劇場公開日 2025年6月6日

「普通」国宝 せとものさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 普通

2025年9月7日
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鑑賞方法:映画館

知的

昭和の街並みや歌舞伎の扱い(旅館の出し物になるほど身近だったこと等)、ドサ回りでやる場合と本格的な歌舞伎座でやる場合の舞台裏が見れたのは良かった。

ストーリー序盤、観客を引き込むシーンになるはずの、関の扉で主人公が才能があると感じるシーン、人間国宝(おじいちゃん)が演じる鷺娘の凄さを感じるシーンで凄さが感じられず置いてかれる気分になった。
おじいちゃんの鷺娘だけ分かりやすくCG入れてるのも演出感溢れてて若干覚めました。
それよりは二人藤娘の笠の扱い(あんなクルクルクルクルしてて綺麗に収まっててすげえ)、二人道明寺のすり足で歩きながらも全くブレない上体の方が分かりやすく歌舞伎役者すげえになりました。
動き?セリフ?の少ない鷺娘を人間国宝という最高峰の人が演じてくれても一般人は凄さを感じられないんだ…

あと全体的に顔面アップ多いかも。曽根崎心中はどっちもアップだからこそ感情に訴えるものがあってめっちゃ良かったですが、他はそんないるかな…
多分夜景のライトを目指す景色と重ねたかったんだろうけど、きくちゃんがビルでクルクルしてるのとかもうちょい引きの映像あっても良かったと思う。役者の狂気を表すには薄い。もっと前半部から執念を積み上げて欲しかった。学生時代がちょっと爽やか過ぎたのかもしれない。
歌舞伎単独だと盛り上がりを示すの難しいのは分かるけど、盛り上げたいシーンでとりあえずオーケストラ入れて音量上げて直後無音にすれば良いやろ感も感じた。もうちょいアングルとか魅せ方にこだわって頂きたかった…

しゅん坊ときくちゃんの関係性はとても良かった。認め合って支え合って尊敬しつつでもお互いに欲しいものを持ってて憎みこそしないけど羨ましさと悔しさが滲む、みたいな。
あきちゃんの献身と虚無も良かった。
きくちゃんが丹波家を出てく時の女将さんの居ないもの扱いするムーブも良かった。鳥肌立ちますね。

本筋とは関係ない部分のストーリーの投げっぱなし感は気になる。関の扉を一緒に演じて一緒に復讐に行った兄ちゃんどうなったとか、一緒にドサ回りして支えてたあきちゃん何処行ったとか、花井半次郎(渡辺謙)にデカイ借金ってなんや?とか、瞬く間に丹波家没落してたけどどういうこと?とか、竹野いつの間にそんなきくちゃん気にかけるようになった?とか、人間国宝(おじいちゃん)寝たきりなのにどうやってきくちゃん戻した?あの状態で発言力あるのか?とか、芸事でトップになるのが復讐になる話どこいった?とか……思いのほか気になる点多いな

あとは初期の組長亡くなる時の殺陣、どうにかなりませんでしたか…歌舞伎に力入れてるのはわかるけどドス持って囲みながら1人ずつ突撃は流石に笑ってしまう

実写で役者の凄さを表す難しさを感じた。漫画1話だけ読んだけど2次元は凄さが盛りやすくて分かりやすいなあ。という感想です

せともの
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