「まさに日本映画界の国宝」国宝 みかさんの映画レビュー(感想・評価)
まさに日本映画界の国宝
映画『国宝』を初めて観た時、あまりの素晴らしさに衝撃を受け、この世界観が忘れられず、気づけば3回も映画館に足を運んでいた。
登場する人物一人ひとりがあまりに魅力的で、彼らの心情を探らずにはいられなかった。
主人公・喜久雄
芸に魅入られ、ついには悪魔と取引した美しき怪物。
芸のためにすべてを捨てる覚悟を持った男。
彼の存在は、芸の神域に踏み込んだ者の象徴だった。
第二の主人公・俊介
丹波屋の血筋とともに、糖尿病という宿命まで背負った男。
喜久雄の存在が、彼に“本物の芸に生きる覚悟”を植えつけた。
苦しみながらも、芸に殉じる姿は胸を打つ。
裏の主人公・春江
この人の生き様には脱帽した。
愛する喜久雄に「結婚しよう」と言われた時、「私は贔屓になる」と返した覚悟。
自分の存在が彼の芸の邪魔になると悟り、悩みながらも俊介の弱さに寄り添い、支え続けた。
俊介を本物の役者に育て、最期には丹波屋の女将として、喜久雄=国宝・五代目花井白虎の贔屓として舞台を見届けた。
彼女こそ、この物語の“影の主役”だと思う。
四代目・花井白虎
御曹司である俊介よりも才能を持つ部屋子・喜久雄を、丹波屋のために認めざるを得なかった。
息子への愛を封印し、当主として苦渋の決断を下す。
それでも息子の再生を信じ続け、病に倒れた姿は切ない。
丹波屋の女将・幸子
愛する息子よりも才能を持つ喜久雄への恐怖と嫉妬。
芸のために彼が必要だと理解しながらも、葛藤を抱え続けた。
その沈黙と眼差しに、芸の家を支える者の覚悟が滲んでいた。
国宝・万菊
血筋がすべての世界で、芸だけで頂点を極めようとする喜久雄の覚悟を見届けた人。
彼の沈黙は、芸の神域に立つ者の“試練”であり、“祝福”でもあった。
まだまだ魅力的な人物が沢山居て、書き足りないが、それぞれの心情があまりにも美しく、深く、
この作品は私にとって、人生の宝物のような映画になった。
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