国宝のレビュー・感想・評価
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前時代的すぎる描き方
演技も、演出も素晴らしかった。
特に舞台上から客席に向かってのカメラワークや大ゼリからの映像はそれこそ「見たことのない景色」を味わえるような珠玉の映像体験だったかと思います。
(撮影が余りにもよすぎて後から調べたらアデルのソフィアン・エル・ファニさんだったんですね)
その分、なんの新しさも工夫もない脚色にがっかりしました。
このマチズモ全開の作品を2025年に映像化する意味とはなんだったのでしょうか。
ラストのカメラマンのセリフ、私には精一杯の嫌味に聞こえてしまったのですが、彼のスッキリしたような面持ちとその後の集大成かのような演技から想像するに、これはハッピーエンドの物語なのでしょうが、果たして。
男性社会である梨園を描くなと言ってるわけではなく見せ方の問題で、あまりにも前時代的な描き方すぎて(女性、性的マイノリティ、サービス職業従事者など特に)、繰り返しになりますが今この時代に映像化する意味が理解できませんでした。
日本の映画界が、この作品に日本アカデミー賞を獲らせるような価値観ではないことを祈るばかりです。
キャストの方々は一人残らず素晴らしかったと思います。
私は歌舞伎に明るくないので演目のシーンにはただただ圧倒されるのみだったのですが、三浦貴大さんの竹野は東一郎だけに見えてる妖精か何かだったのかな?ってくらい容姿が変わらなくてちょっとツボってしまいました。
「こちら側」の目線でいつも誰かを心配しているようで、かといって馴れ合いすぎず、だけどちゃんと誠意のある役柄でとてもよかったです。
凄まじい芸の道への執念
うん。凄かった。
芸の道という狂気の嵐の中で生きた喜久雄と俊介。
二人で切磋琢磨して極めた世界、でも選ばれるのはいつもどちらか一人だけ。
悪魔と契約したのは喜久雄か、それとも血より芸を選んだ師匠なのか。
どんなに運命から見放されたように見えても尚、逃れられないその凄まじい芸の頂点への執念に胸を掴まれたし、泣けた。
今日気づいたけど、歌舞伎役者って性別も年齢も演じるのね。
花の妖精の女の子も、ベテランの男性の先生が演じているのに何とも可憐で色っぽいので、なんか違和感なく受け入れてたけど、考えてみたらすごい技術だよな!!
そして映画観ながらずっと『ダンス・ダンス・ダンスール』(ジョージ朝倉・作)が脳裏にチラつきました。
あの喜久雄が感じてたダイヤモンドダストみたいなキラキラは、潤平が感じてたアレだと思う。
多分選ばれし人しかみられない世界なんだろうなぁ。
自分を追い込んで芸の道を極めた人だけがみられるキラキラなのかもしれない。
原作を上だけ読んでから参戦。
子ども時代は二人とも勝ち気で男の子らしい感性を持ってたと思う。二人にしかわからない、厳しい日々のお稽古を通して友情とも家族愛とも言える関係が、成長とともにすごくドラマチックに描かれていて面白かった。
お互いが永遠のライバルで、大好きで大嫌いの誰よりも強い絆の二人。
彼らの生き方は、どっちも美しかったし、可哀想だったし、同じくらいしんどかったと思う。
しかし壮大な愛と友情と何より狂おしい芸の道であった。
俳優さん、全員素晴らしかった。何というか説得力があったわ。
たっぷり堪能させていただきました。
THE 日本映画
すごい映画を魅させてもらいました。
吉沢亮は日本の宝かもしれない
今期いちばんの注目作。ひと昔前には各映画会社これくらいの気合いの入った大作をぶち上げていたものだ。そんな公開前から日本アカデミー賞はもらった、というような3時間作品にカンヌ選出までついた盤石な触れ込みでの公開。
歌舞伎で人間国宝になる男のそこに至るまでの人生。『アマデウス』が160分で『さらば、わが愛 覇王別姫』が172分、『グッドフェローズ』が142分。『SAYURI』が146分、で、こちらが172分。アート作品が描かれなくてはいけなくなるとやはり時間を取られる。観た感じでは上映時間ほどの多くのものが描かれている訳ではなく、ある意味大仕掛けというかダイジェスト的という感じがした。とはいえ、吉沢亮と横浜流星のまさに「熱演」(通常好きではないけど)は歌舞伎という題材の中ではスポ根のように溶け込んでいて、特にいつもは熱過ぎてなんとかならないかと思う横浜流星の演技も、題材と李監督の、言葉悪く言うと「大袈裟」な世界観の中ではピタリと収まってるのがいい。そんな中でも吉沢亮は他者にのまれない芝居(『ぼくが生きてるふたつの世界』に続いての世代を飛び越える主演を演じた)を展開していてさすが。
ぶっちゃけ歌舞伎はそれほど観たことないのでそれに関してあーだこーださないのだけど、特に違和感なく観れてるので凄いのだと思う。とは言え、ある意味魂こもってる分、海外のこういった一代記としての細部がかなりもっさりしていてもったいない。時間の余裕があればもう少し各登場人分の人間としての幅が描けたろうに、と思う。栄光と転落を交互に繰り返し、すべてを背負って舞台に立つと言うコンセプトですべてが詰まったクライマックスの芝居、となる前のエピソードの描き方が硬い、重い、しつこい、というのはいつもの李監督作品に関して思うことなのでまあ個人的な趣味だろう。これは素直に吉沢亮を堪能できればいいか。
天晴れ!
大河ドラマか!!
歌舞伎役者がスキャンダル起こしても、何度となく復活してくるのを不思議な思いでみてたのですが、なんとなく納得させてくれる今作。主人公級が皆、大河ドラマ常連だからか、思わず蔦重!!…てなっちまうのはありがた山の寒烏…ですが、山場と思われる代役選びはサラッと描かれます。そのかわり、オンナ関係はなかなか生々しい。コレは結構リアルなのではないでしょうか?オンナは強し。
とはいえ…歌舞伎、恥ずかしながら、今年初めて鑑賞させて頂いたら…なんとまぁ非日常のキラキラした世界の面白さよ✨幕あいに食べるお料理屋さんのお弁当といい日頃の憂さを忘れさせてくれます。この映画でも舞台のシーンでは素晴らしい美しい映像を見せてくれてます。
それほど心を動かされるストーリーではなかったですが、歌舞伎を1本見に行ったと考えると充分いい映画だなぁ〜と思いました。
75点
映画評価:75点
【才能と血筋】
古ければ、古いほど血筋が優遇され、
令和の時代とは相反している。
勿論、才能なんかがなくても
努力すれば、それなりのものは完成する。
だけど、成り上がってくるやつらは
才能と努力と運を持っている。
じゃあ、それに対抗するには
血筋やら、家柄やら、環境や権力を使って圧力をかけるしか勝ち目なんかない。
今回のストーリーは、
歌舞伎を舞台にした
純粋な若者二人によるものでしたが。
それでも、
才能に嫉妬したり、
血筋に嫉妬したりしている。
文化やら、伝統を重んじる世界だからこその
ジレンマなのかもしれないですね。
でも、それは今回どうでもいい!
そんな事よりも大切な事は主役の二人が一生懸命、そして真摯に練習したんだと感じられた事。
そこに心震わせたし、感動した。
ストーリーも渋くて良かったけど、
主役二人の真剣さに勝るもの無し!
興味なかったですが、
歌舞伎を見に行きたくなりました。
そう思わせた時点で、
この作品は素晴らしかったということです。
人間国宝とは、
その努力と才能を人生かけてきた
運が味方した人なんですね。
本当に凄いです。
尊敬しました。
主役の二人を尊敬しました。
ただ、ストーリーとしては、
3時間あっても足りてないと感じるくらい
どこかにありそうな設定で、そこまで凄くはなかったです。ですのでストーリーへの過度な期待はやめましょう。
両雄の勇姿を見る作品だと思って頂ければ、
ガッカリしないと思います!
ps.前情報を見ずに映画館に行ったものですから、
これは……ノンフィクション?と錯覚しかけました。
【2025.6.11観賞】
PG12(閲覧注意)映画です
高評価レビューが多く、注意喚起も見当たらなかったので、観に行ってきました。
歌舞伎の映画ということで油断していたのもあります。
でも、
PG12は、暴力的な表現や性的な内容が含まれている場合があり、小学生には不適切とされるものに付けられます。
実際、冒頭から父親が銃殺される場面あり、その後も、殴る蹴るや厳しい指導、中盤以降は病気による吐血、足の切断等、凄惨な場面が散りばめられています。
私は、血を見るだけで気分が悪くなる体質のため、途中から気分が悪くなってしまいました。
美しい歌舞伎の舞台と、凄惨な場面とのミルフィーユを3時間、何とか耐えましたが、行くかどうか迷っている方で、血や暴力に弱い人はやめておいた方がよいです。
以上、注意喚起でした。
あっと言う間の約3時間
人の執念を描いた映画だと思う。
3時間があっという間
映画予告で、よくある音楽コンサートやバレエなどのリアルパフォーマン...
映画予告で、よくある音楽コンサートやバレエなどのリアルパフォーマンスを収録して映画にする、その歌舞伎版だと勘違いし、観に行くつもりはなかったのですが、そうではなかったようで観に行きました。(横浜 流星氏推しもあり)
歌舞伎世襲社会に対するアンチテーゼなのか、いやいや私のような歌舞伎を知らない人間に向けた異世界への誘いなのか、はたして・・・・。
前半は抗争で死亡した任侠組長の息子・立花喜久雄(吉沢 亮)と、歌舞伎名門の子・大垣俊介(横浜 流星)の二人の青春成長物語。互いに励ましあい、競いながら、やがて二人で晴れの舞台にて舞う姿にすがすがしさを感じます。また、演出も演題名が表示されて素人には親切ですし、スペクタクル系洋画のような壮大な音楽と歌舞伎のお囃子音が互いに邪魔をせず、引くところは引き、出るとこは出てと、全体を通じて大変良い音楽構成でした。(エンドロール時の音楽も良し)
中盤からは「世襲」を軸に物語は転じていきます。実子・俊介を推す母・幸子(寺島 しのぶ)と、芸で喜久雄を推す父・半二郎(渡辺 謙)との確執・葛藤は周りを巻き込みつつ、仲良くやってきた二人の関係を微妙にしていきます。芸能で歌舞伎だけでしょうか、こういった世界。他所を遮断し、実子を小さい頃から稽古積ませば、そりゃあ二番のいない「一番の芸人」になります。でもこの話で喜久雄は、任侠社会とはいえ組織の頭に成り上がれる才覚を持つ人間の「非凡な血」を持っているわけで、その非凡な血が歌舞伎世界に入り込み、その才を開花させれば、簡単に世襲社会は混乱します。(ですからこのように一本の小説が書けてしまうわけですが。。。)
そして終盤、小野川万菊(田中 泯)の芸や芸人に対する目利きが(とはいえこの方の舞踊は迫力がありスゴイ)二人の悩める若者を正しき姿へと導きます。そして同時にこの少子化社会やパワハラ、セクハラ、様々なエンタメの発展など、現代社会が歌舞伎に襲いかかる懸念からをも救う道を示した。そう感じます。「国宝」というタイトルは主人公・喜久雄ではなく、小野川 万菊に当てたものと想像します。
吉沢 亮さん、横浜 流星さんにおいては、当作品に向けて大変な努力で正に「芸を積まれた」のではと思います。リスペクトの思いで劇中ずっと観させていただきました。素晴らしかったです。
歌舞伎をよく知っている方なら言わずとも必見の一本でしょうか。そして歳取っても歌舞伎を観に行く機会は無いだろうなと思っている私にも楽しめた時間でした。
魂の演技
壮大な物語ですね
流星さん好きになりました❤️
今まで横浜流星さん出演作品、人気先行型で演技がついてきてないって思い大河を含め敬遠してましたが…
今作の流星。
流星演じるチャラチャラした歌舞伎界のボンボン俊介(私が思う流星そのまま)が、演技の為に悪魔に魂を売った喜久雄扮する吉沢亮に敗北。
のち、俊介もまた命を擦り減らして演技に打ち込んでいくさま
吉沢亮、横浜流星ともひと皮もふた皮も剥けた素晴らしい演技でした
あと…すずちゃんも頑張って欲しいな
すごいものを見た!!!
ごめんなさい。
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