「〜狂の境地、そこに芸の道の真髄あり〜」国宝 田舎の破壊者QuarterBoiledさんの映画レビュー(感想・評価)
〜狂の境地、そこに芸の道の真髄あり〜
映画を見た後、小説原作と知った。元々観る動機は主演の2人、吉沢亮✕横浜流星の仮面ライダーフォーゼ以来の共演作品がどんなものかという興味本位だったが、観た後これほど話題なるとは想像できなかった。理由はいくつかある。これから観ようとする人の参考になればと指を動かした。
この映画、観る人を選ぶと思う。断っておくが、決して楽しい映画ではない。的確な言葉か分からないが、重い、一般人の常識や感覚を凌駕した世界を描いている。芸の研鑽のためには一般的な生活や人間関係を時には犠牲に踏み台にしてのし上がっていく歌舞伎役者としての主人公の生き様を描いている。血族が絶対の世界。芸の上手さではなく誰の血筋なのか、それが全ての世界とのことだ。色んな見方があるが、作中では様々な女性が登場し、主人公に翻弄され、時には利用される姿も描かれる。その点、一部女性は反発するかもしれない。
一方で、映像の美しさには恐れ入った。
そして、(自分は本物の歌舞伎を見たことがないし、見ていたとしてもその凄さや違いをすぐには理解できないと思う)劇中で、吉沢亮や横浜流星が演じていたのは、少なくもと私の目には歌舞伎役者だった。相当稽古を積んだと思われる。勿論、本職には到底及ばないのだろうが、歌舞伎を知らない人間からしたら、歌舞伎ってこんな感じなんだと思わせるだけの説得力があった。
人間、周りから見たら狂った世界に入らないと、芸は極められないのかなと勝手に解釈させられた。
同じような世界を描いてる作品で、アニメだが「ひゃくえむ。」というこちらも話題作がある。こちらはスポーツ(武)の世界での、やはり似たような世界を描いている。ひゃくえむの方は、少し清々しいエンディングであるが…。
以上、人によっては評価が低く出るかもしれないが、観たいなら少し覚悟を持って観て欲しい。もし観たら、併せてひゃくえむも観て欲しい。
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