国宝のレビュー・感想・評価
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作品の力に圧倒された
観に行きたくても、行かれる時間の回はいつもほぼ満席でチケットを買えず。
そうこうしている間に3か月経ったというのに、まだ満席になるほどの人気。
全くの予備知識なしに観たのだが、素晴らしい。ダブル主役の二人もそうだが
小野川万菊を演じた田中泯の快演は脳裏に焼き付く。歌舞伎座は建て替えるたびに人が亡くなる、と言う話を聞いたことがある。今回の建て替えでも、幾人かの方が亡くなったり
事件に巻き込まれたりした。単なる偶然と思いたいが、この映画を見ると(フィクションとは言え)いろいろな人の念が渦巻く場所なのかもと思ってしまう。それほど芸ものを極めることは命がけなのだろう。歌舞伎と言う伝統芸能への興味とリスペクトが自然とわいてくる、そんな映画だ。
二人道成寺の鐘
9月2週目にようやく鑑賞。公開から3カ月経過しているが、結構客入りは多い。
9月7日現在で興行収入133億を超えているという。
私は鑑賞直後、作品によってたまに感じる面白い!と心躍るようなことはなく、静かに沁みるような感じ、どう解釈したらいいのか整理がつけにくい感じだった。
所謂エンタメ作品とは違うようにも感じ、ここまでヒットし、巷で話題になるのは意外に思う。
企画段階からのこだわり・仕込みが功を奏しているか。
俳優達の演技はもちろん、美術の細かい所までの設定・カメラワーク含めた撮影・照明等々、総合芸術としての映画の質の高い作品が、広く受け入れられたようにも思える。
原摩利彦による音楽は静かに美しい。演目中に流れても違和感が無かった。
歌舞伎において、こんな立場におかれる二人の役者が、今後実際に現れることはあるんだろうか、見てたみたいとも思ってしまった。
国宝ってこーいう映画だったんだ
登場人物が全員優しくて、優しいからこそ悲しくて、辛くて、苦しくなって、とても切なさを感じたけど、優しい人たちだったからこそみている側としては救われた。
女性3人はストーリーを進める上で必要なのはわかるし、そこが主軸じゃないのもわかるけど、分かった上でほんの少しだけ雑に感じたかも?とは言え森七菜ちゃんの「どこみてんの」のシーンはとても好きでした。
良い日本映画を映画館でみたなーと満足です。
まだみてないなー。迷ってるなー。という方には是非みてほしいなと思いました。
歌舞伎界のタブーに切り込んだ作品
まだ目が血ばしった経験の無い方は是非
所詮邦画でしょ、、うわっ
となった映画でした。どこかケチをつけるところがあれば4.5にしますが思い出してもケチのつけどころがないので減点方式で満点になります。
長い映画で中弛みとかあるのかなと思ったのですが無かったです。
原作との差を指摘するレビューを見ました。漫画版のサンプルを数ページは読みました。小説はこれから読もうと思いますが、おそらく単体の映画として構成する必要から台詞回しを別の人物に設定することで人物像の濃淡をつけたのかなと思いました。時系列の多少の前後はあってもこれもテンポを緩めない演出として好感が持てます。
原作者と監督、今回連続出演となる渡辺謙からなる過去作のインタビュー読みましたがお互いに完全な信頼関係があるからこその改変と言えるのだなと思いました。
最後にこの映画の一番特筆すべき点は、往年の映画解説者(若い人は知らないと思いますが)淀川長治じゃないですけど「特にキャメラが良いですねー」と思いました。フランスの方と知って腹落ちしました。
もちろん脚本も。サマーウォーズの人なのでこれも納得しました。
ほめ殺しみたいになってきたので終わります。
座り直しを忘れた3時間
公開から3ヶ月、ようやく鑑賞。正直「配信されたら観よう」と思っていましたが、評判の高さとロングラン上映に背中を押されました。
内容については既に多くのレビューが出ているので割愛しますが、観終わった瞬間にどっと疲労感が。とはいえネガティブな疲れではなく、役者の迫真の演技と息もつかせぬ展開に、鑑賞中は無意識に呼吸が浅く、筋肉も緊張していたのだと気づかされました。まさに没入体験。
劇中に合わせて拍手しかけたのは驚いた(笑)
歌舞伎ファンでなくとも、この映画は観る価値があります。いや、むしろ歌舞伎に馴染みのない人ほど衝撃を受けるはず。吉沢亮と横浜流星、2人が演じる女方はただただ圧巻で、スクリーンに釘付けになりました。
ストーリー展開の速さから「なぜこうなったのか」と置いていかれる瞬間もありますが、喜久雄(吉沢亮)と俊介(横浜流星)の共生関係や表裏一体のシンクロが緻密に描かれており、散りばめられた伏線が後から効いてきます。そのおかげで飽きずに最後まで一気に引き込まれました。
観終わって、日本の伝統芸能を守り伝えることの重みを改めて感じました。そして素直に「歌舞伎を生で観に行きたい」と思わせてくれる作品でした。
静謐なる画面に魅了
ずっと観たかったのになかなか観られず、更に感想も今更ですが…。
原作も未読で歌舞伎も不勉強だったが、悩む事なく飽きる事なく、あっという間の3時間だった。
ストーリーとしては、予告編から窺い知れる内容と設定から大きく外れるものではなかった 。それは凡庸ではなく、普遍。
芸能に関わる人全てが感じた事がある葛藤と苦しみ、その先にある喜びを、緊張感のある舞台映像で表現していた。
多分背後にあるエピソードは鬼のようにあるだろう。けれど、最後にたどり着く場所は一つなのだと思わされた。
まあ、歌舞伎に限らず、何らかの芸能や表現に興味のある方、それらにリスペクトを持っている方でないと、刺さらないかもしれないかなとは思いますが。
素晴らしい!
私はこの映画を観る前に情報は予告を観た程度。この映画を観る前は3時間だし興味ない歌舞伎だしとりあえずゆっくり3時間過ごすかぐらいのスタンスで観た。鑑賞後正直、度肝抜かれた。ポップコーンとドリンクは映画開始まえに減っただけ…吉沢亮、横浜流星の役者魂には感服しました。原作は知らない、映画を観ている中でも足りないと感じる部分が無いわけではないが限られた時間の中でストーリー、人間関係、葛藤、映像美、これを良いバランスで詰め込めている。人間の汚い部分を見せる事でより映像美が際立つ。映画館で観る事で歌舞伎を本当に観ているかのような感覚にもなる。映画を内容を厚くして2部作にしなかったのは成功。この映画は続けて観るべき。本当に素晴らしい映画です。
頂点に立つための覚悟
「順風満帆な歌舞伎人生を・・・」
映画のラスト、歌舞伎の世界で生き、人間国宝となった主人公:喜久雄に対してインタビュアーが質問する際に切り出したセリフ。
強烈な違和感を覚えました。
どこをどう見ればそのようなセリフを吐けるのか?しかし、考えるにつれ“これこそが本作の根っこではないか?”と思い至るようになりました。
ストーリーとしては、極道の組長の倅である喜久雄は新年の余興で歌舞伎の女形を舞い、そこに居合わせた歌舞伎界の大物:花井半次郎の目に留まる。しかしその余興でカチコミに遭い父親は殺され、喜久雄は天涯孤独に。だが才能を感じた半次郎は喜久雄を歌舞伎界に引き入れる。喜久雄は半次郎の息子:半弥とともに歌舞伎に身を投じていく、てな感じです。
主演に吉沢亮、半家役に横浜流星といま最も力のある若手を起用し、脇に渡辺謙や田中泯を据えています。特に田中泯はごぢゃ巧い!人間国宝:万菊役で出演時間はわずかながらもその貫禄と動きたるや圧倒モン。本職はダンサーといえこれは印象に残りすぎ!もう名優ですわ。
ちょっと脱線しましたが、話を戻して。
タイトルからして、いかにして喜久雄は歌舞伎の世界で己を磨いていったか?という風に見ていました。持って生まれた才能に加えてどれだけの時間
向き合ってきたか。映画の序盤ではその要素が多く、才能とその努力に見合うように出世していくなあと観てました。歌舞伎のシーンも結構見応えがあり、「これは実際の歌舞伎も見てみたいなぁ」と思わせるほどの美しさ。これは実際の歌舞伎の話題も上がるんやないかと(素人目線で)思えるほどの見ごたえやったんは特筆に値するかと。
しかし思った以上に厳しい歌舞伎の世界。それは、
血(家)の重要性。
家の伝統、血のつながりを極端に重要視するこの世界。どれだけ努力しても抗えない壁。半次郎が亡くなって後ろ盾がなくなった後、喜久雄に降りかかる災難と失意の連続。しかし、そういったことを経験し、それに抗い続けてこそ何かを得れるのかもしれない。作中で人間国宝:万菊は才能ある喜久雄より先に半弥の稽古を見たのに違和感を覚えたが、喜久雄が失意の底に落ちたのちに万菊が声をかけた瞬間、そういうことなのかと思ったんです。
なにごとも順風満帆ではない。酸いも甘いも知り尽くしてやっと一人前。
ということなのかもしれないが。しかしそれだけではないと思う。喜久雄は歌舞伎を極めようとし、多くの犠牲を自分にも他人にも強いてきている。その中には人の人生まで狂わしてしまうほどのことをし、それでも歌舞伎を続けたい一心で舞っている。その時に思うんです。
頂点を極めるには、多くの犠牲を自分にも他人にも強いている。
どの世界でも頂点を極めるにはそれ相応の“努力と犠牲”があると思ってはいたが、本作はそれを具現化してるのではないか?光が強いほど影は濃くなる。影の部分だけに表には出てこないが、でもそれがあってその人が出来上がっている。だからこそ、冒頭に述べたように強烈な違和感を覚えたんやと思うんです。
表面だけを見るな。光だけを見るな。想像できないような苦しみと負の部分が隠れてるんや。そういった積み重ねがあって頂点で輝く資格を持ってるんや。
登り詰める過程で起こる栄光と苦悩。冗長的な部分はあるも歌舞伎の美しさもあって175分でも結構魅入ってしまう作品です。良作です。
すごかった
久しぶりにフリーズしてしまった
数年に一度あるかないかの、自分は『今とんでも無いもん観てるぞ』感がこの作品にはあった。
おそらく前回は
ホアキン版『ジョーカー』だったと思う。
久しぶりに見事フリーズブチかました。
まさか日本映画でかますとは思いもしなかった。
素晴らしい。
本当に素晴らしかった。
何がって全部。
語彙力無くしてとにかく絶賛したい!
が先行するほど。
でもそれではレビューの意味がない。
まず何より主演の2人
吉沢亮と横浜流星。
このツートップがとにかくえげつい。
特に吉沢亮には度肝抜かされた。
終始目を引く目力と表情。
演技も歌舞伎の踊りも目を離せない。
横浜流星も素晴らしく、終盤の熱演は胸が熱くなった。
この2人の行く末。
それを見届けたい。
そう思わせる脚本と演出の力。
とにかく没入感が半端ない。
3時間という上映時間を短いと感じてしまうほどだった。
そしてその素晴らしい俳優陣と脚本に加え歌舞伎の演出のガチ具合。
もちろんその道の監修が入ってるだろうが、それにしても一本の映画を作る上でのクオリティは凄まじい。
素人目だともはや2人がずっと歌舞伎をして来たのかと錯覚するほどの完成度。
1カット1カットが美しく、身震いさえした。ずっと鳥肌が止まらなかった。
本当に全てのシーンにおいて手抜きしている部分が見当たらない。
細かいことを言えば、冒頭の長崎のシーン。
僕は九州出身だが、ハリボテの間に合わせではなく違和感も無いリアリティある長崎弁からこの映画はガチモンだと予感させる入りだった。
何よりもここ数年観てきた映画の中で3本指には入るこの素晴らしい作品が『日本映画』と言うことが嬉しい。
日本文化、歌舞伎をベースにした事。
演じる人間のセリフが英語や吹き替えでなく、生の日本語で脳内にダイレクトに届く分、感情の揺さぶられ方も段違い。
日本映画だって馬鹿にはできない。
素晴らしい作品を作ることが出来る
特にここ数年はゴジラ-1.0を筆頭に本当に良い作品が沢山出てきた。
日本映画は派手なCGやアクション映画は苦手。
でもそんな物に頼らない心に響く芸術作品を作れる国だと思う。
国宝を観て心底そう思わされた。
これは映画館で観るべき作品。
素晴らしかった。
鷹の眼の中に背番号17が見えた。
映画「国宝」を昨日見た。朝イチでもその他情報番組でもここ最近、よく取り上げられていた。脳が疲れたのか昨夜はよく眠れた。
私が興味を持ったのは「なぜこの映画がこれ程、観客を惹きつけ興行収益を上げてきたのか?」だ。
一番感じたのは緊迫感、隙のなさ、張り詰めた空気感。上演時間が3時間弱にも関わらず私には1時間半くらいの体感だった。
・まず脚本が良い。
糖尿病、歌舞伎の演目、娘との会話、人間国宝の継承等、伏線が幾層にも散りばめられそれが見事に回収されていく。一回見ただけでもそれが分かりやすい。
喜久雄、俊介、春江、半二郎らが織りなす人間ドラマの大ドンデン返しの中に、もしかしたら自分も辛抱すればチャンスが巡ってくるのではないか、と希望を抱かせてくれる。
・物語の中核に分かりやすい対立軸がある。葛藤は人を惹きつける。例えば
「友情vsライバル」喜久雄と俊介は表と裏を繰り返す。一方が表舞台の時、片方は地方でドサ回り、それを陰で女が支える。
成功する要素は「家柄、血統vs 才能、努力」
一途に道を極めた方が良いのか、それとも家族と過ごす普通の暮らしの方が幸せなのか。
・普遍的なテーマがある。
「生きていくとはどういう事か」
「自分は何者なのか」
「幸せとは何か」
「美しさとは何か」→それを歌舞伎の中に見出そうとする時、ここにも「伝統vs 革新」の対立軸が描かれていたと思う。
映画の冒頭で喜久雄の父親はヤクザの抗争で弾丸に倒れる。正月の祝いの席で上方歌舞伎の大スター、花井半二郎は親分と盃を交わしていた。反社勢力との付き合いはホワイト化した今なら一発アウトだ。でもこのシーンが緊迫感の基底となった。一瞬に生きる美学を作り出した。
そもそも日本の芸能と差別の歴史は深く関わり、能の祖である観阿弥・世阿弥の先祖も被差別身分であったとされる。だから「普通」からはみ出たアウトサイダー同士も相性がいい。芸能界の中居問題もこの文脈の中にある。本来ならブラックボックスの中で処理され表には出てこなかったはずだ。そういう一般社会の外側に芸能、芸の道はあり、ファナティックなものは芸の本質だ。一般人なら気が狂う、そういう世界だ。
映画のラストで人間国宝になった喜久雄を取材するカメラマンは自分の娘だ。彼女はこういう。
私はあなたを一度たりとも父親とは思わなかった。でもあなたの舞台は浮世を忘れさせ夢の国に連れて行ってくれる。「お父ちゃん、日本一の役者になりはったな。」と。
桜吹雪が天井から舞い落ちるシーンは喜久雄が求めた美のメタファーだと思う。伝統と形式の美に対して、「揺らぎ」や「不確実さ」「刹那性」は根無し草だから表現できる。その妖艶さが見てる人を底無し沼に引きずり込む。
私には鷹の眼の中に背番号17が見えた。
この世で最も美しいJホラー映画
今さら鑑賞。
もう他の方たちからほぼほぼ感想は出尽くしており
特筆すべきようなことはないので
なかでも心に残ったことだけ書きますが、
『この作品はジャパニーズホラーだったんだ』
と、ラストの演目を見て痛感しました。
だとしたらなんと美しい恐怖なのでしょう。
わかりやすい恐怖ではなく
心の底からゾクッとさせられる、
神経を蝕む恐怖をジワジワ感じる事ができます。
まさにJホラーを彷彿とさせる作品です。
観る前は歌舞伎成り上がりモノだと思っていました。
それには違いないのですが
監督が『怒り』『悪人』の李監督だということを
失念しておりました。
人間はどれほどに汚く、醜く、恐ろしく、
そして夢を追いかける様が美しいかを
主人公の人生を通してわからされた作品でした。
全1778件中、281~300件目を表示
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詳細は遷移先をご確認ください。










