国宝のレビュー・感想・評価
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ストーリー微妙。女形(おやま)を「おんながた」と読むのは、やめて欲しい🎞️
演目や歌を存分に用いて、劇場で贅沢な気分に浸れますが、ストーリー自体はイマイチに感じました。入門して身を立て、血統に悩み三浦貴大さんと衝突するあたりまでの、前半は良かったです。後半は時間も飛び飛びで、非日常を追体験するよりは雰囲気映画になっていったと感じました。ライバルが失踪したと思ったら、10年して急に帰って来てスターとして返り咲く展開は、主人公が当主なのに追い出すシーン等も無く、おかしいと思いました。また人生を描いているのに良かった時代や黄金時代も特に感じなかったので、例えばライバルと2人で家を盛り立て一時代を築き、その後に跡目争いで揉めるというオーソドックスな「持ち上げて落とす」シナリオなら、高揚感もあって良かったかも知れません。女形(おやま)を毎回「おんながた」て読むので、苛々しました。主人公の舞台でのお顔や立ち振る舞いも、梅沢富美男さんや早乙女太一さんと比較してしまい、美しいとは感じませんでしたし、発声もこれで良いのか分かりませんでした。ケン・ワタナベが血を吐くシーンは良かったです。難しい内容にチャレンジした映画だとは思います。
結局は血か信用、芸の優劣は同じ土俵に上がってこそ
3時間10分、トイレにいくのを我慢しても引き込まれる力のある映画だった。
役者の表情、舞台の演技、所作、美しさは素晴らしい、私の乏しい語彙では言い表せない。二人の高校時代は青春という感じも良かった。けど、横浜演じる御曹司が吉沢演じる主人公の女形の芸に打ちのめされ、2年程、歌舞伎の世界を離れ音信不通の間に育ての親の名を主人公が襲名するが、直後に育ての親が亡くなり、同時に任侠の一門出身や背中に刺青が有る事、隠し子が居る事などがスクープされ後ろ盾を失っている主人公は干される。
(名門の名を襲名までした
そして、役欲しさに歌舞伎の大物の娘と男女の仲になるが、大物にバレ、娘が勘当された為
歌舞伎の世界に居れなくなり、ドサ廻りの日々が始まる。逆に戻って来た御曹司は名門の復活ともてはやされる。これが主人公が御曹司に向かって吐いた時期は違うが、「俺が一番欲しいのはお前の血や!!お前の血をコップ一杯に飲みたいわ」や「結局は血やないか、芸なんか関係ないわ」に集約されるのかと思った。じゃ、最終的に人間国宝になる主人公はどう復活するのか?(原作未見です)と思ったら、主人公に対して厳しく見ていた女形で人間国宝になった重鎮の引きで歌舞伎の世界に戻る事が出来た。この辺りなんか割り切れない部分はあるが。後、下卑た話だが大物の娘を演じた森七菜があんなに胸大きかった?と吉沢との濡れ場が結構大胆だったと思った。
単調に続く
カメラがずっと寄ってるしグラグラ動くしで、
歌舞伎の舞台の面白さを全く感じなかった。撮影で演技の受け手の顔をアップで撮影する。その顔で前の場面がどう評価されてるかを説明する。それの繰り返しがずーっと続く。説明演技が多すぎて見ているのが苦しかった。音楽もここでそんなわかりやすいピアノが鳴る?と、気持ちが下がってきた。
歌舞伎舞台の演目をいくら鍛錬して作り上げても、画面いっぱいに顔が映ることで、国宝感は見えなかった。義足になったあとの曽根崎心中での観客一同が一斉に全員が拍手するところなど、「はたしてそうか?」と疑問だった。涙と汗でぐちゃぐちゃに化粧が取れ、いわゆる見苦しさある舞台を全員が全員好感を持って受け入れるだろうか?賛否両論ある客席であってしかるべきで、それを大いにこえる2人の心の中の交感がみえてくるのがよかったと思うのだけど。ラストの鷺娘、もっと全体を見たかった。歌舞伎の俳優の人が脇をもっとゴリゴリに固めて、その中で違う出自の俳優・吉沢亮がどう魅せていくかということになっても面白かっただろうなぁ。と、思いました。
それはおいておいて、、
吉沢亮はとても良かった。鬼気迫る振る舞いや、演目の演技など素晴らしかった。
業界の洗礼を受け 親子の絆に絡みつかれ 世間の荒波に揉まれながら 人生を泳ぎきった男の物語。3時間があっと言う間の濃密な人間ドラマです。見応え十分。
鑑賞前の脳内会議 -△-;;
吉沢亮と横浜流星が出演。 観たい。
渡辺兼も出てる。 うん、観たい。
上映時間175分。…3時間弱か うーん。 ・△・;;。
RRRよりは短い。きっと大丈夫。(…何が?)
(RRRは179分 … ほぼ変わらんです)
脳内会議の結果、観たい が勝利。v
そんな訳で鑑賞することに。・_・ …水分は控えめで
鑑賞開始。
…
鑑賞終了。 なんかこう、とても濃密な3時間弱でした。
血を受け継いだ者と、技を受け継いだ者。
命を削りながら舞台にあがることを厭わない、そんな者たちが
血と涙で描いた人間ドラマでした。
優れた技量の者を後継者にと思いながら、ギリギリ命の消える
瀬戸際で選ばれたのは親子の絆。
後継の道からは外れながらも、ひたすら技を磨き続けたの男に
与えられたのは、人間国宝の称号。
禍福は糾える縄の如し。
まさにそれを描ききった人間ドラマです。
濃密で、中だるみのほとんどない展開は見応えが十分。
劇中劇の歌舞伎の映像シーンは、ただもう綺麗の一言。☆
十分に満足の作品でした。
観て良かった。
言葉では良さが伝えきれないような気がします。
未だ観ていない人は是非劇場で。 ・_・♪
◇あれこれ
■顔
吉沢亮さんは歌舞伎顔…というより能面顔かも。
天賦の才を持つ者の存在感が出ていました。 ・_・
寡黙に見えながら熱い心を秘めた男の役、上手いです。
横浜流星さんは、良いとこの坊ちゃん 顔から苦労人の
表情へと変化していく過程が見て取れました。 ・_・
大河ドラマ ”べらぼう” でも時代劇主役を好演中。
この二人の共演する作品、また観てみたいです。
■人間国宝
人間国宝 というのは正式な称号では無いようです。・△・アラ
" 極めて優れた技量を持つ重要無形文化財 "
あちこち調べてみて、そのような人を指す呼称なのだろうと
そんな風に認識しました。
やや下世話ながら、国から年間200万程度の報奨金(?)が出ている
みたいです。後進の育成を目的にした支給のようでした。
200万が多いのか少ないのか。微妙ではありますが、人間国宝の対象
分野って、国が技術保全を奨励していかないと遠からず廃れてしまい
そうな、そんな分野が対象になっている気がします。
能 歌舞伎 浄瑠璃 などなど。
■遺伝
父(渡辺謙)は糖尿病で目を患い、血を吐いて死にました。
息子(横浜流星)も糖尿で左足が壊死し、舞台で倒れます。
吉沢亮が駆けつけた病室で、バナナを食べている流星クン。
こんな夜更けに ではないですが
こんなときにもバナナかよ です。☆_☆
あきらめの心境からの糖分摂取なのか それとも
好きなものは止められない、役者の性なのでしょうか。うーん
◇最後に
怪我をした父の口から、喜久雄を後継指名する声を聞いた俊介。
意識混沌とする師匠の口から、俊介の名を呼ぶ声を聞いた喜久雄。
悲しみ・絶望が深かったのはどちらの方だろうか と
しばし考え込んでしまいました。
ただ、その一声を聞いてしまった喜久雄だからこそ、その後ひたすら
技を磨き続ける人生を送れたのだろうかとも思います。
喜久雄にも後継がいれば良いのですが。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
歌舞伎の映像美は圧巻
惜しい。
こういう形で歌舞伎の世界が映像化されたのは初めてではないだろうか?その迫力は凄まじく、演じる2人の熱演も素晴らしいの一言。印象的な場面も多く、実の息子を差し置いて師匠の代役に抜擢された主人公が、本番直前に恐怖のあまり口走るセリフなどは、まさに鳥肌もの。
だからこそ、脚本の荒さが目についてしまう。前半の修行時代はともかく、中盤以降は場面ごとの飛躍が大きすぎて、登場人物の心情が伝わらない。主人公が極道出身という極めて特異な要素も、途中で没落させる「ための」単なる伏線にしかなっていない。どん底時代に救いの手を差し伸べた田中泯(役名忘れた)が、そもそもなぜあのタイミングで主人公を呼び出したのか、全てが説明不足なまま強引に時代だけが進んでいく(そういえば途中でどん底時代に一緒になった女の子、結局どこに消えたんだろう?唐突に現れていつの間にかいなくなってた...)最後に再会する娘との会話も、本来であれば「芸を極める事の業の深さ」という、この作品の根本テーマを象徴する場面のはずが、そこまでの重みは一切なく、単なる「ちょっと良い話」にまとめてしまっている。
結局は豪華な娯楽作品に過ぎず、その娯楽の作り込みが甘い、と言わざるを得ない。歌舞伎の映像が圧倒的なだけに、結局は歌舞伎というコンテンツが持つ歴史と伝統の重みに寄りかかっただけの作品になっている気がする。「美とは何か」「その為に人はどれだけ業を背負えるか」といったテーマをもっと掘り下げていたら、傑作になったかも知れない。
最後にもう一つだけ苦言を言えば、晩年の主人公の老けメイクがあまりにも適当すぎる。今どきいくら日本映画とはいえ、もう少し何とかなるだろうに、何で朝ドラレベルでお茶を濁そうとするかな....だから日本映画はダメなんだよ。もっと本気でやれよ、まったく。
上出来の日本映画だけどモヤモヤ
知り合いが「圧倒されます!」と薦めてきたので鑑賞。確かに歌舞伎の上演シーンは素晴らしくて、普通なら客席からしか見れないものを演者の背後から撮ったり、顔面アップで表情を見せたり、照明と演者の動きの踊りを見せたり、音もよくてとても美しかった。客席から見ることこそが真の鑑賞なのかもしれないが、娯楽としての歌舞伎のイメージが爆上がりする映画ということは間違いない。物語もアダルトで優雅なスポ根という感じで、主人公たちの芸への真面目さが「国宝」レベル。何かにひたむきに取り組む真面目な人ほど共感するのではないかと思う。
しかしモヤモヤが残る。
まず、長編小説を3時間におさめるためだったのかもしれないが、女性キャラの物語に空白がありすぎて意味が分からない。キクオが女性キャラ達にかけた苦労こそが、芸の道をきわめるために払った犠牲の大部分なのだから、女性キャラに共感できるような形にしないと「悪魔との取引」の重みが全然伝わらないのではないかと思う。だからキクオが払った犠牲がよくわからないというか、シュンスケが命を削ってまで舞台に立ったのに比べると、キクオ自身は何もしていないように思える。キクオが苦しむ表現も、ボコられて絶望してる感じになるだけで、あまり深みを感じない。
あと子役の撮り方が搾取的でいただけない。これが歌舞伎の女形ではなく、女性アイドルの高みを目指す物語だったら、15歳くらいの女子の子役がアイドル養成学校とかで薄着で汗かきながら振付を練習したりしている姿を舐めるように撮っていい訳がないだろう。またもし何かエロティシズムを表したかったというなら、なぜ大人になった2人にはそれが表されないのか?キクオの化粧をしてあげたり曽根崎心中で足を触ったりするのは確かに印象的だけど、その他は全部スポ根で2人の関係は全然発展しない。ストレートの男性同士が互いに優しくて親密なのは素晴らしいことだけど、ならば子供時代の半裸の練習シーンの撮り方は文脈に合っていない。それに子役がかわいそう。
歌舞伎をぶっ壊してはいけないとは思うけど、週刊誌報道のせいで心中を図った役者が実際にいるし、そういう社会的な側面を上手く扱って歌舞伎界の改善に寄与する映画だったらいいのにと思う。この映画は歌舞伎の舞台が魅力的に見えるというだけにとどまっていて、話自体はあまり尖ってなくて面白くない。原作を読めばのめりこむのかもしれないが。
ハードルは低めにしとこ
俳優さんの演技は素晴らしい
一番ビックリだったのは永瀬正敏さん
エンドロールに名前が出るまで気づかず、渋い俳優で適役だなーと思っていたくらいでした
内容については親の仇にしろ、半弥とはるちゃんのあれこれにしろ、東一郎の子どもにしろ「何年後」で済まされ、まぁ想像はつきましたけどねみたいな感じでそこまでの道のりは想像するしかなく。
色々あったのにすぐ元通りっていうところに納得はできなかったり。
で、スキャンダル色々あったのになんで若くして国宝になれたの?
予告が素敵でハードル上げすぎてたかな
「国宝」2回目を鑑賞
1回目鑑賞後にあちこち解説を見まくり、2回目を観てきました。
2回とも心が痛んだシーンは、2代目半次郎の舞台での吐血のシーン… 「俊ぼん、俊ぼん…」と息子の名を口にする師匠に対して呆然とする喜久雄の言葉「すいません、すいません」
本来なら3代目は俊介のポジション、でも俊介が出奔してしまって、その後の丹波屋と糖尿病で目が見えなくなりつつあった半次郎を支えてきた喜久雄。
でもどんなに頑張っても「息子」にはなれなかったのを思い知らされた瞬間…
舞台でのため息が出るような美しい女形の姿とは反対に、私生活は泥沼を這うようで、春江以外の女性に対しては不誠実な喜久雄だったけど、あそこまでやらないと、血筋のない喜久雄は国宝としての頂点を極められなかったと思う
現実の世襲の歌舞伎役者さんたちの大変さも少し理解できました
この時代に「命を賭ける」ということ
この映画のテーマは「どれだけ1つのことだけに命を賭けられるか」ということと感じました。
人間『国宝』というタイトルのとおり、生きながらにして、命をかけてその境地に達した人のみが「宝」となれ、
キラキラとした雪や、光の景色をみることができます。
これをテーマに各登場人物を私が感じた視点で見ていきます。
【物語と登場人物】
・喜久雄
父親の死に際の美しさ(命を賭けた姿)を見届けたことが、
図らずも彼にその美しさを追い求めさせるきっかけになりました。
ただ、道のりは苦難だらけでした。
魔性の女ならぬ、魔性の男。自然と女性がよってきて、性的な要求には抗えない。もしくは、登りつめるために(無意識に)利用していたか。
名門の俊介とずっといることで嫌でも感じる、血筋への憧れ。
とくに、半二郎(渡辺謙)が亡くなったとき、うなだれる喜久雄をみて、万菊(国宝のおじいちゃん)は、まだ喜久雄には血筋への執着があると認識し、見放します。
血筋もない、名声もない、パートナーもいない、自分には歌舞伎しかない。そんな状態になり、それを感じ取ったのか天から通じたのか、万菊が声をかけました。
そして、俊介が亡くなり、最後の心残りであった娘への心のわだかまりもなくなったとき、真に歌舞伎のみに向き合うことができ、その境地に達することができました。
・俊介(横浜流星)
歌舞伎への熱意はあったものの、それは純粋な踊りへの熱意ではなく、自己顕示欲、負けん気、家柄に対する責任からくるもので、自己への執着がありました。なので、境地までは達して国宝になることは叶いませんでした。
ですが文字通り、命をかけた最期の演技だからこそ、キラキラの景色が見えていた(=境地に達した)ように思えます。
・半二郎(渡辺謙)
歌舞伎一家の長として、国宝になるためには覚悟と命を賭けることは気づいており、
血筋に縛れられている自分の息子は「国宝」にはなれないと悟り、期待を込めて喜久雄に名前を譲ったのかもしれません。
そして彼自身も、最期に俊介の名前を呼んだように、息子に対しての負い目、未練が捨てきれず、(純粋に歌舞伎だけに向き合えなかった)結果的に国宝にはなれませんでした。
・春江(高畑充希)
命を賭ける人に惹かれる、支える(ことに命を賭けていた)春江。
ひたすらに復讐に取り憑かれ、歌舞伎を追求する喜久雄に惹かれます。しかし、売れっ子になり、結婚という選択肢をだされ、迷いが生じた喜久雄に魅力を失ったのか、もしくは結婚して子供を産むと、執着が生まれ、歌舞伎の邪魔になると予見していたのか、喜久雄から離れます。
そして、喜久雄に負け、心の底からうまくなりたいと思った俊介に惹かれ、サポートします。
しかし、俊介が死んだあとは、再び、歌舞伎に命を賭けるようになった喜久雄の舞踊を客席で妻のように見届けます。
ある意味、彼女は、主人公に近いくらい覚悟を持っていた強い人物に感じます。
【演出について】
普段、歌舞伎や俯瞰した視点で見ることが多いですが、ひたすらに表情、手振りに着目
また、演者からみた客席の風景も多用しており、新鮮で飽きずに見ることができました。
【俳優】
個人的には横浜流星推しだったのもあり、特に歌舞伎シーンでは、はじめは目立つ顔立ちの俊介に目がいきました。
しかし、歌舞伎では役になりきることが重視されるとわかってくると、
逆に濃すぎない吉沢亮こそが歌舞伎向きだと感じました。
何も歌舞伎を知らない想像ですが、歌舞伎の女形が白塗り(=凹凸をなくす)のもあくまでそんな意図がある気がします。
最後まで、歌舞伎のように徹底して豊かな表情をみせないものの、しっかりと見ている人に語りかけてくる演技はさすがでした。
そして、ふたりとも、素人の自分には歌舞伎の演技には惹き込まれました。忙しいなかでも相当練習されたのだと思います。
黒川想矢くん、『怪物』の主人公の子役だったことを、エンドロールで気づきました。今作でも圧巻の演技でしたし、そこに少し成長して整った顔がさらに今作の魅力にあっていました。
国宝のおじいちゃん。俳優は田中泯という有名な独特なダンサー。PERFECTDAYSで認識しはじめました。
表現者だからこそ、一言一言に重みがあり、この作品のタイトルを背負う、とてもとても重要な存在になっていたと思います。一番印象的でした。
【脚本】
原作との比較はわかりませんが、
もっとエンタメよりにするなら、もっと裏切りや憎しみ、感動などを前面に出したほうが観客は飽きないでしょう。
ただ、安易にそちらに振らず、歌舞伎と、俳優の演技にフォーカスさせる脚本となっており、好印象でした。
個人的には映画は脚本より俳優と演出が大事だと思っています。
【劇伴(音楽)】
脚本同様、派手な音楽は多様せず、無音な場面も多かったように感じました。
観客の感情を引き出すというより支えるような音楽が多かったです。エンドロールの井口理の曲もちょうどよかったですね。
ただ、必要以上に音楽が全体をより重くしすぎた感はあり、鑑賞後に疲れる一端にはなっていたかもしれません。
【印象に残ったシーン】
命を賭けているシーン、歌舞伎のシーンはどれもよかったですが、それ以外でいうと
全てに見放され、ビルの屋上でまさに「空っぽ」になっていたときの吉沢亮の演技がよかったです。
それまでの緊張の糸がきれた、可哀想だけど、ようやく解放されたような、ちょっと安心しました。
【この映画自体の意義】
・3時間という長丁場
・歌舞伎という若者受けしない題材
・全体的に重く、驚くドンデン返しもない
という時代に逆行している作品に対して、世代を超えて劇場内の人が一体となって全身で感じる。
この時間こそが映画(館)の良さと思いますし、そんな空間にいられることが幸せに感じます。
タイパ重視の世の中も、まだまだ捨てたもんじゃないなと思いました。
さらに、映画を通じて日本文化を広める、映画の文化的価値、外交的価値としても素晴らしいのではないでしょうか。
(本来は歌舞伎を引っ張ってきた松竹がやるべきですが、東宝だからこそできたとも思います)
【総評】
私が重めの映画が好きというのもありますが、
俳優、脚本、演出、そして歌舞伎という舞台が見事にマッチした素晴らしい作品でした。
歌舞伎はほぼ見たことないですが、歌舞伎を見に行きたくなるのに十分な魅力を感じました。
すべてを犠牲にしてなにかに執着する、というのはとてもできないですが、その景色を私もみてみたいものです。
久々に良い映画体験ができ、これだけの長文のレビューも書きたくなりました。
素晴らしい❗️ 美しい❗️
主人公二人と田中泯の女形の妖艶な姿にうっとりする三時間です。歌舞伎の踊りにオーケストラの音楽がドンピシャに合っていました。
少年喜久雄が雪の降る料亭の中庭で、実父立花権五郎の暗殺現場を目撃するシーン、喜久雄の顔のアップと同時に
ガラスに映り込む実父の最期のカットが映画的で素晴らしかったです。
また、祇園のお茶屋でバヤリースオレンジをグラスに注いでもらうシーン。昔は、バヤリースオレンジは高級なジュースでした。思わずニンマリとしました。
また、田中 泯の手まねきの所作の妖艶さにドキッとさせられました。
さらに、歌舞伎の世界に恋焦がれても、歌舞伎役者にはなれない寺島しのぶの情念の演技も見ものです。
見ることの出来ない異世界の話
公開1か月にも関わらずいまだに満席でした。
好評の映画という以外、事前情報無しで観賞。
一般の人が入り込めない世襲で囲われた歌舞伎の世界。
そこに入り込んでしまった喜久雄が人間国宝にまで上り詰めるストーリー。
世襲という壊せない壁の前に、人生の全てを掛けて乗り越えようとする主人公を吉沢亮さんが演じ、血に守られた立場にいながら、逃げ出してしまうライバル俊介を横浜流星さんが演じている。
この二人さすが大河の主演を演じた俳優さんで、素晴らしい演技を見せる。
二人共に多くの歌舞伎演目を披露、とても見ごたえのあるシーンの連続でした。
寺島しのぶさん、高畑充希さん、森七菜さん、見上愛さんの女優陣も良かった。
特に寺島しのぶさんは、ご自身がリアルにその世界の方なのでとてもリアルに感じる。
私は李監督の「怒り」に出演していた高畑充希さんの演技がとても好きです。それ以上の演技を見せていただきありがとうございます。
最後に、渡辺謙さんがこの作品に深さを表現する演技で出演されていて良かったと思います。
今年度最高の映画となるのだと思います。見ごたえのある映画で満足でした。
役者魂
喜久雄がずっと探していた風景。
父親が雪の降りしきる中、「よく見ておけ」と自分の目の前で凶弾に倒れる。
喜久雄は空から降りしきる雪を見上げる。
命がけで芸に生きて最後の鷺娘で父親も見たであろう降りしきる雪を見上げてただ一言
「きれい…」と言う。
血が無い故に苦しみ、血がある故に苦しみ、それでも芸を追求し執着し生きる様に圧倒されました。
吉沢亮さん、横浜流星さんの役者魂が画面から痛いほど伝わってきて苦しいほとでした。
人はここまで何かに没入できるのか…
凡人の私にはたどり着けない領域です。
だからこそ圧倒されます。
もう一度映画館に観に行こうと思います。
不条理への反抗が、歌舞伎を「国宝」に昇華させる
観終わって最初に感じたのが、「これは、人生を懸けて不条理に反抗する物語なんだろうな」ということ。
喜久雄の第二の人生は、父の仇討ちを失敗するところから始まる。身寄りのない極道の子供として育ち、夢や目標、幸福を掴みかけても、すんでのところでするすると手から離れていく。まさに不条理の連続のような人生。
しかし喜久雄は、常にその不条理の只中にいながら、境遇を言い訳にせず、唯一の武器である芸を研ぎ続ける。彼は、常に目に執念のようなものを滲ませ、人生の不条理に向き合い、反抗する。ストーリーが進むにつれて、彼の言動はもはや常軌を逸しているとしか言えないものになっていくが、気づけばいつの間にか、観客は彼に釘付けにされてしまう。
彼の狂気を際立たせるのが、この作品の空気感。
この作品の空気には、常に歌舞伎界の因習が纏わりついている。大抵のシーンが歌舞伎の世界か裏舞台。それ以外のシーンでも歌舞伎界を連想させる場面が多い。そんな作りだからか、3時間ほぼ全てに渡って、常に薄氷の上を歩くような張り詰めた緊張感がある。
しかし、それが一層喜久雄の狂気を鮮やかにする。後ろ盾もなく、いつ消えてもおかしくない世界にいながら、常に運命に反抗し続ける彼の一挙手一投足には、狂気的なエネルギーが宿り続ける。
そしてそのエネルギーは、舞台の上で「歌舞伎」として、艷やかに美しく解放される。
その集大成が、最後の「鷺娘」。
だからこそ、人間国宝は「美しいバケモン」なんだろうな。
伝統芸能
予告で興味はあったけど他のが先に見たかったから先延ばしになり、まぁいいかな〜っと思ってたんだけど、鑑賞しました😁。
率直に舞台のシーンは綺麗やし物語も良かったです‼️。
舞台でのシーンはどの場面も吉沢亮さん横浜流星さんがとても美しく映像美もあるだろうが映ってて驚きました🫢。
物語も息子と養子の切磋琢磨する姿に惹きつけられました、よくある喧嘩するほど仲が良い等言いますが2人は喧嘩しません、互いを尊敬し合い(奥底では悔しい気持ちもあるだろうが)ながら成長もしているので嫌な感じはいっさいどちらにも思わなかった。
女型のシーンは個人的には吉沢亮さんはザ・女型、横浜流星さんは結構美しく女性に近くみれました☺️(笑)。
物語と芸術が5:5な感じもあり、興味や2人が好きなら大丈夫だけどそうじゃないと眠くなるか❓、美しく魅入ってしまうかもしれないが…。
ただ顔のドアップが多かったような💧、なんか色んな事を観てる人に伝えたかったのかな❓とも思うが個人的になんか印象には残った顔のドアップシーンでした。
凄い映画
歌舞伎の事は殆どわからないのですが話に引き込まれて3時間あっという間でした。
喜久雄と俊介の関係が良かった。先祖代々の血がない喜久雄に「芸があるやないか」の俊介の言葉。
亡くなる時父親がしきりにしゅんぼんの名前を呼んでいた切ないシーン。やはり血縁には勝てないのか。
個人的には初め喜久雄を全く認めていなかった竹野の目が次第に変わっていき「3代目」と言うシーンが良かったです。
1回目はただ全体を観ていましたが2回目は深い部分まで知ることができました。
屋上で声を出しながら舞うシーンすごかった。
こんなに引き込まれた映画は初めてです。
持つ者と持たざる者の苦悩
歌舞伎は全く門外漢で、もちろん原作も未読だし、映画館のポスターを見るまで、全くノーマークだった。
吉沢亮が歌舞伎役者を演じるだけで気にはなったが、予告を観て才能に纏わる話は好きだけど、持つ者と持たざる者の対比は、ちょっともう良いかなと二の足を踏んでいた。
ただ公開後の評判の良さにミーハー心で鑑賞。
吉沢亮、横浜流星のみならず、どの役者さんも素晴らしかったです。
芸事に抜きん出てるが、歌舞伎の世界では重要な血統を持たない吉沢と、梨園の息子で名跡の血統を持ち自身も継ぐ意思を持って育ったが、突然現れた内弟子の芸事の才能に、打ちのめされた流星。
お互いが持つ者であり持たざる者なのが面白い構図で、原作からの展開だと思いますが2人とも一度挫折し、歌舞伎から離れ復帰する筋があり(ちょっとくどい気もしたが、分かりやすいとは思う)、復帰後真っ直ぐ芸道を歩み芸と心中する流星、悪魔と取引するが如く芸以外を捨てて自己研鑽を重ね、国宝まで登り詰める吉沢。
1番感心したのは、キャスティングの妙でもありますが、吉沢亮の血統を持たない外部から歌舞伎の世界に入った人の佇まいでした。
芸が磨かれ美しさも増すけれども、どこか雑種感と言うか、歌舞伎自体との距離感を感じさせてる様に思えました。
あくまで自分が先にあり、才能で歌舞伎と同化して、生き様を歌舞伎で証明しようとしてる感じ。
逆に横浜流星は血統を感じさせる容姿で、特に首筋とかなんとなく感じさせるモノがありました。初めから歌舞伎の中に含まれた者として、正に名に恥じない芸を求める感じ。
皆さんの絶賛の通り、特に吉沢亮が凄いですね。
役同様の自己研鑽で魅せてくれます。
雪の舞う中の鷺娘は、亡き父の生き様と重ねて自分の生き様を見せてました。
ケン・ワタナベをはじめ共演も豪華ですが、中でも田中泯の第一声には震えたし、歌舞伎を舞う事自体凄いと思いました。
高畑充希のキャラはどうも評判が宜しく無い様ですが私は好きです。
身の引き方も吉沢亮の為ではなく、ずっといても決して自分を見てくれないと察した事だろうし、流星に付いていくのは彼の相対的な弱さが、きっと自分を見てくれる事に繋がるし、どこか常人として共感したんだろうと。
対比として森七菜の存在も、真っ直ぐ吉沢に付いていく結果を示してて儚い(コレまたある意味繰り返しで、くどいが分かりやすい)
他、キリがないので書きませんが役者さんはそれぞれ、とても良かったです。
ただ映画としては、ちょっと不満です。
田中泯の舞になぜあんなエフェクトを入れたのかとか、
演目自体ではなく演者の苦悩を写し出す為、カメラが近いのは理解してますが、ちょっと多すぎかなぁずっと近いカメラで外連味が無いと思います。
特に吉沢亮の森七菜との屋上でのシーンは、もっと引いた絵を見せないとって思いました。
顔だけではなく、全身で熱演してる吉沢亮に失礼じゃ無いかとさえ思いました。
まあだから最後の鷺娘が生きるんでしょうけど
(あのシーンももっと固定で観客目線、たまに寄るのが良かった気がするなあ)
とは言え、3時間楽しませてもらいました。
特に吉沢亮が国宝になった時の写真撮影時のシーンは泣きました。分かってたベタ展開ですがカメラマンの正体と、最後のセリフの一番の褒め言葉にはグッと来ました。
印象的だったのは完成披露時かのインタビューで、
寺島しのぶが鋭い視線で、原作を含めファンタジーですからと言った事ですけど。
全567件中、301~320件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。








