレ同士で話す客なんかが近くにいて不愉快だった。
年配が多い客層だとありがちなの?
作品は、時間を忘れさせる面白さ。
事前の情報収集はせず「なんだか綺麗な俳優さんが二人も出る、芸術系のお話なのね」程度の認識。PG12だし、BL要素やら”セッション”的なドロドロやらがあったりするのかしら(ワクワク)とゲスい想像をしていました(恥)。
しかし実際には、二人ともなんだかんだ言って”育ちがいい”設定だからでしょうか。全体的にはドロドロとした描写はほぼ無く、サラリと上品に楽しめる耽美な青春(?)映画という印象。
主人公二人の心根も関係性も美しく、少年時代の役者さんたちの演技も良かったです。
映像も綺麗です。
万菊(田中氏)の登場で「あーこのおばあちゃんみたいな国宝老人が、若くて美しい若者を食い物にして・・・」と想像したけど、そうじゃなかった(ゲスくてすみません)。
やさぐれてボロボロになった喜久雄(吉沢氏)が屋上で踊るシーンでは「ここで絶対、飛び降りる!」と思ったけど、そうじゃなかった(ゲスくてすみません)。
「美しいだけで終わらない」「何があっても表現し続ける」という、ガッツというか生命力というか、世俗にしがみつく胆力が現世での成功には大切なんでしょうか。
劇中では、歌舞伎を見たことがない私でもちょっとは知っているような有名作品や、なかなかに面白い演出の演目がたくさん演じられていて、衣装も所作も美しく、小道具や舞台演出も面白い。裏方さんのお仕事もうかがえて、プロフェッショナルな世界。
歌舞伎にも興味がわきました。今度観に行きたいな。
喜久雄(吉沢氏)も俊介(横浜氏)も、後半にいくに従って女形としての美しさや凄みに磨きがかかっていく感じ。
俊介(横浜氏)と喜久雄(吉沢氏)の最後の演技は凄みがあってちょっと泣けました。
心根が美しく、親友二人のザ・青春って感じ。
と書いてみて気がついたけど、これ、二人とも年齢的にも役者としても「青春」ではないはずなんだど、そう感じちゃうのはなんでかな。劇中の二人の立ち位置を考えると、本当ならもっと重厚で厚みがある脚本の方が正解なんだろうけど。
でもまぁ、わかりやすくて嫌いじゃない。
そして、喜久雄(吉沢氏)の最後の演技は、妖艶で美しく女性以上に女性らしいカットがたくさんありました。
お二人とも、お稽古たくさんしたのでしょうね。素晴らしい役者魂だと思いました。
劇中では、どの階層の女性も「男社会の中の女」という立ち位置で、”あーそんな感じでそんな扱いなんだなー”、”これ「教皇選挙」の時と同じ感じだわ〜”と思いました。
竹野(三浦氏)が良かったな。最初は喜久雄(吉沢氏)に殴られてたけど、結局、最後まで見捨てずに伴走し続けた歌舞伎ファン。
冒頭に記述した他の観客の無作法を差し引いてあまりある面白さでした。
歌舞伎の演目とかを公式HPで勉強してからもう一度鑑賞しようかな。
波乱万丈過ぎ
渡辺謙はじめ、国宝級俳優を揃えた作品。
国宝級顔面を持つ吉沢亮は、美しすぎる顔立ちのせいもあり、いまいち普通の役ではリアリティが感じられないけど、今回はまさにハマり役(^^)b
喜久雄の波乱万丈過ぎる生涯を描く本作だけど、あんな挫折したのに異例の速さでの人間国宝になる?みたいな、俺はちょっとリアリティが感じられなかった…
高評価で期待し過ぎたのか、個人的には刺さるものが無かった…
(隠し子の最後の言葉にはちょっとグッときた)
ただ、エンドロールで流れる曲「Luminance」は秀逸で良かった♪
それにしても糖尿病って怖いですね(^_^;)
見応えたっぷりであっという間の3時間
何か映画館で観たいなと思い、異常に口コミの高い国宝を映画館で鑑賞。
水曜のレイトショーだったから段々の席はほぼ満席だったので、前方席で。
3時間もあるけど眠くならないかな、トイレ行きたくならないかな、大丈夫かな、、、と観る前は不安だった。
しかし、映像のコマ割りがとても綺麗で、場面転換も自然に切り替わり、静寂と荘厳な音楽を使い分けて、全く飽きのこない3時間だった。
場面の理解ができなくても、すぐあとで理解できるようにストーリーが紡がれるので、置いてかれる感もなかった。
3時間に納めるために原作から端折った部分も多くあるのかと感じる部分はあったが、とても綺麗なストーリーでラストも余韻たっぷり。
エンドロールの音楽も良かった。適当なアイドルとか知ってる歌手がAメロBメロみたいに歌う歌ではなくて、しっかりと映画の世界観に合って、気持ちを盛り上げてさっと引くみたいな。
歌舞伎の知識などは皆無であったが、歌舞伎のイメージしている通りで、吉沢亮も横浜流星も最高の演技だった。
どこから声出してるのか、あんな色気のある声と、男の声を使い分けて、しなやかな動きも素晴らしかった。
大画面で、迫力満点の大音量で観るべき映画だった。
悪魔との取り引き、、、
まず言えるのは、役者陣の演技の素晴らしさ。
圧巻。歌舞伎の世界に惹き込まれる、、、、。
歌舞伎の練習に真摯に取り組んできたことがよくわかる。吉沢亮、横浜流星が女形でここまで色気が出せるとは!
カメラワークもよく、ストーリーも深く全てを話せば長くなるだろうが、歌舞伎や2人の主人公を主軸に良くまとめられている。
喜久雄と俊介の友情や羨望、絡み合って別々の方向を歩んだ2人の感情が、すごい伝わってくる、、、、
まぁ、ドロドロ・ギスギスが苦手なので終わり方が、良かったけれど苦しいところも多々あった。何より、彰子ちゃんが可哀想すぎる、、。だからこそ、最後の綾乃の言葉。
血筋があったがライバルに役を取られ心が折れるが、ついてきてくれた女性と結ばれ役者に復帰するも病気になってしまった俊介。ヤクザというしがらみはあるも努力し才能で役者になるも、そのしがらみから上手くいかず、女性も振り回し全てを切り捨てて国宝となる喜久雄。どちらの人生が良かったのか、どう行けばよかったのか、これが正解なのか。考えさせられる。
悪魔との取り引き。全てとの引き換えに芸を得る。
プロフェッショナルって大変なのね。
3 レビューの通り
かなりの人達が素晴らしい作品だと評価されていたので
観に行きました。
あっと言うまの時間が過ぎました。
歌舞伎役者の人生を子供の頃から、振り返って
波乱万丈を描いた作品ですが、
ラストの写真を撮る所が、自分を捨てた娘
二人で演じた道明寺
素晴らしい👍
泣けて来ました。
予想以上でした。
横浜流星も素晴らしい役者さんでした。
本当に素晴らしい映画ならではの、迫力がある作品でした。
どうしても気になった2つの点
壮大な物語と役者たちの熱演には本当に引き込まれましたが、同時にいくつか「ん?」と感じた点もありました。
役者たちの魂がこもった演技
まず、主人公の立花喜久雄を演じた吉沢亮さんの演技には目を見張るものがありました。
歌舞伎の稽古期間が1年半と聞いていたので驚きましたが、それを感じさせない説得力と表現力で、画面から彼の努力と才能がひしひしと伝わってきました。
ただ、個人的に最も圧倒されたのは、花井半二郎役の渡辺謙さんです。
喜久雄と俊介に稽古をつける場面での演技は、まさに圧巻の一言。
令和の現代ではなかなか見られないような、昭和の時代特有の厳しさ、ときに理不尽ともとれる情熱的な指導が、あまりにもリアルに描かれていました。(実際はもっと厳しいのでしょうが。。)
そして、吐血しながら俊介の名前を呼ぶシーンも秀逸でした。実の息子への深い愛情が切々と伝わり、それを受け止める吉沢亮さんの表情もまた見事でした。
渡辺謙さんが改めて日本を代表する、世界的な俳優であることを強く実感させられました。
個人的に「気になる」と感じた二つの点
さて、全体としては素晴らしい作品でしたが、どうしても気になってしまった点が二つほどあります。
小野川万菊の「早送り演出」は必要だった?
人間国宝である小野川万菊を演じた田中泯さんの存在感は、疑いようもなく圧倒的でした。しかし、彼の「すごさ」を表現する演出として、一部に早送りのような映像効果が使われていたのが、個人的には少し残念でした。
万菊の卓越性を際立たせる意図は理解できるのですが、そこに頼らずとも田中泯さんなら、その演技力だけで観客を魅了する「凄み」を表現できたのではないでしょうか。実際の舞台で演技が早送りになることはありませんから。そういった視覚的な演出に頼ってしまったことに、惜しさを感じずにはいられませんでした。
竹野の「見た目があまり変わらない」問題
次に気になったのは、歌舞伎の興行を手掛ける三友の社員、竹野を演じた三浦貴大さんです。彼の第一印象は決して良くありませんでしたが、物語が進むにつれて喜久雄の良き理解者となり、非常に魅力的なキャラクターへと変化していきました。
ただ、作中で喜久雄がしっかりと老けメイクで歳を重ねていくのに対し、竹野だけはほとんど容姿が変わらないのが気になりました。私以外にも、「あれ、この人だけ全然老けないな」と感じた方がいらっしゃるのではないでしょうか。細部ではありますが、リアリティの面で少し引っかかってしまいました。
総評:夢を追いかける生き様に感動
いくつか気になる点はあったものの、この映画が非常に見応えのある作品であることは間違いありません。普段、邦画はあまり観ない私でも、この映画は最後まで引き込まれました。
私がこの映画で最も心を揺さぶられたのは、やはり喜久雄の生き様です。
彼は、欲しいものや夢のためならば、どんな犠牲もいとわない。自分の叶えたい夢こそが人生の全てだと信じ、ひたすらに突き進む姿には深く感銘を受けました。
夢のために大きな代償を払い、後悔するかもしれない不確かな未来に人生をかけることは、非常に困難なことです。多くの人は、本気で夢を追いかけることすら難しいのではないでしょうか。
しかし、傷つきながらも自分を信じ、前へ進む喜久雄の姿は、心に刺さりました。
他人の気持ちを完全に理解することはできないからこそ、自分自身を信じて進むことの大切さを、改めて教えてくれた作品でした。
そういう家系なのかなあ?
父は失明、息子は足切断と2人とも糖尿病とは、、、でも父が吐血は糖尿ではない気がするけどね。
わかるけど、わからないのは、
幼馴染がボンボンと逃げた理由
確かにその方がストーリー展開には良いと思うけどね。でもあれだと、幼い時に「ずっとついていく」って言葉が嘘になる。嘘になる程の「なにか」があったのかな?そんな感じには見えなかったけど。総じて主人公を取り巻く女性陣が物語に強くコミットしてない気がしたなあ。ラスト、カメラマンが娘なのは想像通りだけど「1度も父親と思ったことない」とか言って祭りの時は「父ちゃん」って懐いてたじゃん。
ドサ周りの時の宴会客とのトラブルも要らなかったし、国宝のじいちゃんの絡みも上手く言ってない感じ。
というと、まるで★3〜3.5くらいな物言いなんだけど、あの、歌舞伎の演技は相当努力しただろうし、「迫真の演技」と言ってよいからさ。渡辺謙も含めて「凄み」があったんで、4にしようかな、と。
観る前は「え!3時間!」って思ったけど、時間の長さを感じさせない仕上がりだったのも好評価だったしね。
2025年度劇場鑑賞31作品目(32回鑑賞)
面白いけど、過大評価
「映画館で見るべき作品」と聞いて見に行ってきた。実際「映画館で見るべき作品」と言われる所以は理解できた。歌舞伎のシーンは圧巻であり、本当に美しい。美しいという言葉だけでは表現し尽くせない。知識が全くない私でも惹き込まれた。横浜流星、吉沢亮の演技がすばらしい!!映像美、演技の観点では評判通りだったが、ストーリーの方は若干気になる点があった。まず、高畑充希ひどくない!?ということ。歌舞伎の演目と重ねたかったのは分かるが、横浜流星を選んだ過程が描かれていないため、ただの尻軽に見えた。次に、絶望・転落からの復帰があっさりしすぎじゃない!?ということ。屋上でのシーンは素晴らしかった。華やかな役者人生からの転落をまざまざと見せつけられ、胸が痛かった。しかし、そこから次の日には誘いが来て!?突然復帰!?血が大切だのどうのこうの言ってた割に血がなくても案外すぐ復帰できるやんけーと思ってしまった。転落期間をもう少し詳しく描写してほしかった。最後に、あやの(隠し子)との再開のシーンいらないなということ。あの芸妓さんが何番目でもいいから〜とかいって吉沢亮を誘ったくせに、その子供にあんな恨み節言われる筋合いなくない!?あやのちゃんが「あなたが舞台で輝くためにどれだけの人が犠牲になったか〜」みたいなこと言ってたけど、犠牲にしたのってせいぜい芸妓さん(自分の意思では?と思うけど)、あやのちゃん、森七菜、くらいでは?しかもあやのちゃん、吉沢亮のこと大して知らないよね?突然現れてわかったような口聞いてお父ちゃん(涙)とか言っても、何も刺さらなかった!なんだこいつは!と思ってしまった!ストーリーへの文句はこれくらい。それ以外は素晴らしかったです!最優秀作品賞あるかもね
長い
もうそろそろ終わるかな〜(終わってほしい…) と5回は思った。
邦画に多い演出の、セリフや効果音無しの表情で魅せる手法は、個人的には好きだけど、多用されすぎて後半飽きてしまった。またか…という感じ。
最後に娘が出てくるシーン以降も、いまいち必要性が分からない。その前の喜久雄と俊介の曽根崎心中が良かっただけに、それを超えてこない最後のシーンは必要?
そのへんをバッサリ切って、もっと喜久雄と俊介の和解とかをクローズアップしてほしかった。
喜久雄が俊介と春江をあまりにアッサリ許しすぎて…
結婚を考えた相手と親友が同時にいなくなったと思ったら父親が亡くなった途端急に戻ってきて、今度は自分が追い出されるんですよ?
その時の喜久雄は言葉に出来ないほどの屈辱を感じているはずです。
なのに拳を一発食らわせる程度で、その後も呼ばれたらあっさり戻ってくる。いつの間にか二人藤娘を一緒に演じている。
この時に私の感情が追いていかれてしまった。
小説を読んだらもっと補完されているのかな?
芝居はすごいが話はあっさり
日本映画好きが好きな芝居が見られます。
もっと言うなら「芝居がすごい」と言いたい人向けの映画。
もちろん確かに芝居はすごいの一言。
ほぼ全員がハマり役で、上手な森七菜さんの演技が1ランク下に感じてしまうぐらい。
一方、話としては、荒いところは多々ありました。
終わりに近づくに連れてダイジェスト感が増してきます。
重要なファクターだったヤクザの息子という設定はいつの間にか忘れられてすんなり人間国宝になります。
初見はレビューも感想も見ない方が絶対良い。
役者、映像美、撮り方、本当によかった。ストーリーも歌舞伎を除けば大衆が見やすいものであると思います。特にストーリーの流れはとてもよかった。喜久雄が血を求めるあまり落ちぶれて、竹野によって引っ張りだされ復活する一連が特に。
この映画は良くも悪くも役者ありき。絶対に一度観て損はない。
私は歌舞伎の知識がない。歌舞伎の上手い下手も全くわからない。ただ、それでも退屈しなかったのは圧倒的に顔がよかったからだ。あの綺麗さがなかったら私のような人間が見たらだれていたと思います。監督が顔で選んだ、という言葉はちゃんと選考理由の1つでしょう。役名のない役者さんや、一瞬の出番しかない役者さんでも演技が上手いので人間ドラマのストーリーがちゃんと面白い。
これは多分歌舞伎知識のない人間だからこその気になった点だと思う。
最後の娘とのシーンの会話の説得力が描写不足のしわ寄せになったのがもったいなかった。
喜久雄のせいで女性陣がどう不幸になったのかもう少し描いてほしかった。その雑な扱いが現わしているといえば納得はできるけれど、見たかった気持ちが大きい。
その割に渡辺一家の描写は丁寧だったので喜久雄はずっと余所者で厄介者という印象が抜けなかった。多分、芸に秀でていない私は喜久雄にも俊介にも共感できないので、母親の方で共感したかったのだと思う。しかしずっと嫌な印象しかないので墓参りの寺島しのぶの怒りの演技も、今まで我慢してたのを吐き出したかのような演技が、ずっといびってたのに?になってしまった。多分喜久雄が友達でもこの母親は陰口言ってるんだろうな、で終わったのが残念。もう少し母親の出番が少なかったら勝手に想像して共感できたと思う。描写のバランスって難しいんだなと。
ただ歌舞伎の知識があれば演目で補ってた部分かもしれないとも感じた。原作をちゃんと読んでからもう一度映画を見ると違った感想になるかもしれない。
よく役者さんは演じたと思うし、吉沢亮さんの台詞に頼らずとも目や表情で伝えてくる演技がとてもよかった。わかってはいたが田中泯さんは別格の存在感で喋るだけで空気が変わるし、三浦貴大さんと森七菜さんも好きな役者になった。少年時代を演じた役者さんも永瀬さの好演も印象的だった。
俳優さん達はみんな素晴らしくて演技を見るだけでも価値がある。
気になる点はあれど観てよかったし、ストーリーも面白かった。何度も観たいと思わせる圧倒的に「美しい」映画だった。
歌舞伎版明日のジョー、ゴッドファーザーもしくは
素晴らしい大力作で、絢爛豪華。誰かの投稿にもあったが、確かに2時間×2の前後編にしたら、もっと分かり易く観客に納得感のある作品になったかもしれないが、3時間弱全く飽きさせず、歌舞伎役者の数奇な一代記を一気に完結させたのは大変立派だと思う。おそらく来年初めの映画賞も数多く受賞するであろう大作と思います。また、何よりもロングランヒットし、多くの方が映画館を訪れるだろうことは何よりも喜ばしい限りです。ただ、この作品に勝手に100点満点で点数をつけるなら89点です。80点でキネ旬ベストテンに入るかも、85点でベストテン確実、90点でトップかも、95点で自分がトップと考える作品と勝手に考えています。
足りないとしたら、何となく、本作は明日のジョーのような感じしたからかも。キクオがジョーで、トシオが力石(根性のない力石ですが)、二代半二郎が段平(端正なおじさんですが)の感じがしてしょうがなかったからかも。挫折するとドサ回りに落ちるところも何となく。幼い娘に芸のために悪魔に魂を売ったと語るが、その内面には深くは入らない。勿論それでも良いが、もっとあそこから、もう一段恐ろしい芸の闇を描いても良かったのでは。原作未読のため、ないものねだりかもしれません。最後のインタビューで順風満帆と問われ笑ったが。
でもゴッドファーザー的な家族の愛憎劇でもあり、タイガー&ドラゴンの様に歌舞伎演目と話の内容が、かなりシンクロしつつ、でも下品にはならず、堂々たる大河作品に良くまとめたと思います。
没頭する作品
最初から最後まで時間を忘れて
没頭して見ていた作品でした。
これは映画館で見るべき作品です。
家のテレビではこの作品の良さが半減してしまうと思います。
大画面で見る歌舞伎の迫力もそうですし、まるで客席にいるかのように錯覚するカメラワークもあり、静けさの中で燃え続ける火を体現したような作品でした。
俳優陣の演技力も素晴らしかったです。
吉沢亮さんのアドリブシーンもそうですし、
横浜流星さんも素晴らしいです、
歌舞伎を知らない私でも、真剣に見続けることができるくらい、リアルを感じました。
血がほしい、血を飲みたいと訴える姿をみたときは
気づいたら涙が出てしまっていました。
見て良かったなと思う作品でした。
国宝感想
はじめ、タイトルが個人的にちょっと権威的な感じな気がして好きじゃない(なかった)のですが、本編は大変な力作で最後まで興味深く見られました。
一将功成りて万骨枯る、といったところでしょうか?(だけじゃないでしょうが、)
ひとつの道で功を成してきた人というのは、(自他問わず)どれだけの犠牲を払ってきたのかと思うと感慨深いものがありました。
しかし他を引き合いに出すのもなんですが、残菊物語で道頓堀川で錦を飾る歌舞伎役者菊之助と病で荒屋で床に伏せるお徳の犠牲(内助の功)の対比が鮮烈だっただけに、どうしても本作と比較せざる得ませんでした。
思えば、主人公の喜久雄と俊介は、血(筋)か芸かですったもんだするわけで…
しかも二人は他人でありながら家族以上に心情の面では繋がってもいて…
これもまたチェン・カイコーの覇王別姫を思い浮かべる所ですが、
それにもまして丹波屋?の名跡にまつわる二人の関係性が、個人的に本作の突出して良かったところでした。
その梨園の血(筋)には抗えない、その喜久雄のどうしようもない藻掻きが面白かったです
半二郎の代役に(なってしまった)抜擢され楽屋で喜久雄が震えながら言う「俊介の血をガブガブ飲みたい」は喜久雄の懊悩を象徴する最も印象深いセリフでした。
あと気になった所は、少年喜久雄がカチコミに失敗した後、これから父の復讐が芸にどう転嫁していくか?… に、個人的に興味あったんですが、作者が興味無かったのか、どうやらそこに触れられることが無く、最後の鷺娘の紙雪と父が逝ったあの雪景色との心象風景に留めるだけで(そこが良いいのか?)終わってしまった所が惜しい所でした。
また、いよいよ喜久雄と俊介が袂を分かち、駆け落ちしてドサ回りしながらドン底を味わう喜久雄…
万菊に呼び戻されて再び二人藤娘?を踊る件りの、その二人の情感を描かない端折り具合が酷く乱暴に思いました。長尺ゆえの英断だったのか、再会の二人をもっと丁寧に見たかったです。
いろいろ過去の名作と比べて気になった所を上げ連ねましたが、近年の邦画にしては質と量ともに充実し見応えある作品なのは間違いないと思います。
つらつらと考えるうちに、、
国宝とは芸道(美しさ)に悪魔はんに身を売った男の皮肉と捉えると、この嫌った表題がまた違った趣きに見えくる不思議。
それを最たる犠牲者の一人、喜久雄の娘の口から吐露させたのは言うまでもありません。
吉沢亮さん・横浜流星さんの演技は凄い
歌舞伎の舞台裏を詳細に描いた映画でした。早変わりの技術や化粧・着替えの様子から才能だけや血筋だけでは芸術の域まで達成できないような歌舞伎の世界が描かれていたと思います。何しろ横浜流星さんのお初の声にびっくりしました。ホントに女形の方…よりもまだ女声の色気がある声に驚きました。吉沢亮さんも屋上で踊るシーンはハラハラしながらみました。大きな役に抜擢されて緊張した時に話すセリフも感動ものです。
話は二人の歌舞伎役者の人生(半生)を描いていましたので確かに長いです。
また、事件もアクションもそんなには無いので
ただ、半生を割とテンポよく描いていたと思います。
後は二人をとりまく女性陣…寺島しのぶさんの役の気持ちはよくわかりますが
最期の吉沢亮さんのお相手(先輩歌舞伎役者の娘)の気持ちが良くわかりませんでした。
突拍子無く表れて…って感じで去り方も急に居なくなった感が。
その辺のストーリーが余計というか…って感じがありました。
物語の終わりの方で急に出てきていなくなったって感じで結局、別れたんだろうか?
って匂わせで。
逆に娘との再会シーンは感動しました。
話題作という評判に釣られて鑑賞(笑)
前知識がほぼ無いままで観ました!
吉沢亮君のお初、魂がこもっていて圧巻でした!
主人公2人のジェットコースターのような人生に打ち震えました!
高畑充希ちゃんや森七菜ちゃんの掘り下げた女の本音な部分が気にはなりましたが、それを差し置いても素晴らしかった!
しかし、人間として国の宝と認められるようになるには、悪魔に魂を売るような生き様が必要なのか...
そして、毎朝「よーいドン」で認定されてる方々も...そんなわけ無いやろ(笑)
これぞジャパニーズカルチャーのオンパレード。
結論から言うと、最初の1時間で十分。
この1時間にこの映画の良さが全て詰まっている。
歌舞伎、芸者、反社会、入れ墨。
舞台も京都、大阪、九州。
外国人が日本を好きになる要素がふんだんに散りばめられている。
ストーリーもサクサク進んで、日本の古き良き文化がなぜ人々の心に響くのかがよく分かる。役を演じていては人に感動を与えないのだ。
魂が乗り移ることが大切。その人物の心情や時代背景など全てを捉えてこそ表現できる世界なのだと。渡辺謙が言うから説得力が違う。現に曽根崎心中でお初の魂が乗り移ったかのような吉沢亮の演技は鬼気迫る者あり、自然と涙が溢れた。
ここがクライマックスであったなら、★5で終わった。
しかし、今回の映画は
最初の1時間が一気に盛り上がった反面、次の1時間でどん底まで落とされてしまう。そして最後の1時間は、着地点をさぐるべくウロウロと迷走する展開。
何を言いたかったかと言うと、人間国宝になるためには、周囲の人々を犠牲にしてようやく辿り着けるものなのだよと言うこと。
そのために中盤〜後半にかけて2時間も使うのは勿体ない。
最初の1時間に紆余曲折を盛り込んで、最後は2人の主役が見事に国宝と呼ばれるような演技を見せて、ハッピーエンドで終えられたらスッキリした映画になったのに。
高畑充希が、アゲマンであると思う。
吉沢亮といるときはハッピー、流星に奪われるとツキに見放され下落へと突き落とされる。そしてミツキを手に入れた流星が活躍する。
歌舞伎の良さだけでは物足りないから、あれもこれも入れて、ドロドロ劇にしたのは、まるで見事な風景画を描き上げた後に黒インクで塗りつぶした感じように、後味の悪い作品になってしまった。
全てを含めても、歌舞伎というものの素晴らしさが伝わるので観る価値がある。魂と魂のぶつかり合い。一つの作品を作り上げるために誰もが真剣。これをこの短時間で、2人の主演が演じきっていること。本場の人たちが観ても、誰も文句が言えないほどの出来栄え。これを観るために最初の1時間を観に行って欲しい。
国宝≠人間 なのかな?
悪魔と契約したんや。
でも実際は人を辞めて悪魔にでもならなきゃ、いや悪魔をブチ殺さなきゃ国宝……そう宝と認められないんだから。
そのぐらいのスケールとイメージなのだと思う。
どないしてくれるん?ドライアイになって飲み物飲むの忘れて脱水症状になったわ。
のめり込んで観たわ。後ろのばばぁのお喋りとケータイの着信音に「このクソババア!うるさいんじゃ!」と怒鳴り散らすのを忘れるぐらいに見入ったわ。(でも決して忘れた訳ではありません)
たまらんな。こんなにのめり込んで観る邦画。あったかなかったかのレベルやわ。
正直もったいないなぁ。
こんなんテーマでドラマ化して字幕付けて海外向けに売って行ったらとんでもなく儲けたのに。
そーゆーとこにビビってたらあかんねん松竹。
二人の演技は他の皆さんがレビューしているので書きませんが梨園の妻としての寺島しのぶに高畑充希の二人の顔つき。良かったです。
と言っても寺島しのぶは本家ですから生まれてからずっとこの世界にいた訳ですから。彼女の横には富司純子の残像というか影というかそのものと思えるものがチラチラ見え隠れしたのは私だけでしょうか?
最近は映画館でも歌舞伎が上映されているので、実際の舞台を拝見する事が難しくても身近なものになってきているのでTVやスマホの小さな画面ではなく大きなスクリーンで楽しんでみては?
絶賛、ほどじゃないけどとてもよかった
いまコミカライズの連載も読んでるので、ビジュアル解釈の違いに興味もあり、発表以来、楽しみにしていました。
とてもよかった。
ただ、レビューで書き込まれている絶賛ほどではないのは、映画版オリジナルの屋上シーンでピークアウトしたと感じたからです。あのシーンは本当に素晴らしい。ちょっと涙が出ました。だからこそ、その先に消化感が否めませんでした。
例えば綾乃のシーンはないほうが好み。
映画版は喜久雄に焦点をしぼり、かつ徳ちゃんがいないことで、喜久雄の孤独が際立ちます。別の血を持ち(梨園の血がないが強調されるけれど極道の血は流れている、それゆえのスキャンダル)、なのに才があるから排除され、それでも芸に没入した結果、“化け物”のようになった孤高の存在。それは観客以外に理解されなくていいと思ってしまった。徳ちゃんの「正月」セリフを誰かに言わせないといけないからなのはわかるんだけども。
鷺娘も劇伴がなんかやりすぎじゃないですかね。あそこは邦楽を大音量にしてもいいのではとか思いました。
あと、キャスト発表時から思ってたけど、渡辺謙に女形役はやっぱり無理があると思います。吉沢亮と田中泯が普段の所作から女形かもしてるから余計に感じてしまう。
とはいえ、全体には満足なのです。喜久雄のお初が強くて、そのシーンと俊ぼん、春江のシーンを重ねる演出は、消える二人の気持ちが私的に推し量りやすかった。歌舞伎の有名演目を登場人物の心情と重ねる多層の構成は映画ならではだと思います。
それにしても吉沢亮、つくづく顔がいいですね。横浜流星も美形なのに、それが霞んでしまう。あの顔だから万菊さんの「顔に喰われる」が刺さりまくり、彼もまた喰われそうな顔を乗り越えている俳優なのではと重ねてしまいました。
全567件中、321~340件目を表示
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