「美しい映像美と壮絶な人生劇場・PG12について」国宝 zaraさんの映画レビュー(感想・評価)
美しい映像美と壮絶な人生劇場・PG12について
今見るべき価値ある作品ですが、まずPG12指定(小学生以下は保護者の助言指導が必要)については、未成年の飲酒やTatoo、任侠が絡むシーンがあるからだと言われています。「鬼滅」等PG12の作品はありますが、今作は男女の関係を描いた場面もあるので、10代の家族には見せませんでした。現在興行収益が邦画実写の歴代2位。原作は読んでいませんが2017~2018年、1年半にかけて吉田修一さんが新聞連載し、後日加筆修正した小説で、これほどの内容をよく実写化しようとしたものだと驚きでした。映画「悪人」「流浪の月」等で実績ある李監督。吉沢さん、横浜さんが1年半、歌舞伎の稽古をしたということと共に、伝統芸能に人生をかけた二人の関係性は、映画の中での命懸けで壮絶な人生として描かれ、時として狂気に満ちて実際の演技の上でも気迫あるものとして強く引き込まれました。舞台からの役者目線、客席からの目線、冒頭の乱闘でのガラス窓に映した目線など、カメラワークの多様さ。絢爛豪華な歌舞伎や冒頭の雪景色でのバイオレンスシーンの映像美。荘厳な音楽と静寂さ、無音の対比が印象深いシーンなど、丁寧な演出の素晴らしさに心奪われました。ベテラン俳優の鬼気迫る演技は勿論、華やかさやうらぶれた世界を壮絶に演じる吉沢さん、横浜さんの微細な心の揺れ動きや、迫力ある渾身の演技も素晴らしく、3時間があっという間でした。2026年北米での公開が決定、米国アカデミー賞国際長編映画賞の選考対象にもなったそうなので、このジャポニズムが海外でどう評価されるのか、期待しています。6月6日からの公開ですが、9月中旬現在、興行収益は今後まだまだ伸びるのではないでしょうか。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
