国宝のレビュー・感想・評価
全1630件中、621~640件目を表示
なんと書けばよいのか
ただただ、映画というのはやはり良い。としか言えない。感想を書くのがこんなに難しい作品は久々だ。
役者の演技、音楽、シナリオがどれも頭抜けている。原作の長編をうまく映像表現として落とし込んでいて脚本の段階で相当な練り上げがあったことが伺える。昨今の映画では珍しい、映像だけでなく脚本に対する拘りが感じられた。
これだけ売れたのが何の不思議でもない、まさに作品としての完成度で周囲を納得させた傑作の1つだと思う。
蛇足だが、本作はテレビ局の支援を一切受けなかったのでテレビCMもほとんど流れない中での成功で、その裏にはSNSでの拡散があったようだ。成功後に慌ててメディアが取り上げだした面白い作品でもある。テレビや新聞がオールドメディアと呼ばれ出した今の時代。遂に日本映画までもがメディアの力に頼らなくてもいい時代に来たのかもしれない。
なんというか
子役も良かった
とんでもないものを観た
歌舞伎の素晴らしさ。
この作品1つにいろいろなテーマがちりばめているなと思いました。血筋実力、天部の才能、歌舞伎と言う日本の伝統的文化、周りの環境の変化、自分が置かれる環境。吉沢亮、横浜流星、高畑充希、その他様々なタレントさんの演技がとても好印象でした。また歌舞伎の演劇のシーンもしっかりと演じているのだと思いびっくりしました。
自分の中で結構満足度の高い作品にはなりましたが、3時間もあってなかなか集中力を維持するのが難しかったです。ストーリーの中での月日の過ぎ方がかなり早くこのスピード感で行くのであれば、2部作にしても全く問題はなかったのではないかなと思います。森七菜さんの人が最終的にどうなったのかいや僕の見逃しかもしれませんが、気になる点があったので、もう一度見たいなとは思いますが、なかなか3時間の映画を集中してみる事は難しいかなと感じます。総じてかなり良い作品好きな作品でした。
上質な芝居!
ちゃんとエンタメ作品なのに
まるでドキュメンタリーを
観ている様なとっても上質な芝居!
見ているこちらに緊張感がひしひしと伝わってくる
見終わった後にぼーっとしてしまう作品は
本当に久しぶり!!
普段はヨリが多い作品好きじゃないのですが、
周りの状況とか物語とかではなく、
役者の表情が全てを物語ってくる。
吉沢亮と横浜流星の組み合わせが最高に良い。
2人の役の感情がシーソーの様に入れ替わるのに、
ちゃんとどちらにも感情移入出来る。
どっちつかずにならず素晴らしい。
田中泯と黒川想矢も良い。
とにかく全員のお芝居がとても良い。
映像も良き塩梅でテンポが早い訳じゃないのに
全く3時間を感じさせない秀逸な作品でした。
強いて言うと、
もっと盛り上げるとこ盛り上げて感動というか、
泣きにいかせてもと思う箇所があったなぁと。
ただそれをやってないからエンタメに振りすぎず
ドキュメント感があったのだろうとも思う。
歌舞伎って何処が良いの?な私は・・・
圧巻
期待し過ぎたところがあり…
観たい観たいと思い続けて1ヶ月半、壮大な期待を持って臨んだ鑑賞だったのもあり、それを超えることがなく終幕を迎えた。役者の演技力も全体の構成も演出も最高だけどストーリー展開としては心が震えるとかグッとくるところがあまりなかった。でも歌舞伎には大いに興味を持った!
吉沢亮と横浜流星が競う美
原作とは違う。でも満足度はかなり高い
評判通り、劇場で観て本当に良かった。上下巻の原作、歌舞伎役者の50年の歴史を3時間におさめると、省略される部分は仕方ないと思う。
それでも、昭和の西日本の、重くて濃密すぎる家族の雰囲気が、リアルに伝わってきた。
柄物いっぱいの洋服も、一昔前のクローゼットが再現されているようで楽しい。
芸だけを求め、最後はたった1人、別の世界に立っている喜久雄の空気を、美しいと思うことが不思議だった。
吉沢亮の、孤独であること自体にも興味がなさそうな、虚無の表情は良かった。
冷んやりキリッとした清潔感と、角がない柔らかさが同居している存在が、国宝なんだなと感じる。
小説を読むのとは別の、映像で体験するいろいろな感情が十分に味わえて、本当に良い作品だと思った。
私たちの世代が生きている中で、1番有名な日本映画になるような気がする。
ー「景色」というのは、全てをも犠牲にした人間が何か一つを極めた先で...
ー「景色」というのは、全てをも犠牲にした人間が何か一つを極めた先で見られるものだ。「芸」以外のものを犠牲にし、「悪魔」とまで取引をして日本一の芸者になった喜久雄は本当に幸せだったのだろうかー
私は「歌舞伎」という日本に古くから伝わる伝統芸能に触れたことも、目にしたこともなかった。この映画を観るにあたり、私と同年代を含む多くの人が「歌舞伎を見たくなる映画だった」と評していた。3時間という長尺の映画を鑑賞したことがなく、最後まで座っていられるのか不安だった。しかし、そんな不安とは裏腹に、3時間はあっという間に過ぎていった。映像も音も大変に繊細で、綺麗で、それぞれの登場人物の心情や表情を大きいスクリーンで観ることで、自分もその作品の一部なのではないかと錯覚させられた。
この映画に役者として演じている俳優たちはみな、顔が綺麗なのは当然のこと、演技力がピカイチだった。それがまた、私たち視聴者の心を揺さぶり、それまで見向きすらしたことなかった歌舞伎の世界に片足を出そうかという思いにさせたのだろう。
歯車が狂い始めたのはどのあたりだろうか。映画鑑賞後、友人が「俊介の血筋が不幸を招いたのね」と言っていた。確かにその通りで、努力でのし上がった喜久雄と違って、初めから歌舞伎役者の名の下に生まれ育った俊介は一度は失踪したものの、父亡き後には歌舞伎役者として再び戻ってきた。それに引き換え、喜久雄は半二郎就任直後に歌舞伎の世界から干されている。
糖尿によりこの世を去った父同様、俊介も若くして糖尿にかかり、歌舞伎役者として舞台に立ち続けることが難しくなっていく。「遺伝」してしまった「血」は、俊介にとっては自分の歌舞伎役者としての人生を保証するものであったのと反対に、喜久雄が喉から手が出そうなほど欲しがったものだ。
映画鑑賞後、私たちは「この映画を一言で表すなら」と、「一番可哀想な人と一番残酷な人は誰か」という話で持ちきりだった。単なる「ヒューマンドラマ」や「成長物語」と謳うにしては、この映画の良さは何一つ伝わらない。人に勧められるに値するキャッチフレーズがなかなか思い浮かばない。私がそこで出した答は「人生と犠牲」だったが、それだけではネガティブな印象になってはしまわないだろうか。結局、その問いに対する私たちの答えは出ないまま解散してしまった。では、「一番可哀想な人と一番残酷な人は誰か」に対して、一番可哀想なのは、森奈々演じる彰子なのではないだろうか。喜久雄のいわば「道具」にしか過ぎないように感じた。喜久雄が歌舞伎の世界に戻るために彼女をものにしたのにも関わらず、俊介が歌舞伎役者として活躍する今、小さな劇場等で自分たちの力で営業をして出向くしかなかった。森奈々はそのどれにもついて行くが、2人の関係に「愛」があるとは見受けられなかった。彼女は都合の良いように利用され、そして喜久雄の元を去っても未練すら抱いてもらえない可哀想な存在だった。森奈々はインタビューで以下のように語っている。
「表現を追い求める先にあるものが楽園への道とは限らない。それでも人生を賭ける理由がこの世界にはある」と。
喜久雄の「悪魔との取引」は成功して、最後には「国宝」として日本一の歌舞伎役者になった。それまで、歌舞伎以外の全てを犠牲にして。喜久雄が娘のあやめと再開するインタビューのシーンで語った「未だ見ぬ景色」は彼が「国宝」となって舞台に立った頃、ようやく現れた景色だ。それが彼にとってのさらなるスタートラインとなっただろう。
ようやくスタートラインに立つことができた彼は、幸せだったのだろうか。原点でもある「景色」を見させてくれたかつての「国宝」のように、喜久雄も死ぬ間際には「綺麗なもの」が何もない質素な部屋で生涯を終えるのだ。
まずこの時代に歌舞伎役者というものを題材に人気若手俳優を起用したの...
チュニジア人カメラマン
歌舞伎への積もる思ひは、果敢なき
日本人であるので、この題材は観ておかなければいけないと思い、本作を観ました。
原作未読 歌舞伎・梨園の緒事情を ほぼ知りませんが、
本作を鑑賞後に、坂東玉三郎さん演じる「鷺娘」と人形浄瑠璃「曾根崎心中」を配信で、観させていただきました。
本作では、喜久雄と市駒との関係が、少し薄い気がしたのが残念でしたが、
これ以上作品を膨らませると、4時間超え映画になってしまうので、致し方あるまい
義兄弟を扱った映画は多々ありますが、義兄弟故(ゆえ)に、"ひとつ"しかないものを、2人で奪い合う宿命に成るが、
本作での、他に類を見ない"唯一無二な展開"は圧巻な脚本でした。 <原作賞><脚本賞><監督賞><作品賞>
この大作を演じた 吉沢 亮さん、横浜流星さん、のおふたりの演技は、
歌舞伎役者そのものの域にまで達しており、実に見事でした。 <主演賞><助演賞>
映画の撮影も、無理なライティングをせずに、やさしい光の中に、的確なカメラ配置を行った撮影は素晴らしかったです。<撮影賞>
「ずっと見たい景色」とは、男が女方を演じる歌舞伎において、更にその先にある域は人間でもない 孤高の白鷺(国宝)であり、下手(しもて)の非人間世界なのではないでしょうか。
この無双な映画を観たら、並ぶ映画は在りません。
よって、歌舞伎を扱ったドラマ「タイガー&ドラゴン」を観ると、本作と同じに、うまい"枕の扱い方"に注視する事が出来るでしょう。
ここ数年で一番の傑作邦画
歌舞伎映画でここまで人が映画館に足を運んでいるのが嬉しい
「歌舞伎」という文化遺産というテーマで、一般大衆をこれだけ沸かせることができたのがすごい。目を見張るその映像美は、『アデル、ブルーは熱い色』の撮影を担当したソフィア・エル・ファニの魔法もあったか。歌舞伎への情熱と愛を感じる。
最初の雪の中のシーンから、心震える。今作の1番の好きなポイントは、セリフに頼らずに歌舞伎を通して、語られるそのストーリー。言葉では表しきれない複雑な思いをスクリーンから感じることができる。特に「曽根崎心中」のシーンには、感情を揺さぶられずにはいられない。
ストーリーライン的には、驚きがなく確かに単純なところがあるが、それでも歌舞伎に興味がない層にもその3時間飽きさせないというのが今作の力か。
前回、ここまで満席の映画館を見たのはいつだろう。やはりみんなでこう映画を楽しめるのが何より嬉しい。
全1630件中、621~640件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。