国宝のレビュー・感想・評価
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舞台の緊張感に引き込まれる3時間
役者の凄さを感じる
圧倒的な美しさと残酷さ
これはすごい…さすが話題になってるだけあるけどこんなにも重厚な作品だったとは…
次から次といろいろな出来事が起こるので全然長さを感じさせないし、予定調和やメロドラマが一切無く怖いくらいに淡々と進む描写に魂を揺さぶられました。
何と言っても俳優陣の素晴らしいこと!特に吉沢亮さんはコミカルイケメンなイメージだったので、圧巻の熱演に本当に驚きでした。
輝かしい栄光と理不尽な挫折を味わい、汚いやり方や他人の犠牲の全てを糧にして上り詰めた末の舞は圧倒的に美しく残酷でした…その美意識の根源がまさにあの壮絶な原風景となった雪景色だったのでしょう。
なんだか後味はブラックスワンに似ていて、心にずっと残り続ける名作です。
心に残る作品
遅れ馳せながら拝見した悪魔
悪魔との取引という言葉には予告編から惹きつけられました。
父親の命と引き換えに歌舞伎の門を叩き、幼馴染の恋慕と引き換えに後継の座を得て、家庭と引き換えに人間国宝の座を戴きました。
主人公が真綿を吸うようで恐ろしいと例えられるシーンがありますが、悪魔は取引相手に資格を求め、願いの成就が見えるや否やさらに多くを捧げることを求めます。つまり他ならぬ己の命です。
興を削ぐ言い方をすれば望みを絶たれて尚、芸に縋り、痛めつけられ、魅入られ、人生の情動と悲哀の全てを芸に還元する時間をこそ、芸事の悪魔は求めます。
物語の構造を書き起こせば非常に明快ですが、やはり主役は役者の演技でしょうか。
吉沢亮、横浜流星、田中泯、渡辺謙。
特に吉沢亮は歌舞伎と現代ドラマの間にすっぽりと収まるような怪演だったと思います。
随所に見られる目や肌を追うカメラアングルのフェティシズム、正に映画を見る我々そのものが悪魔となり、登場人物を品定めするのです。
だからこそ物語の終わりに彼らの命を賭した芸に賞賛を贈るのです。
息をするのを忘れる瞬間もあった
久しぶりの永瀬正敏とカチコミのシーンは良かったのだが、ちびっこギャングが出てきた時はズッコケてしまった
二人藤娘あたりから徐々に素晴らしい映画に持ち直した
御曹司と主人公の芸の差を素人目にもわかるようにしてくれたのは有り難かった
確かにこれでは後は継がせられないよなと旦那の気持ちが推量しやすくなった
血か、才能か、そりゃあ迷うけれど、そういう答えになるよねって納得できた
物語的には芸に魂を売る系だから、割とありふれたテーマだし、歌舞伎の醜聞は子供の頃からよく目にしていたので、まあ芸だけに特化したら、人格的に偏るよね、歌舞伎を取り巻く女性って独特だよねって感じでそこまで記憶残らなかった
歌舞伎のシーンは兎に角素晴らしく、歌舞伎に門外漢の僕のような人間でも圧倒され、息をするのも勿体なく感じるほど見入ってしまう場面もあった
これはとんでもなく練習したんだろうな、歌舞伎って体幹の踊りなんだなとつくづく思った
田中泯のばあさんのようなじいさん(褒め言葉)は凄まじかった
こんな人がこの世のどこかに本当にいるのかなってくらい納得感のある芝居だった
残念なところある、屋上のシーンは吉沢亮のヤサグレぶりと芸に対する執着、業は良かったが、連れの女の「もうやめよう」だったか腑抜けた演技にがっかり‥
あれはリテイクしてほしかったな
それとも生活の実感のないお嬢様の台詞だからどこか生活感がないというか現実から3センチくら浮いてる感じで下手でも良いのかな?などとすごいノイズになった
女性陣は寺島しのぶ以外は残念ながらこれと言って印象に残らなかった
物語的には仕方がないのかもしれないが、もう少し頑張ってほしかった
評判通りの傑作だった
劇場で観るべき映画
芸術感が高い
3時間は長いからしんどそうだと鑑賞前には思っていたのだけど、あっという間だった。ダレることなく話のテンポが速い。ただし、もっと描きたいことがあったのではと思えてしまうほどに、細かい説明は無いから3時間でも足りてないような気がする。
主人公立花喜久雄はヤクザの組長の息子。宴会の場で女形を披露していた。この宴会にたまたま居合わせたのが歌舞伎の2代目花井半二郎。半二郎は喜久雄の姿に将来性を感じた。喜久雄が演技を終え顔を洗っていると、別のヤクザが乗り込んできた。喜久雄の目の前で父親である組長は殺される。
後日、喜久雄は仲間と共に敵討ちに行くどうやら失敗に終わったようだ。喜久雄は背中にミミズクを掘る。
喜久雄は花井半二郎に迎えられた。半二郎には息子の俊介がいる。歌舞伎界の御曹司と言ったところ。俊介は最初、喜久雄と一緒に歌舞伎の練習をするのが嫌そうに思えたが、2人は意気投合し、歌舞伎の練習に勤しむ。
喜久雄と俊介は花井東一郎、花井半哉を名乗る。二人で女形の題目を演じると成功する。
花井半二郎が事故に合う。代役として喜久雄が選ばれる。喜久雄は不安に駆られるも、結果成功に導く。俊介は喜久雄の演技を観ていたが悔しさからか途中退席した。その後俊介は8年もの間、戻ってこなかった。
8年後、花井半二郎は糖尿病のために視力が低下した。まだ健康なうちにもう一花咲かせたいと考えた半二郎は自信を白虎に昇格させたいと考えた。喜久雄は三代目花井半二郎を継ぐことになった。
襲名披露にて、白虎は挨拶が出来ず血を吐いた。そのまま白虎は亡くなった。白虎という後ろ盾が居なくなった喜久雄は歌舞伎の役が得られなくなっていく。また週刊誌にヤクザの子であることもバレてしまい、歌舞伎界で活躍することが難しくなっていく。
喜久雄は女形を売りに個人で営業を行う。しかし上手くは行っていないようだ。連れの女にも辞めようと言われてしまう。一方、俊介は歌舞伎界に戻っている。
喜久雄に万菊が会いたいと連絡があった。万菊は人間国宝の女形。もう90になり、その生涯を終えようとしていた。万菊の前で女形を振るう喜久雄。これが認められたのか?、喜久雄は歌舞伎界に戻る。
歌舞伎界に戻った喜久雄は俊介と再び女形を演じる。昔言われた東半コンビの17年ぶりの復活。
しかし、俊介は突然倒れる。糖尿病に患っていたそうだが、放置してきた。医者の診断で俊介は左足を切断しないといけない。俊介は足を切ることに躊躇が無いようだ。
片足の俊介は、それでももう一度舞台に立ちたいと喜久雄に話す。なら、相手役は俺がやると喜久雄は言う。俊介は再び舞台に立つが、右足が変色していることに喜久雄は気付く。俊介は病気に侵されていた。
2014年、喜久雄は人間国宝になった。
興行成績が良く話題だけど、エンタメ作品ではないのにこの成績だから、本当に作品が素晴らしいのだと思う。
作りが丁寧な映画
公開からしばらく経った平日に劇場で観ましたが、ほとんど席が埋まってて驚きました。
映画自体は、歌舞伎の描写がとても美しく、劇場のスクリーンで観るからこそ輝くものだと感じました。
ストーリーは、芸で成り上がる東一郎と歌舞伎役者一族の血筋で成り上がる半弥のバディもの編と、人間国宝まで芸のみで成り上がる後編(サクセスストーリー編?)に分けられます。
半弥は芸に泣かされ、また東一郎(と半弥も)は血筋に泣かされます。お互いを羨みながら成長していく描写が生々しくて良かったです。
舞台前震えが止まらない東一郎は半弥に「お前の血が欲しい」と口にします。しかしその血筋が原因で、半弥は半二郎(渡辺謙)同様、糖尿病で命を落としてしまいます。
半二郎に「血がお前を守ってくれる」と言われた半弥が、血に泣かされるのは何とも言えない気持ちになりました。
このあたりの描写も、曽根崎心中と、歌舞伎と心中するつもりの半弥の状態を重ね合わせており、丁寧でわかりやすいものでした。
血を継いでいない結果、糖尿病にならなかった東一郎。半弥に家督を奪われドサ回りをし、しかし半弥の最期が近いことを悟り、家督を継ぐことになり、複雑な思いがあったと感じさせました。
ですが曽根崎心中で見せた表情は半弥を失う辛さで満ちており、バディもの編として美しい終わり方でした。
花井東一郎襲名の際、神社で悪魔に「芸以外何も要らないから成り上がりたい(うろ覚え)」と娘の前で誓ってしまう東一郎ですが、妻と娘とも疎遠になり、半弥を失い、とうとう芸だけが残り人間国宝まで上り詰めます。
インタビュアーにドサ回りやスキャンダルが無かったかのように「順風満帆な歌舞伎人生(うろ覚え)」と言われ、娘がカメラマンとして現れても表情から感情はあまり読み取れません。
この時の達観したような、感情の機微が感じられない表情が、東一郎がまるで人間の枠を超えて芸術品になってしまったような感覚に陥ります。同じように人間国宝だった万菊(田中泯)さんと重なります。
総じて、人間関係の描写、歌舞伎の描写がとても良いバランスで両立されていると感じました。
3時間長の映画ですが、あっという間に感じました。
人間
映像美の余韻
音の強弱の使い方や音楽、映像の魅せ方、クライマックスの映像美がとにかく惹き込まれる。
日本の伝統芸能、歌舞伎の重鎮さというか、一人前の歌舞伎役者になるまでの道のりはこんなものじゃないくらい大変なんだろうなと。
人間国宝になる人は並々ならぬ努力の日々と覚悟と責任と…想像も出来ないほどの物を背負ってる。
それを歌舞伎に触れたことのない世代にも伝えてくれる。
歌舞伎を演じ、歌舞伎を演じている喜久雄を演じ…吉沢亮くんの努力と演技力と…全てに感動。
横浜流星くんももちろんすごい。
ちゃんと2人にスポットライトが当たり、進むことにより、主人公は喜久雄だけど、喜久雄だけでは主人公として成り立たない事も思い出させてくれる。
そして出てくる人達全ての人間臭さよ。
人って綺麗事だけでは生きられない。
打算も裏切りも執念も諦めも弱さもみんな映し出される。
頭では分かっているけど、気持ちの整理が付かない、やっぱり受け入れられない、納得出来ない事ってあるよね。
まさに、歌舞伎を通して喜久雄という男の一生を描いた人間ドラマ。
映画館で観られて良かった。
まだまだ今夜は色んな場面を思い出しながら余韻に浸れる。
箔がついたね!亮くん!!
もう一度観たいかと言われたら
誘われても、見に行かないです。
オンデマンドでも見ません。
役者さんの演技はとても素晴らしいし
映像もとても美しかったです。
歌舞伎に対しての興味も湧きました。
でも「映画」というパッケージで
歌舞伎の世界観と、人間国宝の半生を
描き切るのは無理があるような。
あの尺があるならば、映像美よりも
もっと描いて欲しいことが沢山あります。
撮り直しができる「歌舞伎映像」に
力が入り過ぎてると感じました。
歌舞伎の素晴らしさは
歌舞伎で観たらいいと思いました。
重厚な作品、今年を代表する映画では
全2120件中、141~160件目を表示
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