国宝のレビュー・感想・評価
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前評判どおり、よかった
すごいらしいと聞き、ロングランになってなお大きな劇場で上映しているのを観に行った。席は平日昼に関わらずかなり埋まっていた。
3時間近い大作、どう終わるのか?どこで終わるかと思ったら、まさにタイトル通り国宝になって、見たかった景色を見たところで終わった。
「ああ、綺麗やな」
こちらから見るとそんなに綺麗な景色に見えなかったがそんなものということだろうか。
終わり方も、ここから老いていくようす、後継者、死後などは蛇足であり、この映画としてはこれでいいのだろう。
1人の人間の生涯を追う、兄弟のような相棒と切磋琢磨する、順風満帆でなく芸から離れる時期、彼女を寝取られる、芸の世界とヤクザのつながり、時代背景全体に昭和元禄落語心中を思わせる作品だった。
芸事の道には、何やら狂気が潜んでいるようである。
それに歌舞伎界の血筋というテーマを足した感じか。
生まれというのは自分ではどうしようもないもの、なのに残酷に、大事な舞台に立つ前に、血のつながりを意識させられる。
逃げた坊の分まで、芸を磨き襲名も勤めたというのに、お師匠は今際の際に坊の名を呼ぶ。
襲名しても冷遇されたのは、血筋でないからか、週刊誌のすっぱ抜きの影響だったのか。そもそも、週刊誌がすっぱ抜くのも、後ろ盾がなくて握り潰せないというのもあったのかもしれない。
映画では何か端折られたのかもしれないが、人間国宝から声がかかって歌舞伎の世界に戻れたのはどういうわけだったんだろう。
世間を騒がせて数年経ってほとぼりが覚めたから?
そして血のつながりがあるからこそ、坊も糖尿病になる。足壊疽で入院してるのにバナナをたべているところ、まさに糖尿病患者だった…。
春江はどうして喜久雄でなく俊を選んだんだろう。喜久雄が見ているのは芸事を極めることで、自分は必要とされてないと感じたのかな。求婚されたのに、「1番の客になる」って答えるってそういうこと?しかし長い付き合いで、よりによって兄弟分の俊の妻になったのに、俊も死んでしまって、その後も長い時間一緒に過ごすというのが数奇な運命、というか、単純に気まずくないのかなぁ。さすが、こういう世界、狭くていろいろありそうではあるよね。
悪魔との契約の末路なのか、喜久雄の子は歌舞伎役者になれない娘だが、俊の子は息子。その息子に稽古をつける。どういう思いなのか。そこは掘り下げられなかったけど、ほんとドロドロだよね。
結局、人生幸せかどうかなんて、自分が決めることだ。周りは勝手に評価してやいのやいの言うのだ。
喜久雄は、血筋がないために苦労した。それも俊と兄弟のように育てられているからこそ、時折見せつけられる差が苦しい。芸をどんなに磨いても襲名しても、世間から「取り入って盗んだ」と見られる。仕事もない。
そして悪魔との契約のせいなのか、結婚したかった彼女は兄弟ともいえる親友に取られるし、子どもとも一緒には過ごせない。まあこれは、本人も家庭を大切にする気はなさそうだったけど。
さらには親友も亡くし、あるのは芸だけ。
それを、終幕のインタビューでは「これまでまさに順風満帆でしたが」などと言われる。全く、世間というのは勝手なものだ。
また、突然娘が現れて、「あなたのことを父親だなんて思ったことはない」だの「いろんな人の人生を犠牲にして」だのと恨み節を言われる。神の視点で物語を見ている私たちからすれば、芸妓との付き合いは互いに同意のようで喜久雄はそんなにひどいことをしているようには見えなかったが、娘の立場からしたらそれは大変だっただろう。まあ2号の立場は本来充分な経済的支援があってこそなのに、それがなかったのは大きいか。その上で放浪されてしまって会えなくもなったら娘が恨むのは仕方ない。
しかし血筋でないからこそ、糖尿病は患わずに長生きできて、国宝になれたのだ。まあ、血筋でないものが国宝になれるというのが、そこはお話だからで現実ではないのかもしれないが。
でもそうだなぁ、歌舞伎なら定年もなく最期までできるし、ましてや人間国宝になったらもう仕事がなくなることはないし、生涯現役で歌舞伎ができるというのは、この手の人にとっては最高の人生かもしれない。最高、は言いすぎか。プライベートで手に入らなかったものは大きかったけど、一番ほしかったものは手に入れた。あれもこれもで頂点に立つのは無理だということよね。中途半端では極められない。
2人して人間国宝になりたかったのかはわからないが、俊はといえば、あれもこれも欲しがりだ。少し売れれば派手に遊び、もちろん大きなことではあったけど、父の代役を一度取られただけで、そこから奮起するのではなく、親友の女を奪って逃げる。父が死ぬまで顔を出さなかったくせに、死んだ途端に陽キャなままで帰ってきて、喜久雄のこれからというところの仕事を奪っていく。この、どのツラ下げて?っていうところのハートの強さは、ボンボン育ちって感じだよね。その仕事が入ってくるのも血筋もあるのかな。それは、俊は意識できてないだろうけど。それとも、パッとやってきて自分より芸に通じ、父から認められた喜久雄に対する仕返しなのだろうか。父の借金は一体どうしたのか。
喜久雄はそういう恨み言は言わないけれど、どっちかっていうと俊の方が酷いことしてるように見える。才は天賦が与えるもの、喜久雄は真面目に芸を磨いただけなのに、嫉妬しただけじゃねぇか。
帰ってきたところで、2人で力を合わせてってわけには行かなかったんだろうか。それだと俊が見劣りしちゃうから、あのおかみさんあたりが認めなかったのかな。おかみさんは息子可愛さはあるにしても、旦那の作った借金を返してくれていた喜久雄に対してあまりにも冷たいんだよなぁ。取り立ててやったんだからそのくらい当たり前だとか都合のいい解釈をしているんだろうか。怖いなぁ、一緒に育てていても情はうつらなかったんだなぁ。それか喜久雄が仕事ほしさに下手こいたのがそんなに良くないことだったのか。もしかしてそういうことなのか、あのお嬢さんと別れて、お父さんが許したことも歌舞伎界に戻れた一因だったのか。
話はそれたが、俊は妻も得て息子も生まれたが、病に倒れる。でも義足で舞台に立つ、前向きな人間だ。それこそ血に守られているのかも。血に守られていると意識しなくても、深層心理で思っているような、ボンボンならではの自己肯定感の強さがある。息子にも怪我したらどうするといいながらバスケットボールをやらせてあげているし、ほんとに悪いやつじゃないんだ。
それに、放浪から帰ってきてからは俊は自分の才を受け入れたように思う。「それがあって今がある」と言っていたし。最期は国宝にこそなれなかったが自分の納得する曽根崎心中を演じられた。ただ命は長くなかった。もしかしたら、国宝になれなかったことより、舞台に立つ時間が短かったことの方が悔やまれたのではないだろうか。子どもの行く末を見守れないことも。いや、そんな感想は凡庸がすぎるかもしれない。子どもの行く末を気にする人間か?でも家族というものに対しては喜久雄とは対比的に描かれているし、その辺りは俊はそう言った愛情を持ち合わせていそうではある。
そんな俊との別れの時間。
お初役の俊の足を手に取り頬ずりするシーン。
本当にいろいろあったけど、この2人は他の人にはわからない強い絆で結ばれている。
彼女を寝取られても、仕事をとられてもなお、喜久雄はこの性根の明るいボンボンを嫌いになれなかったし、どこか憧れもあったんだろうし、一緒に過ごした時間は宝物だったことが伝わってきた。
喜久雄と俊は対照的だ。そういう意味でも、やはり人間国宝になるような、何か1つ突き出た才能というのは、多くの一般人とは違うし、孤独なんだなと思う。
でもそれが良いとか悪いとか、幸せか不幸かなんて、外からみてる人間は何も言える筋合いはないのである。
喜久雄が歌舞伎界に呼び戻されたとき、質素な古アパートで当時の人間国宝が1人寝ている。
坊が親から受け継いだ立派な家で、素敵な調度品に囲まれて暮らすのと対照的である。
そういうことなんだな。
あくまで舞台上で綺麗な景色を見るために。
それだけが目標で生きていく。
それ以外は望まない。
そういうものなんだろう。
そこまで突き詰めるからこそ国宝なんだろう。
いい映画だった。
評判の高かった吉沢亮のみならず、横浜流星も良かったよ。
印象を選ぶにしても、当てはまる言葉がなくて。
なかなかにドロドロな、人間の業の詰まった展開ではあるんだけど、全部昇華されて、言うなれば「美しいものをみた」という感じ。
見るのに3時間かかるけど、全然無駄じゃなかったよ。
この世で最も美しいJホラー映画
今さら鑑賞。
もう他の方たちからほぼほぼ感想は出尽くしており
特筆すべきようなことはないので
なかでも心に残ったことだけ書きますが、
『この作品はジャパニーズホラーだったんだ』
と、ラストの演目を見て痛感しました。
だとしたらなんと美しい恐怖なのでしょう。
わかりやすい恐怖ではなく
心の底からゾクッとさせられる、
神経を蝕む恐怖をジワジワ感じる事ができます。
まさにJホラーを彷彿とさせる作品です。
観る前は歌舞伎成り上がりモノだと思っていました。
それには違いないのですが
監督が『怒り』『悪人』の李監督だということを
失念しておりました。
人間はどれほどに汚く、醜く、恐ろしく、
そして夢を追いかける様が美しいかを
主人公の人生を通してわからされた作品でした。
一人の人間が「何か」になるという話。
話が長い分いろいろな読み取り方があるかと思うが、私は青年が成長するとか歌舞伎役者が大成する、というより一人の人間が人間ではない別の何かになる話のように感じた。
親との死別、血というしがらみや世間からの風評、役者たちや女達、没落もして半身とも言える親友との死別、最後に実の娘との対面。いろんなものを得てその全てを失って何かになった。
特に、歌舞伎役者という血縁と世襲制の世界で、稽古を重ねて役者として成長し、救ってくれた親のために(背中に背負ったミミズクのように恩を忘れず)やって来たことが、死に際の親のたった一言で全て粉砕されるシーンはすさまじいものがあった。
おそらく、対比であり半身である親友は主人公と同じ「何か」になった。けれど、家族や病もあってそれを得るのに自らの命を差し出さなければならなかった。
田中泯演じる老歌舞伎役者は全てをわかったいたのか、とにかくあの存在感は凄まじい。
「ああは生きられねえよな」という台詞もあったが、観客にとってはこの台詞が全てだと思う。客はこの台詞に対して共感するか否定するか無視するか理解できないか、でこの映画の印象は変わる気がする。
歌舞伎版ガラスの仮面
ひたすら芸に生きる
圧倒的なスケールで歌舞伎に潰される。圧倒的な映像美。芸の果てしない追求。国宝になるために悪魔さえも味方につけて芸に精進する。
まったく前知識なかったが、最後の芸を極めた瞬間はだれをも圧倒するだろう。
血なの?実力なの?
映画としては見事な出来。今年度日本アカデミー賞は多数受賞でしょう。
・任侠の息子として生まれた後、歌舞伎役者として様々な苦難の後成長して「人間国宝」になる役者を演じた「吉沢亮」、かたや、歌舞伎一門の家柄に生まれ、役者となりつつ、病などにより人生を彷徨う役者を演じる「横浜流星」の両者の演技は抜群であった。
・約3時間という長時間であったが、「曽根崎心中」をはじめとした、複数の演目をじっくり見せてくれるので、長いとは感じなかった。
・カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した「さらばわが愛、覇王別姫」は中国の2人の京劇役者の葛藤と成長を描いた映画だが、本作は日本固有の「歌舞伎」をテーマとした映画であり、海外で上映された場合も、日本固有の価値観を持つ映画として評価されるのではないか。
・米国アカデミー賞では、国際長編映画賞の「日本代表」に選出されたので、大いに期待したいところです。
観るか観ないか悩むなら観る
李 相日監督ならではのリアルで過酷な世界観。
伝統芸能にまったく詳しくない自分でも観ていて感動できる舞台シーン演出。
吉沢亮の振り切れた芝居も全編良かった。
キャスト陣も永瀬正敏さん、渡辺謙さん、寺島しのぶさんと大好きな俳優陣が出演していてとても見応えがあった。中でも田中 泯さん演じる歌舞伎界の重鎮でもある人間国宝役が本当にいそう、インパクトあり過ぎのクセ強感で圧巻でした笑
ラスト、吉沢亮が晩年の役でも演じるのですが、話し方も体型も動きも若々しい、見た目だけメイクで歳を重ねたように見せているのですが、魔性に取り憑かれた人間は歳を取らず若く見えるようにわざとなのかな…とか考えました。
あまりにも美しすぎた
廃れつつある日本の伝統芸の一つである歌舞伎の女方に焦点を当てた映画「国宝」。若者が関心を寄せる若手俳優の吉沢亮、横浜流星などを起用しつつ、大御所俳優の渡辺謙を起用することで若者だけでなく幅広い世代、さらには海外まで視野に入れたキャスティングに説得力があった。原作は800ページにも及ぶ長編小説だが、それを約3時間に凝縮した本作には美しさと、物足りなさが共存している。
とにかく映像が美しかった。歌舞伎シーンの美しさ、女方の艶かしさ、妖艶さには目を見張る。ただそれを見るためだけに映画館に足を運ぶ価値があるほどに圧巻だった。
一方で物語があまりにも軽い。ストーリーや人間関係は本来、重く、濃密で、粘りつくような関係性を持つはずなのに、あまりにも軽く、訴えかけてくるものがない。それを理解はできるが、感情に残らない。それを表現し、伝えるにはあまりにも時間が足りなかったように思える。沼底の泥臭く濁り切った汚濁の如き人間関係を、読んで字の如くその上澄みだけを掬ったような薄く透き通った味気ないものに感じ、非常にもったいない。また、タイトルである「国宝」にも疑問が残る。作中において国宝の意味が十分に語られることはなく、誰が、何を目指し、何を失ったのか全く見えてこない。このタイトルが掲げるべき重みと、物語の実態とが釣り合っていないように思える。
結果としてふとなる人間関係の描写が不足していたために、正としての歌舞伎がただただ美しいだけのものに見えてしまった。本来であれば、この汚れ切った人間関係と異常な程に美しい歌舞伎を対比させることで、強烈なインパクトを生むべき作品だったのではないだろうか。
しかし、私が「歌舞伎を見に行ってみたい」と思ったこと。それ自体がこの映画の持つ力であり、評価すべき点なのだと思う。
3時間が苦にならない良い作品だけど…
とても評判がいいので見に行きました。なるほど、3時間という長さが気にならず、最後は終わるのが寂しく感じるほどでした。
ただ、採点を5点にしなかったのは、2つほど気になったところがありまして。(以下ネタバレです)
まず、最後のほうで、年をとった主役の立花喜久雄(吉沢亮)を撮影するカメラマンの女性が、実は立花と愛人の間に生まれた子だったということで、その女性は立花に向かって、あなたを父と思ったことはない、と批判しながら、あとに、立花の舞台には拍手を送ったという趣旨のことを言うシーンがあります。ここが、私にはきれいすぎる作り物感を感じました。この作品は映像もストーリーもとてもリアルに展開してきたところが良かったので、ここは見ながら違和感を感じました。
もうひとつは、これも最後のほうで立花が人間国宝になるのですが(先の写真撮影がそれ絡みだったかも?)、これには唐突感がありました。立花はいろんな、中には悲惨な回り道をしながらも歌舞伎の世界で生きてきたのは感動的なのですが、決して役者としての王道を歩んだわけではないと思える彼の評価は分かれるのではないかと感じていました。それが、人間国宝になった経緯や過程が語られないままだったのは残念な気がしました。「国宝」というのは作品の題名でもあるのでなおさら…。
という感想を家族に話したら、そんなのあまのじゃくじゃんと一蹴されました。まあそうかもしれませんが、原作はどうだったのか?機会があれば読んでみたいと思います。
ともかく、3時間楽しめる素晴らしい作品であることは間違いありません。最後ですが、吉沢亮のすごさを感じました。
人間国宝、歌舞伎役者、素晴らしくも恐ろしい世界。
3時間という長さを感じさせない展開。若い二人の男の子が稽古に励み、励まし合って成長する姿から、大人になり素晴らしい歌舞伎役者として舞台に立ち絶賛される。その後の人生は波乱万丈。最後の方は数奇な二人の男性をフラッシュバックのように映し出した。
何と言っても、吉沢亮、横浜流星の二人の俳優の女形歌舞伎役者の素晴らしいこと。特に曽根崎心中は一番の見どころと思った。平日にもかかわらず、多くの女性を中心にかなりのお客さんが来ていた。ロビーでは「また来ようね」との声も聞こえた。
もちろんいい映画は認める上で。。
すごいものを見た
役者さんたちは一体どれだけの努力をしてこの作品をを作り上げたのだろうか。
伝統芸能のような型のあるものはただでさえ難しいと思う。それを未経験者が、感情を込めながら、こんなにも美しく見せるなんて。歌舞伎のシーンはもうそれだけで見る価値があるような美しさで、うっとりと見入ってしまった。まるで歌舞伎の舞台を観に来ているのかのように、自分が映像と一体化するような錯覚を覚える瞬間もあった。演技も良かった。特に喜久雄、俊介は本当に彼らが彼らとして生きているような感じがした。吉沢亮さん、横浜流星さん本当にすごい。格好いいだけじゃない本物の役者さんだった。魂のこもった演技だった。少年時代を演じた黒川想矢くんもとても良かった。
ストーリーは色んな感情が湧き起こり書き起こすのが難しいけれど、とにかく最初から引き込まれあっという間に時間が過ぎた。特に前半、喜久雄が代役に選ばれ曽根崎心中を演じたことで俊介が去るまでの流れは良かった。
名シーンはたくさんあったけど、プレッシャーで手が震えて化粧が出来ない喜久雄に俊介が化粧をしてあげるシーンが印象に残った。自分には守ってくれる血がないという喜久雄に、芸があるやないかと励ます俊介。俊介も相当複雑な気持ちでいただろうにあれを言ってあげられる2人の関係がすごく良かった。結局俊介はその舞台を見ていられなくて離れることになるけれど、その後のすべてのことを含めて彼らの関係は最後までとても愛おしく感じられた。それぞれの気持ちに感情移入出来て、幸せを願わずにはいられなかった。
三浦貴大さん演じる竹野も好きだった。あの役どころはこの映画に必要だったと思う。芸の世界の人ではなく普通の人であることがより2人を引き立てたと思う。時に現実に引き戻し、時に舞台に引き戻し、良いスパイスとなっていた。始めは嫌な奴だったのに喜久雄を認めて親しげになっていく様子もほっこりした。
喜久雄を取り巻く女性たちもそれぞれ良かった。春江が俊介とくっついたのは、喜久雄は結婚して家庭を顧みるような男じゃないことがわかってたのかも。喜久雄が何を犠牲にしても上を目指す根っからの役者であることを感じ取っていて、自分は必要じゃないと思ったのかなと解釈した。俊介への同情と、喜久雄へのコンプレックスの共感で、ついていくことを選んだのかなと。結果的に良い家の妻の座に落ち着いて、こう言っては悪いけどうまくやったのかも。
藤駒も喜久雄を見初めて娘を産んだけど、喜久雄が自分のものになるとは思っていなかったと思う。大人になった娘があとから出てきたのにはびっくりしたけど良い展開だった。悪魔と取引して日本一の役者になったね。
彰子は利用されたようなかたちで喜久雄と一緒になり、その後も苦労をして幸せそうに見えなかったのが残念だった。喜久雄暗黒期だったので仕方ないけれど、彰子はどうなったのだろう。
田中泯さん、良い意味でゾッとするようなオーラがあった。
本当にすごいものを見た。思い出す度、感動が蘇る。
日本の映画史に残る傑作になったんじゃないだろうか。
映画館で見られて本当に良かった。
175分をおはぎと牛乳で乗り越える
大ヒット作品とのことで
ロングラン上映を見越して
「観たい作品が無くなる閑散期」
のために とっておいた。
平日の夕方に行ったが 20代の
男女が多く 予告の間じゅう ポップコーンを
つまみながら喋る。
時期を見誤ったか!?と思ったが
映画が始まったとたん ピタリと
お行儀が良くなった
これも、ある種の作品の力であろう
3人の大河俳優だけじゃなく
脇役も好きな役者が揃い踏み。
自分的にはこの作品 田中泯目当てで行ったが
流石の寺島しのぶ(この人の着物の着こなし好き)
杉村太蔵にしか見えない三浦貴大とか、
実年齢と役柄がビミョーに計算合わない
瀧内公美も上手いな~。
やっぱりこの女優好き。
無駄な紆余曲折も有ったが歌舞伎初心者にも
分かりやすい編集なのもありがたい。
餅を食べるとトイレ耐性に有効とのことで
牛乳とぼたもちで挑んだがこれ、メッチャ
効きました。
芸能の世界で生きるとは
世界観が壮大で映像一つ一つがとても美しかった。
内容は、芸能の世界の醜いところが全部表れているなと感じた。日の目を浴びたと思ったら、血筋や世間の声が原因で評判を落とされてしまう、かと思ったらいつの間にか表舞台に復帰する…現在の芸能界でもよく聞く話だと納得だった。
だが、周りの人や自分自身を傷つけ泣かせても尚、そんな醜い世界で生きたいと思わせるような芸能の世界の美しさも感じさせる映画だった。この物語に出てくる歌舞伎役者たちは皆、その美しさを自分自身が感じるために、舞台に骨を埋める覚悟で毎日を必死に生きているのだろうと痛感した。
そして豪華キャストなだけあってとにかく演技が素晴らしい。必死に芸能の道を生きる物語の中の歌舞伎役者と、実際の俳優たちとの姿が重なってみえて感動した。
所々腑に落ちないところもあったが、3時間もあっという間に過ぎ、観て後悔はない映画だと思う。
期待しすぎたのか。いや
パパだけちょっと…
いやぁすごかった。いい映画でした。
何回も泣きそうになった。(と言うか泣いた)
3時間近くの長い映画だけど一瞬たりとも気を抜かず観れました。
こっから大いにネタバレ
吉沢くんと横浜くんすごかったです。
そしてディスる訳でなく、やっぱり本職の歌舞伎役者すげぇ、が映画を観終わった後の感想でした。
そりゃそうだ、年輪を重ねてこそ滲んでくる凄みや色気を1年2年で出せるわけがない。それでも本当に美しかったしすごかった。そしてカメラワークで上手く撮っていたと思う。
歌舞伎という芸事が主題の映画、として大いに面白かったです。
一つだけ個人的に難を言うなら、お父ちゃんの謙さんがミスキャストだったかな。もちろん大御所の役者みはあるし、素晴らしい俳優さんなんですけどね。
曽根崎心中のお初が持ち役のベテラン歌舞伎役者としては、男らしすぎるのよ、謙さん。笑笑
男らしくても、女形をこなされる役者さんて、どこかフィメールみを帯びた色気があるのよね。決してカマっぽい、というわけでなく。謙さんは対極。笑笑
「じゃどなただったら??」水谷豊さん、古田新太さん、市村正親さん辺りどうだろう。!!そうだ、我らがマスター、真田広之さん!!彼なら日本舞踊の名取だし、現役でアクションもこなしてるから身体能力的にもハマったんじゃないかなぁ。久々に髭剃ってさぁ。
なんて色々妄想しつつ。笑笑
まさか「国宝」て、人間国宝になるまでの道程とは。
吉沢くんと横浜くんの舞台すごかったけど、物語としては前後編で6時間くらいで、もっと人間模様じっくり描いても良かったかもね。前段の実家話すごい良かったのに、最後半が取ってつけたみたいになっちゃってたから。
とはいえ、朽ちていくけど役者目だけはギラギラしてる泯さんの怪演とか、すごい良かったけどね。
あと友人が「ちょっと!なんで春江、俊ちゃんについて行くのさ!!!」って憤ってたけど。笑笑
いや、あれは喜久雄の凄まじい舞台を目の当たりにして、俊ちゃんはおろか春江までもが立ち入る隙がない、って絶望して逃げ出したんだよ。喜久雄はそんな事望んでないのに。さらに師匠は「精進して尽くして、逃げ出した血(息子)より選んでくれたと思ったら結局息子かい!」っていう、とにかく何もかもが喜久雄にとって噛み合わずすれ違ってくとこが、それでも役者続けるところが、切なくて重いんじゃん!!!と説明しました。笑笑
確かに女人達との関わりの描かれ方は薄っぺらかったかな。でもそのおかげで、やることやってても結局は舞台以外はどうでもいい喜久雄、は強調されたかな。
舞台以外はどうでもいい、というより心底それしかできない、って。鬼畜のように利用しようとしたのは彰子ちゃんだけなんだよね。下手こいてしくじったけど。あとは流れるように受け入れて、ひたすら歌舞伎役者として生きた。
などなど、色々考えを巡らせることができる、良い映画でした。
映像はキレイでした
国宝
今日観てきました。
歌舞伎のルパンを観て、興味が湧き、観に行きました。
春江は、俊ぼうと同じように キクオから逃げたんだなと。どこを見てるかわからない、血筋以上に芸に秀でたキクオから。
俊ぼうの、若い頃はちょっと下手な感じ
から、足が義足になってから演じる曽根崎心中が鬼気迫っていて、キクオが演じた時よりも素晴らしくて ダダ泣きしました。
ビールを買って、館内に入ったけどトイレに行きたくなったら困ると思い、飲まないようにしていたが、結果的に3時間 気づけばビール飲むような気持ちにならずラストまで…
キクオの脳裏のあの景色は、父親が殺された時に見ていた雪の吹雪 と思い
綺麗やな が最後の台詞なのが
巧みだなと
実の娘 あやのの場面も良かったです
忘れたことはなかった
すぐにわかったことも、ただ全てを犠牲に「国宝」になった訳ではない深さを表現していたと思います。
全2344件中、401~420件目を表示
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