「「好きだから続ける」だけで極めたらどうなるの?という疑問に答えてくれる」国宝 もんちっちさんの映画レビュー(感想・評価)
「好きだから続ける」だけで極めたらどうなるの?という疑問に答えてくれる
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ドキュメンタリーのように見えてぜんぜん堅苦しくない。
何を見せられるかというと「役者とはどういう生き物なのか?」という業の話。
稽古熱心な主人公で、才能を開花させ努力もして認められてもいるが、お家の血筋が通っていないという理由から様々な苦難を強いられる。
育った環境のせいか人付き合いも下手みたいで、純粋に歌舞伎が好きでそれだけやっていたいんだろうな、と。
歌舞伎についてのウンチクを学ぶようなシーンはゼロ。映像と心理描写だけで魅せてくる凄み。
そして普段見られない舞台裏が映っていて「簡単に良いもの見られた感」がある。
間口が広い。
あとカメラが良かった。なぜか飽きのこないカメラワーク。
この角度で撮ったら新鮮だろうとか、
ここは皺が見えるくらいズームしても見ていられるだろう、といった巧さを感じる。
おじいさんの皺がずっと映っていても「すごい人の皺だからいいか」と納得させられてしまう。
バッドエンドではないが「怒り」と同じ監督で心を抉りにくるのでそこは要注意。報われなかった人もいる。自殺や他殺は無いが出血はある。
少なくとも主人公は報われて良かったねと思える最後だった。
ダメなところじゃないが「やりすぎでは?」を取り上げると、
太宰治の「人間失格」的な空気がずっと漂うので映像の9割くらいが不穏。この人次の瞬間には死ぬんじゃないのか…?というくらいに不穏。
技術だけが高みに至ったがゆえ、耐え難い孤独がつきまとう。
それが「国宝」の道の謂われなら、ただ納得できるのみで後は目を伏せたい領域である。
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