劇場公開日 2025年6月6日

国宝のレビュー・感想・評価

全1670件中、1~20件目を表示

4.0青、白、血色

2025年9月27日
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『青 chong』で鮮烈な長編デビューを果たした李相日監督の最新作。吉沢亮や横浜流星などの役者陣の演技は素晴らしく、歌舞伎の世界を舞台にした本作はスペクタクルに富んで素晴らしい。
まさに『さらば、我が愛 覇王別姫』を彷彿とさせる喜久雄と俊介/半弥の波乱万丈な人生。役者とは、栄光と引き換えに色んな代償を背負う「美しい化け物」にならざるを得なく、舞台に人生を差し出すことは自分にはできないと思った。そういった意味でも、役者とは誰もができる職業ではないことを痛感させられる。

以下、ネタバレを含みます。

本作は上方歌舞伎の名門である花井家の「血」が主題であるが、その対抗となるものは「白」である。ファーストカットが、喜久雄の肌に白塗りが施されることであったように、「白」とは芸の表象であり、「血」を隠すことができるものだ。

喜久雄はヤクザの一族という血筋を隠して、芸の道に勤しむことができる。芸で観客を魅了させれば、生まれも何も関係ない。そう信じ、実際に喜久雄は半弥を差し置いて、半二郎の代役を掴み、最後には「花井半二郎」を襲名されるに至る。しかし悲しいかな、喜久雄は半二郎の本当の息子ではないから、舞台にも立てず没落していくのは、不条理でありつつ血縁の重みを強く感じてしまう。

喜久雄と半弥はいつも表舞台で輝き続けたわけではなく、人生において酸いも甘いも嚙み分ける。喜久雄は歌舞伎での成功のために「悪魔と契約し」、幼馴染の春江と別れ、舞妓の藤駒を内縁の妻とし、実の娘を見ないように。かといって、半弥は喜久雄に「半二郎」を取られ、春江を奪い、アンダーグラウンド舞台で生きざるを得ないように。半弥が再び歌舞伎の舞台に返り咲くと同時に、今度は喜久雄が破門にされ、彰子―森七菜と共に地方巡業する様は、底まで落ちたように思えるが、彼らは栄枯盛衰いろいろに人生を歩んでいく。

二人が「半半コンビ」として同じ舞台に立つのは、彼らの辛苦を思えばとても感動だが、それも長くは続かず。半弥は「血」の断絶かのように糖尿病のため左足を切断することになってしまう。

最後に二人が「曾根崎心中」を演じる時、白塗りの顔は涙に濡れて、彼らの〈本当の顔〉が現われている。泣いているのは喜久雄と半弥なのか、徳兵衛とお初なのかは分からない。いや人生の悲喜こもごもを味わった生身の人間の涙が、〈役〉の涙になったということだろう。それは役者が役に飲み込まれたということかもしれない。

でも「きれい」だと思う。

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まぬままおま

4.5日本だからこそ出来た表現

2025年7月23日
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知的

驚く

斬新

予告や前評判から興味が沸いたので、7月の3連休に観てきました。

歌舞伎役者を続ける大変さが濃厚に描かれている物語に驚きました。上映時間が3時間近くあるにも関わらず、全く眠くならずに最後まで夢中になれました。

主人公の喜久雄は歌舞伎に人生を捧げますが、厳しい修行が毎日続いて自由が制限されるストレスフルな環境から「やっぱり役者の現実は厳しいな……」と痛感しました。

一緒に行った母の話によると、歌舞伎とご縁のある家系に生まれると、幼少期からずっと稽古を続けなくてはならないとのことで、俊介の描写ではそれが強く表れていました。

舞台のシーンも圧巻の一言で、役者の繊細な演技と古典的な演奏は、歌舞伎の歴史が深い日本だからこそ出来た表現のように感じました。

最近観た邦画では間違いなく上位に入るレベルで素晴らしかったです。大ヒットに納得がいく出来栄えで、映画館で観れて本当によかったです。

それと、いつかは実際の歌舞伎も見に行きたいと思うようになりました。

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Ken@

4.0濁流に飲まれたかのような気持ちで映画館を後にした。

2025年6月14日
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鑑賞方法:映画館

歌舞伎に疎い私でも、別の仕事と並行して、1年半でここまで歌舞伎役者を見事に演じ切った喜久雄演じる吉沢亮と、俊介演じる横浜流星が尋常ではない努力をされたのは誰が見ても感じ取れる。
型は違えど、きっとこの2人も演じることに取り憑かれた人たちなんだろう。彼ら2人がいたから、この作品がここまでの完成度と説得力がある作品になったことは間違いない。

そして彼らの幼少期を演じたのが、新人アカデミー賞を受賞した『怪物』の黒川想也くんと、『ぼくのお日さま』の越山敬達くんという、これまた胸熱な2人なもんだから、誇張無しに喜久雄と俊介の幼少期からずーーーっと隙がなく素晴らしい。
黒川くんの女型なんて、あの歳でなんであの色気を出せるのか、昔話で人間を化かす妖怪ってこんな感じなんだろうなとさえ思えた。
なのに練習シーンで見せた、上半身のあの筋肉質で引き締まった男らしい身体に驚く。彼の日本アカデミー賞でのスピーチでも感動したけど、今後がとても楽しみな役者さんだ。

さらには田中泯さん演じる万菊。滲み出る『人間国宝』の凄みと気品で、田中泯さん自身は歌舞伎役者では無いのに、もう何十年も歌舞伎の世界に身を投じていた人物にしか見えなかった。招く手の所作まで、細部に至る全てが美しかった。

そう、この作品は3時間ずっと美しいのだ。

それは李監督がいつも作品で見せてくれる、人間の美しさなんだろう。もちろん吉沢亮と横浜流星という外見の美しさもあるけれど、単純に外見の美しさというわけではなく、醜く足掻く姿も美しく、汗と涙でぐちゃぐちゃな姿も美しく、そういう壮絶な人生が放つ、常人では放てない美しさが始終作品から放たれていた。

喜久雄の人生を3時間で描くため、若干物足りないところもあったし、あのキャラはその後どうなったの?とか、ここはもう少し丁寧に見せて欲しかったなーという箇所も無かったわけではないけれど、これでもだいぶカットしたんだろうなと思う。
演目で彼らの心情や想いを語らせる、生き方をダブらせるという手法は、歌舞伎の演目を知っていないと少し難しい。

私は『曽根崎心中』しかあらすじがわからなかったので、鑑賞後に他の演目を調べたところ、思わず「そういうことかー」と声が出た。これを知った上でもう一度あの歌舞伎のシーンが見たい。

極道一家の息子に生まれ、歌舞伎の世界に入る喜久雄と、歌舞伎一家のサラブレッドの俊介。
芸をいくら磨いても、血縁という強固な絆とお守りには勝てないと思う喜久雄と、その血によって苦しむ俊介。2人の立場の違う無いものねだりの若者が、芸を極めるために、もがき苦しみ、執着し、追い求める様の熱料は凄まじく、芸を極める以外の全てを捨てた者が辿り着く先が『国宝』なのかと思うと、畏怖感に震えた。

実際歌舞伎の世界で生きている人たちから見たら、この作品はどう映るんだろう。実際の人間国宝の方々からの感想を聞きたくなった。

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AZU

5.0俳優・吉沢亮の代表作、ここに誕生。魂が震える、芸の一代記!

2025年6月10日
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鑑賞方法:映画館

映画『国宝』を観てきました。
言葉を失うほどの余韻に包まれ、今もまだ心が震えています。
これはもう、今年度のアカデミー賞を総なめにしてもおかしくない、圧巻の一本でした👏

『悪人』『怒り』などで知られる李相日監督が、再び吉田修一の小説を映画化。
任侠の家に生まれながら、歌舞伎役者として芸の道に人生を捧げた男の激動の一代記を描いた人間ドラマです。

まず何より、吉沢亮さんの“女方”役が凄まじい。
演じているというより、「役が宿っている」と表現したほうがしっくりきます。
国宝級イケメンの彼が、顔を白く塗り、己の芸一本で勝負する姿はまさに圧巻。
「歌舞伎」という日本の伝統芸能の世界は、一筋縄ではいかない道のりだったはず。

李監督が、なぜ歌舞伎役者ではなく吉沢亮を主演に選んだのか──
その理由を語るインタビューを読み、「なるほど」と納得しました。
その熱烈なオファーに応えようと、苦しみながらも挑み続けた日々さえも、
“芸の肥やし”となり、この作品を輝かせています。

“国宝”というタイトルにふさわしい生き様と芸が、吉沢さん自身の演技によって命を持ち、
観る者の魂に深く突き刺さる。
まだ上半期ですが、日本アカデミー賞主演男優賞の最有力候補といっても過言ではありません。

そして、昨年『正体』で同賞を受賞した横浜流星さんの存在感も素晴らしかった。
まさに作中のストーリーそのもの──
若手実力派俳優同士の“芸道対決”が、本作の見どころでもあります。

横浜流星から吉沢亮へ──
イケメン俳優から“国宝級”イケメン俳優への夢のバトンタッチは、美しく誠実な“アシスト”。
師匠役の渡辺謙さん、その妻役で歌舞伎をよく知る寺島しのぶさん、重要なヒロインを演じた高畑充希さんなど、脇を固める俳優陣も豪華!
芝居の間合いや声の温度感すべてが、舞台のような緊張感と深みを生み出していました。

さらに、音楽と“無音”の演出がとても効果的。
歌詞のない打楽器の重低音が、歌舞伎という芸に込められた品格と魂を引き立て、
本物の舞台を観ているかのような臨場感を味わえました。

King Gnuの井口理さんによるラストの歌声も、まるで楽器のように物語に溶け込み、
観終わったあとまで美しい余韻を残してくれます。

ふだんなら高額なチケットを払わないと観られないような上質な歌舞伎の演目を、
映画という形で丸ごと堪能させてもらったような贅沢な体験。

じっくりと味わう映画がお好みの方には、特におすすめ🧐“観ておいて損はない”名作です。
映画ファンはもちろん、日本の伝統芸能に関心がある方にもお勧めしたい映画です♪

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ななやお

5.0これほどの作品には滅多に出逢えない

2025年6月30日
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鑑賞方法:映画館

人生は舞台、そんな言葉が脳裏に浮かぶほど、本作はあらゆる場所に舞台的状況を出現させる。観客がひしめく劇場はもちろん、雪景色の中では窓越しに惨劇を見つめ、稽古場のみならず川辺や病室にも舞台は現れ、かと思えば、場末の宴会場、それに誰もいない屋上でただただ自分のためだけに踊る場面もある。かくなる経験を重ねながら、才能に魅入られた青年が、血に見出され、血に呪われ、芸事の道をひたすら歩み続ける。その姿は圧倒的に孤独で壮絶。兄弟同然の二人が互いの存在に身を反らし、しかし鏡のように向き合い、照らし合う様も大きな感動を呼ぶ。何のために踊るのか。本作は3時間かけてその答えを探し求める果てなき旅路だ。圧倒的な存在感で役を生きた二人。その若かりし頃を担った二人。李作品の柱たる渡辺。それに手のひら一つで舞う田中。誰もがあまりに見事。歌舞伎の音階を損なわず、深いところでドラマ性を奏でる劇伴も胸を揺さぶってやまない。

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牛津厚信

5.0吉沢亮のお初の台詞回しに心震える。伝統に挑むアウトサイダーの物語を李相日が監督した点にも感慨

2025年6月30日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

驚く

私は歌舞伎の素人ながら、稽古に1年半かけた吉沢亮(喜久雄役)の演技、とりわけ「曽根崎心中」のお初が声を振り絞る「死ぬる覚悟が聞きたい」に心が震えた。顔のクローズアップと引き気味の画を巧みに配した客席側からの映像も見事だが、原作者・吉田修一が四代目中村鴈治郎に黒衣を作ってもらい3年間舞台裏や楽屋まで取材して書いた役者視点での描写も興味深い(脚本は「八日目の蝉」「軽蔑」「望み」など小説の映画化で実績のある奥寺佐渡子)。横浜流星、渡辺謙らもそれぞれに素晴らしい。とりわけ、舞踊家でもある田中泯の手招きの柔らかな表現や、浮世絵のごとき白塗りで皺深い表情にも引き込まれた。

喜久雄が藤駒(見上愛)との間にもうけた娘・綾乃を演じた瀧内公美もワンシーンながら印象的。綾乃が喜久雄に伝える言葉には、周りの大勢を踏み台にして高みを目指す役者の生き様と、そうしたスターを支えるファンの心情が濃密に詰まっていた。

舞台のシーンでは入魂の演技と美麗な映像に目を奪われっぱなしになりそうだが、BGMの繊細な演出もいい。演目の実際の音楽(囃子)を中心に据えつつ、ストリングスやシンセ系の音を加えて調性やドラマチックさを補強しているのだ。まさに映画らしい歌舞伎の見せ方と言えるだろう。

世襲制が基本の伝統芸能である歌舞伎の世界で頂点を目指すアウトサイダーの物語を、在日朝鮮人三世の李相日監督が映画化した点も感慨深い。李監督が過去に2度、吉田原作の「悪人」「怒り」をいずれも東宝配給で映画化していたことも起用の要因だろう。李監督はまた、チェン・カイコー監督が2人の京劇俳優の波乱の生き様を描きカンヌでパルムドールを獲った「さらば、わが愛 覇王別姫」を観た衝撃が、本作につながったと明かしている。確かに、同作で女性役(姫=虞美人)の京劇俳優を演じたレスリー・チャンと、女形の化粧をした吉沢亮は見た目も雰囲気も近い。厳しい稽古を積みながら兄弟のように育った役者同士の絆や確執といった要素も共通する。「国宝」は今年後半以降、韓国や台湾などアジア、フランスやオランダなど欧州で公開が決まっているようで、日本の伝統芸能を題材にした本作が海外でどのように評価されるかにも大いに興味がある。

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高森郁哉

5.0画面に凄みがほとばしっている

2025年6月30日
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鑑賞方法:映画館

傑作映画はとにかく理屈じゃなく、画面に凄みがある。そして、この映画にはその凄みがあった。日本映画でこの凄みを感じたのは久しぶりだった。
これは確かにすごい作品だった。3時間途切れることのない集中力ある物語が展開するが、決して疲れることがない。緩急ある構成力が素晴らしい。歌舞伎役者の業を描く作品に役者たちが全力で挑んだ結果、映画の高みへと達している。
喜久雄役の吉沢亮にレスリー・チャンの面影を見た。彼がいなくては絶対に成り立たない作品だったことは間違いない。本物の歌舞伎役者を起用しなかったことがかえって良かったのかもしれない。公式パンフレットのインタビューで吉沢亮は、「どこまでも稽古を積んでも足りないと感じてしまう」と語っていたが、その気持はスクリーンの喜久雄からも感じ取れるのだった。彼には歌舞伎役者の「血」を持たないから。
もちろん、横浜流星もすごいし田中泯は手招きだけで観る者を震わせるし、すごいシーンがいっぱいあった。最後に喜久雄が見た景色がどんなものだったのか、恐ろしくも覗いてみたいという気持ちにさせられてしまった。表現者にしか見えない景色がある。

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杉本穂高

4.5得体の知れない何かを求める人生の至福と過酷さ

2025年6月9日
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泣ける

興奮

幸せ

当代の人気役者、吉沢亮と横浜流星が歌舞伎の世界で出会うライバル同士を懸命の演技でなぞっていく。任侠の世界から生来の才能を見込まれて歌舞伎の世界に飛び込んだ喜久雄(吉沢)と、名門の跡取りである俊介(横浜)を通して、才能か?血縁か?という命題に取り組んだ物語は、そんな比較論に収まらず、各々が命懸けで挑む美の探究の果てに、何が見えるかを垣間見せて緞帳を下ろす。出自に関係なく、芸を鍛錬する者だけが目撃する神々しい光の正体は何なのかは、正直よくはわからない。でも、得体の知れない到達点をただただ追い求める人生の至福と過酷さだけは、しっかりと伝わるのだ。

『国宝』は歌舞伎という日本古来のエンタメと、今を生きる若手俳優のトップ2人の献身が結びついて誕生した本当の意味での娯楽映画。読み始めたら止まらない吉田修一の長編小説を3時間弱の映画にまとめ上げた脚本は秀逸で、上映中時計を見ることはない(はずだ)。所作を含めた演技が美しい吉沢と、口跡と見た目で対抗する横浜(白塗りにすると中村七之助そっくり)を囲む脇役の中では、喜久雄の才能を会った瞬間に見抜く伝説の女形、万菊を演じる田中泯の妖艶さに痺れまくった。配役、美術、音楽も含めて、これほど贅沢な時間は年間を通してあまりない気がする。

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清藤秀人

4.0歌舞伎への深い愛を感じる力作。一方で描くべき内容が多すぎるのか予備知識が少ないと感情移入しにくい面が課題か。

2025年6月7日
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本作は歌舞伎の演技シーンを中心に強いこだわりを持って描かれている力作なのは間違いないでしょう。
役者たちの演技も文句なしに素晴らしく、その熱演は見る者を惹きつけます。
ただ、歌舞伎や原作小説の予備知識があるかないかにより、かなり見え方が変わるでしょう。
歌舞伎の知識が乏しかったり、原作未読の状態で見ると、「時」の経過に伴う場面などが断片的に見えてしまったり、状況をつかみきれず感情移入しにくい面があるのです。
結果的に175分を使いながらも、一見さんかそうでないかによって印象に差が出やすい構造になっていて、前者の視点からは課題を感じる作品でした。

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細野真宏

5.0命をかけて舞台に立つ

2025年10月24日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

怖い

難しい

舞台での美しさと、舞台に上がるまでのありとあらゆる出来事が描かれ、生身の人間の愛憎と、人間じゃないレベルに突き詰めた美に圧倒されました。
伝統を受け継いで舞台に立つということは、生半可な覚悟では出来ない事だと、改めて伝統芸能に携わる方々に尊敬の念を抱きました。後ろ盾を失えば才能や覚悟があっても引きずり下ろされてしまう非情さも描かれていて、大きな舞台に立ちたいのに立てない出口の見えない状況は、観ているこちらもつらかったです。
ある意味、舞台に立つために生きる人はみんな狂っているというか、狂気をはらんだ本気が、舞台での凄みになるのかな、などと考えました。
ドキュメンタリーでは描けないリアル、フィクションだけど根っこの所の真実、由緒正しい集団の中にある暗黙の理不尽さや、辛くても冷めやらぬ熱、これは3時間必要だよね!と納得です。
すごいな、すごいもの観たな⋯と、観た後は誰かに話したくなるけどネタバレはしたくないから観た人同士で話したい、だから観てみて!となってヒットは必然だなと思いました。すごかったな…。

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AY

5.0余りにも重く暗そうな雰囲気だったので、敬遠していましたが…

2025年10月22日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

驚く

映画館で観た予告編が、余りにも重く暗そうな雰囲気だったので、敬遠していましたが…。
ブラボー!素晴らしい!
美しい映像と、苛烈な演技に見蕩れ、3時間があっという間に過ぎました!
日本映画の最高傑作かもしれません!
ハリウッド映画『F1(R) エフワン』を観た時に、本物の迫力をスクリーンを通して伝える技術に驚きましたが、日本には『国宝』がありますよ!

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FCアクセルJr.'09

4.5極めるからこそ頂点にいける!

2025年10月22日
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知的

驚く

どの業界、どの職種でも極めるからこそ頂点にいけるのだと感じました。
それは一時的に何かを失うことになるかもしれないが、その覚悟がないと難しいのだと思います。
私自身も極めたいビジョンがあるからこそ、今取り組んでいるコミュニティビジネスに集中していこうと思いました。

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海野甲太郎

4.5映像美

2025年10月21日
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鑑賞方法:映画館

失敗したな~と思う映画が続きましたので、景気付けと、目指せ邦画歴代1位の推し活として。
とにかく美しいです。凄惨美でもあります。
どうにも現実が醜いので、美しさを求めて。
笑えるほど、鬼リピしていますが、それに耐えうる作品だと思います。
細かい事はまぁ、いいかと言う事で。
未読の方には吉田修一さんの原作小説もお勧めします。
さらに詳しい背景が分かり、あの人これだけかぁとか、あのエピソード映像化してほしかったなとか、あの名シーンは原作には無いのかとなり、映画と小 説は繋がっているような、やはり別モノのような。
どちらも楽しめました。
個人的には俊坊推しです。

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りりこ

3.5歌舞伎版「火花」?

2025年10月20日
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日本版「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」?
なんか1人の人生を追いかける形で進む展開は結構既視感があった。

ダブル主演が美しいのってなんの。顔立ちが美しいわー。

ただ、本音はもっとダークでドロドロした一面を盛り込んで欲しかったな…
歌舞伎の凄みを理解できない無知な自分には、歌舞伎のシーンはあそこまで要らなかったかな…
※でも歌舞伎は死ぬまでに一回は見に行かねばならないと思いました。日本人やもんね。

25年42作品目

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ウナゾートキッコロ

3.5人生の深み

2025年10月20日
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鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

難しい

人生には、楽しかったり嬉しかったりすることだけではなく、悲しかったり辛かったりしてもう人生をやめてしまいたいとどん底を味わうこともある。
多くの人はそこでやめてしまうけれども、そこで歯を食いしばって這い上ってきた人にしか見えない景色や表現できないものがある。
人間は完璧な生き物じゃないし、生きていく上で失敗は付き物で、何もかもやめてしまいたいと思うことがあるけれども、何度でも立ち上がる勇気をもらえました。

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ゆうき

4.5圧巻

2025年10月19日
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原作の吉田さん、主演の吉沢亮さん横浜流星さんのこの映画へのというか歌舞伎に対するものすごい執念を感じた。
圧巻でした。

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空豆

4.0歌舞伎素人にも伝わる熱量

2025年10月19日
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鑑賞方法:映画館

歌舞伎の世界も内容も正直まったく知らないけど、それでも伝わってくるものもあって確かに凄い作品だった。特に最後のシーンは鳥肌がたった。

吉沢亮さんと横浜流星さんをはじめ俳優さんの演技がただただ素晴らしく、相当な稽古を積んだであろうと感じた。

映像化して映える世界観だろうし、食わず嫌いで観るのを躊躇していただが、結果、観てよかった。

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映画感

4.0国宝

2025年10月17日
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鑑賞方法:映画館

役者さん一人一人が自分の役に入り込んでいて、芝居というより役そのものだった。人生を見ている気持ちだった
歌舞伎という演じるのも話にするのも難しい題材をここまで綺麗に残酷に落とし込み一つの作品として作り上げられている事にとても感動した。

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るな

5.0想像を上回る、物凄いモノ 観た‼️

2025年10月17日
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鑑賞方法:映画館

興奮

驚く

ドキドキ

私、5回観ました。最初に観終わった時、感動で動けなかった。こんな凄い作品を、こんなに安い値段で観せていただいても良いのか‼️と思った。全編引き込まれるストーリー構成と、魅惑的なカメラアングルと映像の美しさ、劇中に流れる音響効果、何よりも吉沢亮と横浜流星の舞踊の完成度と演技力には、本当に恐れ入りました。どんだけ練習したんじゃろか、凄すぎる‼️演技を超えて、完全に憑依してました、もー絶句モノの感動巨編です。舞踏の場面は美し過ぎて、何回も何回も観たくて映画館に通いました。セリフの一言一句を覚えたかもです(笑)ラスト、エンドロールの向井さんの啜り泣くような歌声に魂を掴まれて、動けなくなりました。3時間、観客が全く微動だにしない、物音ひとつ、咳ひとつ聞こえない、エンドロール終了後も、皆んなが感動で、動けない、立ち上がらない観客が一体となってる連帯感すら感じました。こんな体験、なかなか出来ないよ。映画館で観なきゃ損だよ。
まだまだ、毎日でも観たいほど凄い‼️李監督凄い‼️

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渡辺さゆり

1.5どこ見てんの?ーだから、どこ見てんのよ!

2025年10月16日
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鑑賞方法:映画館

単純

国内ではかなり評判がいいらしい。
そんな話を、帰国前から聞いていた。歌舞伎ファンの自分としても、期待はそれなりに大きかった。

けれど、森七菜演じる彰子のあの一言——
「どこ見てんの?」

このセリフが、なんとも皮肉に、この映画のすべてを言い表していた気がする。
俳優たちはそれぞれ“よく見て”演じていた。

でも映画そのものは、いったいどこを見ていたのだろう。
目がうつろになっていく二代目の姿が、その迷走ぶりを象徴しているようにも見えた。

森七菜は、以前の繊細な印象から一転、少し挑発的な役をそつなくこなしていた。
ついこの間まで「賢治の妹」だったのに、成長したものだ。

そして滝内公美(綾乃)や見上愛(藤駒)のキャスティングには、どこか奇妙なつながりを感じた。
「光る君へ」では、明子であり、彰子でもあった。登場人物たちが別の世界で呼応しているようで、つい目が泳ぐ。

定子=高畑充希=春江……この連鎖も面白い。
結局、「どこ見てんの?」と、観客の自分にも跳ね返ってくるのだ。

問題は、タイトルの「国宝」だ。
まさか本当に喜久雄が“国宝”になってしまうとは思わなかった。
タイトル通りすぎる展開に、ちょっと拍子抜け。

中盤のぐだぐだした流れも、俊坊や喜久雄のライバルが“人生の迷走”を繰り返すくだりも、正直、何を描きたかったのか掴みづらい。

脚本は結局、何を軸にしたかったのか。
人物なのか、芸なのか、それとも「国宝」という制度そのものの寓話なのか。
焦点がずっとぼやけたままだった。

とはいえ、俳優陣の演技は見ごたえがある。
吉沢亮の演技は確かに光っていたし、横浜流星も悪くない。
むしろ渡辺謙や田中泯といったベテランの存在感が、やや浮いて見えるほどだった。

でも、もし世間が“名演”だけを見て満足しているのだとしたら、やっぱり言いたくなる——「どこ見てんの?」

この映画、演技の力で持っているけれど、映画という総合芸術としてはバランスを欠いている。

演技が良ければ良いほど、作品自体の空洞が目立ってしまうという皮肉。
チームで作る映画を、個の技量だけで完結させてしまった感じがする。

結局のところ、吉沢亮——いや、アイリスオーヤマのCMだけが、自分の視線の行方をちゃんとわかっていたのかもしれない。

ラストの余韻まで、どこか広告っぽいきらめきが残るのはそのせいだろう。

アイリスオーヤマだけが、きっと喜んでいる。

……そして気づけば、自分も問われている。
「で、あなたはどこを見てたの?」と。

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critique_0102
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