「日本文化への敬意を感じる作品」国宝 かずぼんさんの映画レビュー(感想・評価)
日本文化への敬意を感じる作品
予備知識なく見たが凄い映画だった。
歌舞伎という特異な世界に身を置く二人の若者を、今や人気俳優となった吉沢亮と横浜流星が演じている。
正直人気若手俳優のダブル主演という事もあり、人気俳優の人気にあやかろうという浅ましさを感じてしまいちょっと避けていたが、二人の演技は非常に素晴らしく心を打たれた。
特に曾根崎心中は物語の核となる演目であり、指導シーンから師となる渡辺謙演じる半次郎の指導も、見ているこちらにも緊張が走るほどすさまじいものだったが、それに呼応するように演技がめきめきと上達する喜久雄の姿がまた良く、興奮を覚えたものである。
中盤の喜久雄版は「天才」を感じさせるものだったが、終盤の俊介版はまさに俳優生命をかけた鬼気迫る迫力があり、喜久雄版と違った良さに自然と涙がこぼれた。
日本の伝統芸能である歌舞伎は、存在こそ誰しもが知っているものであろうが、実際に見たという人は本当に一握りであろう。私もテレビで一部を見ることがあるだけで、ちゃんと見たことは無い。
しかし本作品はその大部分が知らないであろう歌舞伎という世界に観客を引き込むことに成功しており、魅力的に感じさせることが出来ていると思う。
どうしても主演二人の評価に偏りそうであるが他のキャストも非常に良かった。
子供時代を演じた黒川想矢さんと越山敬達さんの演技も良い。
おかみさん役の寺島しのぶさんも素晴らしかった。
この日本の古典芸能を扱った作品の指揮を執ったのが李相日監督というのにも驚いた。
もっとも、李相日氏の作品は過去にもフラガール、悪人など良質な邦画を沢山撮られている方ではあるが、日本人でさえ過半数歌舞伎の魅力というのを一本の映画として最大限に見せていると思うし、この作品を見て歌舞伎を見てみたいと思った人も多いだろうと思う。
李監督は本当に上手いなと率直に感じた。
歌舞伎の魅力もそうだが、映像が本当に美しく是非劇場で見て欲しい作品です。
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