国宝のレビュー・感想・評価
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『さらば、わが愛』には及ばない
あんまり観る気は無かったんだが、李相日監督が京劇を題材にした中国映画『さらば、わが愛 覇王別姫』を1990年代に観て、いつかああいう映画を作りたいと思っていたと言っていたという記事を読んで、監督同様に『さらば、わが愛』に感動した1人として、じゃあまあ観てみるかと思い観た。吉田修一の原作は未読。
うーん、それでハードルを上げすぎたかなぁ。悪くない映画だとは思うが、さすがに『さらば、わが愛』には遠く及ばない。確かに超豪華キャストで全員が好演してるし、歌舞伎も素人なんでよくわからないが素人目には素晴らしいものだったと思う。セットや美術などの時代考証もとにかくかなり金を掛けていることがうかがえ、映画としての出来は間違いなく良い。ただ……。僕が90年代に『さらば、わが愛』を観に行った理由は、京劇に興味があったわけでは全くなく、1つには女優のコン・リーが主演の1人だったからということがあり、もう1つは時代背景である中国近現代史と濃密に絡み合ったストーリーだったからというものだった。北洋軍閥時代から満州事変、日中戦争、国共内戦、反右派闘争、文化大革命と続く激動の中国近現代史の中で、移り変わる権力に人生を翻弄されていく2人の男と1人の女の姿をどこまでも残酷に映し出していたのが素晴らしかったのだ。一方、『国宝』では1960年代から2010年代が舞台となっているものの時代背景や社会状況などはほとんど描かれず、もっぱら主人公2人の人生のみに焦点を当てている。権力者の交代と歴史の激動という外的要因で主人公たちの人生が動いていく『さらば、わが愛』と違って、主人公2人の内的要因で物語が動いていくため、2人の人生がちょっと不自然なほど波乱万丈に描かれすぎているきらいがある。おそらく原作がそうだったから映画もそうならざるを得ないんだろうが、僕の求めるところとはちょっと違っていた。まあ1920年代から70年代の中国に比べると、60年代から10年代の日本はそもそもそれほど激動の時代ではないからと言ってしまえばそれまでなんだが。
またコン・リー的なヒロインは存在せず、高畑充希・見上愛・森七菜がリレー的に登場するものの彼女たちのキャラクターはあまり掘り下げられてなくて、やや型通りの人物像に収まってしまっている。さらに吉沢亮が一時落ちぶれるあたりで見上愛と森七菜は相次いで舞台から退場してしまい、その後登場しないのも不満なところ。見上愛のほうの話は最終的に回収されるが、森七菜のその後には全く触れられないというのはやっぱりちょっとどうかと思う。なお映画の最後のほうに瀧内公美が登場するが、最初はロングの後ろ姿でモブのように映しており、途中からちょっと寄って斜め後ろのショットになった時に僕はもう、あれ?瀧内公美じゃね?と気づいた。瀧内さんが無意味なちょい役なわけないから、これはひょっとして……と思ったらやっぱり予想通りの役でした。女優陣で実は1番おいしい役だったんじゃなかろうか。
結論としてはもちろんよく出来た映画だが、やっぱり『さらば、わが愛』と比べちゃうとなあ、という感じ。もちろんそもそも比べること自体がどうかとも思うのも確かではあるが。
芸事を極める緊張感と喪失感
今年一番話題の映画を鑑賞。既に上映開始から2か月以上経っているのに、朝9時開始の回で9割がた席が埋まっているだけでも話題性を実感した。
極道の倅が親を失い、歌舞伎役者に拾われて世界に足を踏み入れ、全てを捨てて命を懸けて人間国宝に上り詰める50年を描いている。
自分なり惹かれたエピソード
①悪魔と取引をしていると隠し子と話しラストに繋がる部分
②役を懇願しに行った際、章子の父から「役者風情が・・・」という台詞。
芸事・芸術を極めるためには魂を悪魔に捧げ、他の全てを犠牲にしていく覚悟がじりじりと伝わってきた。
役者なんてもんは人以下なんだと言っているようで。だから極めた者は人以上に成れるというように捉えられた。普通の人の物差しで測るなと・・・
この映画の為、歌舞伎の演技の為に随分と長い期間鍛錬を重ねたようだ。
それでも人生を懸けた本物歌舞伎役者からはツッコミ所満載なんだろう。だけど、歌舞伎を映画に昇華したエンターテイメントとしては素晴らしい映画だった。きっと暫くはこの映画の恩恵で歌舞伎界も潤うじゃないだろうか。
うまい役者の歌舞伎一代記
吉沢亮さんに感服!
見るべき一本です
脇役だのみ
主人公・子役の黒川想矢、人間国宝役の田中泯、この二人がいなかったら……
とにかく、脇役が輝いてる映画。主役がダメなのではない、無理すぎる。歌舞伎をよく知らない私でも、やはり素人にここまでの大役させちゃダメでしょ、と感じた。監督は「決め手は吉沢亮の存在」と言ってて、彼の才能もカリスマも分かるけど、それを超える役。させるなら中村七之助など、本物を使ったほうが…… 分からないな。
その中で黒川、田中の二人は画面を飛び出す演技をしてた。これは見る価値あり!
最も残念なのは女性陣の使い方。原作ではどう書いてあるか分からないが、本作では納得出来なさすぎ。消化不良感、満々。それに高畑と森、顔系統似すぎ。
もいっかい見ることはないかな
Absolutely Spiffing!
お誕生日とクリスマスとお正月がいっぺんに来たくらい
素晴らしい作品です。役者さんの演技も、踊りも、衣装も、着物も、音楽も全て美しいです。久しぶりに同じ映画を2回も見ました。私は、李監督の作品は初めて見たのですが、見ている側の想像を掻き立てられる、長いお話を上手く綺麗に面白くまとめられた作品だと思いました。自分の試験が終わったら、もう一度見に行くのが楽しみです。
スペシャル過ぎて称賛の言葉が思いつかない
本当に素晴らしい映画でした。これは映画館で見なければ駄目な映画です。テレビ放送なんて見たらCMが間に入って雑音になります。当然間にCMが入るサブスク系も持ってのほかです。3時間が本当にあっという間でした。全てがスペシャル。俳優陣も素晴らしい、演出も素晴らしい、映像も素晴らしい。主演2人の友情が本当に心地よかったです。いや~いいもの見ました。これは映画館で絶対見るべきです。多分今まで見た映画で1番と言い切ってもいいです。
称賛しか思いつきません。今年の映画賞は全部持ってって下さい。凄い。面白い。まだ称賛が足りませんがこの位にします。映画館で絶対見るべきです!
後、教養なくて歌舞伎わかりませんでしたがきっと食わず嫌いなんだと思います。興味持ちました!
ただただ美しいばかりでなく
素晴らしく美しい映像
今年のアカデミー賞最有力じゃないかと
これだけ社会現象を起こして、今尚興行収益を上げている作品。この作品をきっかけに歌舞伎を観に行こうと思った人も多いだろうし、何よりストーリー展開もテンポがよく、長時間の作品ながら飽きさせない。
特撮畑出身の二人が主人公というのも感慨深いし、二人ともどちらかというとメインではなくサブキャラだけど、存在感は凄かったという共通点を持ってて、その二人が今作で遂に花開いたって感じですね。
物語は主人公二人の波乱万丈な人生が、まるでシーソーのように浮き沈みする展開。
片方がいい時は片方がどん底。その対比、コントラストが素晴らしい。
舞台のシーンも綺麗だし、本職の人からすればツッコミどころもあるだろうけど、よくもここまで再現したなあと感心するレベル。
まだ見てない映画ファンは押さえておくべき作品の一つ。
この後、相当な作品がでてこない限り、今度の日本アカデミー賞の最有力と言えるかもしれない。
繊細で奥深さのある描写
歌舞伎というジャンルだけに捉われず夢を追いかけて、ひたすら努力する役者さん2人の繊細かつ壮絶な人生が凄く印象的でした。自分は歌舞伎の知識は全くなく、作品の内容をなかなかのみこめなかったですが、175分の時間も忘れ、未知な世界ながら1シーン1シーン見逃せず、気付いたら映画の世界にのめり込んでました。一度だけでなく二度、三度とさらに観たくなるほど深みのある作品だと思います。役者さんの役に対する本気度も凄く伝わり、本編後、心の中でひたすら拍手してました。素敵な作品をありがとうございます🙇
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