国宝のレビュー・感想・評価
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歌舞伎の真髄に挑戦した映画
これは凄い。凄すぎます。吉沢さんと横浜さんで主演&助演俳優賞のダブル受賞もあり得る!と思いました。吉田さんの小説も素晴らしかったのですが、二人の魂の演技に李組スタッフの作る映像美も相まって、それを超えるような感動でした。本物の歌舞伎によくぞここまで挑戦できたものだと。この映画を作った方々の格闘ぶりに拍手を送りたいです。
吉沢亮・・・天性の歌舞伎の女形
藤娘の扮装をした吉沢亮のあまりの美しさと日本舞踊の上手さ。
16歳時には仮面ライダーだったのに、その変身(ヘンシーン)が、
歌舞伎の役者で、しかも大成功の変身でした。
吉沢亮の、
女形の声音の美しさ、張りは10年鍛錬した本物の歌舞伎の女形を
軽々と超えて見えます。
(恥ずかしながら、銀座の歌舞伎座にはたつたの一回行きました。
(滞在は6時間ですから、全くの素人ですが、
(たまにテレビの中継を見るる程度です)
でもですが、吉沢亮さんの、なりきり振り、その上手さは素人目に
完璧に見えます。
3時間の上映時間もまったく緩みがなくて、あれよあれよの瞬く間。
喜久雄(15歳は黒川想矢)が、藤娘を新年会の余興で踊るのを
見ていたのが、歌舞伎の大御所・花井半二郎(渡辺謙)。
半二郎は一目で喜久雄の日舞に圧倒されるのですが、
ヤクザが押し入ってきて、父親(任侠の親分=永瀬正敏)は、
その場で殺されてしまうのです。
そして一年後。
半二郎に引き取られて実子の御曹司の俊介(横浜流星)と、相弟子のように
半二郎の厳しい稽古を受ける事に。
めきめき力をつける喜久雄。
運悪く半二郎が交通事故で大怪我をします。
その代役に半二郎が指名したのは、なんと喜久雄だったのです。
そして30歳の時、3代目花井半二郎の襲名をしたのは、
実子の俊介ではなくて、喜久雄だったのです。
(ここに因縁の喜久雄と俊介の確執が生まれるのです)
★★一説には喜久雄のモデルは坂東玉三郎、ではないか?
とも言われていますが、もちろんフィクションで、原作者の
吉田修一さんが、
「歌舞伎役者で人間国宝」に上り詰める
血筋のない人物・・・というコンセプトのもとに
描かれた小説と推測します。
近年、片岡愛之助さんは実家が工場だと聞きますし、香川照之も
離婚して女優の母に育てられ40歳過ぎから実の父親の
超有名歌舞伎役者に弟子入り歌舞伎界に入られています。
中村獅童なども実の父親が歌舞伎役者を嫌い廃業したので、
正統的な世襲とは言えないかもしれません。
歌舞伎役者が、ミュージカルに出る、
アニメの声優をする、映画では異彩を放ち、
演劇(芝居)に出る・・・などなどクロスオーバーの活躍が目立ちます。
音羽屋(尾上菊五郎など)の娘である寺島しのぶは、
渡辺謙の女房役を演じていますが、
近年、女性ですが、歌舞伎座に出演しています。
新しい波は確実に押し寄せていますね。
父親・半二郎の代役を立派に務め上げる喜久雄の凄さに、
ショックを受けた俊介は、そのまま舞台の座席から去り、
姿を隠してしまいます。後を追う喜久雄の恋人の春江の姿が。
しかし父・半二郎の死後、俊介も歌舞伎の世界に戻ってくるのです。
横浜流星も良いです。
ちょっと驚くようなショッキングな見せ場があり、歌舞伎役者に
適正の薄いようでやる気のない俊介も、晩年で
凄い執着心を見せてくれます。
横浜流星もさすがの花形役者!!
「曽根崎心中」のお初は鬼気迫る圧巻の演技でした。
ファンを楽しませてくれます。
芸を極める、
(私生活を犠牲にしても、
(悪魔に魂を売っても、
などの台詞が出てきますが、
凡人には見ることのできない景色を見る喜久雄は
人間国宝という頂きに上り詰めた
稀有の天才、
努力の人でした。
一芸を極めた人は、やはり感動的で
ラストは込み上げるものがありました。
雪吹雪のなか「鷺娘」を舞う喜久雄の姿は
芸に生きる喜びとつよさに溢れていました。
歌舞伎の演目が劇中劇のように入ってくる素晴らしさ
才能
内容とキャストを知ってから楽しみで、初日に鑑賞。
もちろん喜久雄と俊介を演じる主演のお二人が素晴らしい。
でも私の1番の感想は、黒川想矢くん天才すぎませんか?!だった。彼が出てる間ずっと目が釘付け… 才能を見抜かれる前半のストーリーの説得力半端ない…
声の出し方、本当に芸妓さんかと思えるような柔らかな動き… 最初誰かわからなくて、メイクを落として、えっ、黒川想矢くん?!と驚き。
「怪物」の時とは全く違う雰囲気。
歌舞伎のシーンは役者さんたちの演技も素晴らしかったし、そのシーンを支えるすべてにすごい熱量を感じた。あまり歌舞伎には詳しくないけど、歌舞伎好きな人にはどう映ったのだろうか?
テーマは少し違うけどつい内容的に覇王別姫を思い出しながら見た。
芸に生きる天才が周りの人達を傷つけてそして自分たちも傷つきながら進んでいく姿が少し重なる。
彼らに翻弄される女性たちの心情がもう少し丁寧に描かれていたらよかったのに、とは思うけど、すでに180分だから難しかったのかな。
ラストシーンに続くエンドロールの主題歌がとても良かった。映画の内容とシンクロしていて、井口さんの美しい声が沁み入ってきた…今度探して聴こう。
3時間の歌舞伎大河ドラマ
歌舞伎は母を連れ年一回観に行く程度のにわかですが、歌舞伎というのは世襲制の家業のため、その分甘さを指摘されないよう芸を徹底して磨くことにこだわり続けていく伝統芸能だと思っている。
一方で歌舞伎を支えている古くからのお客さんの中には、芸そのものよりも、3才で初舞台を踏んだあの◯◯屋の可愛い男の子が何度か世襲し名跡を継ぎ立派な役者になり、その子供がまた成長していくというのを親戚のおばさんさながら見守ることに生きがいを感じているという人もたくさんいる。(昔の人気コンテンツだった「五つ子ちゃん」とか「ビッグダディ」とか最近のオーディション番組みたいに)
歌舞伎役者が子供が小さいうちからメディアに出すのは、重要な役割としてそう言う効果を狙っているためだと思う。
そう言うことも含め、もし部屋子さんが主役を演じたり家を継いだりすることがあれは、関係者だけでなく、お客さんからも批判されることが考えられるため、事前に養子縁組して伝統だけでなく体裁を守るのかなと思ってる。
本作は長崎の極道の家に生まれた喜久雄が歌舞伎役者に引き取られ、跡取りの俊介と切磋琢磨し女方として(人間)国宝になるまでの成長譚だが、養子・女方・人間国宝とくれば坂東玉三郎がモデルなんだろうと思うが、ドラマティックで波瀾万丈のストーリーは完全なるフィクション。
背中にミミズクの和彫を背負った天性の才能をもつ女方を当て書きしたかのように役者バカと評判の吉沢亮が鬼気迫る迫力で熱演し、ライバルの俊介を横浜流星が憂いと弱さで人間臭く演じており、2人の美しい役者が見えない絆や縁のようなものをうまく感じさせながら魅せる演技は感動を誘う。
田中泯の白粉と女喋りはあまりに似合わなさすぎて少しおかしかったw。
珍しく初日に鑑賞したのであまり多く書き込むことは控えるが、3時間の長尺を感じさせないほど没頭して観ることができるオススメの映画です。
圧倒的な表現力に心が動く
原作は未読です。
上映時間が3時間近くあるので、どうなるかと思いましたが、長さを全然感じさせないほど、素晴らしい映画でした✨
ボキャブラリーが乏しい私なので、どう表現していいのかわからないけれど、心をギュッと鷲掴みされてしまうほど、出演者の表現力に圧倒されてしまいました。
特に、喜久雄役の吉沢亮と、俊介役の横浜流星がそれぞれ演じた「曽根崎心中」のお初は、瞬きや息をするのを忘れてしまうほど凄かったです。
舞台の中に引きずり込まれる感覚でした。
文字では伝えてられないです。
ぜひぜひ映画を観て欲しいです😊
歌舞伎役者の血を継ぎ、将来を約束された俊介と、孤独で芸事を極めることでしか、上を目指せない喜久雄。
ふたりの違った苦しみと絶望感、また演じる充実感や幸福感を見事に表現しています。
本当に「手招きして、見たことのない世界へ連れて行ってくれる」そんな感覚でした。
この2人はこんなに凄い演技をする人だったの?
って失礼ながら思ってしまいました。
任侠一家の息子が、歌舞伎の世界の頂点に立つという設定は、無理があるとは思いますが、そこは小説なので(笑)
私は歌舞伎は一度も観たことがないので、演目については良くわかりませんが、「曽根崎心中」の他にも色々な演目が出てくるので、歌舞伎を知ってる方は、より楽しめるのではないでしょうか。
演目どれも素晴らしいので、俳優さんの努力が感じられます。稽古に1年半かけたそうです。
やはり俳優さんは凄いですね。
真似できないです。
映画の中で命を削ってまで、歌舞伎に人生を捧げる人たち、映画にかける俳優さんと重なって見えました。
半二郎や俊介、そして喜久雄、ここまで自分の全てをひとつのモノにかける生き方は、私には到底できないです。
女優さんたちも、皆さん素敵でした。
寺島しのぶは、さすが梨園で育った方ですね。
観て良かったと思える映画でした。
壮絶な人生を乗り越えて、頂点に立った時、
喜久雄はどんな景色を見たのでしょう。
臨場感と艶やかさに引き込まれる
緊張感と没入感。
吉沢亮、横浜流星、2人の女形姿の艶やかなこと。
彼らの生きざまに引き込まれました。
実際の歌舞伎と比べた良し悪しは分からないが、おそらくインタビュー記事で読んだ中村鴈治郎氏の指導もあり、素人目にはすごいとしか思わず。
音も大変丁寧に作られていて、衣擦れ、摺り足、床を踏む音……
音響が生み出す最高の臨場感。
(できるだけ音のいい劇場環境で観たほうがいいと思いました)
さらに、普段絶対に見られない幕を閉じた裏側、早替わりの黒子の手技、大道具を操作する裏方の動きなどが見られたのは、映画本編と同じくらい興奮しました。
また、この作品が歌舞伎の実際の公演・運営を手掛ける松竹で作られていないことによって、「血筋」に拘り、身内の醜聞に甘く外様に厳しく、外から見る梨園の醜悪さが描けていること。
戦後すぐの芸能界は、興行の面で暴力団とも縁が深かったという事実も逃げずに触れていたこと。
制作・配給の主体が、アニメーション作品を推し進める「アニプレックス」「東宝」ユニットによる実写映画であることの意義へも思いを馳せると、邦画の今後の広がりに期待も持てました。
ちなみに私の場合、原作は未読、漫画版は雑誌でつまみ食い的に目を通している程度でした。
おそらく、原作小説の厚さ(文庫2冊約730ページ超)を考えればダイジェストなのであろうとも追われます。
漫画にあった、半次郎の妻・幸子が、続く不幸に新興宗教にのめり込むエピソードもなかったけれども。
それでも、映画として成り立つ重要な部分を選び、その様々な感情の行方を「歌舞伎の舞台」で表現する"映画としての完成度の高さ"に、比較は無意味だと思えましたし、鑑賞後に猛烈に原作小説が読みたくもなりました。
小説の実写化としては理想の形にも思えました。
演目に関し、書籍や映画で多少の知識はあるが、さほど歌舞伎座などに足を運んだこともない私にはわからない部分も多く、もっと深い理解があればより楽しめたはずと、やや悔しさも覚えました。
また上方歌舞伎界の事情なども知りませんし、ここ80年くらいの(おそらくモデルにしたであろう)実在の歌舞伎役者に関して、得意演目や優れた点、スキャンダルなどにも疎く。
下世話ですが、それらを知っていたら、さらに楽しめたはずです。
己の知の薄さに地団駄を踏みました。
歌舞伎の凄さを感じることが出来る
公開初日に鑑賞。任侠の家に生まれながら歌舞伎役者として芸の道に人生を捧げた男のヒューマンドラマ。歌舞伎の舞台をまるで生で観ているような錯覚に陥り、歌舞伎の圧倒的な迫力に引き込まれました。主演を演じた吉沢亮と横浜流の歌舞伎の演技に拍手を送りたい。
2025-87
関の扉に始まり鷺娘で幕が閉まるので、
歌右衛門(六代目)と玉三郎を想起させられた。田中泯演じる万寿は闇の底からおどろおどろしく出てくる存在で、大昔に見た歌右衛門みたいだった。女形は年取ると性別を超越する、それを田中泯は素晴らしく演じていた。
話の中で特に重要な芝居が「曽根崎心中」なので、近松を復活させた上方歌舞伎の坂田藤十郎の息子の雁治郎が歌舞伎指導&出演で関わり、その息子で、踊りが上手くまだ30代の壱太郎(吾妻徳陽)が日舞指導をしたのはよいと思った。
吉沢亮の白塗りに紅の顔に、レスリー・チャンの類稀な美しさとしなやかな身振りを思い出した。60代になってからの鷺娘では、首の縮緬皺や手の甲の皺が積み重ねた年月を表していた。因縁の「お初」を横浜流星、徳兵衛を吉沢亮が演じる舞台。有り得ないこと続きで驚きつつも、涙なくして見ることができなかった。お初が徳兵衛の覚悟を自分の足で確かめるのが見せ場の芝居。文楽では女形のお人形に足はないが、お初の人形には足がつく。そのお初を左脚がない半弥(流星)が演じる。この芝居の道行きではお初が先導するのに、右足も壊死しているお初が花道で倒れた時、どうなるのか心臓がバクバクした。にも関わらず、或いはだからこそ心中場面も続けると言う徳兵衛・吉沢亮。その血を羨んだライバル・親友のとどめをさす、という演出なんだろう。
「壊死」で、幕末から明治まで活躍していた美貌の女形の三代目田之助について読んだことを思い出した。田之助は壊死で四肢切断しても舞台に出続けていたが廃業し33才の若さで亡くなったという。血の繋がりは顔かたちや体型や声だけでなく、病も遺伝するとしたら堪らない。芸は血の繋がりというより、生まれた時から親と同じ環境の中で生活し呼吸し見て聞いて、一日中、歌舞伎の空気と稽古の中で育つことを言っているのだと思う。血筋があっても芸や踊りが下手な役者さんはいるし、部屋子さんで素晴らしい踊り手でいい芝居をする美しい歌舞伎役者もいる。血筋のことばかりいうようになったのは、一体いつからなんだ?
歌舞伎興業を担当する竹野を演じた三浦貴大は、ぽろっと口にする台詞がよかった。彼と吉沢亮が絡むシーンがもっとあったらと思った。
汗と涙で顔のお白粉と紅がぐちゃぐちゃになるシーン。こんなことは歌舞伎役者はできないし、やってはいけないだろう。私達が歌舞伎という演劇に求めるのは、現実離れした儚さと夢と官能だから。
おまけ
1)父親=大旦那が亡くなった途端に跡継ぎを孤児状態にする歌舞伎の世界ってなんなんだ?でも名家の○○屋の跡取り息子は大旦那=父親を亡くしたら先輩方に頭を垂れて教えを請わなくては。年老いた大旦那の課題は一つ:踊ることも立って歩くことも座ることができなくなっても舞台に出ること、自分の息子&孫息子の為に。そんな家庭内興業で、役者の妻は男子を生むことが強烈に求められている歌舞伎はいつか滅んでも仕方ない。一方で「血筋幻想」と世襲が日本の芸能界や政治の世界でいまだ幅をきかせているが、歌舞伎の修行のように孤独な勉強と思考をしているのか?
2)原作を読んでいないのでごめんなさい。歌舞伎役者は踊りの稽古が何より大事。加えて鳴り物や三味線の稽古。「国宝」と名乗る女形なら「阿古屋」を演じるレベルか、廃れてしまった演目を掘り起こすなどしていなければ説得力ない。
3)半蔵門にある国立劇場の楽屋入口が映った。正倉院を模した美しい建物をなぜ壊すのだ?建て替え工事を請け負う業者も決まらず使わないままでいたら、建物によくない。エレベーターもエスカレーターもある劇場だから、楽屋や舞台関連をリフォームすれば済む話では?ホテルを載っけて高層ビルにするなんて愚の骨頂。もう既に、文楽、通し歌舞伎、踊りや長唄の会などに多大な損害を与えている。建築物含め、文化と歴史と教育に無関心で無知な国に嫌気がさす。
4)この映画見てからずーっとモヤモヤしている。何故、今、このような映画が制作され大々的に宣伝され、信じられないほど高く評価されているのかわからない。歌舞伎を見たことがない人にとっては新鮮だった、は少し想像がつく。かつて「芸道映画」は、時代がきな臭くなり社会批判的なリアリズムの映画は検閲されたりと厳しい状況だったから作られた(ということは、今、そういう状況なのだと考えてもいいと思う)。「芸道もの」の主人公は若気の過ちで封建的社会から追放され、苦しい放浪生活の中で人格と芸を鍛え、結局は許されて元の封建的秩序の地位に戻る。監督の手腕の見せ所は恋愛だが、女は自分を犠牲にして男に尽くし男は女の犠牲の上に芸の修行に励むという封建的な制限内に留まる。この映画では、多くの女性達が現れては消え、いつのまに?が多くて雑だった。いずれにせよ、この映画を見て歌舞伎に関心を持ったら、一幕見(ひとまくみ)席や三階席で見て何度も足を運べるようになったら素晴らしい。
圧巻
自分の位置からは見えぬ景色を目指した壮大なドラマ
原作は未読ですが、昨年から吉田修一の最高傑作が映画化されると聞いていて、かなり注目していた映画です。原作は全く知らないので、あやふやな個人的な感想です。
全編にわたって、歌舞伎の場面がかなり入っているので、けっこう長いなあという印象でした。
極道の子として生まれた喜久雄が、歌舞伎の名門の花井家に引き取られるが、歌舞伎の跡取りとして間違いないと思われていた俊介を差し置いて、歌舞伎を継ぐことになるとは、ゆめゆめ思っていない景色だったと思います。時折、差し込まれる紙ふぶきの風景が効果的でした。
日本の世の中は、政治家等もほぼ世襲制ですが、本当に実力のある人が跡を継ぐのが望ましいと思います。
俊介もこの跡継ぎを恨むのではなく、俊介なりに
歌舞伎を努力していく姿はとても好感が持て、良き友であり、良きライバルだなと感心しました。途中で私は、俊介が喜久雄に報復するのではないかと思っていましたが、見事にはずれました。
『国宝』級映画
【あらすじ】
幼い時任侠の世界で育った喜久雄は、父の死をきっかけに歌舞伎の世界へと足を踏み入れる。そこで出会ったのは花井家の御曹司・俊介。歌舞伎界の伝統─血筋─を覆すべく、孤軍奮闘する喜久雄であったが、任侠の出ということもあり...
3時間もある映画であるが、無駄なシーン、削ぎ落とせるシーンが見当たらないほどに完成されていた。最近公開され、同じく3時間弱あったミッションインポッシブルは終始アクションのための映画という印象であったが、本作は完成されたストーリーの上に歌舞伎の美しさがあり、双方が互いを生かしあっているような映画であった
まず、登場人物の心情が事細かに描かれている。歌舞伎界に生きる人々の"人間らしさ"、そしてそれに巻き込まれていくスポンサーや舞妓の人たちまで、全員の感情が入り乱れている様が生々しくも感じられた
また、キャストの人たちの圧巻の演技。
渡辺謙や吉沢亮、横浜流星らは言わずもがなであるが、特に黒川想矢の演技には目を見張るものがあった。是枝監督の『怪物』の時から、その表情や眼力には光っているものがあったが、それが今作でも存分に発揮されていた。
そして、歌舞伎のシーン。
吉沢亮ら演じる女形の美しさには、ついうっとりしてしまった。演目も無造作に選ばれているのではなく、きちんとストーリーと関連しており、歌舞伎初心者の私でも注目すべきポイントなどが分かりやすい作りになっていた
残念だった点は2つ。
1つ目は、最初俊介が喜久雄をライバル視していた後に急に仲良く練習していた点。普段の稽古を経て仲良くなったのだろうと想像することは簡単だが、せっかくだからそこも描いて欲しかった
2つ目は、女性キャラクターが多い点である。舞妓の見上愛、スナックで働く高畑充希、そしてご令嬢の森七菜という所謂"ヒロイン(この映画においては、そのような扱いではないが)"にあたるキャラが少し多かったように感じる。そのせいで、似たストーリーを繰り返してる様な印象に若干なっていた部分があった
だが総じて、演技力、ストーリー、歌舞伎の美しさなどが絡み合った『国宝』級映画だったとは間違いなく言えるだろう
映像から伝わる、本物の気迫と美しさ
歌舞伎版、ガラスの仮面
乱暴な言い方をすればこんな感じ。
マヤが喜久雄(吉沢亮)、亜弓さんが俊介(横浜流星)ですね。
2人の実力は拮抗していて、互いが光と陰のように対になり、幾度となく立場を替えながら話は進みます。
大切なのは芸なのか血縁なのか、というテーマは梨園ならではでドラマチック。
跡目争いから男2人のドロ沼愛憎劇になるのかと思いきや、そこは回避してそれぞれの信念のもと、芸道を極める境地に着地。(そんなところもガラスの仮面ぽい)
3時間近くの長丁場でしたが、全く退屈しませんでした。
ステージ裏話ものって劇中劇が面白くないと興醒めしますが、今作は歌舞伎の舞台のシーンが大変美しく臨場感があり画面に釘付け。
何より、俳優さんたちがホンモノの歌舞伎役者にしか見えない。
主演のお2人は撮影前に一年半かけて稽古をしたそうですが、たった一年半で発声も舞踊も完璧な女形になるとは…すごすぎませんか。
吉沢亮さんも横浜流星さんも素顔が美しいので、これはハマり役ですね。
特に吉沢さんは一見好青年なんですがちょっと暗い目つきで何考えているかわからないところがあるので、任侠倅の闇を抱えたこの役にぴったりだったと思います。
劇中で演じられる演目。
(歌舞伎シーンにタイトルのキャプションが出るのが親切)
連獅子
二人藤娘
二人道成寺
曽根崎心中
鷺娘
当方、歌舞伎に関しては素人のため華麗な舞台を楽しむだけで終わってしまいましたが、内容がわかればもっとストーリーを深く味わえたかもしれません。
曽根崎心中のシーンとか、内容を後で調べたら号泣必至じゃないですか…
これを機に、伝統芸能に親しんでみようかな。
どうでもよいですが、梨園の妻を演じた高畑充希さんが故・小林麻央さんにしか見えなくて困りました。
絶対、狙ってキャスティングしてますよね…
3時間が長く感じなかった。
良かった😎
吉沢亮さん、横浜流星さんの演技も良かった。歌舞伎見たことあまりないけど、演技であそこまで出来るのは凄いのかな😀
血の繋がりか 技術か
悪魔に魂売らないと一流にはなれないのかな
主人公は人間的には褒められる人間やないけど
技があれば上り詰められるんかな
まあ凡人の私には無縁の世界ですが笑
天才にしかみえない景色があるんかな
歌舞伎だけやるってまあストイックやな。
寺島しのぶさんや高畑充希さん見上愛さん達女優陣の演技も良かった。
個人的には、万菊役が印象に残りました😎
ちょい時間長くは感じたけど楽しんでみれました。
顔は才能で血は地位の表れ、透明な涙と紅い血流す
2025年劇場鑑賞35本目 良作 64点
冒頭の掴みが4年前に2.3回劇場鑑賞し、その年ベストのヤクザと家族の様で心躍る
藤井道人ならここ天空ショットやズームのスピードお得意のあーゆーの使うんだろうなってシーンがちらほらあるが、内田英治のミッドナイトスワンとはまた違う惹きつけ吸い込まれるシーンの数々に、李さんで正解だったと言わざるおえない
演技力や顔の説得力含め、誰がプロデューサーでも現代の日本の役者でこの二人を選ばない人はいないほどに、最善の回答であった
インファナルアフェアの青年期の二人やスマホを落としだだけなのにの成田凌と千葉雄大など、綺麗な中世顔がタッグを組むと、それこそカンヌ出展故に免疫ない人は見分けつけづらそうですね
黒川想矢くんと見上愛の二人が、いつぞやの菅田将暉と小松菜奈みたいでした
何回か○○年後と続いていたので記憶が確かじゃないが、宴会での初対面から神社?に参拝し3代目就任のパレード?のシーンまで主人公は黒川想矢くんから吉沢亮に変わっていたのに対して、見上愛側は継続して演じていたので、高校生前後(はたまた成人済み)から15年後くらいの35歳前後となるのが、ギリ二人で並んで歩いてた時違和感を覚えた
片岡礼子や瀧内公美は少ない出演ながら確かな存在感でしたね、流石です
取り急ぎなので、改めて続き書きます
全744件中、701~720件目を表示
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