「これがあなたの国の宝なんですか?」国宝 tangoさんの映画レビュー(感想・評価)
これがあなたの国の宝なんですか?
これから見る映画のポスターを見る。
「ただひたすら 共に夢を追いかけた」
「その才能が、血筋を凌駕する」
「カンヌ国際映画祭」
歌舞伎よく知らない、原作未読、映画のみ視聴した者の感想です。
■映画の内容について
脚本が失敗していると思う。演出も首をかしげること多々。
話はすごく長く、後半に進むにつれて失速していく。
前半だけで映画終了でもよかったんじゃない?
<歌舞伎への情熱、共に夢を追いかけ、最後に才能が血筋を凌駕!でも親友と恋人が傷つき去っていく>
一応話の筋も通ってて、苦悩しながらも歌舞伎に打ち込む青年を応援する気持ちで見ていられた。
不要と思える場面も散見されたけど、このときは後で何かあるんだろうと思ってた。
雪景色の料亭の場面は綺麗でよかったし、舞台裏のからくり仕掛けのシーンなんかは主人公のわくわく感に共感もできた。
後半は本当に苦痛、因果関係のない出来事の羅列がつづき、説明すらないため、なんで?の連続。
話がどこに向かっているのか、登場人物の心情や目的は何なのかもわからず、成長の描写もない。
そして問題は無かったことになったり、勝手に解決されたりで、もう勝手にしてくれと思った。
数秒画面を真っ黒にして年号を表示する意味って何かある?その分早く終わらせてほしい。
舞台で吐血したり、壊死しそうな足で舞台強行して、はーはー言いながら足引き摺って必死にがんばってますって、客は一体何を見せられてるのだろう。
歌舞伎中のテンプレオーケストラBGMも不快に感じた。
すごいでしょー、荘厳でしょー、って感じでしつこくうるさい。
BGMが衣装早替え?のところでクライマックスを迎えたときは、ちょっと噴き出した。そんなに着替えを強調したいのか(笑)
本物でない人が演じているので、いろいろ工夫が必要なのはわかるけど、肝心の話に納得できていないので、盛り上げ音楽やきれいであったろう映像とかが流れても、逆にシラケて映画から気持ちが離れていく。時計チラチラ。
あと前半で出てきた思わせぶりな話やセリフがことごとく回収されず困惑。
きれいな顔が芸の邪魔になるよ→ならない。
ミミズクの刺青の意味は恩返し→しない。
後半も同様、ここには美しいものが一つもないとか大いに意味ありげなことを言わせるが、話の本筋には何も関係なし。
最後隠し子が唐突に登場し、あなたを父親と思ったことはないと言う。
全然大したことないけど一応これが悪魔と契約の回収ってことね、と思ってたら、
最後の最後にお父ちゃんと言われる。なんで?
原作のタイトルだからしかたないけど、仮にタイトル知らずに映画を見た人は、まさか国宝だなんて思わないのでは?
海外でもやるらしいけど、この映画の内容がわかるとは思えない。
これが日本の宝なんですか?と思われたら恥ずかしいな。
■マーケティング
カンヌ映画祭本体ではなく関連イベントに出品し、ポスターには金ぴかのカンヌ出品の文字。
結果大成功だし商売だから必要なのはわかるけど、こういう優良誤認っぽいやり方は好きになれない。
■補助金
両隣が動かないので仕方なくエンドロール見てたら、文化芸術振興費補助金の文字が見えて唖然。
大ヒットおめでとうございます。全額返金して本当に援助を必要としているところにまわしてあげてほしい。
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